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第3章
みんなでランチ
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そして、昼休み。
「せーいーちゃんっ!」
チャイムが鳴るのとほぼ同時に、そーちゃんが私の席へとやって来た。
「ねえ。約束どおり、校内を案内してくれる?」
「あっ、うん。いいよ」
「あと、良かったら僕と一緒にランチしない?」
ランチか……。私は、天音ちゃんのほうへと目をやる。
いつも昼休みは、天音ちゃんと一緒にご飯を食べてるから。
「ねぇ、そーちゃん。良かったら、天音ちゃんも一緒に良い? 私の友達なんだけど」
「せーちゃんの友達? もちろんだよ」
そーちゃんがニッコリ笑う。
「せっかくだけど星奈。あたし、今回は遠慮しとく」
「えっ、天音ちゃんどうして?」
「だって、想良くんの邪魔しちゃ悪いもん」
え、そーちゃんの邪魔??
「あたし、星奈の恋を応援したいけど。なんか想良くんのことも、応援したくなっちゃった。こうも分かりやすくストレートな男子、悪くないわ。推せる」
ウンウンと、ひとりで頷く天音ちゃん。
「積もる話もあるだろうし。今日はふたりで楽しんでよ」
「サンキュー、山下さん」
「いいえ。という訳で、ふたりとも行ってらっしゃい!」
よく分からないまま、私は天音ちゃんに元気よく見送られ、そーちゃんと教室を出た。
「えっと。ここが図書室で……」
そーちゃんに校内を案内しながら、学食へと向かう。
「あのさ。せーちゃん、会わない間に可愛くなったよね」
「え?」
「3年前もキュートだったけど。そのときよりも、今はもっと可愛くなった」
そーちゃんのストレートな言葉に、胸がドキッと跳ねる。
「もっ、もう~! やだな、そーちゃんったら。それを言うなら、そーちゃんだって……」
私は、隣を歩くそーちゃんのことをそっと見上げる。
間近で改めて見ると、そーちゃんは背が高くて。中学生とは思えないくらい大人っぽくて、かっこいい。
それに、さっきからずっと気になっていたんだけど。
廊下ですれ違う女子生徒たちが、みんな振り返ってはそーちゃんのことを見ていく。
「ねぇ。あれが噂の転校生?」
「うわっ! 実物、すっごいイケメン!」
そーちゃんのことを見て、みんなキャーキャー。
転校初日からこれなんだから、ほんとすごいや。
休み時間にウチのクラスに来る女の子の数が、明日から更に増えそうだなあ。
それから学食に行って、そーちゃんと一緒にお昼ご飯。
私は持参のお弁当。そーちゃんは、ハンバーグ定食にしたらしい。
「そーちゃん、ハンバーグ定食にしたんだ?」
「うん。どれにしようか迷っていたら、陽向がこれが美味しいって教えてくれて」
えっ、陽向が?
そーちゃんの口から出た『陽向』という名前にドキッとする。
もしかしたら陽向も学食にいるのかなと、思わずキョロキョロしていると。
「……ここ、いい?」
誰かに声をかけられ、そちらに目をやると。
「ひ、陽向!?」
なんと、空席だった私の隣に陽向が座った。
「おっ、陽向。さっきは、メニューおすすめしてくれてありがとう」
「ああ」
そーちゃんに一言返すと、ハンバーグを食べ始める陽向。
「ちょっと、ヒナくん! オレ、あっちで席取って待ってたのに。なに違うとこに行ってんだよ」
少しして、水上くんもやって来た。
「やあ、虹輝。せっかくだし、キミも一緒にランチしようよ」
「えっ、いいの?」
「いいよね? せーちゃん」
「うん。人数が多いほうが楽しいし」
そーちゃんに聞かれて、私は頷く。
「ていうか、想良。アメリカでバスケやってたんだって?」
「イエス」
「アメリカってバスケの本場だよな? 話、詳しく聞かせてよ」
水上くんとそーちゃんが、バスケの話で盛り上がる。
家の近所に住んでいた頃、そーちゃんは陽向と一緒に学校のミニバスチームに入っていて。
あの頃のそーちゃんは、陽向と同じくらいバスケが上手だった。
そっか。そーちゃんも、今までずっとバスケを続けてたんだ。
「そうだ。気になってたんだけど、せーちゃんって今付き合ってる人とかいるの?」
「ぶっ!」
全く想定外のことをそーちゃんに聞かれ、私は飲んでいたお茶を吹き出しそうになる。
「へ!? つ、付き合ってる人?!」
「そ。ボーイフレンド」
チラッと横目で陽向を見ると、陽向はただ黙々とご飯を食べている。
「えっと、彼氏は……いないよ」
“許嫁”だったら、いるけど。
前に陽向に『俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ?』って言われたし。
たぶん、この答えで良いはず。
「そっか。だったら……僕が、せーちゃんの彼氏に立候補してもいい?」
「え……そーちゃんが、私の彼氏?!」
突然のことに、私は固まってしまう。
「か、彼氏に立候補だなんて……」
そーちゃんのことだから、もしかしてアメリカンジョーク的な感じで言ったのかな?
