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#12 過去の傷を癒すには
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「美亜」
田上さんの声に、私は返事を返さなかった。できなかった。
フライパンの中のエビを、必要以上に丁寧にひっくり返す。
ニンニクとオリーブオイルの香ばしい香りが立ち上るけれど、それも今は気持ちを浮上させることは出来ない。
「美亜、こっち向いて」
もう一度、さっきより少しだけ低い声で呼ばれた。
でも、今振り向けばきっと引かれてしまう。
目の奥がじんわりと熱くて、視界が滲みそうになるのを必死で堪えた。
「……お料理が焦げちゃいますよ。」
震えないように、震えないようにと思いながら、口を開く。
けれど次の瞬間――
後ろから優しく、でも確かな力で抱きしめられた。
背中に、彼の温もりが重なる。
「美亜の不安な気持ち、俺にわけてくれない?」
耳元で囁かれた言葉が、堪えていた何かを一気に崩した。
もう無理だ。
目の奥に溜めていたものが、ぽろぽろと頬を伝って床にこぼれた。
「……っ」
声にならない嗚咽が漏れる。
視界が歪んで、フライパンの中のエビも、オリーブオイルの光も、ぐちゃぐちゃに滲んでいく。
「ごめん……なさい」
震える声で、やっと絞り出した。
「私……ずっと、こわくて。また、いなくなっちゃうんじゃないかって……」
「優先だって言ってくれても、いつか、その優先は私じゃなくなるんじゃないかって…」
ぽつり、ぽつりとこぼれ落ちる言葉。
本当は言いたくなかった。
こんなふうに、弱い自分を見せたくなんてなかった。
でも、もう止められなかった。
田上さんは頬を伝う涙を指先でぬぐうと、もう一度私をぎゅっときつく抱きしめた。
「美亜が思うよりずっと……ずっと好きだよ。美亜がもう止めたいって言っても、俺は離さないから。」
その言葉に振り向けば、田上さんは優しく……2度目のキスをした。
田上さんの声に、私は返事を返さなかった。できなかった。
フライパンの中のエビを、必要以上に丁寧にひっくり返す。
ニンニクとオリーブオイルの香ばしい香りが立ち上るけれど、それも今は気持ちを浮上させることは出来ない。
「美亜、こっち向いて」
もう一度、さっきより少しだけ低い声で呼ばれた。
でも、今振り向けばきっと引かれてしまう。
目の奥がじんわりと熱くて、視界が滲みそうになるのを必死で堪えた。
「……お料理が焦げちゃいますよ。」
震えないように、震えないようにと思いながら、口を開く。
けれど次の瞬間――
後ろから優しく、でも確かな力で抱きしめられた。
背中に、彼の温もりが重なる。
「美亜の不安な気持ち、俺にわけてくれない?」
耳元で囁かれた言葉が、堪えていた何かを一気に崩した。
もう無理だ。
目の奥に溜めていたものが、ぽろぽろと頬を伝って床にこぼれた。
「……っ」
声にならない嗚咽が漏れる。
視界が歪んで、フライパンの中のエビも、オリーブオイルの光も、ぐちゃぐちゃに滲んでいく。
「ごめん……なさい」
震える声で、やっと絞り出した。
「私……ずっと、こわくて。また、いなくなっちゃうんじゃないかって……」
「優先だって言ってくれても、いつか、その優先は私じゃなくなるんじゃないかって…」
ぽつり、ぽつりとこぼれ落ちる言葉。
本当は言いたくなかった。
こんなふうに、弱い自分を見せたくなんてなかった。
でも、もう止められなかった。
田上さんは頬を伝う涙を指先でぬぐうと、もう一度私をぎゅっときつく抱きしめた。
「美亜が思うよりずっと……ずっと好きだよ。美亜がもう止めたいって言っても、俺は離さないから。」
その言葉に振り向けば、田上さんは優しく……2度目のキスをした。
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