死んだと思ったら異世界に

トワイライト

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「ワシが、この国の要請に答えない理由、それは妻と子供をこの国に殺されたからだ」

やっぱりか。

親父さんが国に協力しない理由は俺が予想していた物の1つに当てはまった。

親父さんは見た感じ自分の為に行動をする人だ。

さっきも言ったが、物作りに情熱を持っている人なら自分の作った物がどれ程他に通じるか、どれくらい良いものを作れるかと考えるのは当たり前の事だ。

相応の理由がなければ親父さんは協力に応じていただろう。

実際に戦争で使われて、自分の武器を持っている人が戦果をあげればその分親父さんの武器が他の武器に優れていると証明出来るからな。

まぁ良い武器でも、使っている人の技量が伴っていなければそこまで戦果をあげられないが、他を圧倒する程の武器ならばその技量差すらも覆すことが出来るが。

おっと、今はそれはおいておこう。

とりあえず、自分の武器がどれだけ他の職人達と比べて優秀であるか、を調べる事が出来るのに、協力しないという事は、戦争に恨みがあって戦争に自分の武器を持ち込みたくない、又は国に協力したくない理由が有ると思ったわけだ。

案の定親父さんが言った理由は国に家族を殺されたという物だ。

流石に家族を殺された国に協力をしたいわけがない。

「それはどういう?」

「ワシの家系は代々物作りで生計をたてて生きてきた。
ワシの種族はドワーフだから種族的にも人やエルフ達より良いものを作ることが出来るからな」

「かくいうワシも祖父がやっていた鍛治に惹かれ、こうして今まで武器を作り続けてきたという訳だ。
小さい頃から鍛治の修行と武器の製作をし続けていた訳だが、どうやらワシは集中すると周りが見えなくなるタイプらしくてな、食事を食べずに何日も工房に籠ることも有った…そんな時、何時も俺に食事を取れだのちゃんと寝ろだの言ってくれてたのが妻だった」

そう語る親父さんの顔は穏やかな表情を浮かべていた

「そうなんですか…」

「ああ、妻と出会ったのはワシが23の時に妻が自分の武器を作ってくれる鍛治士を探していたからなんだが、その時に妻から渡された素材が上物でな、テンションが上がって少しばかり寝ずに武器を作った…それで、今までで一番良い出来の武器が作れて、妻に渡した後に疲労で倒れてしまったんだ」

倒れるまで作業をするなんて親父さんも相当だな。

一度作業を開始したら終わるまで止まる事が出来なかったのは分かるが流石に倒れるまでやるか?普通。

「それで、何日も寝ていなかったからか二日間目が覚めなかったらしくてな、妻はその間にワシの看病をしてくれたらしい。
それで、起きた時に怒られたんだ、「武器を渡していきなり気絶するんじゃない、見ず知らずの人に心配をかけるな」とな」

そりゃあ武器の製作を頼んだ人が武器を渡した後にいきなり倒れたら心配するだろう。

しかも二日間も目が覚めなかったんだったら怒られても仕方がないと思う。

「ワシは目覚めてすぐに怒鳴られた事と、空腹でイラついて、うるさい、俺が何をしようと俺の勝手だ!と怒鳴ってしまったんだ、それで、妻と喧嘩になってしまった訳だ」

最初はいがみ合って居たけど、後々仲良くなって行ったパターンか。

「言い争いをして、喧嘩は終了した訳だが、妻はワシのことを放って置けないと、冒険者として活動しながらワシが無茶をしていないかを確認する様になったという訳だ」

「ワシは最初妻の事を鍛治の邪魔をする奴としてしか認識して居なかったが、時間が経つにつれてこんな関係も悪くは無いと考えるようになってな、その時に色々とトラブルが有ったが、ワシは妻と出会って4年目にワシは妻に告白をしたんだ」

「トラブルとは?」

告白をして付き合う事になったのだろうが、その時に有ったというトラブルというのが気になった俺は親父さんに聞いてみる事にした。

「ああ、妻が貴族に求婚されたんだ、それで、妻が居なくなった生活を考えて…自分の気持ちに気付いて急いで告白をしたんだよ」
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