「おい、想良。アメリカから帰ってきて早々、なに星奈のこと口説いてんだよ」
黙々とご飯を食べていた陽向が、口を開く。
「もし、からかってるだけだったらやめとけ」
「ひどいなあ、陽向。いくら僕でも、からかってこんなこと言わないよ。僕は本気だ」
私を見るそーちゃんの目は、真剣そのもの。
「なに? 僕にそんなことを言うってことは、もしかして陽向も……せーちゃんのことが好きなの?」
私のことを好きかって。こんなところで何を聞いてるの、そーちゃん。
心臓がものすごい速さで、鼓動を打つ。
「彼女のことが好きだから。陽向は、僕がせーちゃんの彼氏に立候補するって言ったのが気に入らない。そうだよね?」
確信するような言い方をするそーちゃんを、陽向が無言で睨みつける。
「……ばーか。ちげえよ。俺はただ、星奈の幼なじみとして心配だっただけだ。お前が本気なら、それで良い」
「そっか。僕が日本にいなかったこの3年間で、せーちゃんをモノにしていなかったってことは……そういうことだもんね。良かったよ、陽向がライバルじゃなくて」
「当たり前だろ」
陽向が、席から勢いよく立ち上がる。
「それなら、これからは遠慮なくいかせてもらうよ」
「好きにしろよ。ただし、今朝みたいな手の甲にキスとか。星奈の嫌がることだけは、絶対にするんじゃねえぞ」
「オーケー」
それだけ言うと、お昼を食べ終わった陽向はトレーを持ってさっさと歩いて行った。
私は、ふいに横から電撃をくらったような気分になる。
中学2年生になって、陽向と許嫁だということが分かって。
陽向に、球技大会のバスケの練習に付き合ってもらったり。
私の作ったハンバーグを、美味しいって褒めてもらったり。
雷を怖がる私のことを、陽向が優しく抱きしめてくれたり。
以前よりも陽向と関わることが増えて、彼にたくさん優しくしてもらってたからウッカリ忘れかけていたけれど。
──『俺は別に、せーなのことなんて好きじゃねえよ』
私は小学生のとき、すでに陽向に振られているんだった。
それなのに……陽向の口から発せられた言葉にまたショックを受けるなんて。
私は、一体なにを期待していたんだろう。
少し前に陽向に『これまで通り幼なじみの関係に戻ろう』と言われたからって、彼が私のことを好きっていうわけではないのに。
「……星奈ちゃん、大丈夫?」
私の斜め向かいに座る水上くんが、心配そうに声をかけてくれる。もしかして、顔に出ちゃってたかな?
