「婚約破棄」ですか?私はかまいませんが本気ですか?

ヤバたん

文字の大きさ
14 / 15

くつがえる事のない現実

しおりを挟む
 シアンから突きつけられた現実にフリーズしていたジョシュアは、別の衝撃を受けていた。

 ロザリアが自分に付けていた三人の護衛。ことごとく自分のストライクゾーンど真ん中のタイプだった。その三人からことごとく全力で特大火炎弾製デットボールを受けたのだ。
 ジョシュアとしては彼女たち三人を見た後ではビアナがションベン臭く感じる。

『魔導契約書』を変更してまでロザリアとの関係を絶っておいてどうすることが出来よう。
 国王の手すら煩わせ、多数の眼があるのだどうにもならない。

 表向きは王立学園卒業パーティーの参加者とスタッフ+警備担当者たちとなっている人員だが、その実表向きの参加者人数の三から数倍の護衛が参加しているのだ。
 おとなしく王家に事前届け出をしている者もいるが、他国の留学生や遊学生に至っては急遽届け出を出して参加している者も少なくない。
 当たり前のように他国の生徒に至っては王族なみの護衛が付いているのだ。
 他所様から預かっている子息令嬢に何かあっては、国として大問題である。
 王家にとって王立学園卒業パーティーは毎年大変なのだ。
 そんな中で、今年はジョシュアとビアナ嬢がやらかしてくれた。

「婚約破棄」などは通常なら貴族家同士のスキャンダルなのだが、今回は国が間に立って『魔導契約書』にしているのだ国の恥になりかねない。
 家同士や親類縁者や寄子への影響がないようにロザリアがジョシュアとの個人的借財に収めようとしたのを複数の他者の眼の前でジョシュアはやらかした。
 だからこその国王と宰相からの執事集団のパホーマンスである。
 これだけの数の執事が1ヶ所に現れることは通常なく、あるとすれば国の催しか叙爵とかでしかない。
 今回はアレやコレやで異例中の異例なのだ。

 王室次席執事長シアンが一仕事終わらせたと思われたとき。
 その背後から声をかけてきた者がいた。

「サフィア殿下・クリスタ殿下王立学園卒業パーティーにお邪魔して申し訳ない。シアン殿も少々よろしいでしょうか?」

 この場にいるのが不思議な人物が六名参加してきた。

「ヴィルヘルム侯爵なにかありましたか?」

「いや。侯爵としてではなく騎士団長として、副団長の弾除けに来たのだ。
 今年卒業して我が王国騎士団へ入団が決まっておるのに、当主からの入団手続き書類は届けられているが、期日が明日の朝一の鐘までと迫っているにもかかわらず、本部に入団手続きに来ていない生徒がいるので迎えに来た。
 本部の副団長の背後に青い稲妻が見えそうな状況になっておってな。普段は温厚な奴がキレる前に新人を確保しに来た。
 今どき珍しく、恋人のために地位も名誉も捨て金貨1200枚の借財を背負い奮起しようと言う剛の者だ。騎士団長みずか迎えに来てもおかしくあるまい」

 さわやかな笑顔をパーティー会場に振りまきつつ、頬を掻きながら騎士団長はとんでもない爆弾をぶっ放した。
 問題の根源は騎士団長ではなく卒業後の就職手続きをしていないジョシュアである。
 騎士団長が迎えに来なければどうする気だったのか?
 借財先が国だから副団長の稲妻発生カウントダウンだったのか?

「おお~っ良かった良かった。そなたがジョシュア殿か?
 シアン殿の用事は終わったのかな?彼を騎士団へ連れて行っても良いかな?」

 殿下方もシアンも騎士団長がジョシュアを連れて行くのをとめるいわれはないので見送るだけ。

 ジョシュアを連れて行ったのは騎士団長と部下二人。後には王室に数少ない女性騎士が一人に侍女が二人待機している。
 彼女たちは眼で語り合い。ビアナ嬢のもとへ向かう。

「わたくし王太子妃付き近衛騎士フレイアと申します。騎士団宿舎に就職が決まっておられるビアナ様には、各種申し送りと手続きがありますのでご同行ください」

 王太子妃付き騎士フレイアの眼力に気をされフラフラと会場を後にしたビアナを見送り。殿下方とシアンが死んだ魚のような眼をしている。

「ビアナ様だいじょぶでしょうか?」

「どうかなぁ?
 王太子妃殿下が満足するまでジョシュアとの馴れ初めとか。デートや行為について事細かに聞かれると思うよ。
 出会いはどの季節の何時で、周りに誰がいたかいなかったか?どう感じどう思ったか?はじめて話したのは何時でキッカケは?心境はとか?抱き合ったなら手の位置とか具体的な行為とか?キスの角度や回数とか舌使いとか時間の長さとかテクニックとか手の位置とか色々。数日で解放されると良いね」
「女性視点の閨教育本があればと言ってみえましたからね」

 それは下手なエロ本よりハードなのではないのか?
 ロザリアも貴族の世界では高位貴族にあたるのだが、モノホンの高位貴族の感性はぶっ飛んでいるとつくづく思い。なんとなく心の中でビアナにソッと手を合わせた。

 このときロザリアは自分の部下。三姉妹がジョシュアとのビアナのやりとりを事細かに書面化しており、辺境伯から辺境伯夫人経由で王太子妃付きの近衛騎士フレイアに渡っていたことは二年以上経って知り、ビアナが解放されるまでに一年以上かかったのを知ったときは何とも言えない気持ちになった。
 貴族女性視点の閨教育本が出来上がり広まったことで、些少なりとジョシュアの借財を減らす助けになったようなので良かったのかもしれない。
 コレも内助の功と言えるのかもしれないな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃

ぜらちん黒糖
恋愛
​「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」 ​甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。 旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。 「それは本当に私の子供なのか?」

処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!

秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。 民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。 「おまえたちは許さない」 二度目の人生。 エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。 彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。 1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。 「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」 憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。 二人の偽りの婚約の行く末は……

お姫様は死に、魔女様は目覚めた

悠十
恋愛
 とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。  しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。  そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして…… 「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」  姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。 「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」  魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……

弁えすぎた令嬢

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。  彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。  彼女は思った。 (今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。  今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。  小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。

私を婚約破棄した国王が処刑されたら、新しい国王の妃になれですって? 喜んで…と言うとでも?

あんど もあ
ファンタジー
幼い頃から王子の婚約者だったアイリスは、他の女性を好きになった王子によって冤罪をかけられて、田舎で平民として生きる事に。 面倒な貴族社会から解放されて、田舎暮らしを満喫しているアイリス。 一方、貴族たちの信頼を失った王子は、国王に即位すると隣国に戦争を仕掛けて敗北。処刑される。 隣国は、アイリスを新しい国王の妃にと言い出すが、それには思惑があって…。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

あなた方の愛が「真実の愛」だと、証明してください

こじまき
恋愛
【全3話】公爵令嬢ツェツィーリアは、婚約者である公爵令息レオポルドから「真実の愛を見つけたから婚約破棄してほしい」と言われてしまう。「そう言われては、私は身を引くしかありませんわね。ただし最低限の礼儀として、あなた方の愛が本当に真実の愛だと証明していただけますか?」

処理中です...