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第10章 王様に似た男 ーアール国ー
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老人は食事をいただき、部屋に戻ろうとした時、外にジャストが一人、塀に背を持たせかけて夜空を眺めているのを見た。その様子はなにか悩みを抱えているようだった。
「少し、よろしいかな?」老人は外に出てジャストに声をかけた。
「ええ、かまいません。ちょっと星を見ていたものですから。」ジャストが言った。
「どうかな?星の様子は?星の動きは人の運命を暗示することがあります。何かお悩み事がありますな。」老人はジャストの顔を見た。
「えっ!」ジャストは驚いた。老人に何もかも見透かされている気がしていた。
「もしよかったらこの老人に話して下さらんか?人に話せば気が楽になることがあります。」老人は言った
「このことは誰にも言わないでください。約束してくれますか?」ジャストは声を潜めて言った。
「うむ。もちろんじゃ。」老人はうなずいた。
「実は父に先程、呼ばれたのです。この家を離れて父上の弟の下に行かぬかと。」ジャストは言った。
「ほう?お父上に弟さんがいらっしゃったのですな。しかし急な話ですな。」
「ええ。父の弟の話は初めて聞きました。それなのに詳しいことはもう少し時期が来たら話すと、父はそれ以上、話してくれませんでした。一体、どうしたらいいのかと思って。」
「込み入った話があるのかもしれません。だからお話にならなかったのでしょう。しかしあなたのお父上が進めなさる話です。悪い話ではないのではないかと思います。」老人は言った。
「私もそう思っているのですが・・・」ジャストは迷っていた。
「今は詳しく話せないわけがあるのかもしれません。しかしそれは時期が来たら知ることになります。物には熟し時というものがあります。その時まで辛抱して待っておられたらどうでしょうか?きっと時が解決してくれます。」老人は優しく言った。その言葉にジャストは少し納得したようだった。
王宮のダジャル大臣の部屋で話し声が聞こえていた。
「なに! 王様の兄の子だと! ナザル! それはどういうことか!」ダジャル大臣は驚いて声を上げた。
「確かにこの耳で聞きました。ヤコブという者が王様の兄のようで、王様がお子をいただきたいと頼んでおられました。」それはヤコブの家で、密かにトーネル王とヤコブの会話を聞いていた男だった。
「そうか!それならこちらも考えねばなるまい。ナザル。お前にもうひと働きしてもらう。よいな。」ダジャル大臣は言った。
「はっ!」ナザルはそう言って部屋から出て行った。
「うわさで聞いたことがある。王様には双子の兄がいて、赤ん坊の時によそにやられたと。うーむ。なるほど、そういうことか・・・。それならこちらの分が悪い。ジール公ではな・・・。しかしまだ決まったわけではない。早めに手を打てばいいだけだ。フッフッフ・・・。」ダジャル大臣はそう言って不気味に笑った。
トーネル王は王宮に戻ってきた。秘密の抜け道を通って誰にも見つからぬように屋敷に入ろうとしていた。
(兄上の許しも得た。早ければ早い方がよい。その方が家来たちの動揺が少なかろう。)トーネル王は、兄の子を跡継ぎの王子として迎える準備を考えていた。そこに不意に後ろから、
「王様。」と声をかけられた。トーネル王が振り向くと、そこにはダジャレ大臣の腹心のナザルとその家来が武装して立っていた。
「何用だ?少し村の様子を見て帰ってきたところだ。」トーネル王は眉をひそめて言った。それはあまりにもナザルたちの様子が物々しかったからだった。
「村でございますか?困りますな。王宮を抜け出されては。そういうことがないように私たちが王様をある場所にご案内いたします。」ナザルは邪心に満ちた目で見ていた。家来たちがトーネル王を取り囲んだ。
「貴様!何をする気だ!」トーネル王は身の危険を感じた。
「ふっふっふ。今すぐ危害を加えるつもりはございません。大人しくしていただければ。それ!」ナザルが合図するとその家来たちはトーネル王を抑え込んで、口をふさいだ。
