クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

藤永ゆいか

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第5章

恐怖②

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金髪さんの言う『罰』が何なのか、疑問に思っていると。

「行きましょう」

私のカバンを手にした金髪さんの声を合図に、女子のみんなが出入口のほうへと歩いていく。

「澄野さん。しばらくここで、反省するといいわ」
「えっ!?」

反省って……。

ガシャン!

私が戸惑っていると、屋上の扉が勢いよく閉まった。

まっ、まさか……。嫌な予感がした私は、足首の痛みに耐えながら何とか立ち上がり、屋上の扉の前へと向かう。

ガシャンガシャン!

扉を開けようとドアノブをまわすも、扉は開かない。

ガシャンガシャンッ!!

それから何度か扉を押したり引いたりを繰り返してみるけど、やはり扉はビクともしない。

「う、うそでしょ!?」

もしかして私……あの子たちに閉め出されちゃった?!

「誰か、誰かーーっ!」

扉をドンドンと握りこぶしで思いきり叩いてみるも、扉の向こうは無反応。

こうなったら、スマホで誰かに連絡を……! そう思ったけど、さっきスマホが入ったカバンごと金髪さんに持って行かれたことを思い出す。

最悪。これじゃあ、電話のひとつもできない。

私はフラフラと、扉のそばの壁に寄りかかる。

「……っ」

叫んで助けを求めようにも、この学校は山の上に建っているため、屋上の周りは山林が広がっていて。

辺りは、人の気配が全くない。どっ、どうしよう……。


ふと空を見上げると、先ほどよりも雲行きが怪しくなってきた。それに、雨のにおいもする。

数日前に梅雨入りした6月の今、いつ雨が降り出してもおかしくない。

そもそも、どうして私がこんなことに……。

確かに陽向とは、幼なじみで許嫁だけど。
そーちゃんや水上くんと、普通に友達として仲良くするのはいけないことだったの?

鼻の先にポツンと、雨粒が落ちる。

視線を上にやると、灰色の空からパラパラと雨が降り始めた。

「まずい」

どこか雨に濡れないところに避難しようにも、屋上に屋根などはなくて。雨をしのぐことは、できそうにない。

雨足はどんどん強くなり、私の体はあっという間にびしょ濡れになっていく。

「さっ、寒い」

私は、ブルブルと震える。

今は6月とはいえ、ずっと雨に打たれ続けていたら、さすがに身体が冷えてしまって寒い。

「うっ、うう……お願い。誰か助けて……」

ここに閉め出されて、どれくらいの時間が経ったのだろう。

気づいたら日が暮れて、辺りは真っ暗になっていた。

「ううっ、陽向……っ」

自分ではもうどうすることもできずに、不安でたまらない今。真っ先に頭に浮かんだのは、陽向の顔だった。

「陽向に、会いたいよお……」

寒くて、ガクガクと身体の震えが止まらない。

頭もボーッとして、意識がだんだん朦朧としていく。

屋上はいつもは鍵がかかっていて、立ち入り禁止だから。

もしかしたら私……このまま誰にも見つからないまま、ここで死んじゃうのかな。

こんなことなら……陽向に好きだって、自分の気持ちを正直にちゃんと伝えておけば良かった。

心細くて、ついそんなことを考えてしまう。

それからも私がひとり、暗闇のなかでじっとうずくまっていると。

カチャカチャ。

扉のほうから、微かに物音がした。

えっ。もしかして、誰か来てくれた!?

そう思った次の瞬間──。

バンッ!!

屋上の扉が勢いよく開いて、誰かが飛び出してきた。

「星奈っ!!」

えっ……。

「ひな、た……?」

うそ。もしかして、これは夢?

「おい、星奈! 大丈夫か!?」

頭がボーッとするなか、私はこちらに駆けつけてきた陽向を見つめる。

心なしか、陽向は泣きそうな顔をしていた。

「ひな……っ」

そんな彼に私が手を伸ばすと、その手をキュッと握られた。

「ああ、星奈……見つかって良かった」

私の前で両膝をついた陽向が、雨に濡れて冷たくなった私の体を、ぎゅうっと力強く抱きしめてくる。

ああ、陽向の温もりだ。すごく、すごく温かくて……安心する。

「星奈、怖かったよな」
「うっう……こ、怖かったぁ」

緊張の糸が解けたのか、私の目からは涙が溢れて止まらなくなる。

「ごめんな、星奈。本当にごめん」

謝りながら抱きしめてくれる陽向の肩越しに、そーちゃんと水上くんの姿が見えた。

「星奈ちゃん、大丈夫!?」
「せーちゃん……ああ、見つかって本当に良かった」

みんな……来てくれたんだ。

陽向の温もりを感じて。そーちゃんや水上くんの顔を見たら、すごくホッとして。

ああ、私……助かったんだ。3人が来てくれたから、もう大丈夫だ。

心の底から安堵したら、急にまぶたが重くなってきて。

朦朧としていた私の意識は、ここで途切れてしまった。
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