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一章
31.ん?
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一人の男が頭から血を垂らしながら綺麗に掃除がされた長い廊下を歩く。おぼつかない足取りで大きな木製の扉の前まで行き開く。その部屋の中には長机と数個の椅子が置かれており壁には何やら神々しい人物の絵画が飾られていた。男が部屋に入ると椅子に座っていた者達が声をかける。
「犠牲者をやっと連れてきたのか、ロイエル!」
「…………」
「アッシュ、やめてあげた方がいいわ。あの様子だと失敗したみたいだし」
「失敗かよ。ダサすぎるぜ」
ロイエルは少しふらつきながら椅子に座った。椅子に座るとはぁっとため息をつき内ポケットから予備のメガネを取り出しかける。
「あの二人……。そもそもこの犠牲者の制度は国民や他国には秘密裏に行っているわけでもしそれがバレてしまったら神から託されたこの世界の崩壊が始まってしまいます」
「てことはそいつらを片付けりゃいいって事だな」
「そういう事になります。ですが彼らはきっとそう簡単にはいかないことでしょう」
「ならどうすんだよ」
「簡単な事ですよ。私達は神から運良く素晴らしい才能、能力を頂いたのです。そんな私達が協力すれば簡単に済む事でしょう」
「いい作戦だな! 俺は賛成だぜ」
「では残りはヴィーネとメルリルですが……」
ヴィーネは椅子から立ち上がり扉の方に歩き出す。
「メルリルは今外にいるわよ」
「メルリルには後で聞くとしてヴィーネも賛成して頂けますよね」
「ごめんなさい。今結論を出すことは出来ないわ」
「なぜですか。彼らを消さなければ厄介な結果になりかねないのですよ!」
「だって私きまぐれなのよ」
「なっ!?」
ヴィーネはそう言うと部屋の扉を開けどこかに行ってしまった。
@@
「はぁ、はぁ、ここに来るまでに一時間もかかるとか……疲れた」
「ハルト、体力なさすぎ」
「うるさいなぁ」
ハルト達はロイエルとの戦いのあとただひたすらまっすぐの道を歩きようやく【ロイゼン王国】の首都の門前までやってきた。
「入国希望か?」
「あ、はい。そうです」
「少し待ってくれ」
門を守るように立っていた鎧を着て長い槍を持った男はハルト達に話しかけるとそう言った。
(待ってくれって言ったのに何もしないで立ったままなんだが!?)
ハルトがそんな事を思っていると門の向こう側からから何かが走ってくる音が聞こえてきた。何事かと思いチラっと様子を見てみると奥から何台かの馬車が門に向かって走ってきていた。そして馬車は門をくぐり草原へと走っていった。
「何かあるのかな」
ハルトがポツリと呟くと男が「数時間前にあっちで大爆発が起こったんだ。それの調査に兵が向かってるんだよ」と親切に説明してくれたがハルトは少し焦り気味に「そ、そうなんですね~」とごまかす。
(絶対俺達のだろ!?)
「よし、待たせて悪かった。入国料は二人合わせて銅貨十枚だ」
シノはコートの中から布の袋の様なものを取り出しその中からじゃらじゃらと硬貨の音を鳴らせて銅貨を探す。ようやく銅貨十枚を取り出せたシノはそれを男に渡した。すると男は「ちゃんと十枚だ。行っていいぞ」と言ってハルト達の入国を許可した。入国を許可されたハルト達は早速門をくぐる。
「なんだあれは」
「銅像」
門をくぐると一番最初に目についたのはひらけた所に建っている大きな銅像だった。だが特に銅像に興味があるというわけでもなかったの二人はひとまずは完全スルーで先を進む。
「神がどうとか言ってたからここにいる人もやばい人かと思ってたけどそんな事はないんだな」
「やばいのは神託官だけ。たまに重度な国民もいるみたいだけど」
「神託官さえ居なければまともな国になるってことか」
「そういう事になる。あとは国王がもっと強気に出れるようになれば」
「でもやっぱあの神託官に脅されてたりしたら並の人間じゃ従うしかないんじゃないか」
「そんな考えだと国王はやっていけない」
「国王の在り方を心得ている!?」
無駄にリアクションをするハルトの手をシノは握り「あれ見たい」と言っていきなり話題を変えた。シノが言うあれとはどうやら服屋のようだった。まぁ、少しくらいならと思ったハルトはシノと一緒に服屋に向かった。
@@
気づけばすっかり日が暮れていた。一体何があればこれほどまで時間が経ってしまうのだろうか。その原因は明白である。それはやるべき事を忘れ遊び呆けていたからだ。
服屋を出た二人は次に屋台に行き食べ歩き。そして装備屋を見て食べ歩き。次に祭りでよく見る射的の様な事をしている屋台に行きシノの火魔法で屋台は半壊したが星型の白い髪飾りを手に入れた。お腹が空いたと言って食べ歩き。シノが武器を見たいと言って使わないはずなのに武器屋に行き勝手に出来の採点を始め店主に怒られたりと何かを忘れ二人はひたすら楽しんでいた。
そう、何かを忘れて。
「おい、待て。俺達何してるんだ?」
「……うん? 私達何してる?」
