死んだと思ったら異世界に

トワイライト

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「なに、礼を言われる程の事は話しとらんよ」

「いえ、今の話しだけでも十分ありがたいです…ですが、もう一つだけ聞いても良いですか?」

「ああ、良いぞ」

親父さんにいいと言われたので質問する。

「では、なんで親父さんはさっきの人達に協力しないんですか?」

別に公国側が攻め込む訳では無いのだろう?だったら、別に協力しても良いんじゃ無いか?

侵略じゃなく防衛の為に戦う場合なら公国側はともかく、教国側の戦争に参加して居ない一般人に被害は無いはずだ。

だとするならば強い装備や武器を作って渡してあげる事で、公国側の一般人の被害を抑えつつ、早く戦争を終結させる事が出来るだろう。

その分卿国側の被害が多くなる可能性が有るが、そこは攻めてきて返り討ちにあったのだから仕方がないだろう。

「さっき奴らにも言っただろう、ワシは戦争に使われる為に武器を作る訳では無いとな」

親父さんは先ほどの様に理由を話した。

だが、それだけではないのだろう。

確かに武器職人としてそう言う気持ちもあるのだろう。

だが、親父さんがあの兵士達の協力に答えなかった理由は他にもある気がする。

「それだけではないのでしょう?」

「なんだと?」

俺がそう言うと親父さんは片方の眉をあげてこちらを見てくる。

「俺はこの国に来て1日も経っていません、ですが、親父さんが国のトップがわざわざ書状を出してまで欲しがる様な武器を作るのだろう事は分かります」

「確かに親父さんが言ったように戦争に自分の作った武器を使われたくは無いという思いは有るのでしょう…ですが、国が欲しがる様な武器を作る事が出来る貴方なら思った筈です…戦争で自分の作った武器がどこまで通用するのか…と」

その言葉を聞いた瞬間親父さんは血相を変えて俺の方を見る。

「そんな事!思って」

「無いとは言わせませんよ」

俺は親父さんの言葉に被せて言葉を放つ。

「物を作る人なら誰しも自分の作った装備がどれ程通用するか、どれ程良いものを作る事が出来るかを考えてしまうのは当然です」

俺もゲームの時に良い装備が出来たらステータスを下げた状態でステータス上では格上のモンスターと戦って性能を確かめたりしていた。

「ですが物作りの情熱というのは熱しやすく冷めやすい、普通の人なら自分にはこれぐらいしか出来ないと勝手に限界を決め、ある程度の品を作ってお終いです」

人は皆1つの物事に時間をかけ続ける事は難しい。

普通なら飽きてしまうか、これぐらいで良いだろうと辞めてしまう。

「ですが、人々が求める様な作品を作る人たちは違います、自分の限界など知った事かと制作に励み、技術を磨き、より良い物を作ろうとする。
だからこそその人には良いものが作れるし、諦めることもない。
もっと良いものが作れる筈だ、自分の限界はこんな所では無い…って感じにです」

努力を重ね、1つの物を作るという事に人生を掛けるぐらいの情熱を持つ事が出来るものこそ、本物の名品を作る事が出来るのだ。

「国が貴方の作る武器を欲しがって書状まで出す…並大抵の武器を作る人にはそんな事はしません」

親父さんは黙って俺の話を聞いている。

「それ程の物を作れるなら、貴方はそれだけ武器作りに情熱と人生という時間を捧げてきた筈です。
そんな人が自分の作った物がどれくらい世界に通用するかを知りたく無い訳が無い」

俺は断言する。

戦争で他国と戦うという状況だ。

自分の作った武器を持った人と、他国の職人が作った武器を持った人が戦い、殺しあう。

自分の武器を持った人が手柄を立てれば立てるほど自分の作った武器が優れているかが証明出来る。

普通なら考えてはいけない事だが、最高の作品を作るために人生を捧げてきた職人ならば、考えない訳が無い。

「ですが親父さんはそれでも協力を拒んだ、ならばそれなりの理由が有るのでは無いか、と考えた訳です」

「…分かった、話そう」

そう言うと親父さんは俺たちに1つの話をしてくれた。
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