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大きな決断
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「第十一回、シャンデリア・ナイト実行委員会を開催する!」
所どころ空いている席を指で数え、チッといって金田は舌打ちを聞かす。
「ったくー、帰ったやつがいるなー?」
久遠が読んでいた本を机に置いて、
「当たり前だ。帰りの十分前にいきなり実行委員会を開催するって言い出しやがって、これでもみんなお前の我がままに付き合っている方だ」
「そうでしゅよ、この時期みんな忙しいでしゅから」
カチャカチャと甲冑の籠手を上げて腕組みを見せる相羽。
「だからお前はいつ着替えてんだ」
高木がギターのペグをぐいぐい回しながら、
「金田、緊急で実行委員会を開催したって事は、何かしら大きな進展があったって事か? 九条を説得できたとか」
しんと教室は静まり返り、みんな金田の顔を注目する。
「せ、説得は……」
「説得はー?」と教室の声が揃う。
あちこちに目を動かして、金田はゆっくりと口をひらく。
「ダメだった」
だはー、とみんな机を倒してひっくり返る。
「まぎらわしいタメを作るなー! 期待しちゃうでしょー!」と笑顔で怒るマリン。
海老原が机をよじ登りながら、
「それで、なんて言ってたんだい? 九条は」
「いつもの調子でやだねの一点張り。もうヤケクソになってあいつの兄貴の事を話に出したら、急にあいつ怒って帰って行った」
雛形が天井に小さなこぶしを突き上げて、
「ちょっとー、大失敗してるじゃなーい。それじゃ今日集まる必要なかったんじゃないの⁉」
金田が大きく腕を広げて教卓をつかむ。
「必要はある! 必要があるから、こうしてみんなに残ってもらった。
これからみんなに一つ提案がある。その提案を実行するか、しないか、みんなの意見を聞きたい」
「提案?」と八木が黒板の前でチョークを持ちながら。
「そう、大きな決断だ。みんな、聞いてくれ。
今からシャンデリア・ナイトの会場作りに入りたい」
「はあー⁉」と教室中に混乱の声が広がった。
雛形がバンと両手で机を叩いて、
「なに言ってんの! あんた九条くんの説得に失敗したんでしょ!」
酸っぱいレモンを口に入れた時のように、金田は両目をつむってシワくちゃな顔をして、
「ああ失敗した。一度は失敗した。だが、次こそ必ずあいつを説得して見せる。卒業式の前日までには、必ずあいつをここに連れて来る。
だから、今からみんなで会場を作り始めよう!」
「確証はあるのかい?」と海老原が黙々とパンを口にしながら、
「卒業式までに九条を説得できるという、確証が」
「それは……」と金田は力なく後ろ頭を掻いて、
「そんなものはない。そんなものなくても今までやって来た。最後まで、当たって砕けろの精神だ」
後ろの方で井岡が週刊誌を大きく振る。
「アホかホンマにぃ。ほな、あいつを説得できんかった時はどないすんねん。会場を作ったはええけど、日の目も見んうちに俺ら作ったモンは全部粗大ゴミに出すっちゅー事か?」
あわてて金田が両手を振る。
「ゴミとか言うなー! 俺たちが作った大切な思い出の品だ。そんな事にはならない、大丈夫だ、俺が絶対に九条を説得する。そして、卒業式前までには必ずシャンデリア・ナイトを開催する」
久遠がめずらしくイラ立った口調で、
「だから、それができなかった時はどうするのかって、みんな聞いているんだ。誰もお前の希望的観測を聞いてない」
そうだ そうだとクラスの大半が久遠の肩を持つ。
金田は両手を握りしめて、悔しそうにうつむいて、
「なんだよー。なんでお前ら 俺が失敗した時の事ばかり考えるんだよ。俺が九条を説得できるかも知れないじゃねーかよぉ」
八木が心配そうに金田の背中を見守る。
教室のみんなは口をへの字にして厳しい表情を浮かべていた。
「なあ、誰かこの中で俺の事を信じてくれるやつはいねーのかよ。なあ」
