異世界は鬼畜でした。〜クラス転移したが唯一スキルなしで見放された俺は最後の魔女と出会い最強に成り代わる〜

丸手音狐

文字の大きさ
55 / 91
一章

55.動き出す神託官

しおりを挟む
「そう言えば犠牲者? っていうのについて調査してたんですよね?」

「そうだな」

「それでいい感じの情報が見つかってぇ」

「そうだ」

「ということは明日王城に突っ込むってことですかぁ!?」

「いやいや何も考え無しに王城に行くのはさすがにやばいだろ」

「二人共、それは明日考えよっ。もうねむい」

 シノがハルトとラムネに言うと二人は素直に話を聞き入れ眠ることにした。急いで干し肉を口に入れ込んでラムネが布団を皆の元に持ってくる。その間にハルトとシノは藁の上で横になっていた。

「布団かけます~!」

「ありがとう」

 ラムネは横になりながら二人に布団をかけようとする。だがしかしここで問題が発生する。それはまさかの布団が三人という人数に対応していなかったのである。その為ラムネ、シノの体の上には布団が行き渡っているがハルトは指先しか布団に入っていなかった。

 シノはハルトが横になっているのとは反対の方を向いていてラムネはハルトの方を向いてはいるがシノで隠れて見えていなかった。誰もハルトの様子を見ることが出来ずついにはおやすみと言い二人は眠りについてしまった。

(……寒い寒いぞ。いや案外寒くはないかもしれない。そんな事思ってたら寒くなってきたぞ。せめて腕だけでも布団の中に入れさせてくれ。このままだと俺ボロ馬小屋エンドになるって!!)

 ハルトはそーっとシノの体に触れないように布団の中に腕を入れ込んだが寒さの解決には至らなかった。仕方なくハルトは腕を布団から出しコートを脱いだ。そしてハルトは体をできるだけ丸めてその上に先程脱いだコートを被せた。布団より暖かいとは言えないが何もしていないよりかは随分過ごしやすくなった。

 ハルトは次第に自分のぬくもりを感じながら眠りについていくのだった。


@@


 馬小屋の至る所の隙間から強い太陽の光が差し込む。その光はピンポイントにハルト達の顔を照らしていた。あまりの眩しさに目を覚ましたハルトはあくびをしながら上体を起こす。そして目を擦りながらシノとラムネの方を見る。どうやら二人は仲良く眠っているようだ。ハルトは二人を起こさないように静かに立ち上がり布団代わりにしていたコートを羽織る。

(やっぱ朝はどこでも寒いな)

 二人よりも早く起きてしまったハルトはなんだか暇になり散歩でもしてみることにした。藁の上で動く度に音がするのだがそれでさえ鳴らないように慎重に歩きついに馬小屋を出ることが出来たハルトは一歩前に足を進みだした瞬間どこからともなく大きな声が聞こえてきた。声の数的に団体で何かをしているのだろうか。

 二人を起こさないように慎重に行動していたハルトだったが先程の何者かの大声でシノとラムネが目を覚ましてしまった。とっさにハルトは姿を隠そうとしたが完全にシノとハルトは目が合ってしまい隠れることは出来なかった。

 立ち止まっているハルトにシノが「どこか行くの?」と尋ねるとハルトは散歩に行くだけのはずなのに何やらおどおどした様子で「さ、散歩にいっこかなぁ~って……。そ、それだけだぞ?」という。その時のシノは寝起きということもあって何も疑わずに「いってらっしゃあい」とハルトに言った。

 しかし完全に目を覚ましていたラムネはとんでもない発言をシノにする。

「そう言えば昨日布団を洗いに行ってたら近くに一日中空いてる少しえっちぃなお店がありましたよ~!」

 歩き出したハルトはその場で塊、シノは完全に目を覚ました。ハルトは背後でとてつもない殺気を感じていた。

「散歩、行くの?」

「あ、いやぁ、皆起きたみたいだしやめておこうかな。アハハ、アハ」

「ハルトさんもちゃんと男の子なんですねぇ!!!」

「お前はうるさい黙ってろ! ほんでもういっぺん寝てろォォ!!!!」

「……え、私の扱い酷くないですか」

 に行くことが出来なかったハルトは少しばかり元気がなさそうにして馬小屋へと引き返した。

(異世界は、容易ではない、何もかも…………)

 その時どこかで大きな音と悲鳴が聞こえてくる。シノとラムネは布団をどかし立ち上がりハルトの顔を見つめる。少しの間があってから三人は頷き馬小屋を出た。

「これは嫌な予感がしますよぉ……なんだか」

「あぁ、俺もだ」

 走り出そうとした時ハルトの足元に汚れた新聞が飛んできた。それに気付いたハルトは手を伸ばし新聞を手に取る。ついている汚れは簡単に払ったあとそれを他の二人にも見れるようにしながら新聞を開いた。

 そして新聞の内容を見てハルトとラムネは驚いた。

 ハルト達が見た新聞には【ロイゼン王国】の第三神託官であるロイエル・リヒルバーンの死が取り上げられていた。それともうひとつこの様なことが書かれていた。


 半日刊世界情報誌ヘレボルスは【ロイゼン王国】についての独自調査でいくつかの情報を手に入れた。
 一つ、第三神託官であるロイエル・リヒルバーンは何者かに殺された。
 二つ、神託官同士での喧嘩が度々起こっていた。
 三つ、国王であるハンデル国王は監禁されている可能性がある。
 四つ、領内に存在する七の村の村民を奴隷として強制的に労働させ殺害している。


 そしてまたどこかで大きな爆発音が【ロイゼン王国】に鳴り響く。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓
ファンタジー
旧題:re:birth 〜勇者じゃないと追放された最強職【何でも屋】は、異世界でチートスキル【DIY】で無双します~ 「役立たずの貴様は、この城から出ていけ!」  国王から殺気を含んだ声で告げられた海人は頷く他なかった。  ある日、異世界に魔王討伐の為に主人公「石立海人」(いしだてかいと)は、勇者として召喚された。  その際に、判明したスキルは、誰にも理解されない【DIY】と【なんでも屋】という隠れ最強職であった。  だが、勇者職を有していなかった主人公は、誰にも理解されることなく勇者ではないという理由で王族を含む全ての城関係者から露骨な侮蔑を受ける事になる。  城に滞在したままでは、命の危険性があった海人は、城から半ば追放される形で王城から追放されることになる。 僅かな金銭で追放された海人は、生活費用を稼ぐ為に冒険者として登録し、生きていくことを余儀なくされた。  この物語は、多くの仲間と出会い、ダンジョンを攻略し、成りあがっていくストーリーである。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

処理中です...