3 / 7
事の顛末
しおりを挟む
でも、街中を一人でプラつくのってつまんないなって思ったの。もちろんそうじゃない人もいるだろうけれど、あたしの趣味じゃない。
いつからあたしは暇になると、街中を一人で歩くしかなくなってしまったんだろうって、急に悲しくなった。
子どもの頃はひとりでも、もっと自由で楽しかった気がする。こういうの、わかる?
それで、何を言っているんだって思うかもしれないけど、子どもの頃によく遊んでいた場所に行ってみようって思ったの。スマホの電源を切ってね。子どもの頃にスマホなんて持ってなかったでしょ?
記憶だけを頼りに、街をはずれて、テクテク歩いてった。だんだんビルもなくなっていって、緑成分が多くなっていって、試験前に何をしてるんだって気がするけど、ワクワクした。
あたしは探検的に歩き回るのが好きみたい。
全然知らない場所に出たり、なんとなく見覚えあるところを見つけたりして歩いていくと、叔母の家に来ると必ず遊んだ原っぱにたどり着いたの。
すごいなって思った。こんな何もない原っぱで、よく遊んでられたなって。
でも、子どもの目には、何もないなんてことなくて、自分の背丈より大きな草や、剣になる木の棒、その剣で大きな草を薙ぎ払ったり、そこから出てくるバッタを捕まえたり、追いかけっこをすれば、草をかき分けて逃げる極上のスリルを味わえたり……。
え?なに?男の子の遊びみたいだって?
……そうね。飛んだり跳ねたり、生傷が絶えなかったりしてたから、ちょっとヤンチャな女の子だったと言えるかもしれないね。
でも、その頃初恋してたんだよ。吉野くんっていう原っぱでだけ会える男の子。
ふふっ。え?なにを思い出し笑いしてるのかって?不気味とは失礼な。
思い出し笑いくらいするよ。だって、その子にプロポーズされたんだよ、あたし。小学二年生なのに、すごくない?
しかもプロポーズの言葉が「ぼくは愛するあなたと一緒に幸せになりたい」っていう大人びたものでさ。一緒にってとこが良いよね。うふふ、笑いが止まらん。にやける。
まあ、子どもの約束だから、いつの間にか男の子が原っぱに来なくなっちゃってそれっきりなんだけど、かわいい思い出だよね。
そんなわけで、あたしは幸せいっぱいな充実した気分で叔母の家に帰ったわけよ。
そしたら、家の前に明がいてさ。
あたしは気分も良いし、満面の笑顔で近づいて行ったわけ。なになに?さみしくなっちゃったのかな~?わざわざ会いに来るなんて、愛い奴めって。
そしたら、いきなりパチン、よ。
『バカ!どれだけ心配したと思ってるんだ!』なんて怒鳴りつけてきてね。
ムカついた。付き合ってるからって、旦那ヅラされる筋合いなんてないじゃない?
でも、事情を聞くと、弟の透がお父さんに怒られたとかで家出騒ぎを起こしてて、自分の弟同然にかわいがってるからって明も探してくれてたの。
それで、叔母の家に行ったのかもしれないって、あたしに連絡取ろうとしたら、今度はあたしと全然連絡取れなくて、ものすごく心配したらしいのね。もしかして、姉弟でなにか事件に巻き込まれたんじゃないかって、良からぬ想像がどんどんふくらんでいったんだって。
そういえば、スマホ電源切ってたわって思って、電源入れたらいっぱい連絡入ってて、ああ、こんなに心配かけちゃったのかあ、なんか悪いことしたなって思って、謝った。
いつからあたしは暇になると、街中を一人で歩くしかなくなってしまったんだろうって、急に悲しくなった。
子どもの頃はひとりでも、もっと自由で楽しかった気がする。こういうの、わかる?
それで、何を言っているんだって思うかもしれないけど、子どもの頃によく遊んでいた場所に行ってみようって思ったの。スマホの電源を切ってね。子どもの頃にスマホなんて持ってなかったでしょ?
