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#6 残業の後で
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「……やっぱり、カフェ経営してますよね?」
田上さんは、フライパンを傾けながら笑った。
「趣味がちょっと暴走しただけ」
「ちょっと、の範囲じゃないと思います」
そう返すと、彼は熱したフライパンに海老を並べながら、淡々と続けた。
「休日の朝、こういうキッチンでエスプレッソ淹れてるとさ……それだけで“整ってる大人”になった気がするんだよね」
「……自己暗示ですか?」
「自己満足ってやつ」
フライパンから立ち上るバジルの香りが、ふっと会話の間を埋める。
それはもう、思わず深呼吸したくなるような香りだった。
「まずは、パスタ」
白いプレートが、静かに目の前に置かれる。
「香りが逃げると、バジルがすねるから。」
思わずくすっと笑い、フォークを受け取る。
口に運んだ瞬間、バジルの香りがふわりと広がって、オイルとエビの旨味が舌の上で滑らかに混ざり合った。
「……おいしい!」
ひと呼吸置いて、それだけしか言葉が出てこなかった。
「よかった。あり合わせでごめんね」
「“あり合わせ”のレベル、ちょっと反則です」
思わず本音がこぼれる。
田上さんはふっと笑い、ワイングラスとボトルを手にした。
「よかったら、少し飲む?」
差し出された白ワインを見て、私は小さく首を振る。
「……帰れなくなるので」
「安心して。運転手はコーラです」
そう言って、彼は自分のグラスにシュワッと音を立てて黒い液体を注いだ。
不思議だ。
ふたりきりの深夜の部屋にある空気は、ただの同僚にしてはどこか心地が良かった。
「……やっぱり、カフェ経営してますよね?」
田上さんは、フライパンを傾けながら笑った。
「趣味がちょっと暴走しただけ」
「ちょっと、の範囲じゃないと思います」
そう返すと、彼は熱したフライパンに海老を並べながら、淡々と続けた。
「休日の朝、こういうキッチンでエスプレッソ淹れてるとさ……それだけで“整ってる大人”になった気がするんだよね」
「……自己暗示ですか?」
「自己満足ってやつ」
フライパンから立ち上るバジルの香りが、ふっと会話の間を埋める。
それはもう、思わず深呼吸したくなるような香りだった。
「まずは、パスタ」
白いプレートが、静かに目の前に置かれる。
「香りが逃げると、バジルがすねるから。」
思わずくすっと笑い、フォークを受け取る。
口に運んだ瞬間、バジルの香りがふわりと広がって、オイルとエビの旨味が舌の上で滑らかに混ざり合った。
「……おいしい!」
ひと呼吸置いて、それだけしか言葉が出てこなかった。
「よかった。あり合わせでごめんね」
「“あり合わせ”のレベル、ちょっと反則です」
思わず本音がこぼれる。
田上さんはふっと笑い、ワイングラスとボトルを手にした。
「よかったら、少し飲む?」
差し出された白ワインを見て、私は小さく首を振る。
「……帰れなくなるので」
「安心して。運転手はコーラです」
そう言って、彼は自分のグラスにシュワッと音を立てて黒い液体を注いだ。
不思議だ。
ふたりきりの深夜の部屋にある空気は、ただの同僚にしてはどこか心地が良かった。
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