異世界転職してフワフワモコモコの保育士になりました!

Yapa

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第3話 こんにちは!フワフワモコモコ世界!

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「なーんて、ね!」



わたしは後ろの方でニヤけているであろう老婆に、照れながら突っ込んだ。



だが、そこには誰もいなかった。



蛍光灯も、道路も、壁も、住宅も、老婆もいなかった。



ただただアメリカの映画に出てくるような、だだっ広い荒野がひろがっているだけだった。



突っ込んだ手を戻す。周りを見る。見たこともない植物が生えている。アメリカというよりナメック星に生えてそうな頭でっかちな植物だ。色も真っ赤だ。深いシックな赤だ。自然ぽくない。いや、わたしの知ってる自然とちがうというべきか。



いやいや、そんなまさかね!いくらなんでもね!



わたしはその植物を触ってみようと、一歩その植物に近づいた。すると、不思議なことにその植物が動いた。



わたしは一分くらい緊張で固まり、その後、おそるおそるもう一歩踏み出してみた。



すると、その植物はやはり、後ろに一歩分動いた。



わたしはつい衝動的にその植物に向かって、ダッシュで近づいた!



「うぉおおおおおお!」



「うわああああああああ!」



わたしが叫んで近づいたら、その植物まで叫んで逃げ出した。五十メートルくらい行ったところでわたしは諦めた。その植物は足が速かったのだ。何を言っているかわからねえと思うが、そうとしか言えない。



「ハァッ、ハァッ」



膝に手をあてて、深呼吸した。五十メートル走るくらい、どうってことないはずだがこの異様な環境にめまいがした。



空を仰ぐ。デカイ何かが飛んでいた。鳥?空飛ぶ円盤?ラピュタ?一種類ではなかった。多種多様な何かが自由気ままに飛んでいて、そのどれもをわたしは知らなかった。



「……とりあえず、アメリカじゃないようね」



わたしは引きつり笑いをして、独り言を言った。



変なドラッグをカマされた線もあるが、そんな記憶は今のところ思い出せない。



「これは、異世界転生しちゃった、のかな?」



ギャー、ガー、グルッポー



ポツンと現状認識をしてみると、周りからいろいろな声が聞こえてくることに気づいた。それも、とても友好的とは思えないやつら。



ガー!!!!!



一際大きな音が空からする。わたしは手に持っていたバッグで頭を反射的に隠してしゃがんだ。



すると、そこには想像上の生物のはずのドラゴンが二頭、相争っていた。



「ひー!」



とてつもない音に、反射的に突っ伏すようにしゃがみ込む。



すると、突然足元の地面がモコッて盛り上がったかと思うと、猛烈なスピードでわたしを乗せて動き出した。



「なななんあななになになに!」



わたしの叫びなど意に介さず、地面は移動を続けた。わたしは突っ伏して、振り下ろされないように手近にある雑草に必死にしがみついた。



「うひーーーーー!」



急に地面が止まり、わたしは前方に思いっきり投げ飛ばされた。



「いたた」



わたしは打ったはずの頭をおさえながら、顔を上げた。



転がってきた先は、街中のようだった。それもヨーロッパの田舎町のような、石畳に石造りのレンガで出来た家。いや、憧れの地として、旅行本でしか見たこと無いけど。



それよりも驚愕したのは、ハロウィンのような格好をした人がいっぱいいたことだ。羊っぽい被り物、大きな猫っぽい被り物、首の長いアルパカっぽい被り物などなど。



そんな中の一人、うさぎっぽい格好をした人が近寄ってきた。ぴょんぴょんって。完成度高いな!



「大丈夫ですか?」



そう聞いてくる。大丈夫ぴょんじゃないのかー、惜しい!なんて思うが、可愛いので良し!



「あっ、はい!丈夫だけが取り柄なもんで!」



差し出された手をわたしはつかんだ。モコモコだ!モッコモコだ!



「すごい!」



謎のテンションで、わたしは言った。うさぎさんはビクッとした。



「うわー!これ、どうやって作ったんですか?羊毛?うわー、お金かかってますねー!」



わたしはまじまじとつかんだ手のひらを見た。すると、そこには、フェイクとは思えない、鋭利で長い爪がギラリと光っていた。



「え?」



驚いて顔を上げると、うさぎさんは恥ずかしそうにしていた。



「あのー、そんなに強く握られると、ちょっと」



耳がピコピコ動いている。



「おー、どうしたー?」



周りからぞろぞろといろんな人が集まってくる。



本当にいろんな、ふわふわもこもこした人達が。



かたまりになって、押し寄せてくる。クラクラした。



わたしは連日の疲れと度重なるショックで気を失った。



気を失う寸前、『人らしい暮らし』って、こういうこと?と思った。確かに『人』を痛いほど実感できそうだけれども。
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