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一章
55.動き出す神託官
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「そう言えば犠牲者? っていうのについて調査してたんですよね?」
「そうだな」
「それでいい感じの情報が見つかってぇ」
「そうだ」
「ということは明日王城に突っ込むってことですかぁ!?」
「いやいや何も考え無しに王城に行くのはさすがにやばいだろ」
「二人共、それは明日考えよっ。もうねむい」
シノがハルトとラムネに言うと二人は素直に話を聞き入れ眠ることにした。急いで干し肉を口に入れ込んでラムネが布団を皆の元に持ってくる。その間にハルトとシノは藁の上で横になっていた。
「布団かけます~!」
「ありがとう」
ラムネは横になりながら二人に布団をかけようとする。だがしかしここで問題が発生する。それはまさかの布団が三人という人数に対応していなかったのである。その為ラムネ、シノの体の上には布団が行き渡っているがハルトは指先しか布団に入っていなかった。
シノはハルトが横になっているのとは反対の方を向いていてラムネはハルトの方を向いてはいるがシノで隠れて見えていなかった。誰もハルトの様子を見ることが出来ずついにはおやすみと言い二人は眠りについてしまった。
(……寒い寒いぞ。いや案外寒くはないかもしれない。そんな事思ってたら寒くなってきたぞ。せめて腕だけでも布団の中に入れさせてくれ。このままだと俺ボロ馬小屋エンドになるって!!)
ハルトはそーっとシノの体に触れないように布団の中に腕を入れ込んだが寒さの解決には至らなかった。仕方なくハルトは腕を布団から出しコートを脱いだ。そしてハルトは体をできるだけ丸めてその上に先程脱いだコートを被せた。布団より暖かいとは言えないが何もしていないよりかは随分過ごしやすくなった。
ハルトは次第に自分のぬくもりを感じながら眠りについていくのだった。
@@
馬小屋の至る所の隙間から強い太陽の光が差し込む。その光はピンポイントにハルト達の顔を照らしていた。あまりの眩しさに目を覚ましたハルトはあくびをしながら上体を起こす。そして目を擦りながらシノとラムネの方を見る。どうやら二人は仲良く眠っているようだ。ハルトは二人を起こさないように静かに立ち上がり布団代わりにしていたコートを羽織る。
(やっぱ朝はどこでも寒いな)
二人よりも早く起きてしまったハルトはなんだか暇になり散歩でもしてみることにした。藁の上で動く度に音がするのだがそれでさえ鳴らないように慎重に歩きついに馬小屋を出ることが出来たハルトは一歩前に足を進みだした瞬間どこからともなく大きな声が聞こえてきた。声の数的に団体で何かをしているのだろうか。
二人を起こさないように慎重に行動していたハルトだったが先程の何者かの大声でシノとラムネが目を覚ましてしまった。とっさにハルトは姿を隠そうとしたが完全にシノとハルトは目が合ってしまい隠れることは出来なかった。
立ち止まっているハルトにシノが「どこか行くの?」と尋ねるとハルトは散歩に行くだけのはずなのに何やらおどおどした様子で「さ、散歩にいっこかなぁ~って……。そ、それだけだぞ?」という。その時のシノは寝起きということもあって何も疑わずに「いってらっしゃあい」とハルトに言った。
しかし完全に目を覚ましていたラムネはとんでもない発言をシノにする。
「そう言えば昨日布団を洗いに行ってたら近くに一日中空いてる少しえっちぃなお店がありましたよ~!」
歩き出したハルトはその場で塊、シノは完全に目を覚ました。ハルトは背後でとてつもない殺気を感じていた。
「散歩、行くの?」
「あ、いやぁ、皆起きたみたいだしやめておこうかな。アハハ、アハ」
「ハルトさんもちゃんと男の子なんですねぇ!!!」
「お前はうるさい黙ってろ! ほんでもういっぺん寝てろォォ!!!!」
「……え、私の扱い酷くないですか」
散歩に行くことが出来なかったハルトは少しばかり元気がなさそうにして馬小屋へと引き返した。
(異世界は、容易ではない、何もかも…………)
その時どこかで大きな音と悲鳴が聞こえてくる。シノとラムネは布団をどかし立ち上がりハルトの顔を見つめる。少しの間があってから三人は頷き馬小屋を出た。
「これは嫌な予感がしますよぉ……なんだか」
「あぁ、俺もだ」
走り出そうとした時ハルトの足元に汚れた新聞が飛んできた。それに気付いたハルトは手を伸ばし新聞を手に取る。ついている汚れは簡単に払ったあとそれを他の二人にも見れるようにしながら新聞を開いた。
そして新聞の内容を見てハルトとラムネは驚いた。
ハルト達が見た新聞には【ロイゼン王国】の第三神託官であるロイエル・リヒルバーンの死が取り上げられていた。それともうひとつこの様なことが書かれていた。
半日刊世界情報誌ヘレボルスは【ロイゼン王国】についての独自調査でいくつかの情報を手に入れた。
一つ、第三神託官であるロイエル・リヒルバーンは何者かに殺された。
二つ、神託官同士での喧嘩が度々起こっていた。
三つ、国王であるハンデル国王は監禁されている可能性がある。
四つ、領内に存在する七の村の村民を奴隷として強制的に労働させ殺害している。
そしてまたどこかで大きな爆発音が【ロイゼン王国】に鳴り響く。
「そうだな」
「それでいい感じの情報が見つかってぇ」
「そうだ」
「ということは明日王城に突っ込むってことですかぁ!?」
「いやいや何も考え無しに王城に行くのはさすがにやばいだろ」
「二人共、それは明日考えよっ。もうねむい」
シノがハルトとラムネに言うと二人は素直に話を聞き入れ眠ることにした。急いで干し肉を口に入れ込んでラムネが布団を皆の元に持ってくる。その間にハルトとシノは藁の上で横になっていた。
「布団かけます~!」
「ありがとう」
ラムネは横になりながら二人に布団をかけようとする。だがしかしここで問題が発生する。それはまさかの布団が三人という人数に対応していなかったのである。その為ラムネ、シノの体の上には布団が行き渡っているがハルトは指先しか布団に入っていなかった。
シノはハルトが横になっているのとは反対の方を向いていてラムネはハルトの方を向いてはいるがシノで隠れて見えていなかった。誰もハルトの様子を見ることが出来ずついにはおやすみと言い二人は眠りについてしまった。
(……寒い寒いぞ。いや案外寒くはないかもしれない。そんな事思ってたら寒くなってきたぞ。せめて腕だけでも布団の中に入れさせてくれ。このままだと俺ボロ馬小屋エンドになるって!!)
