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第5章
恐怖①
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「それじゃあ、星奈。また明日ね」
「うん。バイバイ!」
この日の学校が終わり、私は昇降口のところで天音ちゃんと別れる。
いつもは天音ちゃんと、駅まで一緒に歩いて帰るんだけど。天音ちゃんは今日急ぎの用があるらしく、学校にお迎えの車が来ているらしい。
ひとりなら、駅前の本屋さんにでも寄って帰ろうかな。今日は、いつも読んでる少女漫画の新刊の発売日なんだよね。
そんなことを考えながら、私がローファーに履き替えようとしたときだった。
──グイッ。
私は横からいきなり、誰かに腕を掴まれてしまった。
「だっ、誰!?」
「澄野さん。悪いけど、あたしと一緒に来てくれる?」
「えっ!?」
腕を掴んでいる人は、全く面識のない女の子。
「突然ごめんね。あたし、4組の西田っていいます」
4組の西田さん? やっぱり知らない。
「あなたに、ちょっと聞きたいことがあるの」
「聞きたいこと?」
「ええ。すぐに終わるから……ねっ?」
ニコッと微笑む西田さん。でも、その笑顔とは裏腹に、私の腕を掴んでいる西田さんの手の力は思いのほか強くて。
簡単に振りほどくこともできず、私は彼女についていくしかなかった。
◇
「それで、質問に答えて欲しいんだけど」
ちょっと、待って。何これ……。
西田さんに腕を引かれ、連れて来られたのは学校の屋上。
そこには、西田さんの他に派手な見た目の2年生があと3人いた。
全員、友達でも顔見知りでもないけれど。これは、もしかしなくても……やばいやつだよね?
身の危険を察した私が、咄嗟に走って逃げようとしたとき。
「おっと。話はまだ終わってないでしょう?」
先回りした一人に、屋上の出入口を塞がれてしまった。
「それで、私に聞きたいことって?」
「あのね。最近2年生の間で、澄野さんのことが噂になってるのよ」
4人のなかでもリーダー格の、金髪の子が口を開く。
「私が、噂に?」
「そう。澄野さんが一之瀬くんと秋川くんに、二股かけてるってね」
二股って、何それ……!
「わたしは、水上くんと三股って聞いたけど」
……ひどい。根も葉もない噂に、私は言葉が出なくなる。
「ねえ。その噂ってホント?」
「いっ、いえ。二股なんて私……そんなことしてません! もちろん三股もっ!」
私が即座に否定すると、金髪さんがキツく睨みつける。
「はぁ? よく言うわよ。澄野さんって、一之瀬くんと許嫁なんでしょう?」
「どっ、どうしてそれを……」
学校で陽向と許嫁であることは、天音ちゃん以外の誰にも話していないのに。
「……やっぱりそうなんだ」
しまった。私は慌てて口を手で押さえるも、もう遅かった。
「澄野さんのクラスの田中さんって子が、この前スーパーで一之瀬くんと会ったときに、ふたりの話を偶然聞いたんですって」
うそ。あのとき、スーパーで田中さんの姿が見えなくなってから陽向のところへ行ったのに。
まさか、陽向との会話を彼女に聞かれていたなんて。うかつだった。
「一之瀬くんが、いつも女の子からの告白を断ってるのって。もしかして……あなたという許嫁がいるからなのかしら」
──え?
「だから、一之瀬くんは誰からの告白も受け入れないんじゃないの?」
陽向に限って、そんなことあるはずがない。だって私は、小学生の頃にもうとっくに彼に振られているんだもん。
「あたし、この前一之瀬くんに告白したけど。フラれちゃって……ううっ」
私を屋上に連れてきた西田さんが突然泣き出し、私を見る金髪さんたちの目がさらに鋭くなる。
「澄野さん。この前も、想良くんとショッピングモールに行ってたことが噂になってたよね?」
「許嫁がいるのに浮気するなんて、サイテー!」
「たいして可愛くもないのに。TOP3のみんなに、ちょっと気に入られてるからって調子にのらないでよ!」
ドンッ。
「きゃあ」
金髪さんにいきなり強く肩を押され、私は体のバランスを崩してコンクリートの上に尻もちをついてしまった。
「いっ……!」
尻もちをついた際に足を捻ったらしく、右足首にズキッと痛みが走る。
「一之瀬くんという許嫁がいるくせに。秋川くんやこうちゃんまで、たぶらかさないでよ!」
「わっ、私はそーちゃんたちのこと、たぶらかしてなんかいない。ふたりとも、大切なクラスメイトで……」
私が言葉を発すると、4人に一斉に睨みつけられる。
ひいっ。コンクリートに尻もちをついたままの私を、4人が取り囲むようにして立っていて……すごく怖い。
「大切なクラスメイトとか。そういうの、ほんとウザ」
「どうして一之瀬くんだけでなく、こうちゃんも想良くんも……こんな子が良いの?」
「ありえないわ」
4人とも口々に言うばかりで。私の話なんて、誰ひとり聞く耳を持ってくれない。
私は、唇を噛みしめる。
「みんなのTOP3のことを独り占めした悪い子には、罰を受けてもらわなきゃ」
え? 罰ってなに……?!