記憶だけを頼りに、街をはずれて、テクテク歩いてった。だんだんビルもなくなっていって、緑成分が多くなっていって、試験前に何をしてるんだって気がするけど、ワクワクした。
あたしは探検的に歩き回るのが好きみたい。
全然知らない場所に出たり、なんとなく見覚えあるところを見つけたりして歩いていくと、叔母の家に来ると必ず遊んだ原っぱにたどり着いたの。
すごいなって思った。こんな何もない原っぱで、よく遊んでられたなって。
でも、子どもの目には、何もないなんてことなくて、自分の背丈より大きな草や、剣になる木の棒、その剣で大きな草を薙ぎ払ったり、そこから出てくるバッタを捕まえたり、追いかけっこをすれば、草をかき分けて逃げる極上のスリルを味わえたり……。
え?なに?男の子の遊びみたいだって?
……そうね。飛んだり跳ねたり、生傷が絶えなかったりしてたから、ちょっとヤンチャな女の子だったと言えるかもしれないね。
でも、その頃初恋してたんだよ。吉野くんっていう原っぱでだけ会える男の子。
ふふっ。え?なにを思い出し笑いしてるのかって?不気味とは失礼な。
思い出し笑いくらいするよ。だって、その子にプロポーズされたんだよ、あたし。小学二年生なのに、すごくない?
しかもプロポーズの言葉が「ぼくは愛するあなたと一緒に幸せになりたい」っていう大人びたものでさ。一緒にってとこが良いよね。うふふ、笑いが止まらん。にやける。
まあ、子どもの約束だから、いつの間にか男の子が原っぱに来なくなっちゃってそれっきりなんだけど、かわいい思い出だよね。
そんなわけで、あたしは幸せいっぱいな充実した気分で叔母の家に帰ったわけよ。
そしたら、家の前に明がいてさ。
あたしは気分も良いし、満面の笑顔で近づいて行ったわけ。なになに?さみしくなっちゃったのかな~?わざわざ会いに来るなんて、愛い奴めって。
そしたら、いきなりパチン、よ。
『バカ!どれだけ心配したと思ってるんだ!』なんて怒鳴りつけてきてね。
ムカついた。付き合ってるからって、旦那ヅラされる筋合いなんてないじゃない?
でも、事情を聞くと、弟の透がお父さんに怒られたとかで家出騒ぎを起こしてて、自分の弟同然にかわいがってるからって明も探してくれてたの。
それで、叔母の家に行ったのかもしれないって、あたしに連絡取ろうとしたら、今度はあたしと全然連絡取れなくて、ものすごく心配したらしいのね。もしかして、姉弟でなにか事件に巻き込まれたんじゃないかって、良からぬ想像がどんどんふくらんでいったんだって。
そういえば、スマホ電源切ってたわって思って、電源入れたらいっぱい連絡入ってて、ああ、こんなに心配かけちゃったのかあ、なんか悪いことしたなって思って、謝った。
0
あなたにおすすめの小説
侯爵様の懺悔
宇野 肇
恋愛
女好きの侯爵様は一年ごとにうら若き貴族の女性を妻に迎えている。
そのどれもが困窮した家へ援助する条件で迫るという手法で、実際に縁づいてから領地経営も上手く回っていくため誰も苦言を呈せない。
侯爵様は一年ごとにとっかえひっかえするだけで、侯爵様は決して貴族法に違反する行為はしていないからだ。
その上、離縁をする際にも夫人となった女性の希望を可能な限り聞いたうえで、新たな縁を取り持ったり、寄付金とともに修道院へ出家させたりするそうなのだ。
おかげで不気味がっているのは娘を差し出さねばならない困窮した貴族の家々ばかりで、平民たちは呑気にも次に来る奥さんは何を希望して次の場所へ行くのか賭けるほどだった。
――では、侯爵様の次の奥様は一体誰になるのだろうか。
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
あなたの片想いを聞いてしまった夜
柴田はつみ
恋愛
「『好きな人がいる』——その一言で、私の世界は音を失った。」
公爵令嬢リリアーヌの初恋は、隣家の若き公爵アレクシスだった。
政務や領地行事で顔を合わせるたび、言葉少なな彼の沈黙さえ、彼女には優しさに聞こえた。——毎日会える。それだけで十分幸せだと信じていた。
しかしある日、回廊の陰で聞いてしまう。
「好きな人がいる。……片想いなんだ」
名前は出ない。だから、リリアーヌの胸は残酷に結論を作る。自分ではないのだ、と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる