異世界は鬼畜でした。〜クラス転移したが唯一スキルなしで見放された俺は最後の魔女と出会い最強に成り代わる〜

丸手音狐

文字の大きさ
75 / 91
一章

75.新たな旅へ

しおりを挟む
「あ、ハルト。ちょうど準備が出来てきたところだから。もう少し待っててね」

 ハルトが表に戻るとそこには長い机が用意されその上に沢山の豪勢な食事がずらーっと並べられていた。ハルトはすることがなく暇だったので一つの席に行き座りぼーっとしていると横の席にロイドが座ってきた。

「ハルトさん、今回は色々とありがとうございました」

「いえいえ」

「これからはより平和に暮らしていけそうな気がします。父があんなに笑顔なのは久しぶりに見ました。ハルトさん、もし困った事があったら遠慮なく言ってください!」

「そうさせてもらいます」

「あ、もう料理食べちゃっててもいいですよ」

「ほんとですか」

「はい! それじゃあまだ準備のほうがあるので戻りますね。楽しんでください」

 そう言ってロイドは立ち上がりどこかに歩いていった。一方ハルトはお腹が空いていたということもあり目の前に並ぶ料理を見てよだれが止まりそうになかった。そしてついに料理に手をつける。

「んまッ!!!」

 一度口にしたらそれはもう忘れられないほど癖になる味だった。ハルトはひたすらその料理を手に取り食べる。そんな事をしていると次第に準備を終えた村民達が続々と席に座り始めた。料理を食べながらハルトはあの二人遅いななんて思っていると後ろからやってきてハルトの両隣に座り込んだ。

「ハルトがもう食べてる」

「食べてもいいって言われたからな」

「私も」

 シノが料理に手をつけようとしたときロルガルドがコップを持って立ち上がる。

「皆の者、この村はもはや恐怖に怯える日々から解き放たれた。それもこれもハルト、シノ、ラムネ。この御三方のおかげじゃ。今回はそんな彼らに感謝の意を伝える為盛大にやろうではないか! では皆、前にあるコップを手に取るのじゃ」

 ロルガルドがそう言うと村民の皆はお酒の入ったコップを手に取り掲げ始める。ハルトも食べるのを止めてコップを持ち同じ様にする。シノとラムネも同様にコップを掲げた。

「御三方に感謝を込めてぇぇぇぇ!!!!」

「「「「おぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」

 掛け声が終わると皆お酒をグビッと流し込む。そして色々な談笑をしながら楽しい一時がはじまった。ハルトの隣ではお酒を一気に飲み込んだあと料理をばくばくと食べているラムネの姿があった。

「よくそんなに食うな」

「全部ハルトさんのせいですよ。一体いつぶりだとおもってるんですか!!!!」

 そしてハルトも料理を再び食べ始めた。しかしその時ハルトは腕に何かの重みを感じた。一体何かと思いハルトは横を見てみると眠ってしまいハルトに寄りかかっているシノの姿があった。どうやらお酒を一気に飲んでしまった事で酔ってしまったようだ。ハルトは寝ているシノが変な方向に倒れないように様子を見ながら食事を楽しんだのだった。


@@


「はぁ~こいつ、ほんと酒に弱すぎるだろ」

「私は強いですけどね!」

 楽しい宴は終わった直後ハルト達はアリアに今日はもう遅いからと言われ泊めて貰うことになった。そしてハルトはシノを抱き上げベッドまで連れていき寝かせる。

「ちょっと外行ってくる」

 シノをベッドに置き布団をかぶせたハルトはラムネにそう言って家を出た。家の前の少ししかない階段に座り込んで星空を眺める。しばらく色々と考えごとをしていると扉が開く音が聞こえてきた。ハルトは気になり後ろを向くとそこにはラムネが立っていた。

「なんかあったんですか? ハルトさん」

 ラムネはそう言いながらハルトの隣に座り込み一緒に星空を眺め始める。

「ただ昔の事を考えてただけだよ。それよりラムネ、そんな格好で夜に外に出てきたら風邪ひくぞ」

「大丈夫ですよ! 私頑丈なので!!」

「確かに馬鹿は風邪引かないっていうしな」

「ば、馬鹿ってなんですか!!!」

 ハルトは発言に反応したラムネにコートを脱ぎそっとコートをかけてあげる。かけるときラムネの肩にハルトの手が触れ思わずラムネはビクっとしてしまった。

「あ、ありがとうございます……」

「風邪引かれたら困るから貸してるだけだ」

「……わかってますよ。それくらい」

「そう言えば助けて欲しいことがあるって言ってたよな」

「そうですよ! やっとことが片付きましたしお願いします!!!」

「いいけど、助けて欲しい内容を知りたいんだが」

「それは見たほうが早いと思うので! 早くいきましょう!!!」

「そうか。んじゃ明日朝イチでいくか」

「はい!!」

 ハルトは立ち上がり扉の方に向かい出す。

「待ってくださいよぉ!!!」

 ラムネも急いで立ち上がりハルトについていったのだった。


@@


 翌朝。

 馬車に数少ない荷物を乗せて出発する準備をしていた。そこにアリアやラット、村民の人達が集まってきていた。どうやらハルト達を見送ってくれるようだ。準備が終わりハルトがアリア達に礼を言いに近づいた時アリアが大きな袋を抱えだしハルトに渡そうとしていた。急いでハルトはそれを受け取る。想像以上にその袋は重く思わずハルトはふらついてしまった。

「これは果物とか野菜とか食料が入ってるわ。これだけじゃ恩を返しきれないのはわかってるけど最初はこれで許してね?」

「ありがとうございます。皆さん、本当にありがとうございます!!」

 ハルトは丁寧に礼を言う。後ろでは軽くぺこっとお辞儀をするシノと絶対下げ過ぎなラムネがいた。礼を言ったハルトは貰った荷物を馬車に入れ込んだ。

「それじゃあ、皆さん。またどこかで!!」

「元気でな!!!」
「また来てね!!」
「ワシが死ぬ前に来るんじゃよ!」
「ちょっと父さん、変な事言わないで! あ、ハルトさんまたいつか!!!!」

 シノとラムネは馬車の荷台に乗り込んだ。今回馬車を操縦するのはハルトである。操縦は未経験だがなんとなくやってみたかったそうだ。馬車の後ろでは村民の人達がハルト達に向けて手を振っている。それに対してラムネは勢いよく手を振り返していた。

「行くぞ」

 ついに馬車が動き始めた。

「ハルト、上手」

「初めてとは思えないですね!!」

「案外いけるもんなんだな」

 初見でも案外出来た事にハルトは驚いていた。

「えーっとそれでどこに迎えばいいんだ?」

 ハルトが聞くとラムネはハルトの方に移動してきてよくわからない方向を指さして大きな声で言い出す。

「次に目指すは夢の都【レアルタ】です!!!!!!」

 こうしてハルト達は夢の都【レアルタ】に向かうのだった。


「耳元で叫ぶな!!」

「った!! 今叩きましたね!! これはもれなく極刑に処しますよ!!!」

「ラムネの言っている意味が理解できない」

「するだけ無駄だ」

「それは酷いですよぉぉぉ!!!!!!!」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓
ファンタジー
旧題:re:birth 〜勇者じゃないと追放された最強職【何でも屋】は、異世界でチートスキル【DIY】で無双します~ 「役立たずの貴様は、この城から出ていけ!」  国王から殺気を含んだ声で告げられた海人は頷く他なかった。  ある日、異世界に魔王討伐の為に主人公「石立海人」(いしだてかいと)は、勇者として召喚された。  その際に、判明したスキルは、誰にも理解されない【DIY】と【なんでも屋】という隠れ最強職であった。  だが、勇者職を有していなかった主人公は、誰にも理解されることなく勇者ではないという理由で王族を含む全ての城関係者から露骨な侮蔑を受ける事になる。  城に滞在したままでは、命の危険性があった海人は、城から半ば追放される形で王城から追放されることになる。 僅かな金銭で追放された海人は、生活費用を稼ぐ為に冒険者として登録し、生きていくことを余儀なくされた。  この物語は、多くの仲間と出会い、ダンジョンを攻略し、成りあがっていくストーリーである。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

処理中です...