クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

藤永ゆいか

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第5章

本当の想い〜陽向side〜②

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星奈への想いを再確認した俺は、真っ直ぐ前を見据える。

「星奈! いたら返事してくれーーっ!!」

俺はずっと走り続けていた足を止め、道端で呼吸を整える。

「はぁっ、はぁ……」

俺がこうしている間にも、時間だけがどんどん過ぎていく。

くそっ。このまま一人で探してても、埒が明かねえ。

一人での捜索に限界を感じた俺は、他の人にも協力をあおぐことにした。

友人に頼み事なんて、今までほとんどしたことがないけど。ピンチの今、俺が頼れるのはあいつらしかいない。

俺はスマホを手にすると、想良と虹輝にグループ通話する。

『ハーイ! こんな時間にどうしたの、陽向』

想良の相変わらずなテンションに、俺は思わず苦笑する。

「星奈が、家に帰っていないみたいで。ずっと探してるんだけど、まだ見つからなくて」

心なしか、声が少し震えてしまう。

「頼む。俺と一緒に、星奈を探してくれないか?」
『それは大変だね。分かった』
『せーちゃんは、僕たちの大切な友達だ。もちろん協力するよ』
「サンキュー、ふたりとも」

俺の頼みを、二人は快く引き受けてくれた。

そして夜にも関わらず、二人は俺のもとにすぐさま駆けつけてくれた。

「ねえ、ヒナくん。学校はもう探した?」

そうか、学校……!

「いや、まだだ」

虹輝に言われるまで、ウッカリしてた。

放課後、星奈が山下さんと教室を出ていくところを見かけたから。学校にはもういないと、思い込んでしまってた。

「よし。それじゃあ、みんなで手分けして学校を探そう」
「僕たちで、絶対にせーちゃんを見つけるよ」
「おー!」

俺と想良、虹輝は互いに頷き合うと、学校へと向かって走り出す。

俺は今、一人じゃない。虹輝と想良がいてくれると思うと、それだけで心強くて。
さっきまでの焦りと不安は、どこかへ消えていた。

二人は、俺と同じバスケ部員で。星奈を好きになった、ライバル同士でもあるけれど。
それ以上に、俺にとってはかけがえのない大切な友達だ。

そんな彼らが手を貸してくれたんだ。何が何でも、星奈を見つけてみせる。

だから、星奈。それまでどうか、無事でいてくれーー!


学校に着くと、まだ職員室に残っていた先生に事情を話し、校内をくまなく見てまわった。

それでも星奈は見つからず、ドクッドクッと心臓が嫌な音を立てだす。

「あと残すところは、屋上か」
「オレ、職員室に行って、鍵借りてくるよ」
「ああ、頼んだ虹輝」

鍵は虹輝に任せて、俺と想良は先に屋上へと向かう。

屋上へと続く階段をのぼりきると、足が何かに当たった。

ん? なんだ?

「ねえ、陽向。これ、せーちゃんのカバンだよ!」
「想良、ほんとか!?」
「うん。だって、僕がこの前彼女にプレゼントした星のバレッタが、カバンについてるもん」

くそっ。それじゃあ星奈は、やっぱりこの扉の向こうに……!

「ヒナくんっ!」

俺が拳で扉をドンッと叩いたとき、鍵を持った虹輝がやって来た。

虹輝から鍵を受け取ると、俺は急いで扉を開ける。

──バンッ!!

扉を開けた途端、ぶわっと強い風が吹きつける。

外は変わらず雨が降り続いていて。灯りがひとつもない屋上は、真っ暗だ。

星奈、どこにいる!?

「星奈っ! せーな!!」

俺は、屋上の隅で体を丸くする星奈をようやく見つけると、一目散に駆けていく。

「ひな……っ!」

俺へと手を伸ばした星奈の顔は、雨と涙でぐしゃぐしゃだった。

そんな彼女を俺は人目もはばからず、ぎゅっと抱きしめる。

雨に濡れた星奈の体は、プルプルと震えていて。氷のように冷たくなっていた。

「ごめんな、星奈。本当にごめん」

星奈を抱きしめ、ただ謝ることしかできない自分が情けないけれど。

とにかく星奈が無事で、本当に良かった──。


翌日。星奈は、風邪で学校を休んだ。

英語の授業中。俺は、誰も座っていない星奈の席をこっそりと見つめる。

今朝、昨日星奈を屋上に閉め出したのは、以前俺に告白してきた4組の女子だと人づてに聞いた。

それを知った俺は居ても立ってもいられず、彼女たちにどうして星奈にあんなことをしたのか問いつめた。

そしたら……。

星奈という許嫁がいるから、俺が女子からの告白を全て断っているのではないかと思うとムカついた。

そして、許嫁がいるにも関わらず、想良や虹輝と仲良くする星奈がどうしても許せなかった、と。

彼女たちからその理由を聞いたとき、俺は何とも言えない気持ちになった。

元はと言えば星奈は、俺のせいであんなひどい目に遭ったんだと思うと、悲しくなった。

いくら親同士が勝手に決めた約束とはいえ、星奈が俺と許嫁でなければ、あんな辛い思いをしなくてすんだんだ。

俺は、唇をきつく噛みしめる。

もう二度と、星奈に嫌な思いをさせたくない。

だったら……。

このとき俺は、ある決心をした。
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