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第2章 青磁の皿にかけた夢 ーユーゴス国ー
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そして数日後の早朝、
「できた!できたぞ!」と仕事場に徹夜明けのピーターの声が響いた。その声は明るくうれしさでいっぱいだった。その声にエイダと老人は仕事場に入っていった。
ピーターの手には青磁の皿が載っていた。それは何とも温かみのある青い色で、その形は見る者を豊かな気分にさせた。
「見てくれ!これを!」ピーターはうれしそうに言った。
「あなた・・・」エイダは感動のあまり、その目に涙が光っていた。
「これは素晴らしい皿じゃ。天下の名品と言っても差し支えないじゃろう。」老人も感嘆した。
「あなたのおかげです。あなたの方術でこの皿を作ることができました。『才能の芽』という方術のおかげで。」ピーターが興奮して言った。それを聞いて老人はにっこり笑った。
「そうですか。しかし方術に『才能の芽』というものはありませんぞ。儂がかけたのは『嘘も方便』じゃ。」老人が笑顔で言った。
「何ですと!」ピーターは驚いて言った。
「あなたをだまして悪かった。しかしあなたには元々、才能があるのです。しかし疑心暗鬼になっておられた。だからこういう手を使ったのです。申し訳ありません。」老人は頭を下げた。
「いえ、あなたのおかげです。私は目が覚めたような気分です。」ピーターは両手を見ながら言った。
「このお皿はあなたの力でできたもの。いやあなた方2人の力で作り上げたものです。これをお父様にお見せ頂ければ、きっと認めていただけよう。」老人が言った。
「えっ!親父に・・・」ピーターはまだ躊躇する気持ちがあった。
「大丈夫です。必ず良い結果が出るはずです。」老人はきっぱりと言った。
3人はヤコブの家に入った。彼は病でベッドに寝たきりの状態だった。ピーターとエイダはそのベッドのそばに行った。その2人の後ろに老人が付き添っていた。
ヤコブはベッドから身を起こした。その時、ヤコブはピーターの後ろにいる老人を見て、はっとなって声をかけようとした。しかし老人は前の2人に分からぬように小さく首を横に振ってそれを止めた。老人とヤコブは顔見知りのようだった。
「親父。また見てもらいたいものがある。」ピーターは言った。
「またつまらぬものを持ってきたか!」と不機嫌な顔で言った。ピーターは恐る々々あの青磁の皿を差し出した。ヤコブはそれを受け取り真剣なまなざしでじっと見た。ピーターとエイダはそれを固唾を飲んで見守っていた。ヤコブは見終わるとピーターの顔を見た。
「うむ。これは悪くない。形、色とも申し分ない。儂が作った物と遜色ない。だが・・・」ヤコブは言った。ピーターはまた皿が放り投げられ罵倒されると思って顔を伏せた。
「だがお前ならきっと儂を越えられる。儂以上の名人になる。この青磁の皿はそれを示している。よく頑張ったな。」ヤコブは言った。ピーターが顔を上げるとヤコブの顔には優しい微笑が浮かんでいた。
「あなた・・・」エイダはピーターを見たが、それ以上、声を出せなかった。
「エイダさん。あなたにも苦労をかけた。だがこの息子は私の期待に応えた。あなたにも礼をいう。」ヤコブは頭を下げた。
「お義父さま・・・」エイダは涙を流した。
「親父・・・」ピーターの目にも涙が光った。ピーターは初めてヤコブの真意を理解した。
「さあ、泣いている暇はないぞ。この皿を王様に献上するのだ。これなら王様に喜ばれよう。」ヤコブが言った。
「はい。ただいま。」ピーターとエイダは涙を拭くと、その皿をもって部屋を出て行った。それをヤコブと老人が見送っていた。
「素晴らしい青磁の皿でしたな。」老人が言った。
「ええ、それもあなた様のおかげと思っております。」ヤコブは言った。
「なんの。私など何のお役にも立っておりません。市場でピーターさんのお皿を見て、これはと思って首を突っ込んだ次第。やはりあなたの息子さんでしたな。」老人が言った。
「ご慧眼には感服いたします。私は息子の類まれな才能に気付いていました。しかしその才能は自分で磨かねば大きくならない。それであえて突き放したのです。息子や嫁には大変な苦労を掛けたと思います。しかし私の期待に応えてくれた・・・。私はもうこれで思い残すことはございません。」ヤコブは言った。老人は何を思ったか、懐の水晶玉を取り出して中をのぞいた。
「いや。まだこれで終わりにはならぬようじゃ。」老人は意味ありげに言った。
「できた!できたぞ!」と仕事場に徹夜明けのピーターの声が響いた。その声は明るくうれしさでいっぱいだった。その声にエイダと老人は仕事場に入っていった。
ピーターの手には青磁の皿が載っていた。それは何とも温かみのある青い色で、その形は見る者を豊かな気分にさせた。
「見てくれ!これを!」ピーターはうれしそうに言った。
「あなた・・・」エイダは感動のあまり、その目に涙が光っていた。
「これは素晴らしい皿じゃ。天下の名品と言っても差し支えないじゃろう。」老人も感嘆した。
「あなたのおかげです。あなたの方術でこの皿を作ることができました。『才能の芽』という方術のおかげで。」ピーターが興奮して言った。それを聞いて老人はにっこり笑った。
「そうですか。しかし方術に『才能の芽』というものはありませんぞ。儂がかけたのは『嘘も方便』じゃ。」老人が笑顔で言った。
「何ですと!」ピーターは驚いて言った。
「あなたをだまして悪かった。しかしあなたには元々、才能があるのです。しかし疑心暗鬼になっておられた。だからこういう手を使ったのです。申し訳ありません。」老人は頭を下げた。
「いえ、あなたのおかげです。私は目が覚めたような気分です。」ピーターは両手を見ながら言った。
「このお皿はあなたの力でできたもの。いやあなた方2人の力で作り上げたものです。これをお父様にお見せ頂ければ、きっと認めていただけよう。」老人が言った。
「えっ!親父に・・・」ピーターはまだ躊躇する気持ちがあった。
「大丈夫です。必ず良い結果が出るはずです。」老人はきっぱりと言った。
3人はヤコブの家に入った。彼は病でベッドに寝たきりの状態だった。ピーターとエイダはそのベッドのそばに行った。その2人の後ろに老人が付き添っていた。
ヤコブはベッドから身を起こした。その時、ヤコブはピーターの後ろにいる老人を見て、はっとなって声をかけようとした。しかし老人は前の2人に分からぬように小さく首を横に振ってそれを止めた。老人とヤコブは顔見知りのようだった。
「親父。また見てもらいたいものがある。」ピーターは言った。
「またつまらぬものを持ってきたか!」と不機嫌な顔で言った。ピーターは恐る々々あの青磁の皿を差し出した。ヤコブはそれを受け取り真剣なまなざしでじっと見た。ピーターとエイダはそれを固唾を飲んで見守っていた。ヤコブは見終わるとピーターの顔を見た。
「うむ。これは悪くない。形、色とも申し分ない。儂が作った物と遜色ない。だが・・・」ヤコブは言った。ピーターはまた皿が放り投げられ罵倒されると思って顔を伏せた。
「だがお前ならきっと儂を越えられる。儂以上の名人になる。この青磁の皿はそれを示している。よく頑張ったな。」ヤコブは言った。ピーターが顔を上げるとヤコブの顔には優しい微笑が浮かんでいた。
「あなた・・・」エイダはピーターを見たが、それ以上、声を出せなかった。
「エイダさん。あなたにも苦労をかけた。だがこの息子は私の期待に応えた。あなたにも礼をいう。」ヤコブは頭を下げた。
「お義父さま・・・」エイダは涙を流した。
「親父・・・」ピーターの目にも涙が光った。ピーターは初めてヤコブの真意を理解した。
「さあ、泣いている暇はないぞ。この皿を王様に献上するのだ。これなら王様に喜ばれよう。」ヤコブが言った。
「はい。ただいま。」ピーターとエイダは涙を拭くと、その皿をもって部屋を出て行った。それをヤコブと老人が見送っていた。
「素晴らしい青磁の皿でしたな。」老人が言った。
「ええ、それもあなた様のおかげと思っております。」ヤコブは言った。
「なんの。私など何のお役にも立っておりません。市場でピーターさんのお皿を見て、これはと思って首を突っ込んだ次第。やはりあなたの息子さんでしたな。」老人が言った。
「ご慧眼には感服いたします。私は息子の類まれな才能に気付いていました。しかしその才能は自分で磨かねば大きくならない。それであえて突き放したのです。息子や嫁には大変な苦労を掛けたと思います。しかし私の期待に応えてくれた・・・。私はもうこれで思い残すことはございません。」ヤコブは言った。老人は何を思ったか、懐の水晶玉を取り出して中をのぞいた。
「いや。まだこれで終わりにはならぬようじゃ。」老人は意味ありげに言った。
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本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
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