転生令嬢エヴァの婚約破棄から始まる愛と妄想の日々

キョクトウシラニチ

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4章 白豚腐女子×軟派騎士=?

4-1

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 子爵令嬢エヴァ・トーンはお友達の公爵令嬢のナンシー様に言われた言葉を反芻していた。

「絶対!あの方はエヴァの事が好きよ!」

 今日はナンシーのお家、コーエン公爵家にお呼ばれして二人だけのお茶会をしていた。今はその帰り、エヴァは馬車で自分の家に帰る途中だ。
 エヴァは小さくため息をついた。それだけで一緒に馬車に乗っている侍女のラウラが眼鏡の奥で心配気な視線を送ってくる。大丈夫という気持ちを込めて、少しだけ口角を上げた。

 ナンシーが言う『あの方』とは、ゼスト・キュベール伯爵令息の事だ。

 ゼスト様はとある侯爵家主催のパーティで知り合った騎士様だ。
 パーティで私は衆人環視のもと婚約者に婚約破棄を告げられ、憐れにも会場に置き去りにされた。
 その後、ゼスト様が私に話しかけてくれて、会場の外までエスコートしてくれた。
 そこまでは良かったんだけど、馬車止めに連れて行くのではなく、人気の少ない庭園に無理矢理連れて行こうとしてきたのよね。
 いや、いやいや、…いくら私が傷心中だとしても急に声かけられた騎士と何かあるわけ無いじゃない。もう、その『傷心の女に付け込んでどうにかしてやろう』って魂胆が見え見えだったのに怖気が立って、逃げるわよね。普通に。
 ついでにゼスト様に渾身の肘打ちをかましたのはしょうがないわ。怖かったもの。

 そして、何故かこの私がいるトーン子爵屋敷にあのゼスト様はやってきたのである。

 しかもそのまま一ヶ月も屋敷に長期逗留される事になった。キュベール伯爵の別荘から第三騎士団に通う途中の街道の橋が雨で崩落した事により、復旧まで我が家で宿泊する事になったのだ。
 なんでも第三騎士団の副団長である私のお父様(セオドア・トーン子爵)が騎士団の宿舎で寝起きするゼスト様が可哀想だったらしくて、家に連れ帰ってきたらしい。
 しかも、婚約破棄したところなのにお父様が「エヴァ、彼はどうだい?」なんて、婚約しないかと聞いてくる。
 ちょっと待ってよ。私の妄想では「総受け便所騎士」っていう位、とっかえひっかえなのよ?つまり、現実では彼は軟派でヤリチンよ。(男性同士でも距離が近いのよ、だから誘い総受けっていう妄想してるのよ)
 私が知る限りではゼスト様は百人切りのレディキラーなんていう渾名をつけられているし、私に対しても婚約破棄の時のパーティでもそんな感じだった。

 あれはヤリまくってますわ。無理無理そんな人。
 だから恋愛対象にならない。お父様にもそう伝えたのに、彼はノリ気なのか家に滞在中にベタベタと私を口説いてきた。
 使用人にはとても愛想がいいのか、彼らには「良い方ですね」なんて言われているし…私の気持ちを分かってくれるのは侍女のラウラしかいなかった。そのラウラも彼氏ができたらしくてフワフワした感じになって「お嬢様、一度お話だけでもされてみては?」なんて言ってくるのよ!

 もう!嫌なんだってば!
 確かに彼は涼やかな目をした、凄いイケメンよ。でも…

 私は昔の事を思い出して、さらに憂鬱な気分になった。

 昔は昔、私の生まれる前の話。エヴァ・トーンとして生まれる前。
 前世の記憶が私にはある。

 前世では天の川銀河太陽系の地球という小さな星で日本人として生きていた。
 東京の武蔵野で生まれ育ち、オタクの腐女子だった私は35歳の時交通事故に巻き込まれて死んだ。
 前世の事で思い出すのは辛い中学時代の思い出とハマりにハマったBL。
 オタクだ気持ち悪いと、性質の悪い同級生にいじめられたのだ。
 そこまで酷いイジメではなかったと思う。私への悪口を聞こえよがしに噂するだけの軽いイジメ。物を捨てられたりする実害が無かったから、傷付く心を隠して少ない友達の前でも普通に振る舞っていた。
 だけど、同じクラスの女の子の間でたまに悪口を言われる位の軽いイジメは、同級生の男子生徒達にも波及してしまって、ある時私は違うクラスの男の子達が私の話をしているのを聞いてしまった。
 その男の子達はカースト上位でみんな素敵な容姿をしていて、私と同じ小学校からの知り合いの男子もその中にいた。

