6 / 20
お前とバスケやるの息苦しいよ
しおりを挟む
「おはようセリナ」
「おはよ鉄平」
憂鬱な月曜日の朝、隣に住むアメリカン美少女と一緒に登校だ。中学校までは徒歩。客観的に見ると喜ぶべき状態だと思うよ俺も。だが実のところ、全く釣り合っていなくて引け目というか、若干苦痛なのだ。
二人で歩いていても微妙な空気なのはお互い分かっているが、家が隣なので自然と一緒になってしまう。ちなみに下の名前で呼ぶのは本人に強制された。
「昨日は抜け駆けしてダンジョン潜り直したらしいじゃない」
話し回るの早すぎんよ。
「まぁ、ちょっと物足りなくて。夜は空いてて良かったぞ」
「ふ~ん、それでいくら稼いだの?」
「あー、5万ほど」
ちょっと驚いてる。俺らの歳で5万は結構な額だ。
「そっかー。でも夜のダンジョンは流石にねー」
俺も怒られてしまったが、女子が夜にソロダンジョンなんてのは更に覚悟が必要だろう。ダンジョンの中では他人も敵なんだ、奪われるのは金と物だけじゃない。
「セリナは美人だからな、行くならグループがいいだろ。他人が少ないだけでモンスターを狩れる数はずっと増える」
「美人なのも疲れるのよね、損な事ばっかりだわ」
髪を掻き上げ、ポーズを取って呟く。しっかり自覚が有り照れもない。自他ともに認める美少女だ。
学校に近づき、生徒の中にはそんなセリナに見惚れる連中もいる。突然の告白を隣で鑑賞させられた事もある。声をかけられるくらいはしょっちゅうだ。本人も慣れた物で、俺が口を出すようなことはない。
「あ、レイ!」
玲司を見つけたセリナが嬉しそうに駆けていく。登校時のこのタイミングがなぁ、すげぇ嫌なんだよなぁ。
「おはようレイ、今日も仏頂面ね」
「あぁ」
ここでパートナー交代です。周囲は2人に対する嫉妬の目と俺に対する哀れみが半々だ。やめなさい、そんな目で俺をみるんじゃありません。
「おはようさん」
「あぁ」
追いついて挨拶、ちゃんとおはようって返しなさい。
「鉄平は昨日解散した後に1人で潜り直したらしいのよ」
「なに?」
ギロリと睨まれる。綺麗な顔したマッチョなので結構迫力があるんだ、やめてほしい。
「俺だけじゃないぞ、蓮も潜ったはずだ。バラバラだけどな」
「どういう事だ?」
「物足りなくてな。あの時間帯に帰る人が多いみたいで、20時以降はかなり空いてたよ」
「そうじゃない、何で黙っていくんだ。ソロで行きたかったとしても黙っている必要はないだろう」
「あー、そりゃあ、うーん」
なんでかな?理由なんて無いんだが、だったら言っててもいいわけで。なんか、言う感じじゃなかったんだ。
「特に理由は無いんだけど、まぁ解散って感じだったし」
「………」
何もそんなに青筋たてんでもええやねん。
玲司が怒る理由がいまいち分からん。ソロなんだから未知の危険があるのは当然だが、俺達は探索者になるんじゃないのか?危険なんて承知の上だろう。
「お前は本当に探索者になる気があるのか?」
「もちろんだ、だから多少の危険は受け入れてる」
はぁぁ~とクソデカ溜息を吐かれてしまった。
「お前は昨日、よく知りもしないダンジョンをソロで潜った。危険な行為だったが結果は平気だった。それでお前はこれからもそんな事をずっと続けるつもりなのか?危険かどうかすら分からない行為を続けて、ずっと無事でいられると思っているのか?」
「いや、それは。そんなに危険でもなかったし」
「探索者は危険な仕事だ。だからこそ最大限の安全を確保しなきゃ生き残れない、続けられない。鉄平、お前本当に探索者でやっていく覚悟があるのか?」
「おはよ鉄平」
