異世界は鬼畜でした。〜クラス転移したが唯一スキルなしで見放された俺は最後の魔女と出会い最強に成り代わる〜

丸手音狐

文字の大きさ
90 / 91
二章

89.招かれざる神

しおりを挟む
 核保管庫の近くに男女が二人。
 二人の名はルーシア、クロード。
 そして二人の先には子供のようにも見えるが青年のようにも見える男が立っていた。

「ふふ、またおもしろいもの見つけちゃった!」
「どうやら俺達以外にも招かれざる客人がいたようだ」

 青年はルーシア達の方に体を向けながら話し始める。

「随分酷いことを言うね。それにその言い方、僕が誰かってわかってるみたいだね」
「遥か昔から世界を混乱に陥れてきた最悪の組織、九神エニアグラムの一人、レントール。そんな存在がなぜこんなところに。何の用だ」
「いやぁ、なんかねぇ、僕達の探し者に手をつけようとする良くない人達がいてね。正直この核? とかいうやつには興味ないんだ」
「興味がないのならどいてくれ。僕達は早急に遂行する必要があるんだ」
「まだ気付かないの? だぁかぁらぁ!! お前ら二人のことだよ。余計なことしないでくれる?」
「何かをした覚えなんてないが」
「ちょっと口が悪くなっちゃったね。優しく言うとこの場所から早く消えてほしいんだ。邪魔をされると困るからね!」
「こっちも同じ意見だ」
「そう、なら仕方ないね。どうせこの建物が完全に崩壊すれば君達も消えるんだから付き合ってあげるよ」

 クロードは横にいるルーシアに防御結界を付与したあと自身にも防御結界を付与しいつ攻撃されても防げるようにした。
 付与した防御結界は今までのとは異なり何層かを重ねることでさらに耐久性をあげている。
 その耐久性は核を守る結界に匹敵するいやそれ以上の可能性もある。

 剣を羽織っている服の中から取り出し堂々と構える。
 一方ルーシアは何かを企んでいるのかわからないが少しだけクロードとの距離を取るために後ろに移動した。
 レントールは二人を目の前にして慄くという様子はなくむしろ微笑んでいた。
 クロードはいよいよ剣を握りしめレントールの方へと歩きながら近づき始める。
 両者余裕があるようで異様なまでに落ち着いていた。

「僕は君達を消せるなら本気だってだしてあげるよ。ただ本気を出すのにふさわしくなかったら出せないけどね」
「ならば一瞬で引き出させてやる」

 クロードは剣先を地面に向けたあと一度レントールの方に向け次に天に向ける。それを歩きながら行い振り上げた剣をレントールの近くまで来たところでとてつもない速さで振り下ろした。
 シュンッ!!! という鋭い音が一瞬だけ鳴った。
 だがレントールはクロードの攻撃を容易に避け腕を組みながら二人を見ていた。

「防御結界かぁ、早めに潰さないと厄介なことになりそうだね」
「ようやく気づけたか。学習出来てよかったな」
「君は先手が当てられなかった事を悔いた方が良いと思うけどね」
「後悔など一度もしたことがなければこれからも後悔することなどない」

 クロードはレントールの方に駆けだす。
 まずは一振り、そしてまた一振り、何度も振って振って振り続けてはレントールにそれを簡単に避けられていく。
 しかしここでクロードはあえて剣を振らず剣先をレントールに向かって突き出した。
 いきなり攻撃の仕方が変わったレントールはやや驚いていたがすぐに対応し後ろに回避をしようとした。
 だがクロードはこの瞬間を狙っていた。

「かかったな」

 後ろにさがってクロードの攻撃を回避しようとしたレントールの背後に防御結界を展開し行き場を失わさせる。
 そうなると恐らく左右または上に移動すると考えたクロードはさらにレントールの左右と上を防御結界を展開し行き場を潰していく。
 クロードは開いている一箇所に向かって剣先を突き出して走っていく。

「随分面白い使い方をするんだね。気に入った。僕もちょっとは力を見せてあげるよ」
「させるか」

 クロードが強く握りしめている剣の先がレントールの体にあと少しで刺さろうした時後ろで崩れていく核保管庫の瓦礫が何かに操られたかのように異常な速さで飛んできた。
 クロードの剣はその瓦礫にぶつかり弾き返されてしまう。
 その後も立て続けにレントールの目の前に鉄の瓦礫がとてつもない速さで飛んでくる。
 危険だと感じたクロードは一度ルーシアのいる後ろに後退した。

「クロード、何してるの? つまんないんだけど。早く終わらせて」
「今置かれている状況がわからないのか。馬鹿にも限度ってものがあるだろ」
「私は馬鹿じゃないし! ただ楽しいことをしてたいだけ。なのにクロードがいつまでもいつまでも時間をかけてるから私は怒ってるんだよ! だから、早くし・て・ね?」
「やはり一緒に遂行しようと考えた僕が馬鹿だったみたいだ。価値観が違う、そんなこと最初からわかってたのにな。防御結界は解除する。これ以上余計に体力を消耗すると僕が危うい」
「ふふ、勝手にすれば~? 私は思うままに生きる! それが私、ルーシアなんだから~!!」

 ルーシアのあまりにも状況を理解していなさすぎる言動に呆れこれまで付与していた防御結界を解除した。 
 二人がそんなことをしている間にレントールの前には徐々に瓦礫が集まり何かを形成していく。
 クロードは今から起きようとしている事に焦りや驚き、ワクワクを感じながら額から汗をたらしている。

