ルカの日常

ひいらぎ

文字の大きさ
24 / 27
出会い

いっぱいの人間

しおりを挟む



わけのわからないあたちがここに来て、数日が経った頃、隣のおへやのネコちゃんと仲良くなった。
だんだん、ここの暮らしにも慣れてきた。


その子は、イズミと名乗っていた。
あたちは、ナルと名乗っていた。


つまり、あたちたちネコの世界での名前ってこと。
あたちの名前は、お母さんがつけてくれたもの。
イズミも多分誰かに、そう名付けてもらったんだと思う。
いまのルカって名前も気に入ってるけどね。


イズミに、ここでの暮らしを教えてもらった。
ここでは、毎日いっぱいの人間が自分たちを見にくるらしい。
大抵は見られるだけだけど、たまに抱っこをしてくる人もいるらしい。


そして、抱っこをされて、気に入られたらそのままここを去るんだって。
いままで、そうやって何匹ものネコやイヌが人間に連れて行かれたらしい。


人間に連れていかれる先には、ここより豪華なおうちが用意されていて、快適な暮らしが約束されている。
そこは、自分にたっぷりの愛情を注いでくれる人間との暮らしで、第二のお母さんができる。
そして、そこで一生を過ごす。
移動はこれが最後なんだって。


これは、時々ここにくる元先輩イヌたちが教えてくれる情報らしい。
イズミは、自分を迎えにきてくれる人間を待ってるんだって。


早くこのおへやから出たいなら、人間に見られている間は、毛づくろいしたり、歩いたりしたほうがいい。
人間にアピールして、気に入ってもらえると、次のステージである抱っこをされる確率が上がるらしい。


逆に、ものかげに隠れたりしていると、いつまで経っても抱っこされない。
あとは、いっぱいの人間に見られることに早く慣れないと、ずっと眠れない日々が続いて、体調を崩して、チャンスが減っていってしまう。





こんな感じで、ここでの暮らし方をイズミは細かく教えてくれた。
あたちは、また移動するのがちょっと嫌だったから、あまり人間にはアピールしなかった。
イズミはもったいないと、何回も怒っていたけど、あたちは少し落ち着きたかった。
それでもいっぱいの人間に見られたし、2回くらい抱っこもされた。


そうこうしているうちに、イズミは優しそうなお姉さんに連れられておへやを出ていった。
お幸せに。
イズミ。
数日間だったけど、一緒にお話しできて、楽しかったよ。
元気でね。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

処理中です...