憂鬱な月曜日の朝、隣に住むアメリカン美少女と一緒に登校だ。中学校までは徒歩。客観的に見ると喜ぶべき状態だと思うよ俺も。だが実のところ、全く釣り合っていなくて引け目というか、若干苦痛なのだ。
二人で歩いていても微妙な空気なのはお互い分かっているが、家が隣なので自然と一緒になってしまう。ちなみに下の名前で呼ぶのは本人に強制された。
「昨日は抜け駆けしてダンジョン潜り直したらしいじゃない」
話し回るの早すぎんよ。
「まぁ、ちょっと物足りなくて。夜は空いてて良かったぞ」
「ふ~ん、それでいくら稼いだの?」
「あー、5万ほど」
ちょっと驚いてる。俺らの歳で5万は結構な額だ。
「そっかー。でも夜のダンジョンは流石にねー」
俺も怒られてしまったが、女子が夜にソロダンジョンなんてのは更に覚悟が必要だろう。ダンジョンの中では他人も敵なんだ、奪われるのは金と物だけじゃない。
「セリナは美人だからな、行くならグループがいいだろ。他人が少ないだけでモンスターを狩れる数はずっと増える」
「美人なのも疲れるのよね、損な事ばっかりだわ」
髪を掻き上げ、ポーズを取って呟く。しっかり自覚が有り照れもない。自他ともに認める美少女だ。
学校に近づき、生徒の中にはそんなセリナに見惚れる連中もいる。突然の告白を隣で鑑賞させられた事もある。声をかけられるくらいはしょっちゅうだ。本人も慣れた物で、俺が口を出すようなことはない。
「あ、レイ!」
玲司を見つけたセリナが嬉しそうに駆けていく。登校時のこのタイミングがなぁ、すげぇ嫌なんだよなぁ。
「おはようレイ、今日も仏頂面ね」
「あぁ」
ここでパートナー交代です。周囲は2人に対する嫉妬の目と俺に対する哀れみが半々だ。やめなさい、そんな目で俺をみるんじゃありません。
「おはようさん」
「あぁ」
追いついて挨拶、ちゃんとおはようって返しなさい。
「鉄平は昨日解散した後に1人で潜り直したらしいのよ」
「なに?」
ギロリと睨まれる。綺麗な顔したマッチョなので結構迫力があるんだ、やめてほしい。
「俺だけじゃないぞ、蓮も潜ったはずだ。バラバラだけどな」
「どういう事だ?」
「物足りなくてな。あの時間帯に帰る人が多いみたいで、20時以降はかなり空いてたよ」
「そうじゃない、何で黙っていくんだ。ソロで行きたかったとしても黙っている必要はないだろう」
「あー、そりゃあ、うーん」
なんでかな?理由なんて無いんだが、だったら言っててもいいわけで。なんか、言う感じじゃなかったんだ。
「特に理由は無いんだけど、まぁ解散って感じだったし」
「………」
何もそんなに青筋たてんでもええやねん。
玲司が怒る理由がいまいち分からん。ソロなんだから未知の危険があるのは当然だが、俺達は探索者になるんじゃないのか?危険なんて承知の上だろう。
「お前は本当に探索者になる気があるのか?」
「もちろんだ、だから多少の危険は受け入れてる」
はぁぁ~とクソデカ溜息を吐かれてしまった。
「お前は昨日、よく知りもしないダンジョンをソロで潜った。危険な行為だったが結果は平気だった。それでお前はこれからもそんな事をずっと続けるつもりなのか?危険かどうかすら分からない行為を続けて、ずっと無事でいられると思っているのか?」
「いや、それは。そんなに危険でもなかったし」
「探索者は危険な仕事だ。だからこそ最大限の安全を確保しなきゃ生き残れない、続けられない。鉄平、お前本当に探索者でやっていく覚悟があるのか?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる