18 / 30
第3章
ブラックコーヒー①
しおりを挟む
水上くんの予期せぬ告白から、数日後。
「おはよー、星奈ちゃん」
「あっ。水上くん、おはよう」
「今日もお互い頑張ろうね!」
水上くんは学校で会うと、今まで通り変わらず笑顔で私に声をかけてくれる。
朝一番に水上くんの無邪気な笑顔を見ると、いつも元気をもらえるから不思議だな。
* * *
「ねえ、せーちゃん。明後日の日曜日って空いてる?」
学校の休み時間。私が自分の席で読書をしていると、そーちゃんがやって来た。
「えっと、日曜日は何も予定がなかったと思う」
「だったら、日曜日は部活が休みだから。急で悪いんだけど、僕と付き合ってくれない?」
「え?」
『付き合って』と言われて、ドキリと心臓が跳ねる。
「親戚の女の子に誕生日プレゼントを渡したいんだけど。何が良いのか分からないから、せーちゃんに一緒に買い物に付き合って欲しくて」
あっ、なんだ。付き合ってって、そういうことかあ。
「分かった。私で良ければ、付き合うよ」
私は、迷わず即答する。
「ありがとう! それじゃあ詳しいことは、またメッセージするね」
「はーい」
離れていくそーちゃんに、私が手をひらひらと振っていると。
「ちょっと、ちょっと。星奈~!」
そーちゃんと入れ替わるようにして、天音ちゃんが私の元に駆け寄って来た。
「今の想良くんとの話、聞こえちゃったんだけど……」
「あっ、ごめんね。天音ちゃん、そーちゃんのことが好きなのに」
「あたしの好きは、恋愛のほうの好きじゃないから良いの。それより、今のは絶対にデートのお誘いだよ!」
「へ!?」
デッ、デート!?
「いや~、想良くんもやるねぇ。ほんと、積極的でいいわ」
なぜだか天音ちゃんは、そーちゃんのことを褒めているけれど。そもそもデートは、お互い好きな人同士がするものじゃないのかな?
私はただ、そーちゃんのプレゼント選びに付き合うだけだから。きっとこれは、デートじゃないと思うのだけど。
翌日。土曜日の夕方。
「それじゃあ、星奈。陽向くんによろしくね」
「うん。行ってらっしゃい」
私は自宅前で夜勤に行くお母さんと別れると、近所の陽向の家へと向かう。
土曜日限定の陽向の家でのふたり暮らしも、早いものでそろそろ2ヶ月になる。
──ピンポーン。
最初の頃は、陽向の家のインターフォンをただ押すだけでもやけに緊張したけど。さすがに今はもう慣れた。
──ガチャッ。
家のドアが開き、陽向が顔を出す。
「……うっす」
「こんにちは」
私が挨拶すると、陽向が私の前までツカツカとやって来る。
「……」
ん? どうしたんだろう?
「星奈……おでこ」
すると、陽向が私の前髪を手でかきあげる。
「良かった。もうすっかり治ったみたいだな」
私のおでこを見た陽向が、微笑む。
「もし怪我の痕が残ったりしたら、どうしようかと思った」
……あ。
陽向は、この前私がおでこにバレーボールが直撃したときのことを、まだ気にしてくれてたんだ。
あれは、陽向がぶつけた訳じゃないのに。
「ありがとう。もう大丈夫だよ」
おでこを親指で優しく撫でてくれる陽向に、私も微笑んだ。
* * *
「んーっ」
夕食後。リビングのテーブルに陽向と向かい合って座る私は、顔をしかめる。
私が作った夕飯を食べたあと、陽向と一緒に学校の宿題をするのが、ここ最近の流れになりつつある。
私は今、数学の宿題のプリントに取り組んでいるんだけど。分からない問題に直面してしまって、そこから一向に進まないんだよね。
私が、しばらく頭を悩ませていると。
「よし。できた」
「えっ、もう!?」
思わず声を出してしまったけど、目の前の陽向のプリントは、答えが全て埋まっている。
私はまだ、半分ほどしかできていないのに。
一緒に宿題をやり始めて、わずか15分ほどで終わっちゃうなんて。さすが、陽向。成績学年首位の人は、やっぱり違うなあ。
私も少しでも陽向に近づけるように、頑張らないと。
私が気合いを入れ直したそのとき。
「……それで? 星奈は、さっきから一体どこでつまずいてんの?」
気づいたら、向かいに座っていたはずの陽向が私の隣に腰をおろしていた。
「ひ、陽向!?」
いつの間に、私の隣に!?
「俺で良ければ、教えるけど」
「いっ、いいの?」
「おう。星奈、さっきから全然進んでないし。その調子じゃ、日付が変わって朝になりそうだしな」
「朝になりそうって……」
私は、ムッとする。
「陽向、いくら何でもひどいよ」
「ははっ。悪い悪い」
陽向が、白い綺麗な歯を見せて笑う。
最近、微笑む陽向は何度か見ていたけど。今みたいに、楽しそうに声を出して笑う陽向は、久しぶりに見たかもしれない。
「それで? どの問題?」
「こっ、これなんだけど」
「ああ、これは……」
隣から、私のプリントを覗き込んでくる陽向の距離が近くて。すぐそばから清潔感のある良い香りがして、ドキドキする……!