「あいつはデブだからキモいとか女子に言われるんじゃね?」
「ちげーよ、オタクだからだろ?」
「女子ってああいうブスに容赦ないよなー」
「どうする?お前同じ小学校だったろ?告白されたりしたらさぁー?」
「ちょっ!俺、無理無理!」
「俺もー」
「ぎゃははは!」
「とりあえずデカい乳だけもんどけよ!」
「サイテー!ギャハハ!」

 男子の悪口。
 本人が聞いてるなんて思ってもいないのだろう。

 小学校の時に一緒に遊んだことのある男子にまであんな事を言われていた。彼らの事を好きでもなんでも無かったけど、彼らの心ない言葉の棘は、死ぬまで私の一生にずっと刺さったままで、今世になっても深い場所に残ったままだ。

 青春時代の傷を持ったまま、現実の男性を避け、オタクな私は腐女子になり、死んで、よくわからない星にまた人間として生まれ変わった。

 天文学者でもない、中小企業の事務だった私はここが何処の銀河なのか、星に名前があるかもわからない。
 イルドー王国と呼ばれる冬が寒い国に転生した。
 20世紀後半の産業革命前みたいな文化レベルなのに、しっかりと公衆衛生やインフラが発達していて、まるで都合の良いゲームや小説の中みたい。
 そう思うのは本当にヨーロッパ系の貴公子や騎士、令嬢が美しいからだ。虫歯菌や歯周病がないのかみんな歯が綺麗。これは良い。
 うちの家に勤める使用人の中にもモデルかな?って位の容姿の整った人もいる。
 残念ながら私はそうじゃ無かったけどね。転生者だからといって主人公でも悪役令嬢でもなく、完全なモブ。モブというか白豚令嬢の立ち位置を欲しいままにしている。
 小さいころからぷくぷくした肢体と、白い肌。どっからどう見ても白豚です。ありがとうございます。
 髪や肌が綺麗で巨乳(肉がついているのだから当たり前)だという以外は何も良い事がない。

 前世持ちチートと言えば腐った妄想ができる位と、少しだけ習っていた護身術を覚えている事と、35歳まで生きていた記憶があるから神経が図太くなっているってだけ。
 科学技術の発展も、医療の発展も、素敵な料理も、この世界で何にも活躍できない。たまにBL小説書くだけの生活だったのを今になって後悔もしている。

 少しだけマシだなと思うのは平民ではなく子爵令嬢だと言う事だろうか。物心がついた時にはお母様が亡くなっていたけど、丁度前世の記憶を思い出して、神経が図太くなって子供の癖に寂しくなかったことも良かった。あとは義務教育で習っていた詩とかを覚えていて、それを小出しにこの国の言葉に訳して出版できたこともチートと言えばチートだろうか…。枕草子とか徒然草とか、みんな覚えさせられるやつね。

 そんなただのBL妄想癖のあるだけの白豚子爵令嬢に第三騎士団のレディーキラーことキュベール・ゼスト様の相手をしろと?
 無理ですから。嫌だし。
 あの少しウェーブのかかった黒髪の奥の秀麗なアイスブルーの瞳を思い出すだけで、エヴァは怖くなってしまう。
 お父様と同じ騎士なのに、二人の雰囲気は全然違う。
 うちのお父様が謹厳実直な人だとするなら、ゼスト様は放縦懶惰…まではいかないけど、軟派であると言える。
 何度か妄想に浸るために騎士団の演習見学に行ったこともあるけれど、そこでも令嬢達にキャーキャー言われていて、何人かとお付き合いしているとか浮気をしている等という噂も聞いた事がある。
 彼は男女問わず距離感が近いので、私の中ではゼスト様を騎士団のオラオラ系総受け便所騎士という妄想に使わせてもらっているけどね。