「うん。バイバイ!」
この日の学校が終わり、私は昇降口のところで天音ちゃんと別れる。
いつもは天音ちゃんと、駅まで一緒に歩いて帰るんだけど。天音ちゃんは今日急ぎの用があるらしく、学校にお迎えの車が来ているらしい。
ひとりなら、駅前の本屋さんにでも寄って帰ろうかな。今日は、いつも読んでる少女漫画の新刊の発売日なんだよね。
そんなことを考えながら、私がローファーに履き替えようとしたときだった。
──グイッ。
私は横からいきなり、誰かに腕を掴まれてしまった。
「だっ、誰!?」
「澄野さん。悪いけど、あたしと一緒に来てくれる?」
「えっ!?」
腕を掴んでいる人は、全く面識のない女の子。
「突然ごめんね。あたし、4組の西田っていいます」
4組の西田さん? やっぱり知らない。
「あなたに、ちょっと聞きたいことがあるの」
「聞きたいこと?」
「ええ。すぐに終わるから……ねっ?」
ニコッと微笑む西田さん。でも、その笑顔とは裏腹に、私の腕を掴んでいる西田さんの手の力は思いのほか強くて。
簡単に振りほどくこともできず、私は彼女についていくしかなかった。
◇
「それで、質問に答えて欲しいんだけど」
ちょっと、待って。何これ……。
西田さんに腕を引かれ、連れて来られたのは学校の屋上。
そこには、西田さんの他に派手な見た目の2年生があと3人いた。
全員、友達でも顔見知りでもないけれど。これは、もしかしなくても……やばいやつだよね?
身の危険を察した私が、咄嗟に走って逃げようとしたとき。
「おっと。話はまだ終わってないでしょう?」
先回りした一人に、屋上の出入口を塞がれてしまった。
「それで、私に聞きたいことって?」
「あのね。最近2年生の間で、澄野さんのことが噂になってるのよ」
4人のなかでもリーダー格の、金髪の子が口を開く。
「私が、噂に?」
「そう。澄野さんが一之瀬くんと秋川くんに、二股かけてるってね」
二股って、何それ……!
「わたしは、水上くんと三股って聞いたけど」
……ひどい。根も葉もない噂に、私は言葉が出なくなる。
「ねえ。その噂ってホント?」
「いっ、いえ。二股なんて私……そんなことしてません! もちろん三股もっ!」
私が即座に否定すると、金髪さんがキツく睨みつける。
「はぁ? よく言うわよ。澄野さんって、一之瀬くんと許嫁なんでしょう?」
「どっ、どうしてそれを……」
学校で陽向と許嫁であることは、天音ちゃん以外の誰にも話していないのに。
「……やっぱりそうなんだ」
しまった。私は慌てて口を手で押さえるも、もう遅かった。
「澄野さんのクラスの田中さんって子が、この前スーパーで一之瀬くんと会ったときに、ふたりの話を偶然聞いたんですって」
うそ。あのとき、スーパーで田中さんの姿が見えなくなってから陽向のところへ行ったのに。
まさか、陽向との会話を彼女に聞かれていたなんて。うかつだった。
「一之瀬くんが、いつも女の子からの告白を断ってるのって。もしかして……あなたという許嫁がいるからなのかしら」
──え?
「だから、一之瀬くんは誰からの告白も受け入れないんじゃないの?」
陽向に限って、そんなことあるはずがない。だって私は、小学生の頃にもうとっくに彼に振られているんだもん。
「あたし、この前一之瀬くんに告白したけど。フラれちゃって……ううっ」
私を屋上に連れてきた西田さんが突然泣き出し、私を見る金髪さんたちの目がさらに鋭くなる。
「澄野さん。この前も、想良くんとショッピングモールに行ってたことが噂になってたよね?」
「許嫁がいるのに浮気するなんて、サイテー!」
「たいして可愛くもないのに。TOP3のみんなに、ちょっと気に入られてるからって調子にのらないでよ!」
ドンッ。
「きゃあ」
金髪さんにいきなり強く肩を押され、私は体のバランスを崩してコンクリートの上に尻もちをついてしまった。
「いっ……!」
尻もちをついた際に足を捻ったらしく、右足首にズキッと痛みが走る。
「一之瀬くんという許嫁がいるくせに。秋川くんやこうちゃんまで、たぶらかさないでよ!」
「わっ、私はそーちゃんたちのこと、たぶらかしてなんかいない。ふたりとも、大切なクラスメイトで……」
私が言葉を発すると、4人に一斉に睨みつけられる。
ひいっ。コンクリートに尻もちをついたままの私を、4人が取り囲むようにして立っていて……すごく怖い。
「大切なクラスメイトとか。そういうの、ほんとウザ」
「どうして一之瀬くんだけでなく、こうちゃんも想良くんも……こんな子が良いの?」
「ありえないわ」
4人とも口々に言うばかりで。私の話なんて、誰ひとり聞く耳を持ってくれない。
私は、唇を噛みしめる。
「みんなのTOP3のことを独り占めした悪い子には、罰を受けてもらわなきゃ」
え? 罰ってなに……?!
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