「さあ、王様。ご案内いたします。とっておきの部屋まで。」ナザルはニヤリと笑った。
「少し、よろしいかな?」老人は外に出てジャストに声をかけた。
「ええ、かまいません。ちょっと星を見ていたものですから。」ジャストが言った。
「どうかな?星の様子は?星の動きは人の運命を暗示することがあります。何かお悩み事がありますな。」老人はジャストの顔を見た。
「えっ!」ジャストは驚いた。老人に何もかも見透かされている気がしていた。
「もしよかったらこの老人に話して下さらんか?人に話せば気が楽になることがあります。」老人は言った
「このことは誰にも言わないでください。約束してくれますか?」ジャストは声を潜めて言った。
「うむ。もちろんじゃ。」老人はうなずいた。
「実は父に先程、呼ばれたのです。この家を離れて父上の弟の下に行かぬかと。」ジャストは言った。
「ほう?お父上に弟さんがいらっしゃったのですな。しかし急な話ですな。」
「ええ。父の弟の話は初めて聞きました。それなのに詳しいことはもう少し時期が来たら話すと、父はそれ以上、話してくれませんでした。一体、どうしたらいいのかと思って。」
「込み入った話があるのかもしれません。だからお話にならなかったのでしょう。しかしあなたのお父上が進めなさる話です。悪い話ではないのではないかと思います。」老人は言った。
「私もそう思っているのですが・・・」ジャストは迷っていた。
「今は詳しく話せないわけがあるのかもしれません。しかしそれは時期が来たら知ることになります。物には熟し時というものがあります。その時まで辛抱して待っておられたらどうでしょうか?きっと時が解決してくれます。」老人は優しく言った。その言葉にジャストは少し納得したようだった。
王宮のダジャル大臣の部屋で話し声が聞こえていた。
「なに! 王様の兄の子だと! ナザル! それはどういうことか!」ダジャル大臣は驚いて声を上げた。
「確かにこの耳で聞きました。ヤコブという者が王様の兄のようで、王様がお子をいただきたいと頼んでおられました。」それはヤコブの家で、密かにトーネル王とヤコブの会話を聞いていた男だった。
「そうか!それならこちらも考えねばなるまい。ナザル。お前にもうひと働きしてもらう。よいな。」ダジャル大臣は言った。
「はっ!」ナザルはそう言って部屋から出て行った。
「うわさで聞いたことがある。王様には双子の兄がいて、赤ん坊の時によそにやられたと。うーむ。なるほど、そういうことか・・・。それならこちらの分が悪い。ジール公ではな・・・。しかしまだ決まったわけではない。早めに手を打てばいいだけだ。フッフッフ・・・。」ダジャル大臣はそう言って不気味に笑った。
トーネル王は王宮に戻ってきた。秘密の抜け道を通って誰にも見つからぬように屋敷に入ろうとしていた。
(兄上の許しも得た。早ければ早い方がよい。その方が家来たちの動揺が少なかろう。)トーネル王は、兄の子を跡継ぎの王子として迎える準備を考えていた。そこに不意に後ろから、
「王様。」と声をかけられた。トーネル王が振り向くと、そこにはダジャレ大臣の腹心のナザルとその家来が武装して立っていた。
「何用だ?少し村の様子を見て帰ってきたところだ。」トーネル王は眉をひそめて言った。それはあまりにもナザルたちの様子が物々しかったからだった。
「村でございますか?困りますな。王宮を抜け出されては。そういうことがないように私たちが王様をある場所にご案内いたします。」ナザルは邪心に満ちた目で見ていた。家来たちがトーネル王を取り囲んだ。
「貴様!何をする気だ!」トーネル王は身の危険を感じた。
「ふっふっふ。今すぐ危害を加えるつもりはございません。大人しくしていただければ。それ!」ナザルが合図するとその家来たちはトーネル王を抑え込んで、口をふさいだ。
「さあ、王様。ご案内いたします。とっておきの部屋まで。」ナザルはニヤリと笑った。
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本当に、ありがとうございます。
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