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9.昔の後輩
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部屋に着くと村瀬は叶斗をベッドに横たわらせ、靴を脱がせたり水を持ってきたりと甲斐甲斐しく世話をやいてくれた。
叶斗は今更になって先程の状況が怖くなり、あのままだったら…と嫌な想像が離れず、寒くないはずなのに体の震えを止められない。
「先輩、先輩。もう大丈夫です。
水は飲みましたか?少しでも薬を早く出した方がいいと思うので飲んで」
「…ん……」
村瀬が叶斗の上半身を起こしてくれ、口元にペットボトルの口を持ってきてくれる。
それに素直に従いながら、そういえば以前にも似たようなことがあったな…と思い出す。
「あの人のことを訴えますか?
もしそうするなら俺はなんだってしますよ」
「いや…大ごとにはしなくない…かな」
「そうですか…。でも無理はしないで。
絶対守ります。なんでもしますから」
村瀬はそう言って叶斗の背中を撫でてくれる。
以前、叶斗が飲みつぶれた時に村瀬が迎えにきてくれたことがあり、その時も帰り道は怒ってる雰囲気があったが家に着くとこうして介抱してくれた。
この部屋についてからの村瀬も雰囲気が柔らかく、声音からも温かい感じが伝わってくる。
なんとなく、昔の村瀬に戻ったような気がして叶斗は安心すると共に涙がこぼれてきた。
「先輩!?どこか痛いですか?
やっぱり山野のこと半殺しにしてきましょうか?」
泣かないで、と親指で涙を拭う村瀬に安心しきった叶斗は、ゆるゆると首を横に振った。
「ちが…っ、…村瀬が……」
「俺?…あっ、触れられるの嫌でした?」
慌てて離れようとする村瀬の袖を弱い力で掴む。
「……怖かった……」
その言葉で察したのだろう、村瀬は少し微笑むと、叶斗をやさしく抱きしめた。
「……俺に、優しくされたかったですか…?」
叶斗がその言葉に素直に頷くと、村瀬は叶斗を抱きしめたまま叶斗の肩口に頭を乗せた。
「怖がらせて、すみませんでした」
「……うん」
「ずっと、出会ったときからあなたのことが好きです」
突然の告白に、叶斗はびっくりして村瀬の顔を見ようとするがぎゅっと抱きしめられて叶わない。
それでも不思議と嫌な気持ちにならないことに気づいて、そんな自分にも驚く。
「2年前、一度会社をやめたのは、このままだと俺は一生あなたに意識してもらえないと思ったからです」
叶斗は静かに話し出した村瀬の声に耳を傾ける。
「このままではダメだと思い、先輩に意識してもらうためにこの2年は死ぬ気で頑張りました」
「…うん……」
「会えないのはすごく辛かったです。
…再会したら先輩の周りに油断ならない人たちがいて、焦りました」
「……」
「なにより先輩の顔を見たらもうダメでした。
心はダメでも体だけでも、と……」
「村瀬が違う人みたいで…怖かった……」
「うん…。本当に、すみませんでした。もう2度と、怖い思いはさせません」
「俺を恨んでるんじゃないのか…?」
「恨む?…ありえないです。先輩を手に入れるために手段を選ばなかった自覚はありますが…なんでそう思ったんですか?」
「一緒に働いてた時は使いパシリのようなことをさせたこともあったから…最中は敢えてひどいことを言われているような気もして……」
「使いパシリだなんて、俺が好きでやってましたから」
そう一度区切った後、少し照れくさそうにしながら村瀬は続けた。
「あとは、先輩の感じてる姿を見たら止まらなくて…暴走してしまいました」
「…なっ…!」
思いがけない言葉に今度は叶斗の顔が赤くなる。
「またそういうたまらない顔を…!
今自分がどれだけ人を誘う顔をしてるか分かりますか?」
「…知るか……」
いまだ顔を赤らめながら唇を尖らせる叶斗を見て、村瀬は衝動を抑えきれなかった。
抱きしめたままゆっくりと叶斗を倒すと、叶斗の両手に自分の両手を絡ませて顔を覗き込む。
「優しくします。
…やりなおさせてくれませんか?」
捨てられた犬のような顔をしているのがずるい。
叶斗はうろうろと目をさまよわせた後、一度ギュッと目をつぶり、恐る恐る目を開けて覚悟を決めたように「ん」と小さく頷いた。
「ああもう、なんでそんなにいちいちかわいいんですか!