 演習に見学に行った時も声を掛けられたこともないし、今まで私なんて眼中になかった癖に、婚約破棄された後のあの行動ったら。節操ない感じも苦手。
 しかも、お父様に付いてきて我が家に1カ月も居座ったのよ。丁度一ヶ月前やっと彼がうちの屋敷を後にしてくれてエヴァは心底ホッとした。やっと我が家に安寧が戻ったのだ。
 キュベール伯爵からは沢山のお礼の特産ワインが送られてきたり、お父様や私への贈り物が届いた。
 お父様もお父様よ。いくら私に婚約破棄が決まって今は決まった人がいないからって、ゼスト様をいきなり家に連れてくるなんて…
 未婚の女性のいるところにゼスト様を放ったら、どうなるかなんて分からないのかしら。
 家に逗留中、ゼスト様は私に言い寄ってきたり、壁ドンしたり、使用人の人気取りをして遠回しに私に薦めさせてきたり、お茶会にエスコートするとかで付いてきたりと、凄い攻めてきた。
 いやいや怖いし。
 私が靡かないのに、全然態度が変わらないの。
 なんだろう?妙齢の女がいれば口説いとけみたいな精神なのかしら?あ、もしかしたら、「口説かないと失礼」みたいな気持ちだろうか?
 本当にやめて欲しいのよね。
 やっと彼が実家に帰ったというのに、お父様と仲良くなったのか、週末家に遊びにくるのがまた嫌になる。そのたびに意味深な視線を投げられたり、求愛行動じみた事をしてくるのだ。


 エヴァは件の騎士の事を考えて、またハァっと小さく溜息をついたのであった。

 とりあえず、嫌な事は忘れて全部妄想で清めましょう。
 ああ、でも駄目ね、ナンシー様のために王太子はもう妄想材料に使えないわ。
 そう考えて、エヴァは聖女の微笑みと称される笑顔で腐った妄想を始める。


 -+-+-+-+-

 セオドアは家に連れ帰って来た騎士に、壁際に追い詰められていた。

「ゼ…ゼスト…な、何を…」
 セオドアは彼の体温を感じて、久しぶりの感覚にゾクリと背筋を震わせる。
「副団長…俺、前から…」

 その美しいアイスブルーの瞳が目いっぱい近づき、セオドアの髭の下の唇に柔らかいものが押し付けられた。
「ぷはぁっ…な!なんだ?…酔っているのか?」
 セオドアの顔を覗き込んでくる彼を押しのけ、彼が3本もワインを飲み干していたことに思い至る。
「俺はザルです。ね、副団長の事…俺…前から好きだったんです」

「冗談は…」
「冗談じゃない」
「え…な…」
「好きなんですよ!」
「だって、お前娘に会いに来たんじゃっ」
「言い訳に使わせてもらいました」
「や、やめっ」
 壁際に追い詰められて、セオドアにも負けないぐらい力の強いゼストの腕が無遠慮にセオドアの騎士服の臀部を触っていた。パニックになったセオドアは下衣をグイグイと引き下ろしてくる彼の手を押さえるのに必死で、もっと上手く止める方法を思いつかない。

「男は初めてですか?副団長」
 ワインの匂いをさせた美しい口元が弧を描いてうっとりとセオドアに向けられている。
 間近に迫る綺麗な年下の部下を殴ることもできず、セオドアは壁に逃げる様に赤い顔を背けた。
「安心してください。俺、慣れてますから」
「止めっ」
 つるりと日焼けしていないセオドアの白い尻が出てしまい、一緒に大きな一物もボロリと露出する。

「わぁっ…やっぱり大きー…これはちょっと入らないかな」
 嬉しそうに言う彼はセオドアの恥ずかしい部分をマジマジと見てくる。
「大丈夫、俺、入れる方も慣れてますから…」
 そう言って、ゼストはどこから出してきたのか潤滑油が入ったビンを取り出して指に塗り付ける。
「ダメだ!頼むから!本当にやめてくれ!」
 初めての事にセオドアは顔を手で隠してしまう。
「ああ、可愛いな副団長…」
 口から洩れるゼストの甘言にもビクリとセオドアの剛直が揺れる。
「あはっ副団長のコレ、デカいから分かりやすい。ここまで可愛いなんて…」


 -+-+-+-+-

 ふふふ。年上のノンケ寡男騎士を部下が美味しく頂いちゃうのね。
 お父様がとんでもなく大きいのは屋敷の従者がうわさ話していたので知ってるのよ。私。
 まぁお父様の事はどうでも良いし妄想では小さくしても良かったんだけど、いつもは受けのゼスト様がお父様のためにリバになって攻めに転じるのも悪くない。うん。悪くない。

 今日もエヴァは自らの父まで使って妄想を楽しんでいた。
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