ハルトはそーっとシノの体に触れないように布団の中に腕を入れ込んだが寒さの解決には至らなかった。仕方なくハルトは腕を布団から出しコートを脱いだ。そしてハルトは体をできるだけ丸めてその上に先程脱いだコートを被せた。布団より暖かいとは言えないが何もしていないよりかは随分過ごしやすくなった。
ハルトは次第に自分のぬくもりを感じながら眠りについていくのだった。
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馬小屋の至る所の隙間から強い太陽の光が差し込む。その光はピンポイントにハルト達の顔を照らしていた。あまりの眩しさに目を覚ましたハルトはあくびをしながら上体を起こす。そして目を擦りながらシノとラムネの方を見る。どうやら二人は仲良く眠っているようだ。ハルトは二人を起こさないように静かに立ち上がり布団代わりにしていたコートを羽織る。
(やっぱ朝はどこでも寒いな)
二人よりも早く起きてしまったハルトはなんだか暇になり散歩でもしてみることにした。藁の上で動く度に音がするのだがそれでさえ鳴らないように慎重に歩きついに馬小屋を出ることが出来たハルトは一歩前に足を進みだした瞬間どこからともなく大きな声が聞こえてきた。声の数的に団体で何かをしているのだろうか。
二人を起こさないように慎重に行動していたハルトだったが先程の何者かの大声でシノとラムネが目を覚ましてしまった。とっさにハルトは姿を隠そうとしたが完全にシノとハルトは目が合ってしまい隠れることは出来なかった。
立ち止まっているハルトにシノが「どこか行くの?」と尋ねるとハルトは散歩に行くだけのはずなのに何やらおどおどした様子で「さ、散歩にいっこかなぁ~って……。そ、それだけだぞ?」という。その時のシノは寝起きということもあって何も疑わずに「いってらっしゃあい」とハルトに言った。
しかし完全に目を覚ましていたラムネはとんでもない発言をシノにする。
「そう言えば昨日布団を洗いに行ってたら近くに一日中空いてる少しえっちぃなお店がありましたよ~!」
歩き出したハルトはその場で塊、シノは完全に目を覚ました。ハルトは背後でとてつもない殺気を感じていた。
「散歩、行くの?」
「あ、いやぁ、皆起きたみたいだしやめておこうかな。アハハ、アハ」
「ハルトさんもちゃんと男の子なんですねぇ!!!」
「お前はうるさい黙ってろ! ほんでもういっぺん寝てろォォ!!!!」
「……え、私の扱い酷くないですか」
散歩に行くことが出来なかったハルトは少しばかり元気がなさそうにして馬小屋へと引き返した。
(異世界は、容易ではない、何もかも…………)
その時どこかで大きな音と悲鳴が聞こえてくる。シノとラムネは布団をどかし立ち上がりハルトの顔を見つめる。少しの間があってから三人は頷き馬小屋を出た。
「これは嫌な予感がしますよぉ……なんだか」
「あぁ、俺もだ」
走り出そうとした時ハルトの足元に汚れた新聞が飛んできた。それに気付いたハルトは手を伸ばし新聞を手に取る。ついている汚れは簡単に払ったあとそれを他の二人にも見れるようにしながら新聞を開いた。
そして新聞の内容を見てハルトとラムネは驚いた。
ハルト達が見た新聞には【ロイゼン王国】の第三神託官であるロイエル・リヒルバーンの死が取り上げられていた。それともうひとつこの様なことが書かれていた。
半日刊世界情報誌ヘレボルスは【ロイゼン王国】についての独自調査でいくつかの情報を手に入れた。
一つ、第三神託官であるロイエル・リヒルバーンは何者かに殺された。
二つ、神託官同士での喧嘩が度々起こっていた。
三つ、国王であるハンデル国王は監禁されている可能性がある。
四つ、領内に存在する七の村の村民を奴隷として強制的に労働させ殺害している。
そしてまたどこかで大きな爆発音が【ロイゼン王国】に鳴り響く。
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