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第1章
幼なじみ宣言②
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「ごめんね、澄野さん」
申し訳なさそうに眉を八の字にして、天音ちゃんの前の席に座る水上くん。
水上くんの少し茶色く染められた髪は、無造作にセットされていて。初めてこんなに間近で見た彼は、中性的でキレイな顔立ちをしている。
「あっ、こうちゃんだー」
「これ、新発売のお菓子なんだけど。こうちゃんにあげる~」
「えっ、いいの? ありがとうー!」
水上くんが、通りすがりの女の子たちからお菓子をもらっている。
その飾らない笑顔に、私も思わず頬が緩む。
「えへへ。お菓子もらっちゃったー」
水上くんは、いつも明るくニコニコしていて。イケメンでお金持ちだけど親しみやすい雰囲気から、みんなから『こうちゃん』と呼ばれている。
「これ、澄野さんと山下さんにあげる~」
水上くんが、私と天音ちゃんに先ほど女子からもらったお菓子をいくつかくれた。
「学食の席、譲ってくれたお礼だよ」
「ありがとう」
「ホワイトチョコ味のグミって、珍しいよねえ。お、美味い!」
さっそくもらったグミを口の中へポイッと入れ、笑顔になる水上くん。水上くんは笑顔が可愛くて。彼をただ見てるだけで、癒し効果がある。
「あっ。おーい、ヒナくん。こっちー」
水上くんが、トレイを手にした陽向を手招きしている。
「ていうか虹輝、なんでお前ここに座ってんの?」
こちらへとやってきた陽向は、私を見てあからさまに嫌そうな顔をする。
陽向にそんな嫌そうな顔をされたら、やっぱり嫌われてるのかなって思っちゃうよ。
心がキュッと痛む。
「空いてる席探してたら、山下さんが呼んでくれたんだよ」
「へえ」
「ねえ、ヒナくんも早く座りなよ。せっかくのラーメンが伸びちゃうよ」
陽向、ラーメンを注文したんだ。
「そうだな」
陽向が私の前の席に腰をおろし、ラーメンを食べ始める。
「ちょっと、ヒナくん。山下さんたちに、ありがとうとか言えないわけー?」
「……」
水上くんに返事することなく、黙々とラーメンをすする陽向。
ていうか、学年の2トップ男子が同じ席にいるからか、さっきから周りの女の子にすごく見られているような。
そう思うと途端に緊張してきた私は、早くこの場から去りたくて。少し冷めた残りのパスタを、急いで口に入れる。
「……星奈、ゆっくり食べろよ」
「へ?」
「急いだら、また昨日みたいにむせるぞ?」
まさか、学校で陽向がそんなことを言ってくれるなんて。心配してくれてるのかな?
「分かった」
「ん」
ゆっくり食べだした私に向かって、陽向が小さく笑う。
「うそ。一之瀬くんが笑ってる」
「やばいやばい」
いつもクールな陽向のレアな笑顔に、周りの女子がザワザワする。
「あの、陽向……」
「なに?」
こんな皆がいるところで、陽向って呼んで。もしかしたら睨まれるんじゃないかと、ビクビクしたけど。
返事をしてくれたことにほっとする。
「昨日は、ハンカチありがとう」
「いいよ」
「あと、これ……お礼にクッキー焼いてきたの」
「おー。サンキュ」
私がハンカチとクッキーを渡すと、陽向はちゃんと受け取ってくれた。その視線が、一瞬だけクッキーから私の顔に移ったような気がした。
「あれあれ。ヒナくん、そのハンカチは?」
「なんでもねえよ」
「ていうか今更だけど、ヒナくんと澄野さんって知り合いなの?」
「えっと……」
水上くんに聞かれた私は、言葉につまる。
しまった。私ったら、こんな人が沢山いる学食でハンカチを返したりして。軽率だったかも。
陽向と許嫁だってことは、言うなって言われてるし。幼なじみもダメなら、なんて答えれば……。
「……幼なじみだよ」
私が迷っていると、正面に座る陽向が口を開いた。
「俺と星奈は、幼なじみだ」
陽向の発言に、周りの女子の皆がまたザワつく。
「えー! 澄野さんって、一之瀬くんの幼なじみなの!?」
「羨ましいー!」
ま、まさか……陽向が私と幼なじみだってことを公言するなんて。びっくりしすぎて、私は思わず金魚みたいに口をパクパク。
「何だよ星奈、そんなに驚いて。俺は、本当のことを言っただけだろ?」
「そっ、そうだけど」
「もしかして、俺たちが幼なじみだって言ったらまずかった?」
「う、ううん!」
私は、首を何度も横にふる。
中学に入学してから、陽向は私と学校では一度たりとも話していなかったのに。陽向ってば、急にどうしちゃったんだろう。
「へぇー。澄野さんって、ヒナくんの幼なじみなんだ。だったら、仲良くしないとねえ」
水上くんが席を立つと、私に向かって手を差し出してくる。彼の笑顔は、太陽みたいにまぶしい。
「えっと、水上くん……この手は?」
「これからよろしくって意味の握手だよ。オレ、星奈ちゃんともっと仲良くなりたいし?」
そういうことなら……と、初めて握った水上くんの手は、私の手よりもうんと大きくて。
