クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

藤永ゆいか

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第2章

ドキドキの球技大会②

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「一之瀬くんたち、すごかったね」
「ほんと」

陽向たちの試合後、笑顔の天音ちゃんに私は頷く。

「次は、あたしたちの試合だね」

ストレッチをする天音ちゃんに言われて、私はゴクリと唾を飲み込む。

「2年7組と3年4組のメンバーは第2コートに集まってください」

しばらく天音ちゃんと体育館の隅で準備運動していると、体育館内にアナウンスが響き渡る。

いよいよだ……! 私たちはコートに駆けていき、整列する。

目の前に立っているのは、バスケ部の人が半数という3年生の対戦チーム。皆さん背が高くて、なんだか強そう。

優勝候補とも言われているからか、コートの外で見ている観客の数も意外と多くて。人に見られてるって思うと、途端に心臓が騒がしくなってくる。

やだ。また緊張してきちゃったよ。さっき陽向に励ましてもらってからは、緊張が一旦落ち着いていたのに。
人の目が、たくさんあるからかな?

「よろしくお願いします!」

元気よく互いに挨拶をして、コートにバラけていく。

「スーハー」

試合開始のホイッスルが鳴る前に、私はどうにか気持ちを落ち着かせようと何度か深呼吸するも、ドキドキはまだ治まらない。

やばい、どうしよう……。


「……2年7組ファイトーッ!」

すると体育館に突如、明るい声が響き渡った。
そちらに目をやると、コートの近くにいつの間にか水上くんが立っていた。その隣には、陽向もいる。

「みんなリラックスして。スマイル、スマイル!」

明るくそう言って変顔をしてみせる水上くんに、私やチームメイトたちは試合直前にも関わらず、思わず吹き出してしまう。

「もう! やだ、こうちゃんったら」
「最高ーッ!」

先ほどまでどことなく強ばっていたチームメイトの表情も、変顔効果で随分とやわらいでいて。私の胸のドキドキも、落ち着いてきた。

「みんな! また緊張しそうになったら、オレのさっきの変顔を思い出してね」

キラキラの笑顔で手を大きく振ってくれる水上くんに、私もチームメイトたちも手を振り返す。

ほんとすごいな、水上くんは。彼のお陰で張りつめていた場の空気が一瞬でなごんで、緊張もどこかへ吹き飛んでしまったよ。


──ピーッ!

それからしばらくして、試合開始のホイッスルが鳴る。ジャンプボールがあり、みんなが本格的に動き出す。

「澄野さん!」
「はいっ!」

チームメイトからパスを受け取り、私はディフェンスをかわして、ゴール付近にいる天音ちゃんにボールを放つ。

そして天音ちゃんは、きれいなフォームで見事シュートを決めた。

やった! まさか、先輩たちよりも先に得点できるなんて。

「天音ちゃん、ナイスシュート!」
「星奈も、ナイスパス!」

それから、試合は順調に進んでいき……。同点のまま、試合時間は残り2分を切った。

優勝候補だと言われているチームと点差が大きく開くことなくここまで来られたなんて、ほんと奇跡。

このままなんとか、私たちが先に得点したいところだけど。チームメイトからのパスを受けて、私は天音ちゃんにボールを投げるも、敵チームに奪われてしまう。

しまった……!

私も負けじとボールを追いかけ、それからも攻防戦が続く。
両チームともこれ以上相手に点を取らせまいと、みんな必死だ。

「澄野さん!」

再びチームメイトからパスされた私は、ドリブルをして味方の子にパスを回そうとするが……。

「星奈、もう時間がないからそのままシュートして!」
「え。わ、私が!?」

天音ちゃんに言われて得点板のほうを見ると、試合時間は残り30秒を切っている。

「星奈が今、一番ゴールに近いから!」

確かに。ゴールは今、私の目と鼻の先。

こんな大事な局面でシュートをして、もしちゃんと決められなかったらと思うと怖い。
心臓も、バクバク鳴ってうるさい。
でも……大丈夫。陽向に教えてもらったとおりに、やれば良いんだ。

覚悟を決めた私は、その場でシュートの体制に入る。

えっと、肩や肘はリラックスさせて。ゴールをしっかりと見据えて、狙いを定める。

そしてあとは、自分を信じるのみ……!

大丈夫。私なら、きっとできる。

陽向に教えてもらったことを思い出しながら私は、バスケットゴールに向かって思い切りシュートした。

お願い、入って──!

──スパッ。

私が放ったボールは、ゴールへと綺麗に吸い込まれていった。

「わああああ!」

その瞬間、体育館には歓声と拍手が巻き起こる。

ピピーーッ!

そしてすぐに、試合終了を告げるホイッスルが鳴り響いた。

「キャー、星奈ーッ!!」
「ナイスシュート!!」

天音ちゃんやチームの子たちが、勢いよく私に抱きついてくる。

かっ、勝った……?
私、シュートが決まったんだ!
やったあ!

天音ちゃんに抱きしめられながら私がふと、観客のほうに目をやると。陽向が真っ直ぐこちらを見ていた。

口を大きく動かして、何かを伝えてくれている。

「お め で と う」
「……っ!」

──『おめでとう』

好きな人からの祝福は、人一倍嬉しくて。

私は陽向に微笑むと、ピースサインをした。

私がこうしてシュートを決められたのも、陽向のお陰だよ。



それから私たちは、その後の試合も懸命に戦った。だけど、私のチームは決勝戦で負けてしまい、惜しくも準優勝という結果に終わった。

でも、陽向と秘密の特訓をしたり。水上くんの変顔で、試合前の緊張を和らげてもらったりして。
天音ちゃんやチームのみんなと一生懸命戦ったこの球技大会は、私にとって忘れられない思い出となった。
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