「次は僕の番だね。さぁ、力の片鱗でも見せてあげるよ」

 レントールがまるで二人を小馬鹿にしているような口調で言うと鉄の瓦礫が大きなオーク、トロールに似た形状をしたものになっていた。
 自我があるのかそれともレントールが操っているのかどちらかはわからないが鉄の瓦礫にまるで命が宿ったかのように腕の部分と思われる場所がビクッと動いた。
 その後クロードの心の中で疑問は確信へと変わる。
 鉄で形成された化け物は少しして本格的に動き始めた。

「まずはこれで遊んでみてよ。きっと面白いからさ」

 すると鉄の化け物はクロードの方に足を一歩動かし出した。
 クロードは片手で剣を握りしめもしもの時の為にもう片方の手では剣を持たないようにした。
 鉄の化け物は一歩前に進むと停止したと思いきや手を握りしめ地面にいるクロードに向かって殴りかかった。
 クロードは剣を持っていないもう一方の手で防御結界を何層にも渡って自身の目の前に展開する。
 そして鉄の化け物の拳が防御結界に衝突するととてつもない音が響き渡ると同時にクロードは徐々に押されていく。
 鉄の化け物の拳の威力は凄まじく既に地面に亀裂が入っていた。
 その中クロードは押し負けないように歯をくいしばりながら防御結界を展開し続ける。

「クロード、何してるの? まさか本当に厳しいとか? そうじゃないならもっと頑張らないとだよ!」
「黙ってろ!!!!」
「こわ~い!」

 危険だと言うのにルーシアはクロードの近くからは離れずただずっと負けそうになっているクロードを見て楽しそうにしていた。
 
「ずっと防御結界されてちゃ困るから、次のステップいくよ!」

 レントールはそう言って両手を合わせて一回だけ叩いた。
 すると鉄の化け物は明らかに先程までとは様子が異なりより一層クロードの防御結界を押し始めた。
 少しするといよいよ防御結界の限界が来たようで一層だけヒビが入った。

「馬鹿な……僕の防御結界はそう簡単には破られないはずなのに……」
「僕には通用しない。君の常識もこの都の常識も世界の常識も。だって僕は九神エニアグラムなんだから」
「……ッ!!」

 片手ではもう耐えられないと思ったクロードは剣を地面に落とし両手で防御結界の維持と再展開を行い始めた。
 だが時間が進む事に結界は何枚も割れていく。それに合わせて再展開を行っていくがもはやそれも時間の問題である。
 接戦をしていると再びレントールが両手を合わせて手を叩く。
 するとまたもや鉄の化け物のちからは強まり先程までよりも早いペースで結界が次々に割られていく。

 クロードがこのままでは……と思った瞬間鉄の化け物がもう片方の手でも拳を作り殴りかかった。
 もう片方の威力に耐えきれなくなった防御結界はパリンッパリンッパリンッと連続して割れていく。
 そしてクロードに付与されていた防御結界も割られそのまま地面に叩き潰されてしまった。

 激しい砂埃が舞い上がり状況がわからなくなっていると鉄の化け物は片方の手を元の位置に戻した。
 砂埃が少しして消えるとクロードはえぐれた地面に血を流しながら横たわっていた。
 そしてその隣では鉄の化け物の拳がルーシアの能力スキルによって減速しまったく当たる気配がなかった。

「こっちの方が厄介だったか。僕としたことが見誤ってしまったよ。それより楽しい時間はここまでにしておこうか。僕はまだ出番じゃないからね」
「次会う時は私のことを楽しませてね!」

 レントールが二回手を叩く。すると鉄の化け物は小さな鉄の玉になりレントールの手のひらに落ちた。
 一方ルーシアは倒れるクロードを見て微笑みルンルンとしながらその場を離れていった。

「せいぜいゆっくり眠りなよ」

 レントールは内ポケットから小さな刃物を取り出すとそれを高く上空に投げる。
 刃物は上まで上がるととてつもない速さで落下していく。その刃物の落下地点はクロードの心臓部分だった。
 しかしクロードは起き上がろうにも足も腕も完全に潰れておりどうしようもできなかった。
 そしてそのまま刃物はクロードの心臓に突き刺さる。
 血がじわーっと広がっていくと同時に体が徐々に光となって空に向かっていった。

 レントールはその姿を見ることはなくどこか知らないところへ歩き出した。

「さて、魔女。君は絶対に僕達のものにするから。逃さないよ」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

パーティーから追放され、ギルドから追放され、国からも追放された俺は、追放者ギルドをつくってスローライフを送ることにしました。

さら
ファンタジー
 勇者パーティーから「お前は役立たずだ」と追放され、冒険者ギルドからも追い出され、最後には国からすら追放されてしまった俺――カイル。  居場所を失った俺が選んだのは、「追放された者だけのギルド」を作ることだった。  仲間に加わったのは、料理しか取り柄のない少女、炎魔法が暴発する魔導士、臆病な戦士、そして落ちこぼれの薬師たち。  周囲から「無駄者」と呼ばれてきた者ばかり。だが、一人一人に光る才能があった。  追放者だけの寄せ集めが、いつの間にか巨大な力を生み出し――勇者や王国をも超える存在となっていく。  自由な農作業、にぎやかな炊き出し、仲間との笑い合い。  “無駄”と呼ばれた俺たちが築くのは、誰も追放されない新しい国と、本物のスローライフだった。  追放者たちが送る、逆転スローライフファンタジー、ここに開幕!

処理中です...