普段は癒し系の水上くんだけど、彼の手はしっかりと男の子のものだった。
申し訳なさそうに眉を八の字にして、天音ちゃんの前の席に座る水上くん。
水上くんの少し茶色く染められた髪は、無造作にセットされていて。初めてこんなに間近で見た彼は、中性的でキレイな顔立ちをしている。
「あっ、こうちゃんだー」
「これ、新発売のお菓子なんだけど。こうちゃんにあげる~」
「えっ、いいの? ありがとうー!」
水上くんが、通りすがりの女の子たちからお菓子をもらっている。
その飾らない笑顔に、私も思わず頬が緩む。
「えへへ。お菓子もらっちゃったー」
水上くんは、いつも明るくニコニコしていて。イケメンでお金持ちだけど親しみやすい雰囲気から、みんなから『こうちゃん』と呼ばれている。
「これ、澄野さんと山下さんにあげる~」
水上くんが、私と天音ちゃんに先ほど女子からもらったお菓子をいくつかくれた。
「学食の席、譲ってくれたお礼だよ」
「ありがとう」
「ホワイトチョコ味のグミって、珍しいよねえ。お、美味い!」
さっそくもらったグミを口の中へポイッと入れ、笑顔になる水上くん。水上くんは笑顔が可愛くて。彼をただ見てるだけで、癒し効果がある。
「あっ。おーい、ヒナくん。こっちー」
水上くんが、トレイを手にした陽向を手招きしている。
「ていうか虹輝、なんでお前ここに座ってんの?」
こちらへとやってきた陽向は、私を見てあからさまに嫌そうな顔をする。
陽向にそんな嫌そうな顔をされたら、やっぱり嫌われてるのかなって思っちゃうよ。
心がキュッと痛む。
「空いてる席探してたら、山下さんが呼んでくれたんだよ」
「へえ」
「ねえ、ヒナくんも早く座りなよ。せっかくのラーメンが伸びちゃうよ」
陽向、ラーメンを注文したんだ。
「そうだな」
陽向が私の前の席に腰をおろし、ラーメンを食べ始める。
「ちょっと、ヒナくん。山下さんたちに、ありがとうとか言えないわけー?」
「……」
水上くんに返事することなく、黙々とラーメンをすする陽向。
ていうか、学年の2トップ男子が同じ席にいるからか、さっきから周りの女の子にすごく見られているような。
そう思うと途端に緊張してきた私は、早くこの場から去りたくて。少し冷めた残りのパスタを、急いで口に入れる。
「……星奈、ゆっくり食べろよ」
「へ?」
「急いだら、また昨日みたいにむせるぞ?」
まさか、学校で陽向がそんなことを言ってくれるなんて。心配してくれてるのかな?
「分かった」
「ん」
ゆっくり食べだした私に向かって、陽向が小さく笑う。
「うそ。一之瀬くんが笑ってる」
「やばいやばい」
いつもクールな陽向のレアな笑顔に、周りの女子がザワザワする。
「あの、陽向……」
「なに?」
こんな皆がいるところで、陽向って呼んで。もしかしたら睨まれるんじゃないかと、ビクビクしたけど。
返事をしてくれたことにほっとする。
「昨日は、ハンカチありがとう」
「いいよ」
「あと、これ……お礼にクッキー焼いてきたの」
「おー。サンキュ」
私がハンカチとクッキーを渡すと、陽向はちゃんと受け取ってくれた。その視線が、一瞬だけクッキーから私の顔に移ったような気がした。
「あれあれ。ヒナくん、そのハンカチは?」
「なんでもねえよ」
「ていうか今更だけど、ヒナくんと澄野さんって知り合いなの?」
「えっと……」
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しまった。私ったら、こんな人が沢山いる学食でハンカチを返したりして。軽率だったかも。
陽向と許嫁だってことは、言うなって言われてるし。幼なじみもダメなら、なんて答えれば……。
「……幼なじみだよ」
私が迷っていると、正面に座る陽向が口を開いた。
「俺と星奈は、幼なじみだ」
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「えー! 澄野さんって、一之瀬くんの幼なじみなの!?」
「羨ましいー!」
ま、まさか……陽向が私と幼なじみだってことを公言するなんて。びっくりしすぎて、私は思わず金魚みたいに口をパクパク。
「何だよ星奈、そんなに驚いて。俺は、本当のことを言っただけだろ?」
「そっ、そうだけど」
「もしかして、俺たちが幼なじみだって言ったらまずかった?」
「う、ううん!」
私は、首を何度も横にふる。
中学に入学してから、陽向は私と学校では一度たりとも話していなかったのに。陽向ってば、急にどうしちゃったんだろう。
「へぇー。澄野さんって、ヒナくんの幼なじみなんだ。だったら、仲良くしないとねえ」
水上くんが席を立つと、私に向かって手を差し出してくる。彼の笑顔は、太陽みたいにまぶしい。
「えっと、水上くん……この手は?」
「これからよろしくって意味の握手だよ。オレ、星奈ちゃんともっと仲良くなりたいし?」
そういうことなら……と、初めて握った水上くんの手は、私の手よりもうんと大きくて。
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