死んだと思ったら異世界に

トワイライト

文字の大きさ
130 / 280

130

しおりを挟む
「それで?そのスキルオーブにはどの様な効果が有るのですか?」

スキルオーブは誰にでもスキルを覚えさせる事が出来るが、商売が上手くなるスキルなんて有ったか?

「ランクによって変わりますが、審美眼という物の価値が分かるようになるスキルや、その物について分かるようになる鑑定と言うのが有りますよ」

審美眼と鑑定か…確かに審美眼があれば美術品を扱う時に偽物かどうかを判断出来るし、鑑定では物の品質が分かるようになるから、確かに商売が上手くいく様になるというのも分かる。

「というのは先ほど袋の中身を確認しなかったのも?」

「ええ、とあるスキルで袋の中身を確認したという訳です。
このスキルが有れば払われた値段が直ぐに分かるので、中身をごまかされたら直ぐに分かるという事ですよ」

「成る程…それは便利ですね」

「はい!それに、お客様の渡されたお金を直ぐに確認するというのは失礼に当たります、商人は信頼が大事ですので、取引相手を信頼してると伝える為に渡されたお金を直ぐに確認する事は出来ません」

そうか、相手が渡したお金を直ぐに確認するという事は取引相手が料金を誤魔化していると疑っていると言っている様な物だからか。

「それで大手と取引する場合には取引内容と多少支払われる料金が違う…という事も有ったのです…」

そうか…後々支払われた料金が取引と違い、取引相手に言ってもそれが本当かは分からない、といってはぐらかされる訳か。

それに、キチンと料金を支払ったのに、言いがかりを付けてきたと言いふらされてしまえば商人としての信頼が一気に無くなってしまう。

1商人と大手の取引相手、何方の言い分を信じるかと言われれば大手の方を信じる人が多いのだろう。

そのリスクを考えると例え料金が取引内容と違っても泣き寝入りをするしか無くなるって訳か。

「ですが!このスキルを持っているだけで取引相手が支払った料金は一目瞭然、リスクを負わずにきちんとした取引を行うことが出来るようになったのです!」

商人は興奮した様子でそのスキルの素晴らしさを語っている。

そりゃあ取引におけるリスクが下がるなら皆商人ランクを上げようとするか。

「そうですか…」

「はい、そうなんです…それでは料金は無事に頂きましたので、こちらを」

商人はそう言うと俺に指輪を渡す。

「はい、確かに頂きました…それで、聞きたいことがあるのですが、聞いても良いですか?」

「ああ、先ほど言っていた奴ですね、ええ、よろしいですよ」

商人の了承が得られたので、俺は商人に四大貴族が頻繁に出入りしている場所が無いかを聞く。

「四大貴族の方々がよく行く場所ですか…あまり聞いたことは無いですね…」

「そうですか…」

商人の答えは知らないという物だった。

そうか、知らないのか…まぁ1発目から情報が得られるとは思ってなかったから別に良いが

「でも…噂程度の情報で良いなら1つだけ聞いたことがあります」

ありがとうございます、そう言って去ろうとした時、商人は俺に向かってそう言ってきた。

「本当ですか!」

「ええ…ですが本当に噂として聞いた位で確証は有りませんよ?それでも構いませんか?」

「ええ、噂でも大丈夫です、話してください」

商人の問いに即答したからか、商人は少し戸惑いながらその聞いた噂とやらを話してくれた。

その話というのは、公国の中央にある、という伝承が書いてある祠で四大貴族を見たという話だった。

「この国では子供の頃にその伝承とやらをその祠で聞かせるという風習が有るのですが、そこで四大貴族の方が行っているのを見たという話を聞いたことが有ります…まぁこの国が出来た頃からある祠らしいですから、四大貴族の方々がきていても可笑しくは無いんですけどね」

成る程、建国時からある祠に四大貴族が出入りしている…か、可能性は高いな。

「お話を聞かせてくれて、ありがとうございます」

俺は有力な情報を話してくれた商人に対してお礼を言った。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?

スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。 女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!? ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか! これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

処理中です...