最後のお弁当 (短編集)

yuzu

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涙のわけ

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 彼女は暫し沈黙して俯き震えた。

 2人でこうして並んで食事をするのは初めての事で、隣に座る僕にも彼女が緊張しているのが伝わった。
 自ら注文した料理を、俯いて睨むような姿勢の彼女。
 顔を盗み見ると、眉間に皺を寄せ、堪えきれない涙が頬を伝っていた。
 まるで催涙ガスを浴びたかの様に、何度も吐息を漏らす彼女に同情し、

「…大丈夫?無理しないでいいから…」

 僕は小声で彼女にそう伝えた。
でも、彼女は小さく首を振った。
 肩が小さく震えている事に気がついた職人さんは、僕をチラリと見て、それから心配そうにおしぼりを差し出して言った。








「辛いでしょ?涙巻き。」





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