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#7 あの後のこと (田上 智の回想)
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アパートの前に着いて、花田さんを支えながら降車すると、運転手の声が背中を叩いた。
「ちょっと、お客さん! 忘れ物」
指差す方を見ると、花田さんのピアスが座席の隅で小さく光っていた。華奢なチェーンに揺れる一粒のダイヤ。普段のナチュラルで飾りのない花田さんからは想像もつかない、女性らしい繊細なデザインだ。
「ありがとうございます。花田さん、これ……」
ピアスを手渡そうとしたが、へべれけの花田さんは俺の方をとろんとした眼差しでぼんやり見つめるだけで、ふらふらと玄関の方へ歩き出してしまう。
慌てて運転手に料金を支払い、後を追った。
「部屋、何号室?」
「んー……わかんなーい♪」
完全にできあがっている。
楽しそうに笑う花田さんの真っ赤な頬を、街灯の光が優しく照らしている。
「はい、こっちですよ」
俺の腕にもたれかかる花田さんを支えながら、ポストの表札を一つ一つ確認していった。
ようやく部屋に辿り着き、鍵を開けようとすると、花田さんが不意に俺の腕を掴んだ。
「よし、二次会だー」
上目遣いで笑いながら、そう誘ってくる。
完全無防備な花田さんは、いつもより距離が近い。シャンプーの香りと、ほんの少しお酒の匂いが混ざって、心臓が跳ねる。
花田さんが俺のシャツの袖をくいくいと引き、
俺はそっとその手に触れた。小さくて、少し冷たい手。
掴まれた腕をゆっくりと、優しく離しながら、思わず囁いていた。
「俺が悪い男だったらって想像して?」
花田さんがきょとんとした顔で俺を見上げる。
「今日は紳士でいてあげる。」
とろんとした目で笑う花田さんが可愛くて、危うく抱きしめそうになった自分に気づいて、俺は慌てて視線を逸らした。
「おやすみ、花田さん」
ドアが閉まる直前、俺を引き止めるように潤んだ瞳に心臓をぎゅっと掴まれた気がした。
だから……
「その顔、他の男に見せないで。俺専用、約束して?」
「う?」
「わかった?」
「はーい。」
……可愛いが過ぎる。
「ちょっと、お客さん! 忘れ物」
指差す方を見ると、花田さんのピアスが座席の隅で小さく光っていた。華奢なチェーンに揺れる一粒のダイヤ。普段のナチュラルで飾りのない花田さんからは想像もつかない、女性らしい繊細なデザインだ。
「ありがとうございます。花田さん、これ……」
ピアスを手渡そうとしたが、へべれけの花田さんは俺の方をとろんとした眼差しでぼんやり見つめるだけで、ふらふらと玄関の方へ歩き出してしまう。
慌てて運転手に料金を支払い、後を追った。
「部屋、何号室?」
「んー……わかんなーい♪」
完全にできあがっている。
楽しそうに笑う花田さんの真っ赤な頬を、街灯の光が優しく照らしている。
「はい、こっちですよ」
俺の腕にもたれかかる花田さんを支えながら、ポストの表札を一つ一つ確認していった。
ようやく部屋に辿り着き、鍵を開けようとすると、花田さんが不意に俺の腕を掴んだ。
「よし、二次会だー」
上目遣いで笑いながら、そう誘ってくる。
完全無防備な花田さんは、いつもより距離が近い。シャンプーの香りと、ほんの少しお酒の匂いが混ざって、心臓が跳ねる。
花田さんが俺のシャツの袖をくいくいと引き、
俺はそっとその手に触れた。小さくて、少し冷たい手。
掴まれた腕をゆっくりと、優しく離しながら、思わず囁いていた。
「俺が悪い男だったらって想像して?」
花田さんがきょとんとした顔で俺を見上げる。
「今日は紳士でいてあげる。」
とろんとした目で笑う花田さんが可愛くて、危うく抱きしめそうになった自分に気づいて、俺は慌てて視線を逸らした。
「おやすみ、花田さん」
ドアが閉まる直前、俺を引き止めるように潤んだ瞳に心臓をぎゅっと掴まれた気がした。
だから……
「その顔、他の男に見せないで。俺専用、約束して?」
「う?」
「わかった?」
「はーい。」
……可愛いが過ぎる。
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