普段は表情が乏しいのに、俺の前だけでそんな顔をしてると思うとほんとにたまらないです」
ギュウギュウと抱きついてくる村瀬が大型犬に見えて、叶斗はおまえもかわいいよ、と内心思った。
だが、戯れてきた大型犬が数分後には手に負えない狼に変わっていることをこの時はまだ予想もできていなかった。
「あぁっ…、もっ…そこばっかり、…やめ…っ」
「はぁ…叶斗さん、ほんとにきれいだ…」
先程から村瀬は叶斗の前立腺を指で集中的に責め、叶斗が快感に身をよじるのを愛おしそうに眺めている。
少し前に下の名前で呼んでいいという許可も得て、村瀬は幸せを噛み締めていた。
「…っそういうことも、…あんま…言うなぁ…あぁっ…」
「無理です。今まで言いたくてもずっと我慢してきたんですよ」
叶斗がこういうことを言われるのが得意ではないだろうことはわかっていても、一度気持ちを伝えたことで止めることができなくなってしまったようだ。
嫌がった叶斗が顔を横に向けるその動作でさえ愛おしい。
「このきめ細かい肌も、横を向いた時の顎から鎖骨にかけてのラインも、こういうことを言った時に中が締まるのも、すべて最高です」
「……も、…やだ……」
それ以上は聞きたくないと、叶斗は少しずつ動くようになってきた手で耳を塞ぐが、村瀬の片手で両手首を拘束され、簡単に封じられてしまう。
「逃げないで。どうか俺を受け入れてください…」
そうしておいて捨てられた犬みたいな顔をするのだがらタチが悪い。
いつの間にか指は抜けていて、村瀬に先に進んでいいかと目で訴えられる。
(わかったよ…)
根負けした叶斗が太ももを村瀬の体にスリ…と擦り付けた。
恥ずかしいことが苦手な叶斗の精一杯の意思表示だ。
叶斗の了承を得た村瀬は目を輝かせると、自身の男根をゆっくりと沈み込ませた。
「んん…っ」
「力抜いてください。このままだと乱暴にしちゃいそう」
「…っはぁ…っ、…んっ」
やがて滑らかに動けるようになってくると、村瀬は叶斗の感じるところを重点的に攻め始めた。
叶斗は今更になって先程の状況が怖くなり、あのままだったら…と嫌な想像が離れず、寒くないはずなのに体の震えを止められない。
「先輩、先輩。もう大丈夫です。
水は飲みましたか?少しでも薬を早く出した方がいいと思うので飲んで」
「…ん……」
村瀬が叶斗の上半身を起こしてくれ、口元にペットボトルの口を持ってきてくれる。
それに素直に従いながら、そういえば以前にも似たようなことがあったな…と思い出す。
「あの人のことを訴えますか?
もしそうするなら俺はなんだってしますよ」
「いや…大ごとにはしなくない…かな」
「そうですか…。でも無理はしないで。
絶対守ります。なんでもしますから」
村瀬はそう言って叶斗の背中を撫でてくれる。
以前、叶斗が飲みつぶれた時に村瀬が迎えにきてくれたことがあり、その時も帰り道は怒ってる雰囲気があったが家に着くとこうして介抱してくれた。
この部屋についてからの村瀬も雰囲気が柔らかく、声音からも温かい感じが伝わってくる。
なんとなく、昔の村瀬に戻ったような気がして叶斗は安心すると共に涙がこぼれてきた。
「先輩!?どこか痛いですか?
