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「うぁ、超難問。俺、全然解んね」
「隼人!?」
まさか昼日中の学校にまで、現れるとは!
ふわりふわりと宙を浮き、授業中の伸を眺める隼人の姿が、そこにはあった。
もう、落ち着いて問題を解くどころじゃない。
「伸、名門高校のお坊ちゃんだったんだなぁ」
「そんなんじゃ、ないよ」
「俺はぁ、底辺の掃きだめ学校さ。馬鹿なんだよ、俺」
「隼人は、馬鹿じゃないよ」
「慰めなんか、いらねーよ」
「隼人、バイクに乗れるじゃん。僕は、バイクの乗り方、知らないよ」
教師がわざとらしく咳をしたので、二人の会話はそこで終わった。
だが、伸の言葉は隼人の心を揺さぶったらしく、昼休みも現れた。
「なぁ! さっきの、もう一回言ってくれねえか?」
「さっきの、って?」
場所は人のいない屋上なので、気兼ねなく声が出せる。
隼人は、もう嬉しくて仕方ないといった風で、笑みを浮かべていた。
「俺のこと、馬鹿じゃない、って」
「だから。バイクの操作って、すごく難しそうじゃん」
「うんうん」
「それを難なくできるんだから、隼人は馬鹿なんかじゃない、ってこと」
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