その時元気よく教室の後ろの戸が開いて、
「私ハ、信ジルネ」
リボルチオーネの制服を着たアメリアが教室に入って来た。
「おーっ アメリア! やっと日本に戻って来たか!」
世界女王の帰還に 嬉しそうに金田が教卓から身を乗り出す。
「モウ、シャンデリア・ナイトノ準備ニ取リ掛カッテイルカ」
そう言ってアメリアは自分の席に着いて足を組む。
八木が黒板に『会場作り』と書きながら、
「いま、それを決めようとしていた所。新木さんは、委員長の提案に賛成? 九条くんを説得できるか分からないけど、これから会場作りに入る」
アメリアはカッコよくキャップをかぶり直し、人差し指を顔の前に立てて、
「当タリ前ネ。金田ナラ、必ズ九条ヲ説得デキル」
この自信に満ちた発言により、教室では隣同士での会話が盛り上がる。
雛形は足を組んで絆創膏のひざを見せながら、
「まあ 確かに? この一年で金田は立て続けにイベント反対のクラスメートを説得して来たわけだし? 今ここにこうして高木くんや相羽さんやマリンちゃん、それに新木さんまで実行委員会に参加しているわけだし」
早川が自慢のマッシュヘアを手で整えながら、
「それな、金田の今までの活躍を考えると、不可能な事も可能になるかもしれない。どのみち九条を説得できなくて卒業できないのなら、最後は思いっきりみんなで会場を作ってみるってのもアリかな」
「せやせや」と井岡がふんぞり返ってイスをぐらぐらと揺らし、
「卒業できんかったら、どうせみんな退学するつもりやろ? せやったら、イチかバチか会場を作って、最悪九条がダメやったら、俺たちだけのイベントをやってもええんとちゃう?」
「おっ、いいねえ! 自分たちだけの、無観客のシャンデリア・ナイト!」
そう教室が盛り上がり始めた頃、突然入口の戸がひらいた。
「そんな勝手な真似は許しません」
ピンと背筋を伸ばした天海が教室に現れる。
「い、いつもいいタイミングで現われましゅね」と相羽が兜に大きな汗を見せる。
「卒業式前日までにC組が全員そろわなければ、シャンデリア・ナイトは開催させません。これは我が校創設以来 厳格に守られて来た校則です。例外は、いっさい認められません」
その天海の発言により、席を立って騒いでいた学生たちの動きが止まる。
「な、なんだよー、せっかく会場作りの話で盛り上がっていたのにぃー」
「たった一人がイベントに反対しているだけで全てがパーかよー」
やってらんねーなあと、複数の学生がそっぽを向いて座る。
「でも、今から会場作りに入らないと、せっかく九条くんを説得できたとしても準備不足でイベントが開催できなくなっちゃう」
あちこちに顔を向けて、八木がみんなに必死に訴えかける。
「九条を説得できなきゃ、どのみち同じだろー」とC組の意見は二つに分かれ、教室の雰囲気が混沌とする。
そんな中マリンが机の上に腰掛けて、
「ねえ、じゃあさ、こうしない? 金田を信じられる人だけここに残って、会場作りに取り掛かる。金田を信じられない人は、今すぐ帰ってクソして寝てろ」
天海が驚いた顔をしてマリンを見る。
「だってさ、一年前ってさ、誰もC組がシャンデリア・ナイトを開催できるなんて思っていなかったでしょう? 一回目の実行委員会だって、ほとんど参加者はいなかったって言うし、そもそもあたしみたいに学校に来ていない学生もいたし。それがさ、こんなに人が集まるようになってさ、こんなに議論が盛り上がっている。それってなに? それってみんな、金田の事を少しずつ信じられるようになって来たからじゃないの?」
「マリンちゃん」と雛形がゆっくりと席を立つ。
「ここまで金田のがんばって来た姿を見て、こいつならもしかして落ちぶれたC組を立て直して、本当にシャンデリア・ナイトが開催できるかもしれないって、奇跡が起きるかもしれないって、そう思ってみんなここまで集まって来たんじゃないの? それをさあ、最後の最後で ちょっと金田が失敗したからって、やっぱやーめたって、簡単にあきらめちゃうわけ? それって ぜんっぜん覚悟が足りないんじゃない? シャンデリア・ナイトをやるって、そんな甘いものじゃないと思う、あたし」
アメリアが笑顔で目を閉じている。
『大丈夫! お前は俺が守る。必ず守る。だから、な、学校へ行こう』
マリンはバンと激しく机を叩いて、
「そんな甘い考えのやつは、今すぐ帰ってクソして寝てろ!」
しーんとした教室に、パチパチと天海の拍手が聞こえた。
「すばらしい。青山さん、あなた本当にいい事を言ったわ。私の言いたい事をすべて代弁してくれた。
聞いた? みんな。彼女の言った事は正しい。みんなには、この学校を卒業するという覚悟が足りない。金田くんが委員長だから、八木さんが副委員長だから、C組はあともう少しの所まで来れたの。ここまでみんなが集まれたの。だから、あと数日、最後の数日だけは二人の事を信じてあげられない? 渦中の人、九条くんの事は、この委員長と副委員長の二人に任せて、あとはみんな、しっかりと覚悟を決めて、余計な事はいっさい考えずに会場作りに取り掛かる」
それを聞いたみんなは、返す言葉もないような、それでいてまんざらでもないような、そんな一本取られた顔をしていた。
「よし、決まりだな」と金田は黒板の前に立ち、『会場作り』と書かれた文字を丸で囲む。
「シャンデリア・ナイト実行委員会は、本日をもって終了とする。あとはC組全員で会場作りに入る。ここからが俺たちの正念場だ」
みんな真剣な眼差しで金田の一挙手一投足を見守る。
「そして俺と、ここにいる」といって金田は八木の腕をつかんでみんなの前に連れて来て、
「副委員長の二人で、絶対に九条修二郎を説得してみせる! そして絶対にあいつをシャンデリア・ナイトの舞台で躍らせてみせる!」
教室はしんと静まり返っていた。
金田はコホンとせき払いを見せてから、
「……と、いうわけでー、C組のシャンデリア・ナイトはー、
卒業式前夜! 十九時ジャスト! 開催決定だ!」
「おーっ!」と興奮した学生がイスの上に立ち上がり、教室がお祭りムードに変わる。
そんななか八木は金田と手をつなぎ、それに驚いた金田に笑顔でうなずいて見せた。
所どころ空いている席を指で数え、チッといって金田は舌打ちを聞かす。
「ったくー、帰ったやつがいるなー?」
久遠が読んでいた本を机に置いて、
「当たり前だ。帰りの十分前にいきなり実行委員会を開催するって言い出しやがって、これでもみんなお前の我がままに付き合っている方だ」
「そうでしゅよ、この時期みんな忙しいでしゅから」
カチャカチャと甲冑の籠手を上げて腕組みを見せる相羽。
「だからお前はいつ着替えてんだ」
高木がギターのペグをぐいぐい回しながら、
「金田、緊急で実行委員会を開催したって事は、何かしら大きな進展があったって事か? 九条を説得できたとか」
しんと教室は静まり返り、みんな金田の顔を注目する。
「せ、説得は……」
「説得はー?」と教室の声が揃う。
あちこちに目を動かして、金田はゆっくりと口をひらく。
「ダメだった」
だはー、とみんな机を倒してひっくり返る。
「まぎらわしいタメを作るなー! 期待しちゃうでしょー!」と笑顔で怒るマリン。
海老原が机をよじ登りながら、
「それで、なんて言ってたんだい? 九条は」
「いつもの調子でやだねの一点張り。もうヤケクソになってあいつの兄貴の事を話に出したら、急にあいつ怒って帰って行った」
雛形が天井に小さなこぶしを突き上げて、
「ちょっとー、大失敗してるじゃなーい。それじゃ今日集まる必要なかったんじゃないの⁉」
金田が大きく腕を広げて教卓をつかむ。
「必要はある! 必要があるから、こうしてみんなに残ってもらった。
これからみんなに一つ提案がある。その提案を実行するか、しないか、みんなの意見を聞きたい」
「提案?」と八木が黒板の前でチョークを持ちながら。
「そう、大きな決断だ。みんな、聞いてくれ。
今からシャンデリア・ナイトの会場作りに入りたい」
「はあー⁉」と教室中に混乱の声が広がった。
雛形がバンと両手で机を叩いて、
「なに言ってんの! あんた九条くんの説得に失敗したんでしょ!」
酸っぱいレモンを口に入れた時のように、金田は両目をつむってシワくちゃな顔をして、
「ああ失敗した。一度は失敗した。だが、次こそ必ずあいつを説得して見せる。卒業式の前日までには、必ずあいつをここに連れて来る。
だから、今からみんなで会場を作り始めよう!」
「確証はあるのかい?」と海老原が黙々とパンを口にしながら、
「卒業式までに九条を説得できるという、確証が」
「それは……」と金田は力なく後ろ頭を掻いて、
「そんなものはない。そんなものなくても今までやって来た。最後まで、当たって砕けろの精神だ」
後ろの方で井岡が週刊誌を大きく振る。
「アホかホンマにぃ。ほな、あいつを説得できんかった時はどないすんねん。会場を作ったはええけど、日の目も見んうちに俺ら作ったモンは全部粗大ゴミに出すっちゅー事か?」
あわてて金田が両手を振る。
「ゴミとか言うなー! 俺たちが作った大切な思い出の品だ。そんな事にはならない、大丈夫だ、俺が絶対に九条を説得する。そして、卒業式前までには必ずシャンデリア・ナイトを開催する」
久遠がめずらしくイラ立った口調で、
「だから、それができなかった時はどうするのかって、みんな聞いているんだ。誰もお前の希望的観測を聞いてない」
そうだ そうだとクラスの大半が久遠の肩を持つ。
金田は両手を握りしめて、悔しそうにうつむいて、
「なんだよー。なんでお前ら 俺が失敗した時の事ばかり考えるんだよ。俺が九条を説得できるかも知れないじゃねーかよぉ」
八木が心配そうに金田の背中を見守る。
教室のみんなは口をへの字にして厳しい表情を浮かべていた。
「なあ、誰かこの中で俺の事を信じてくれるやつはいねーのかよ。なあ」
その時元気よく教室の後ろの戸が開いて、
「私ハ、信ジルネ」
リボルチオーネの制服を着たアメリアが教室に入って来た。
「おーっ アメリア! やっと日本に戻って来たか!」
世界女王の帰還に 嬉しそうに金田が教卓から身を乗り出す。
「モウ、シャンデリア・ナイトノ準備ニ取リ掛カッテイルカ」
そう言ってアメリアは自分の席に着いて足を組む。
八木が黒板に『会場作り』と書きながら、
「いま、それを決めようとしていた所。新木さんは、委員長の提案に賛成? 九条くんを説得できるか分からないけど、これから会場作りに入る」
アメリアはカッコよくキャップをかぶり直し、人差し指を顔の前に立てて、
「当タリ前ネ。金田ナラ、必ズ九条ヲ説得デキル」
この自信に満ちた発言により、教室では隣同士での会話が盛り上がる。
雛形は足を組んで絆創膏のひざを見せながら、
「まあ 確かに? この一年で金田は立て続けにイベント反対のクラスメートを説得して来たわけだし? 今ここにこうして高木くんや相羽さんやマリンちゃん、それに新木さんまで実行委員会に参加しているわけだし」
早川が自慢のマッシュヘアを手で整えながら、
「それな、金田の今までの活躍を考えると、不可能な事も可能になるかもしれない。どのみち九条を説得できなくて卒業できないのなら、最後は思いっきりみんなで会場を作ってみるってのもアリかな」
「せやせや」と井岡がふんぞり返ってイスをぐらぐらと揺らし、
「卒業できんかったら、どうせみんな退学するつもりやろ? せやったら、イチかバチか会場を作って、最悪九条がダメやったら、俺たちだけのイベントをやってもええんとちゃう?」
「おっ、いいねえ! 自分たちだけの、無観客のシャンデリア・ナイト!」
そう教室が盛り上がり始めた頃、突然入口の戸がひらいた。
「そんな勝手な真似は許しません」
ピンと背筋を伸ばした天海が教室に現れる。
「い、いつもいいタイミングで現われましゅね」と相羽が兜に大きな汗を見せる。
「卒業式前日までにC組が全員そろわなければ、シャンデリア・ナイトは開催させません。これは我が校創設以来 厳格に守られて来た校則です。例外は、いっさい認められません」
