悪役令嬢は主人公に告白されました?!

たいやき さとかず

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お話させていただきます?!

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 方や麗しの公爵令嬢、方や真面目な伯爵家嫡子。中庭の端とはいえ、この組み合わせは密かに生徒達の注目を集めた。
 しかし周りの仄かな期待とは裏原に向き合う二人は動くことはない。
 二人の間に流れた沈黙を終わらせたのは、伯爵家の嫡子だった。
「……リリィーアル様」ディアゴは一度目線を外に外してから、リリィーアルを見下ろした。「訊きたいこととは、なんでしょうか」
「……ルリーシャさんのことですわ」
 ディアゴが息を呑むのを見て、リリィーアルは踵を返した。
「場所を変えましょう。此処は人が多くて、話も出来そうにありませんわ」
「……はい」
 リリィーアルが先に進むとその後をディアゴは少し間を空けて着いてくる。
 視線にさらされながらも、学園の奥ーー公爵令嬢たるリリィーアルにだけ赦された茶室に入った。
 鋭い視線でディアゴを見据える。
「どうぞ、お座りくださいまし」
 ディアゴがソファに腰かけるのを見て、待機していた給仕を呼ぶ。
「ディアゴ様にお茶を」
 既に準備されていたらしい紅茶がテーブルに置かれるのを座って見ながら、リリィーアルは近づいた給仕に小声で話しかけた。
「部屋の前で待機を」
「了解致しました。何かあればお呼びください」
 ディアゴには見えないようにやり取りをして、給仕が部屋を後にする。
 ドアが閉じてからたっぷり数秒間を置いて、リリィーアルは口を開いた。
「ルリーシャさんとは、仲良くなされていますか?」
「あ……え、ええ」
 一瞬の動揺の後、ディアゴが頷く。
 どうやらルリーシャとは仲良く出来ていないようだ。ディアゴが腹芸を不得意としていることは聞いていたが、身をもって知ることになるとは思わなかった。
「……最近ルリーシャさんは元気がありませんの。なにかご存じなくて?」
「そのようには、見えませんが……」
「見えない? 本気で言ってらっしゃるの?」
 冷たい瞳で目の前の男を見るリリィーアル。ディアゴは本当に分からないらしい、不思議そうな顔をしている。
 リリィーアルは小さくため息をついた。
「……まあ、いいですわ。それよりも、ルリーシャさんとの婚約を破談したというのは本当ですの?」
「な、何故それを……!」
「本当ですのね?」
 畳みかけるようにそう言うとディアゴは口を開閉した。
「い、いえ……それはまだ、です……」
「それは『これからする予定』と受け取っていいのかしら」
「……はい」
 少し項垂れた様子のディアゴ。
(この様子は……)
 ディアゴの思わぬ姿に眉を寄せるリリィーアル。彼の真意を問おうとしたその時、コンコンというノックの音が言葉を遮った。
「お話し中、失礼いたします」
先程の給士が一礼をしてリリィーアルの横に片膝をついた。
「リリィーアル様に今すぐ謁見をしたいという方がいます」
「わたくしに? どなたですの」
「エリノア・アストロッテ伯爵令嬢にございます」
 ディアゴががたりと音を立てた。
「エリノアが……?」
「そういえば、ディアゴ様には妹君がいらっしゃりましたわね。折角ですし、お呼びしても?」
「え、ええ……」
 ディアゴが困惑気味に頷くのを見た給士が部屋を出る。数秒後、今日二度目のノック音がした。
「失礼いたします」
 一礼した令嬢が顔を上げる。整った顔が真っ直ぐとリリィーアルを見た。
「突然のお願いを聞いていただきありがとうございます」
「いえ、こちらも訊きたいことがありまして」
 リリィーアルはエリノアに一人掛けのソファを進める。
 腰掛けたエリノアはディアゴを一度だけ見ると、またリリィーアルへと目線を移した。
「私に訊きたいことというのは、兄ディアゴのことでしょうか」
「ええ。最近のディアゴ様のご様子をお聞きしたくて」
「……マキア様に結婚の申し込みをしたことではなく、でしょうか」
 リリィーアルは目を見張ってエリノアを見た。どこか暗い顔の彼女と目が合う。
 エリノアはそっと目を外すと、小さく俯いた。
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