「ん?」
「……ん?」
「ん?」
「……んん?」
「んんんッッッ!!!???」
「犠牲者をやっと連れてきたのか、ロイエル!」
「…………」
「アッシュ、やめてあげた方がいいわ。あの様子だと失敗したみたいだし」
「失敗かよ。ダサすぎるぜ」
ロイエルは少しふらつきながら椅子に座った。椅子に座るとはぁっとため息をつき内ポケットから予備のメガネを取り出しかける。
「あの二人……。そもそもこの犠牲者の制度は国民や他国には秘密裏に行っているわけでもしそれがバレてしまったら神から託されたこの世界の崩壊が始まってしまいます」
「てことはそいつらを片付けりゃいいって事だな」
「そういう事になります。ですが彼らはきっとそう簡単にはいかないことでしょう」
「ならどうすんだよ」
「簡単な事ですよ。私達は神から運良く素晴らしい才能、能力を頂いたのです。そんな私達が協力すれば簡単に済む事でしょう」
「いい作戦だな! 俺は賛成だぜ」
「では残りはヴィーネとメルリルですが……」
ヴィーネは椅子から立ち上がり扉の方に歩き出す。
「メルリルは今外にいるわよ」
「メルリルには後で聞くとしてヴィーネも賛成して頂けますよね」
「ごめんなさい。今結論を出すことは出来ないわ」
「なぜですか。彼らを消さなければ厄介な結果になりかねないのですよ!」
「だって私きまぐれなのよ」
「なっ!?」
ヴィーネはそう言うと部屋の扉を開けどこかに行ってしまった。
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「はぁ、はぁ、ここに来るまでに一時間もかかるとか……疲れた」
「ハルト、体力なさすぎ」
「うるさいなぁ」
ハルト達はロイエルとの戦いのあとただひたすらまっすぐの道を歩きようやく【ロイゼン王国】の首都の門前までやってきた。
「入国希望か?」
「あ、はい。そうです」
「少し待ってくれ」
門を守るように立っていた鎧を着て長い槍を持った男はハルト達に話しかけるとそう言った。
(待ってくれって言ったのに何もしないで立ったままなんだが!?)
ハルトがそんな事を思っていると門の向こう側からから何かが走ってくる音が聞こえてきた。何事かと思いチラっと様子を見てみると奥から何台かの馬車が門に向かって走ってきていた。そして馬車は門をくぐり草原へと走っていった。
「何かあるのかな」
ハルトがポツリと呟くと男が「数時間前にあっちで大爆発が起こったんだ。それの調査に兵が向かってるんだよ」と親切に説明してくれたがハルトは少し焦り気味に「そ、そうなんですね~」とごまかす。
(絶対俺達のだろ!?)
「よし、待たせて悪かった。入国料は二人合わせて銅貨十枚だ」
シノはコートの中から布の袋の様なものを取り出しその中からじゃらじゃらと硬貨の音を鳴らせて銅貨を探す。ようやく銅貨十枚を取り出せたシノはそれを男に渡した。すると男は「ちゃんと十枚だ。行っていいぞ」と言ってハルト達の入国を許可した。入国を許可されたハルト達は早速門をくぐる。
「なんだあれは」
「銅像」
門をくぐると一番最初に目についたのはひらけた所に建っている大きな銅像だった。だが特に銅像に興味があるというわけでもなかったの二人はひとまずは完全スルーで先を進む。
「神がどうとか言ってたからここにいる人もやばい人かと思ってたけどそんな事はないんだな」
「やばいのは神託官だけ。たまに重度な国民もいるみたいだけど」
「神託官さえ居なければまともな国になるってことか」
「そういう事になる。あとは国王がもっと強気に出れるようになれば」
「でもやっぱあの神託官に脅されてたりしたら並の人間じゃ従うしかないんじゃないか」
「そんな考えだと国王はやっていけない」
「国王の在り方を心得ている!?」
無駄にリアクションをするハルトの手をシノは握り「あれ見たい」と言っていきなり話題を変えた。シノが言うあれとはどうやら服屋のようだった。まぁ、少しくらいならと思ったハルトはシノと一緒に服屋に向かった。
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気づけばすっかり日が暮れていた。一体何があればこれほどまで時間が経ってしまうのだろうか。その原因は明白である。それはやるべき事を忘れ遊び呆けていたからだ。
服屋を出た二人は次に屋台に行き食べ歩き。そして装備屋を見て食べ歩き。次に祭りでよく見る射的の様な事をしている屋台に行きシノの火魔法で屋台は半壊したが星型の白い髪飾りを手に入れた。お腹が空いたと言って食べ歩き。シノが武器を見たいと言って使わないはずなのに武器屋に行き勝手に出来の採点を始め店主に怒られたりと何かを忘れ二人はひたすら楽しんでいた。
そう、何かを忘れて。
「おい、待て。俺達何してるんだ?」
「……うん? 私達何してる?」
「ん?」
「……ん?」
「ん?」
「……んん?」
「んんんッッッ!!!???」
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