異世界は鬼畜でした。〜クラス転移したが唯一スキルなしで見放された俺は最後の魔女と出会い最強に成り代わる〜

丸手音狐

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一章

11.新たなる地へ

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 宿を出た二人はこれからどうするのかを歩きながら話し合っていた。

「どうするハルト?」

「そうだな。魔法の訓練とかやってみたいかな」

「いいね。ハルトが私に追いつけば最強」

「でもこんな所に魔法を練習出来るところなんてないしな」

 歩いているとシノはいきなりハルトの事を引っ張り建物の物陰に隠れた。一体何事かとシノに問うと変なやつらがいると言ったきりそのままハルトに体を寄せ動かなかった。変なやつらがいるというのに気になったハルトは物陰から少し顔を出し周りの様子を確認した。すると奥の建物の上にロングマントを着てフードで顔を隠した者達が三人ほど辺りをキョロキョロしながら移動していた。

(もしかしてあれがシノの言っていた変なやつらなのか? つまり奴らがここに来ているということはシノが居ることがバレているってことか。ならもうこの国にはいられないな)

「シノ、この国って馬車はあるのか?」

「……ある。でも何するの?」

「この国を出よう」

「わかった。ハルトが一緒ならどこまでも」

 奴らが別の場所に行ったのを確認したハルトはシノの手を掴み馬車を探しに走り出した。しばらく走っていると馬車を見つける。あれに乗ろうと言って向かおうとした時、その馬車の近くに和希が現れた。
 
(なんでこんな時にあいつがあそこにいるんだよ。早くどけ)

 だが最悪な事に和希は馬車の近くで取り巻きの孝汰こうたと話し始めた。しかし最悪な出来事はそれだけでは留まらず後ろからハルト達の方に先程の奴らが建物の上を走ってやってきていた。

(もしかしてバレたのか?)

 ハルトはまだバレていないことを信じ再び近くの建物に身を隠した。だが奴らはすぐそこまで迫ってきていた。
 
(こんな所でシノを捕まらせるわけにはいかない。なら……。一か八かだ)

 ハルトは奴らから見えないように体でシノを隠し馬車へ近づいていく。そして和希達のいる反対側から馬車に乗り込んだ。

「ここから一番近い国はどこですか?」

「国だと結構時間かかっちまうけど。【カーシス村】ならそこまで時間がかからんぞ」

「じゃあそこでお願いします」

「んじゃ行くぞ」

 和希が馬車の事を見ていたがなんとかハルト達は【ヒルアール王国】の中心の街から抜け出すことに成功した。いきなり色々の事があり疲れ切ったハルトは馬車の中でぐてっとなる。そんなハルトにシノは休憩を邪魔するようにくっつく。

「どうしたんだ」

「ありがと」

「あれは俺の為にしただけだ。気にするな」

「……好き」

 馬車は想像以上に速いものでもう【ヒルアール王国】を出ていた。移動している間にハルトが御者と会話をしていて分かったのだがどうやら【カーシス村】は【ロイゼン王国】という王国の領地にある村だそうだ。【カーシス村】以外にも【ロイゼン王国】の領内には多くの村があるらしい。

「ハルト寝て」

「なんでだよ」

「寝ないと力戻らないから」

「わかったよ」

 シノがどうしたいのかはわからないがハルトは言われた通りに目を瞑り寝るフリをした。しかしどうやら朝から色々な事で疲れたせいなのかハルトは目を瞑ってからしばらくして本当に眠りについてしまった。
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