「良かったら、これどうぞ」
水上くんが、私にイチゴのキャンディをいくつか渡してくれる。
「ありがとう」
水上くんからもらったキャンディを、私はさっそく口に含む。
水上くんの優しさと、イチゴの程よい甘みが、傷ついた心をほんの少し癒してくれた。
「せーいーちゃんっ!」
チャイムが鳴るのとほぼ同時に、そーちゃんが私の席へとやって来た。
「ねえ。約束どおり、校内を案内してくれる?」
「あっ、うん。いいよ」
「あと、良かったら僕と一緒にランチしない?」
ランチか……。私は、天音ちゃんのほうへと目をやる。
いつも昼休みは、天音ちゃんと一緒にご飯を食べてるから。
「ねぇ、そーちゃん。良かったら、天音ちゃんも一緒に良い? 私の友達なんだけど」
「せーちゃんの友達? もちろんだよ」
そーちゃんがニッコリ笑う。
「せっかくだけど星奈。あたし、今回は遠慮しとく」
「えっ、天音ちゃんどうして?」
「だって、想良くんの邪魔しちゃ悪いもん」
え、そーちゃんの邪魔??
「あたし、星奈の恋を応援したいけど。なんか想良くんのことも、応援したくなっちゃった。こうも分かりやすくストレートな男子、悪くないわ。推せる」
ウンウンと、ひとりで頷く天音ちゃん。
「積もる話もあるだろうし。今日はふたりで楽しんでよ」
「サンキュー、山下さん」
「いいえ。という訳で、ふたりとも行ってらっしゃい!」
よく分からないまま、私は天音ちゃんに元気よく見送られ、そーちゃんと教室を出た。
「えっと。ここが図書室で……」
そーちゃんに校内を案内しながら、学食へと向かう。
「あのさ。せーちゃん、会わない間に可愛くなったよね」
「え?」
「3年前もキュートだったけど。そのときよりも、今はもっと可愛くなった」
そーちゃんのストレートな言葉に、胸がドキッと跳ねる。
「もっ、もう~! やだな、そーちゃんったら。それを言うなら、そーちゃんだって……」
私は、隣を歩くそーちゃんのことをそっと見上げる。
間近で改めて見ると、そーちゃんは背が高くて。中学生とは思えないくらい大人っぽくて、かっこいい。
それに、さっきからずっと気になっていたんだけど。
廊下ですれ違う女子生徒たちが、みんな振り返ってはそーちゃんのことを見ていく。
「ねぇ。あれが噂の転校生?」
「うわっ! 実物、すっごいイケメン!」
そーちゃんのことを見て、みんなキャーキャー。
転校初日からこれなんだから、ほんとすごいや。
休み時間にウチのクラスに来る女の子の数が、明日から更に増えそうだなあ。
それから学食に行って、そーちゃんと一緒にお昼ご飯。
私は持参のお弁当。そーちゃんは、ハンバーグ定食にしたらしい。
「そーちゃん、ハンバーグ定食にしたんだ?」
「うん。どれにしようか迷っていたら、陽向がこれが美味しいって教えてくれて」
えっ、陽向が?
そーちゃんの口から出た『陽向』という名前にドキッとする。
もしかしたら陽向も学食にいるのかなと、思わずキョロキョロしていると。
「……ここ、いい?」
誰かに声をかけられ、そちらに目をやると。
「ひ、陽向!?」
なんと、空席だった私の隣に陽向が座った。
「おっ、陽向。さっきは、メニューおすすめしてくれてありがとう」
「ああ」
そーちゃんに一言返すと、ハンバーグを食べ始める陽向。
「ちょっと、ヒナくん! オレ、あっちで席取って待ってたのに。なに違うとこに行ってんだよ」
少しして、水上くんもやって来た。
「やあ、虹輝。せっかくだし、キミも一緒にランチしようよ」
「えっ、いいの?」
「いいよね? せーちゃん」
「うん。人数が多いほうが楽しいし」
そーちゃんに聞かれて、私は頷く。
「ていうか、想良。アメリカでバスケやってたんだって?」
「イエス」
「アメリカってバスケの本場だよな? 話、詳しく聞かせてよ」
水上くんとそーちゃんが、バスケの話で盛り上がる。
家の近所に住んでいた頃、そーちゃんは陽向と一緒に学校のミニバスチームに入っていて。
あの頃のそーちゃんは、陽向と同じくらいバスケが上手だった。
そっか。そーちゃんも、今までずっとバスケを続けてたんだ。
「そうだ。気になってたんだけど、せーちゃんって今付き合ってる人とかいるの?」
「ぶっ!」
全く想定外のことをそーちゃんに聞かれ、私は飲んでいたお茶を吹き出しそうになる。
「へ!? つ、付き合ってる人?!」
「そ。ボーイフレンド」
チラッと横目で陽向を見ると、陽向はただ黙々とご飯を食べている。
「えっと、彼氏は……いないよ」
“許嫁”だったら、いるけど。
前に陽向に『俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ?』って言われたし。
たぶん、この答えで良いはず。
「そっか。だったら……僕が、せーちゃんの彼氏に立候補してもいい?」
「え……そーちゃんが、私の彼氏?!」
突然のことに、私は固まってしまう。
「か、彼氏に立候補だなんて……」
そーちゃんのことだから、もしかしてアメリカンジョーク的な感じで言ったのかな?
