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しおりを挟むその晩も、隼人は伸の元へ現れた。
「昼間、ヤッただろ!?」
「さすがの俺も、そこまで飢えてねえよ!」
そう言って隼人が差し出したのは、バイクの雑誌だった。
「俺の家から、持って来たんだ」
ふたり、ページをめくって楽しんだ。
「これ。このバイク、カッコいい!」
「へぇ、伸はそういうのが好み?」
初心者なら、この辺がお勧めだぜ、と指さす隼人の眼は活き活きしている。
「250㏄以下なら車検がいらないから、お得だぜ。でもやっぱ、馬力のある400㏄も捨てがたいよな」
楽し気な隼人の顔を見ると、ついこちらも笑顔になる。
伸は、なんだか彼が、以前からの親友だったような気分になっていた。
学校で話題になるのは、どうしてもテストや成績、偏差値のことばかり。
進学校なので仕方がないが、少しでも順位を上げたい、他者を追い抜きたいとやっきになる友人たちには、違和感を覚えていた。
隼人は違う。
バイクという生きがいを持ち、青春らしい青春を楽しんでいるのだ。
そんな風に感じた時、隼人がぽつりと言った。
「あ~、何だか俺、死ぬのが惜しくなってきた」
「死ぬ!?」
伸は、がばりとベッドから起き上がった。
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