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一章

62.vsメルリル②

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 ラムネはとんでくる氷の塊など無視してメルリルに走っていく。ラムネの顔、腕、足、お腹に氷が当たり血が流れるがそれでも果敢に攻めていく。

「これでも喰らってください~!!!!」

 ラムネは剣を両手で握り跳躍する。落下の勢いとともに剣に力をこめメルリルに斬りかかる。そしてメルリルに剣が触れそうになった瞬間、ラムネの剣は氷の剣で止まられた。しかしメルリルは剣など持ってはいなかった。ラムネが困惑しているとメルリルの隣に氷の鎧を着た大きな何かが剣を持って立っていた。驚いたラムネは一度メルリルから離れた。

 氷の塊が氷の障壁に当たらなくなったのに気づいたシノは障壁を消滅させハルトと共に状況を確認する。するとハルトとシノは目の前にいる氷の鎧を着た何かを見てラムネと同じ様に驚いていた。

「何なんだよ! あれは!!」

「……わからない。生成系のなにか?」

「ハルトさぁ~ん!! あいつ硬いですよぉ! どうするんですか!!」

「ん~~。溶かすか」

 氷には炎という当たり前の事をあえてやってみることにしたハルト。ハルトはそこまで炎の魔法に期待はしていないが試しに氷の鎧に向かって放った。するとなんとちゃんと氷の鎧を着た何かはちょっとずつ溶けていき水に変わっていった。

 この調子でと思ったその時メルリルは両腕を大きく広げる。するとメルリルの後ろに先程の氷の鎧を着た何かが沢山現れだした。

「おいおい、嘘だろ。また!?」

「どんな攻撃方法も全部きりがない」

「ハルトさん! 撤退希望撤退希望! これは無理ですよぉ!」

 ラムネがハルトの会話に夢中になっているとき氷の鎧がひそかにラムネに近づいていた。しかしそれには気づいていなかった。ハルトがとっさにラムネに危ないと大声で言ったおかげでなんとかラムネは剣で氷の鎧の攻撃を防ぐことができた。そしてラムネは受け止めている剣を押し返しすぐさま氷の鎧を斬る。氷の鎧は胴体を真っ二つに斬られ姿が消えた。

「あれ、結構やわいです! こいつ!」

「気をつけろよ!」

 そこからはラムネの戦国無双が始まった。回転しながら剣を振ったり、跳躍し剣を振り短いながら斬撃を喰らわせたりしてどんどんと氷の鎧を倒していく。ハルトとシノも後ろから炎の魔法を連射し次々氷の鎧を溶けさせていく。

「だめ」

 メルリルがそう言うとさらに氷の鎧の数が増え再びハルト達はそれの処理を行い始める。まさに無限地獄。

「ハルト、一発派手なのを」

「わかった。出来るだけ王城は傷つけないようにやってみる。ラムネ、離れてくれ!!!」

「わかりましたぁ!!」

 ハルトはメルリルに対して火の太い光線を放つ。それは地面を溶かしながら進んでいき周りにいた氷の鎧も触れずに溶けていく。そしてついに火の光線はメルリルに直撃し大爆発を起こす。力を弱めながらやったつもりのハルトだったが明らかに建物が崩れている様な音が聞こえ若干焦る。

「やりましたか!! これは!!」

「おまッ、それは!!」

 すると煙の中からメルリルの姿が現れる。耐えられ無傷なのかと思われたがどうやら多少傷があることからダメージが確実に入っているということがわかった。ハルトはもう一度同じ魔法を放とうとした時ついにメルリルが足を一歩前に動かした。

 ドゴォォォォン!!!!

 どこからか大きな建物が倒壊する音が聞こえてくる。その音は次第に近くなってきているという事にハルトは気付きシノに障壁を出して欲しいと頼む。シノはすぐにそれを承諾した。ハルトはラムネにこっちに来るように合図を送りラムネは走ってやってくる。全員が障壁の後ろに隠れていると音がさらに大きくなる。

 そしてハルト達の両横に建っている建物が崩れ落ちた。煙やら砂埃やらが舞い思わずハルト達は腕で顔を隠した。顔を隠した状態で地面を見た時ハルトは驚いた。なんと地面に氷が張り巡らされていたのだ。この氷は!? と思いハルトが腕をどかし顔をあげると、メルリルを中心とした半径約二十五メートルの建物が完全に崩れ落ち地面には氷が張られていた。

「何なんだこれは!!!?」

「こんなの筋肉よりも卑怯ですよぉ!!!」

 メルリルは両方の足を揃えたあと手を下に向ける。すると直径二十五メートル以内に張り巡らされた氷からあの氷の鎧がうようよと現れ始めた。その数は百体を超えていた。

 メルリルは冷めたような無表情で言う。

「もうおしまい」
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