「おい、想良。アメリカから帰ってきて早々、なに星奈のこと口説いてんだよ」
黙々とご飯を食べていた陽向が、口を開く。
「もし、からかってるだけだったらやめとけ」
「ひどいなあ、陽向。いくら僕でも、からかってこんなこと言わないよ。僕は本気だ」
私を見るそーちゃんの目は、真剣そのもの。
「なに? 僕にそんなことを言うってことは、もしかして陽向も……せーちゃんのことが好きなの?」
私のことを好きかって。こんなところで何を聞いてるの、そーちゃん。
心臓がものすごい速さで、鼓動を打つ。
「彼女のことが好きだから。陽向は、僕がせーちゃんの彼氏に立候補するって言ったのが気に入らない。そうだよね?」
確信するような言い方をするそーちゃんを、陽向が無言で睨みつける。
「……ばーか。ちげえよ。俺はただ、星奈の幼なじみとして心配だっただけだ。お前が本気なら、それで良い」
「そっか。僕が日本にいなかったこの3年間で、せーちゃんをモノにしていなかったってことは……そういうことだもんね。良かったよ、陽向がライバルじゃなくて」
「当たり前だろ」
陽向が、席から勢いよく立ち上がる。
「それなら、これからは遠慮なくいかせてもらうよ」
「好きにしろよ。ただし、今朝みたいな手の甲にキスとか。星奈の嫌がることだけは、絶対にするんじゃねえぞ」
「オーケー」
それだけ言うと、お昼を食べ終わった陽向はトレーを持ってさっさと歩いて行った。
私は、ふいに横から電撃をくらったような気分になる。
中学2年生になって、陽向と許嫁だということが分かって。
陽向に、球技大会のバスケの練習に付き合ってもらったり。
私の作ったハンバーグを、美味しいって褒めてもらったり。
雷を怖がる私のことを、陽向が優しく抱きしめてくれたり。
以前よりも陽向と関わることが増えて、彼にたくさん優しくしてもらってたからウッカリ忘れかけていたけれど。
──『俺は別に、せーなのことなんて好きじゃねえよ』
私は小学生のとき、すでに陽向に振られているんだった。
それなのに……陽向の口から発せられた言葉にまたショックを受けるなんて。
私は、一体なにを期待していたんだろう。
少し前に陽向に『これまで通り幼なじみの関係に戻ろう』と言われたからって、彼が私のことを好きっていうわけではないのに。
「……星奈ちゃん、大丈夫?」
私の斜め向かいに座る水上くんが、心配そうに声をかけてくれる。もしかして、顔に出ちゃってたかな?
「良かったら、これどうぞ」
水上くんが、私にイチゴのキャンディをいくつか渡してくれる。
「ありがとう」
水上くんからもらったキャンディを、私はさっそく口に含む。
水上くんの優しさと、イチゴの程よい甘みが、傷ついた心をほんの少し癒してくれた。
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