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しおりを挟むそれはそうと、と未悠は健に問いかけた。
「お腹すいてませんか? あ、それとも、お風呂どうですか?」
「いいね。あったかい言葉」
微笑む健は、心底嬉しかった。
もう何年も聞いていない、言葉。
心を通わせた相手との、温かな会話。
健は、そんな未悠の好意に、素直に甘えた。
「まず、食事をいただこうかな。失血し過ぎて、血が足りない」
肉はあるか、との健の言葉に、未悠は気を利かせた、つもりだった。
「牛ロースの薄切りがあります。軽く焼いて……」
「いや、生で結構」
生!?
健との会話や、彼の口調から、これも冗談だと思っていた未悠だ。
だが、レンジで解凍した牛肉を、本当にそのまま食べてしまう姿に驚いた。
「お、お腹こわしませんか?」
「平気だよ。肉は、生に限る」
ぱくぱくと、あっという間に平らげてしまった。
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