「おはよー、星奈ちゃん」
「あっ。水上くん、おはよう」
「今日もお互い頑張ろうね!」
水上くんは学校で会うと、今まで通り変わらず笑顔で私に声をかけてくれる。
朝一番に水上くんの無邪気な笑顔を見ると、いつも元気をもらえるから不思議だな。
* * *
「ねえ、せーちゃん。明後日の日曜日って空いてる?」
学校の休み時間。私が自分の席で読書をしていると、そーちゃんがやって来た。
「えっと、日曜日は何も予定がなかったと思う」
「だったら、日曜日は部活が休みだから。急で悪いんだけど、僕と付き合ってくれない?」
「え?」
『付き合って』と言われて、ドキリと心臓が跳ねる。
「親戚の女の子に誕生日プレゼントを渡したいんだけど。何が良いのか分からないから、せーちゃんに一緒に買い物に付き合って欲しくて」
あっ、なんだ。付き合ってって、そういうことかあ。
「分かった。私で良ければ、付き合うよ」
私は、迷わず即答する。
「ありがとう! それじゃあ詳しいことは、またメッセージするね」
「はーい」
離れていくそーちゃんに、私が手をひらひらと振っていると。
「ちょっと、ちょっと。星奈~!」
そーちゃんと入れ替わるようにして、天音ちゃんが私の元に駆け寄って来た。
「今の想良くんとの話、聞こえちゃったんだけど……」
「あっ、ごめんね。天音ちゃん、そーちゃんのことが好きなのに」
「あたしの好きは、恋愛のほうの好きじゃないから良いの。それより、今のは絶対にデートのお誘いだよ!」
「へ!?」
デッ、デート!?
「いや~、想良くんもやるねぇ。ほんと、積極的でいいわ」
なぜだか天音ちゃんは、そーちゃんのことを褒めているけれど。そもそもデートは、お互い好きな人同士がするものじゃないのかな?
私はただ、そーちゃんのプレゼント選びに付き合うだけだから。きっとこれは、デートじゃないと思うのだけど。
翌日。土曜日の夕方。
「それじゃあ、星奈。陽向くんによろしくね」
「うん。行ってらっしゃい」
私は自宅前で夜勤に行くお母さんと別れると、近所の陽向の家へと向かう。
土曜日限定の陽向の家でのふたり暮らしも、早いものでそろそろ2ヶ月になる。
──ピンポーン。
最初の頃は、陽向の家のインターフォンをただ押すだけでもやけに緊張したけど。さすがに今はもう慣れた。
──ガチャッ。
家のドアが開き、陽向が顔を出す。
「……うっす」
「こんにちは」
私が挨拶すると、陽向が私の前までツカツカとやって来る。
「……」
ん? どうしたんだろう?
「星奈……おでこ」
すると、陽向が私の前髪を手でかきあげる。
「良かった。もうすっかり治ったみたいだな」
私のおでこを見た陽向が、微笑む。
「もし怪我の痕が残ったりしたら、どうしようかと思った」
……あ。
陽向は、この前私がおでこにバレーボールが直撃したときのことを、まだ気にしてくれてたんだ。
あれは、陽向がぶつけた訳じゃないのに。
「ありがとう。もう大丈夫だよ」
おでこを親指で優しく撫でてくれる陽向に、私も微笑んだ。
* * *
「んーっ」
夕食後。リビングのテーブルに陽向と向かい合って座る私は、顔をしかめる。
私が作った夕飯を食べたあと、陽向と一緒に学校の宿題をするのが、ここ最近の流れになりつつある。
私は今、数学の宿題のプリントに取り組んでいるんだけど。分からない問題に直面してしまって、そこから一向に進まないんだよね。
私が、しばらく頭を悩ませていると。
「よし。できた」
「えっ、もう!?」
思わず声を出してしまったけど、目の前の陽向のプリントは、答えが全て埋まっている。
私はまだ、半分ほどしかできていないのに。
一緒に宿題をやり始めて、わずか15分ほどで終わっちゃうなんて。さすが、陽向。成績学年首位の人は、やっぱり違うなあ。
私も少しでも陽向に近づけるように、頑張らないと。
私が気合いを入れ直したそのとき。
「……それで? 星奈は、さっきから一体どこでつまずいてんの?」
気づいたら、向かいに座っていたはずの陽向が私の隣に腰をおろしていた。
「ひ、陽向!?」
いつの間に、私の隣に!?
