「婚約破棄」ですか?私はかまいませんが本気ですか?

ヤバたん

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『婚約破棄』に伴って 2

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「婚約破棄に伴う目録です。後ほど宰相室で手続きをお願いします」

 ロザリアが受け取るジョシュアの借財返済手続きなのだが、なぜか勘違いしているジョシュアはしてやったりと誇らしげにしている。

「承りました」
「私が付きそおう」

 クリスタ殿下が嬉しそうです。
 ロザリアは何となく外堀が埋められてきている気がしますが、ぞんがい悪い気がしないので良いかと思っていたりします。

 シアンはそんな微笑ましげな二人を見れたことに満足感を感じつつ、もっとも問題のある二人の料理に取りかかりました。

 まず、ワーズ伯爵子息ジョシュアとトーイ男爵令嬢ビアナに、美々しくも高級そうなビロードケースが乗せられた銀盆を手にした中堅の執事がおごそかに差し出してきた。
 いかにも特別に陛下から下賜されたと言わんばかりである。ある意味間違ってはいないのだが。

「陛下からお二人に下賜された品です」

 二人の眼の前で開けられたビロードケースからは、見るからに高級そうな石のハマったペアのイヤーカフが入っていた。

「卒業パーティーは公式の場と同様なので、そこへ同行する男女であれば婚姻前提の仲でしょうからペアの品を準備されたそうです。
 ただ、ジョシュア殿は騎士になられるとか?通例なら指輪か腕輪を贈っているところですが、騎士の場合は剣などの得物の扱いに支障がでるので騎士団ではイヤーカフが通例となっております。
 せっかくですから、この場でお互いの耳に付けられてはいかがでしょうか」

 ここまで言われ。複数の他人の眼があっては二人は断わることができなくなり。促されるままに互いの耳にイヤーカフをつける。
 陛下からの賜り物の時点で断れるわけはない。
 このイヤーカフが借財返済まで外せず。居場所を知らせるモノだとしても。

 二人がイヤーカフを付けたのを確認して、シアンは満足げに二人へそれぞれ陛下と当主に手紙が乗った銀盆を乗せた若手執事たちに掲示させる。
 陛下からの手紙については恭しく賜っていたが、それぞれの父親からの手紙を読み進めるにつれ顔色が変わっていく。

「このシアン。それなりの期間貴族の末席にありますが、純愛をつらぬくために貴族席を辞する者を久しぶりに眼にします。
 そのまま次期辺境伯の婿におさまれば、貴族席はそのままで王立学園の学費もロザリア嬢に持ってもらえたのを愛するビアナ嬢のために貴族席を辞し。二人でロザリア嬢への学費と婚約破棄の慰謝料を騎士団に務めつつ返済しようとは、物語の題材のようですな。
 その騎士について行こうとするビアナ嬢も素晴らしいことです。
 しばらく王国騎士団も社交界でも話題になることでしょう」

 ジョシュアとビアナは王室次席執事長シアンの賛辞に愕然とした。

 彼らは王国では学園卒業の歳を成人と設定してをり。自分たちがそれであること、そして貴族の場合は家から離れる時期であることを思い知る。
 この国の貴族は生まれつき虚弱な者は手続きをすることである程度国からの援助を受け除外。私質的に問題を認められた者は国が保護という名の隔離(幽閉)するような者たちは別だけど、基本的に男女問わず長子が爵位を相続し、次子が補助につくのがマスト。
 健康上問題があったとしても、領主としての資質に問題がなければ次子との協力体制や分家・寄子次第で無問題。

 ただ、ジョシュアはワーズ伯爵家三男で、騎士科を選択して辺境伯家の婿におさまるなら貴族でいつづけれたが他所の男爵令嬢と一緒になるなら貴族籍から抜け、これから自力で叙爵の道を歩いて行くことになる。

 この王立学園卒業パーティーには平民出身者も出ているが、彼らは才能を見越したギルド関係者・貴族家・王族などがスカウトし、後見を申し出ていたりする。
 貴族席でない者というのは、複数人のパトロン候補がいる者たちだったりする。

 事実を突きつけられ絶賛フリーズ中のジョシュアとビアナを他所に、ロザリアが控えめにシアンに話しかけた。


「シアン様。少しよろしいかしら?」

「ロザリア嬢?」

「ジョシュア様がわたくしの婚約者でしたので付けておりました護衛を解除致したいのですが」

 貴族子弟には側近や学友・側付き以外にも暗黙の了解です護衛が付いているものだ。学園内にも届けを出し許可を受けた者たちが出入りしている。とうぜん次期当主の婚約者や次席の者たち、その他重要ポジションの者たちに護衛が付いているのは当然であろう。
 付けられてる人間が知っているかは関係ない。

「しかるべく」

 国を守護する辺境伯が次期当主の婚約者に護衛を婚約者が付けていて当然である。

「アイラ・イリア・ウーラン。一緒にアイビー領へ戻りましょう」

「はい」
「御意」
「アーイ♪」

 ジョシュアの背後からブルーグレー・グリーングレー・マーダーグレーのタイトなドレスを模したパンツスーツ姿の色っぽい女性が三人姿を現しロザリアの方へと歩いてきた。
 三人の容姿は間違いなく三つ子のそれである。
 あえていうならアイラには右に泣きぼくろ。イリアには左に泣きぼくろ。ウーランには眼につくほくろは無い。
 だからこそウーランは気分で付けぼくろを付けており、アイラとイリアもそれに便乗してまわりを惑わしたりする。
 それでもロザリアと彼女たちの婚約者たちは見分けがつくらしい。
 だからこそ彼女たち三姉妹はロザリア以外に使えず。婚約者もかなり速く決まっていた。

「表向きの届け出は寄子でまた従姉妹の三姉妹護衛ですが、昔から私・ソレイユ・ディアーナにはよく遊んでくれたおねい様たちですわ」

 シアンから突きつけられた現実にフリーズしていたジョシュアは、別の衝撃を受けていた。

 ロザリアが自分に付けていた三人の護衛。ことごとく自分のストライクゾーンど真ん中のタイプだった。その三人からことごとく全力で特大火炎弾製デットボールを受けたのだ。
 ジョシュアとしては彼女たち三人を見た後ではビアナがションベン臭く感じつる。
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