恋が温まるまで

yuzu

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#6 残業の後で

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 グラスの中で白ワインがほのかに揺れる。
 喉元を通るその淡い甘さが、少しずつ熱となって身体に広がっていく。

 ふっと肩の力が抜けて、思考の境界線が曖昧になるのを感じた。

 酔っているかも……そう自覚したとき、胸の奥にひとつの疑問が浮かび上がった。

 「……田上さん」

 呼びかけると、彼は手元のグラスに目を落としながら応じた。

 「ん?」

 私の言葉を待つような静かな声。
 テーブルの縁に視線を落としながら、私は切り出した。

 「屋上で……『昨日何があったか、本当に知らなくていいの?』って」

 その続きを、ようやく口にする。

 「……教えてください、何があったのか。」

 ワインの縁をそっとなぞりながらそう言うと、田上さんはグラスを置き、コーラの瓶を軽く傾けた。

 炭酸の弾ける音が、静まり返った部屋の空気をほんの少しだけ緩ませる。

 「やっぱり、気になるんだ」

 そう言って、彼は私の方へ視線を向け、蠱惑的に微笑んだ。

 私は視線を外し、ひと呼吸置いてから小さく頷いた。

「教えてください、昨日の事。」
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