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再び秋田へ
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蒼介は上司に、週末から1週間の有給休暇を申請した。
「日下部、珍しいな。お前が長期休暇を取るなんて」
「けじめをつけたいことがありまして」
「プライベートに口を出すつもりはないが……無理するなよ。何かあったらいつでも聞くから。」
上司はそういいながら書類に印を押した。
勤続28年。一度も長期の有給を取った事が無かった蒼介は内心、ここまでした事を千紘は喜んでくれるはずだと思っていた。
翌朝、蒼介は新幹線に乗り込んだ。自由席の窓際の席に座り、シートベルトを締める。
「まもなく発車いたします」
車内アナウンスが流れた直後、通路の向こうで慌ただしい足音が響いた。
「間に合った!」
「ギリギリだったね、美咲」
息を切らせた若いカップルが、ドアが閉まる直前に飛び込んで来た。
蒼介は顔を上げて──凍りついた。
美咲と武尊だった。
二人はリュックを背負い、笑いながら通路を歩いてくる。
(なんで2人がここに……)
蒼介は気まずさから鞄で身を隠した。けれど、美咲はコソコソと身を隠す蒼介をすぐに見つけてしまった。
「お父さん!」
美咲が手を振って駆け寄り、武尊も頭を下げた。
「日下部課長、遅くなってすみません!」
「お前たち……どうして」
蒼介は驚きを隠せなかった。
「えっ?」
美咲はきょとんとした顔をする。
「だって、お父さんが秋田に行くって」
「どうして知ってる」
美咲は少し照れくさそうに笑った。
「勘」
「勘?」
美咲は隣の席に座りながら答えた。
「細かい事はいいから早く座ろ。」
武尊が蒼介の向かいに腰を下ろしながら、戸惑った表情で言った。
「あのぉ、美咲さんに秋田旅行に誘われて……親子水入らずの予定でしたか?」
「武尊くんには、ちゃんと説明してなかったの」
美咲が申し訳なさそうに武尊を見る。
「ごめんね」
武尊は首を振った。
「いや、大丈夫。でも……何か事情があるようなら……」
蒼介は二人の顔を見つめた。娘の真剣な眼差し。武尊の困惑した表情。
「美咲……お前」
「お父さん」美咲が遮った。
「お母さんのお店行くんでしょ?いいじゃない。人数多い方がお母さんも気楽でしょ」
「そうかな……」
「うん、そうだよ。」
新幹線がゆっくりと動き出す。
武尊が遠慮がちに口を開いた。
「あの……僕、邪魔でしたか?」
「いや」
蒼介は首を振った。
「邪魔じゃない。ただ……」
しばらく沈黙が流れた。車窓から流れる景色を眺めながら、蒼介はゆっくりと口を開いた。
「……行き先は秋田の田舎にある古い小料理屋だ。」
「グルメ旅ってやつですね、課長。」
武尊がぱっと満面の笑みを見せ、その様子を見て美咲も笑みを溢した。
「日下部、珍しいな。お前が長期休暇を取るなんて」
「けじめをつけたいことがありまして」
「プライベートに口を出すつもりはないが……無理するなよ。何かあったらいつでも聞くから。」
上司はそういいながら書類に印を押した。
勤続28年。一度も長期の有給を取った事が無かった蒼介は内心、ここまでした事を千紘は喜んでくれるはずだと思っていた。
翌朝、蒼介は新幹線に乗り込んだ。自由席の窓際の席に座り、シートベルトを締める。
「まもなく発車いたします」
車内アナウンスが流れた直後、通路の向こうで慌ただしい足音が響いた。
「間に合った!」
「ギリギリだったね、美咲」
息を切らせた若いカップルが、ドアが閉まる直前に飛び込んで来た。
蒼介は顔を上げて──凍りついた。
美咲と武尊だった。
二人はリュックを背負い、笑いながら通路を歩いてくる。
(なんで2人がここに……)
蒼介は気まずさから鞄で身を隠した。けれど、美咲はコソコソと身を隠す蒼介をすぐに見つけてしまった。
「お父さん!」
美咲が手を振って駆け寄り、武尊も頭を下げた。
「日下部課長、遅くなってすみません!」
「お前たち……どうして」
蒼介は驚きを隠せなかった。
「えっ?」
美咲はきょとんとした顔をする。
「だって、お父さんが秋田に行くって」
「どうして知ってる」
美咲は少し照れくさそうに笑った。
「勘」
「勘?」
美咲は隣の席に座りながら答えた。
「細かい事はいいから早く座ろ。」
武尊が蒼介の向かいに腰を下ろしながら、戸惑った表情で言った。
「あのぉ、美咲さんに秋田旅行に誘われて……親子水入らずの予定でしたか?」
「武尊くんには、ちゃんと説明してなかったの」
美咲が申し訳なさそうに武尊を見る。
「ごめんね」
武尊は首を振った。
「いや、大丈夫。でも……何か事情があるようなら……」
蒼介は二人の顔を見つめた。娘の真剣な眼差し。武尊の困惑した表情。
「美咲……お前」
「お父さん」美咲が遮った。
「お母さんのお店行くんでしょ?いいじゃない。人数多い方がお母さんも気楽でしょ」
「そうかな……」
「うん、そうだよ。」
新幹線がゆっくりと動き出す。
武尊が遠慮がちに口を開いた。
「あの……僕、邪魔でしたか?」
「いや」
蒼介は首を振った。
「邪魔じゃない。ただ……」
しばらく沈黙が流れた。車窓から流れる景色を眺めながら、蒼介はゆっくりと口を開いた。
「……行き先は秋田の田舎にある古い小料理屋だ。」
「グルメ旅ってやつですね、課長。」
武尊がぱっと満面の笑みを見せ、その様子を見て美咲も笑みを溢した。
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