その天海の発言により、席を立って騒いでいた学生たちの動きが止まる。
「な、なんだよー、せっかく会場作りの話で盛り上がっていたのにぃー」
「たった一人がイベントに反対しているだけで全てがパーかよー」
やってらんねーなあと、複数の学生がそっぽを向いて座る。
「でも、今から会場作りに入らないと、せっかく九条くんを説得できたとしても準備不足でイベントが開催できなくなっちゃう」
あちこちに顔を向けて、八木がみんなに必死に訴えかける。
「九条を説得できなきゃ、どのみち同じだろー」とC組の意見は二つに分かれ、教室の雰囲気が混沌とする。
そんな中マリンが机の上に腰掛けて、
「ねえ、じゃあさ、こうしない? 金田を信じられる人だけここに残って、会場作りに取り掛かる。金田を信じられない人は、今すぐ帰ってクソして寝てろ」
天海が驚いた顔をしてマリンを見る。
「だってさ、一年前ってさ、誰もC組がシャンデリア・ナイトを開催できるなんて思っていなかったでしょう? 一回目の実行委員会だって、ほとんど参加者はいなかったって言うし、そもそもあたしみたいに学校に来ていない学生もいたし。それがさ、こんなに人が集まるようになってさ、こんなに議論が盛り上がっている。それってなに? それってみんな、金田の事を少しずつ信じられるようになって来たからじゃないの?」
「マリンちゃん」と雛形がゆっくりと席を立つ。
「ここまで金田のがんばって来た姿を見て、こいつならもしかして落ちぶれたC組を立て直して、本当にシャンデリア・ナイトが開催できるかもしれないって、奇跡が起きるかもしれないって、そう思ってみんなここまで集まって来たんじゃないの? それをさあ、最後の最後で ちょっと金田が失敗したからって、やっぱやーめたって、簡単にあきらめちゃうわけ? それって ぜんっぜん覚悟が足りないんじゃない? シャンデリア・ナイトをやるって、そんな甘いものじゃないと思う、あたし」
アメリアが笑顔で目を閉じている。
『大丈夫! お前は俺が守る。必ず守る。だから、な、学校へ行こう』
マリンはバンと激しく机を叩いて、
「そんな甘い考えのやつは、今すぐ帰ってクソして寝てろ!」
しーんとした教室に、パチパチと天海の拍手が聞こえた。
「すばらしい。青山さん、あなた本当にいい事を言ったわ。私の言いたい事をすべて代弁してくれた。
聞いた? みんな。彼女の言った事は正しい。みんなには、この学校を卒業するという覚悟が足りない。金田くんが委員長だから、八木さんが副委員長だから、C組はあともう少しの所まで来れたの。ここまでみんなが集まれたの。だから、あと数日、最後の数日だけは二人の事を信じてあげられない? 渦中の人、九条くんの事は、この委員長と副委員長の二人に任せて、あとはみんな、しっかりと覚悟を決めて、余計な事はいっさい考えずに会場作りに取り掛かる」
それを聞いたみんなは、返す言葉もないような、それでいてまんざらでもないような、そんな一本取られた顔をしていた。
「よし、決まりだな」と金田は黒板の前に立ち、『会場作り』と書かれた文字を丸で囲む。
「シャンデリア・ナイト実行委員会は、本日をもって終了とする。あとはC組全員で会場作りに入る。ここからが俺たちの正念場だ」
みんな真剣な眼差しで金田の一挙手一投足を見守る。
「そして俺と、ここにいる」といって金田は八木の腕をつかんでみんなの前に連れて来て、
「副委員長の二人で、絶対に九条修二郎を説得してみせる! そして絶対にあいつをシャンデリア・ナイトの舞台で躍らせてみせる!」
教室はしんと静まり返っていた。
金田はコホンとせき払いを見せてから、
「……と、いうわけでー、C組のシャンデリア・ナイトはー、
卒業式前夜! 十九時ジャスト! 開催決定だ!」
「おーっ!」と興奮した学生がイスの上に立ち上がり、教室がお祭りムードに変わる。
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