やっぱり山野のこと半殺しにしてきましょうか?」
泣かないで、と親指で涙を拭う村瀬に安心しきった叶斗は、ゆるゆると首を横に振った。
「ちが…っ、…村瀬が……」
「俺?…あっ、触れられるの嫌でした?」
慌てて離れようとする村瀬の袖を弱い力で掴む。
「……怖かった……」
その言葉で察したのだろう、村瀬は少し微笑むと、叶斗をやさしく抱きしめた。
「……俺に、優しくされたかったですか…?」
叶斗がその言葉に素直に頷くと、村瀬は叶斗を抱きしめたまま叶斗の肩口に頭を乗せた。
「怖がらせて、すみませんでした」
「……うん」
「ずっと、出会ったときからあなたのことが好きです」
突然の告白に、叶斗はびっくりして村瀬の顔を見ようとするがぎゅっと抱きしめられて叶わない。
それでも不思議と嫌な気持ちにならないことに気づいて、そんな自分にも驚く。
「2年前、一度会社をやめたのは、このままだと俺は一生あなたに意識してもらえないと思ったからです」
叶斗は静かに話し出した村瀬の声に耳を傾ける。
「このままではダメだと思い、先輩に意識してもらうためにこの2年は死ぬ気で頑張りました」
「…うん……」
「会えないのはすごく辛かったです。
…再会したら先輩の周りに油断ならない人たちがいて、焦りました」
「……」
「なにより先輩の顔を見たらもうダメでした。
心はダメでも体だけでも、と……」
「村瀬が違う人みたいで…怖かった……」
「うん…。本当に、すみませんでした。もう2度と、怖い思いはさせません」
「俺を恨んでるんじゃないのか…?」
「恨む?…ありえないです。先輩を手に入れるために手段を選ばなかった自覚はありますが…なんでそう思ったんですか?」
「一緒に働いてた時は使いパシリのようなことをさせたこともあったから…最中は敢えてひどいことを言われているような気もして……」
「使いパシリだなんて、俺が好きでやってましたから」
そう一度区切った後、少し照れくさそうにしながら村瀬は続けた。
「あとは、先輩の感じてる姿を見たら止まらなくて…暴走してしまいました」
「…なっ…!」
思いがけない言葉に今度は叶斗の顔が赤くなる。
「またそういうたまらない顔を…!
今自分がどれだけ人を誘う顔をしてるか分かりますか?」
「…知るか……」
いまだ顔を赤らめながら唇を尖らせる叶斗を見て、村瀬は衝動を抑えきれなかった。
抱きしめたままゆっくりと叶斗を倒すと、叶斗の両手に自分の両手を絡ませて顔を覗き込む。
「優しくします。
…やりなおさせてくれませんか?」
捨てられた犬のような顔をしているのがずるい。
叶斗はうろうろと目をさまよわせた後、一度ギュッと目をつぶり、恐る恐る目を開けて覚悟を決めたように「ん」と小さく頷いた。
「ああもう、なんでそんなにいちいちかわいいんですか!
普段は表情が乏しいのに、俺の前だけでそんな顔をしてると思うとほんとにたまらないです」
ギュウギュウと抱きついてくる村瀬が大型犬に見えて、叶斗はおまえもかわいいよ、と内心思った。
だが、戯れてきた大型犬が数分後には手に負えない狼に変わっていることをこの時はまだ予想もできていなかった。
「あぁっ…、もっ…そこばっかり、…やめ…っ」
「はぁ…叶斗さん、ほんとにきれいだ…」
先程から村瀬は叶斗の前立腺を指で集中的に責め、叶斗が快感に身をよじるのを愛おしそうに眺めている。
少し前に下の名前で呼んでいいという許可も得て、村瀬は幸せを噛み締めていた。
「…っそういうことも、…あんま…言うなぁ…あぁっ…」
「無理です。今まで言いたくてもずっと我慢してきたんですよ」
叶斗がこういうことを言われるのが得意ではないだろうことはわかっていても、一度気持ちを伝えたことで止めることができなくなってしまったようだ。
嫌がった叶斗が顔を横に向けるその動作でさえ愛おしい。
「このきめ細かい肌も、横を向いた時の顎から鎖骨にかけてのラインも、こういうことを言った時に中が締まるのも、すべて最高です」
「……も、…やだ……」
それ以上は聞きたくないと、叶斗は少しずつ動くようになってきた手で耳を塞ぐが、村瀬の片手で両手首を拘束され、簡単に封じられてしまう。
「逃げないで。どうか俺を受け入れてください…」
そうしておいて捨てられた犬みたいな顔をするのだがらタチが悪い。
いつの間にか指は抜けていて、村瀬に先に進んでいいかと目で訴えられる。
(わかったよ…)
根負けした叶斗が太ももを村瀬の体にスリ…と擦り付けた。
恥ずかしいことが苦手な叶斗の精一杯の意思表示だ。
叶斗の了承を得た村瀬は目を輝かせると、自身の男根をゆっくりと沈み込ませた。
「んん…っ」
「力抜いてください。このままだと乱暴にしちゃいそう」
「…っはぁ…っ、…んっ」
やがて滑らかに動けるようになってくると、村瀬は叶斗の感じるところを重点的に攻め始めた。
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