「俺で良ければ、教えるけど」
「いっ、いいの?」
「おう。星奈、さっきから全然進んでないし。その調子じゃ、日付が変わって朝になりそうだしな」
「朝になりそうって……」
私は、ムッとする。
「陽向、いくら何でもひどいよ」
「ははっ。悪い悪い」
陽向が、白い綺麗な歯を見せて笑う。
最近、微笑む陽向は何度か見ていたけど。今みたいに、楽しそうに声を出して笑う陽向は、久しぶりに見たかもしれない。
「それで? どの問題?」
「こっ、これなんだけど」
「ああ、これは……」
隣から、私のプリントを覗き込んでくる陽向の距離が近くて。すぐそばから清潔感のある良い香りがして、ドキドキする……!
0
あなたにおすすめの小説
笑いの授業
ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。
文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。
それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。
伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。
追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
【奨励賞】おとぎの店の白雪姫
ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】
母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。
ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし!
そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。
小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり!
他のサイトにも掲載しています。
表紙イラストは今市阿寒様です。
絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。
未来スコープ ―キスした相手がわからないって、どういうこと!?―
米田悠由
児童書・童話
「あのね、すごいもの見つけちゃったの!」
平凡な女子高生・月島彩奈が偶然手にした謎の道具「未来スコープ」。
それは、未来を“見る”だけでなく、“課題を通して導く”装置だった。
恋の予感、見知らぬ男子とのキス、そして次々に提示される不可解な課題──
彩奈は、未来スコープを通して、自分の運命に深く関わる人物と出会っていく。
未来スコープが映し出すのは、甘いだけではない未来。
誰かを想う気持ち、誰かに選ばれない痛み、そしてそれでも誰かを支えたいという願い。
夢と現実が交錯する中で、彩奈は「自分の気持ちを信じること」の意味を知っていく。
この物語は、恋と選択、そしてすれ違う想いの中で、自分の軸を見つけていく少女たちの記録です。
感情の揺らぎと、未来への確信が交錯するSFラブストーリー、シリーズ第2作。
読後、きっと「誰かを想うとはどういうことか」を考えたくなる一冊です。
まぼろしのミッドナイトスクール
木野もくば
児童書・童話
深夜0時ちょうどに突然あらわれる不思議な学校。そこには、不思議な先生と生徒たちがいました。飼い猫との最後に後悔がある青年……。深い森の中で道に迷う少女……。人間に恋をした水の神さま……。それぞれの道に迷い、そして誰かと誰かの想いがつながったとき、暗闇の空に光る星くずの方から学校のチャイムが鳴り響いてくるのでした。
不幸でしあわせな子どもたち 「しあわせのふうせん」
山口かずなり
絵本
小説 不幸でしあわせな子どもたち
スピンオフ作品
・
ウルが友だちのメロウからもらったのは、
緑色のふうせん
だけどウルにとっては、いらないもの
いらないものは、誰かにとっては、
ほしいもの。
だけど、気づいて
ふうせんの正体に‥。
【完結】キスの練習相手は幼馴染で好きな人【連載版】
猫都299
児童書・童話
沼田海里(17)は幼馴染でクラスメイトの一井柚佳に恋心を抱いていた。しかしある時、彼女は同じクラスの桜場篤の事が好きなのだと知る。桜場篤は学年一モテる文武両道で性格もいいイケメンだ。告白する予定だと言う柚佳に焦り、失言を重ねる海里。納得できないながらも彼女を応援しようと決めた。しかし自信のなさそうな柚佳に色々と間違ったアドバイスをしてしまう。己の経験のなさも棚に上げて。
「キス、練習すりゃいいだろ? 篤をイチコロにするやつ」
秘密や嘘で隠されたそれぞれの思惑。ずっと好きだった幼馴染に翻弄されながらも、その本心に近付いていく。
※現在完結しています。ほかの小説が落ち着いた時等に何か書き足す事もあるかもしれません。(2024.12.2追記)
※「キスの練習相手は〜」「幼馴染に裏切られたので〜」「ダブルラヴァーズ〜」「やり直しの人生では〜」等は同じ地方都市が舞台です。(2024.12.2追記)
※小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、ノベルアップ+、Nolaノベル、ツギクルに投稿しています。
※【応募版】を2025年11月4日からNolaノベルに投稿しています。現在修正中です。元の小説は各話の文字数がバラバラだったので、【応募版】は各話3500~4500文字程になるよう調節しました。67話(番外編を含む)→23話(番外編を含まない)になりました。
ナナの初めてのお料理
いぬぬっこ
児童書・童話
ナナは七歳の女の子。
ある日、ナナはお母さんが仕事から帰ってくるのを待っていました。
けれど、お母さんが帰ってくる前に、ナナのお腹はペコペコになってしまいました。
もう我慢できそうにありません。
だというのに、冷蔵庫の中には、すぐ食べれるものがありません。
ーーそうだ、お母さんのマネをして、自分で作ろう!
ナナは、初めて自分一人で料理をすることを決めたのでした。
これは、ある日のナナのお留守番の様子です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる