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祠の守り人
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女は振り返らなかった。
突然辺りが明るくなって、目の前のお堂も、野面積みの石垣も、闇の中からハイライトされ、LEDの余りある光束に、わたくし自身、驚いた瞬間でもあった。ところがこの女は、背後からの光に動じもせず、ただぼうっと催眠術にでもかかったように、突っ立っている。
普通、正体の分からぬ男たちが背後に迫って来たら、振り返るか、逃げるか、どちらかにするだろう。土地の所有者に、不法侵入の疑いで通報されるかも知れないし、万が一にも男二人に襲われるかもしれない。とにかくわたくしなら、どちらかにする。相手が犯罪者ではないという事を第一に確かめて、安堵しようとする。安堵した後に、次にはその相手と対話を試みる。自分は怪しい者ではないと、今度は相手を安堵させる事に取り掛かる。
それが、どちらもしないのであれば、この女は普通ではない。少なくとも、普通の精神状態ではない。この女は、曰くある雪解け地蔵の、その魔の力によって、身も心も取り憑かれているのではなかろうか。
一方の岸本は、女の異常な様子などてんでお構い無しで、ざくざくと長靴で雪を踏んで行って、女のすぐ真横に立った。そして、非礼極まりなく、彼女の横っ面に強烈な光を当てた。これは、大勢順応型のわたくしには出来た芸当ではない。眩しそうに、女は薄目をした。当然だ。
「なんだ? 鈴子じゃないか」
「え」
鈴子? わたくしの聞き間違えでなければ、鈴子とは、彼女は岸本の嫁、岸本鈴子だ。あずさの話では、娘と共に都内で身を潜めていると言う。
「おい、鈴子だろ? どうしたんだ一体。どうしてお前は、こんな夜遅くに、しかもこんな訳の分からん場所にいるんだ」
岸本は、鈴子の右肩に手を置いて、ぐいぐいと左右へ揺すった。彼女のニット帽の頭がぐらぐら揺れた。それがあまりに荒っぽくて、わたくしは思わず仲裁の右手を上げた。それでも彼女は、真っ直ぐ前を向いたまま、夫の顔を見ようともしなかった。やはり、様子がおかしい。
「おい、聞いているのか。どうして返事をしない。さっきからこの地蔵ばかり見て、これに何かあるのか?」
岸本は今度、鈴子の両肩を掴んで、自分の正面へ向け直した。さすがにその手を嫌がって、彼女はひねった体で夫の手を払い、そしてどうしてか、近くにいるわたくしの方へ顔を向けた。
「宗村さん、ですね?」
十年前よりも、当然の事ながら歳をとって、そのうえ薄化粧で、彼女は苦労人の人相となっていた。
「お久しぶりです、岸本の妻、鈴子です。宗村さんとは、結婚式に御出席頂いた以来でしょうか。いつも主人がお世話になっています」
「え? あ、はあ、こちらこそ」
突然、離人症の症状を目の前にした人のように、わたくしはまごついた。
「今朝、あずさちゃんから電話があって、細かい事情を聞いてあたし、大急ぎでこちらへ飛んで来ました」
「あずさから?」
「宗村さん」
鈴子は、胸の前で両手を組み合わせて、一歩前に出た。
「あなたの恋人、椎名美咲さんは、この中にいます」
「え」
ゆっくりと左手の人差し指を出して、お堂の方向を指差した。
「この、雪解け地蔵の奥にある、石扉の向こう」
岸本は、鈴子の細い手首を掴んだ。
「鈴子、お前一体何を言っているんだ」
「放して。あなたには関係ない」
「関係ないだって? なんだその言い草は。だったらこいつは、おまえと関係があるのか?」
夫に左手を掴まれながら、逃れるようにもう一歩、鈴子はこちらへ近づいた。
「宗村さん、ここより先へ行くという事は、晦冥会の信者にとって、十戒を破るようなものです。この上ない背信行為です。あたしなんかは、死ぬ覚悟をもってしても、この先へ行くことができません」
「おい鈴子! いい加減にしろ! お前どうかしちまったんじゃないか!」
自分の存在、自分の問い掛けが、ことごとく嫁に無視されて、しかも、わたくしとばかり話したがる彼女に対して、岸本はカッとなった。両手で彼女の体を突き飛ばした。いくら雪の中とは言え、鈴子のか細い体は、突き飛ばされた衝撃でよろけて、背中から雪の上に倒れた。これはイケない、わたくしは夫婦喧嘩の仲裁を買って出るように、彼女の体を抱き起して、岸本へ左手の平を向けた。しかしこの期に及んで、鈴子はわたくしの肩を両手で掴んで、耳元に、
「美咲さんは今、晦冥会の背信者と共に、この奥にいます」
意外に思うほど間近に、鈴子の真剣な表情があった。
「晦冥会、いいえ、紀瑛総連の、その長い歴史が、背信者一人によって、今、打ち砕かれようとしているのです」
「晦冥会の秘密の祠、りおが透視した本物の祠は、この先にあると言う事か? 鈴子さん、あなたは俺に、この先へ行けと言っているんですか? この先へ行って、その背信者を」
そのとき鈴子は、遠くの犬笛の音に反応する犬のように、立ち上がって、ふらふらと周囲を見回した。
「それはあたしの口からは言えません。絶対に言えません。あたしの祖母は、峰村リサ。紀瑛総連の科学技術省の主任、現晦冥会の老師です」
「老師?」
急に辺りの雪が強くなった。岸本の手にしたライトに、降雪の影が繁るように映る。
「あたしは、この祠を守る人間です。命に代えても、この祠を守る使命があります。十二年前の悲惨な事件、それを、絶対に起こさせないために。そうしなさいと、この祠の守りなさいと、祖母からこの土地と建物を預かっています」
「お前……何を」
岸本は、だらりと腕を垂らして、やっと口を開いた。
「けれども、これだけ完璧に守られた、晦冥会の秘密の祠は、一人の背信者の存在によって、ことごとく打ち破られてしまいました」
わたくしの頭に、中国人風の美女が浮かんだ。
「不知火忍」
鈴子の顔が、がっくりと下がった。
「そうです。晦冥会の背信者であり、非公開のお尋ね者となっていた不知火忍が、このペンションの面接に姿を現したのが、ちょうど一年半前。黒いキャップを目深にかぶって、登山用のリュックを背負って、手にした履歴書には、天道葵という名が記載されていました。あたしも、夫も、何一つ疑う事なく、彼女を雇い入れました。それと言うのも、学歴に記された華々しい経歴、それを見たあたしが、彼女を雇うよう強く推薦したのです。きっとその学歴と言うのも、偽装された経歴ではあったのでしょうけど、だけど実際、彼女は大学者だったのです。あたしは三流大学の経済学部の出で、彼女は国立の同じ学科の出でした。共通のマクロ経済学の話、アダム・スミスの本の話で、大いに二人で盛り上がって、むしろ彼女の方が熱心、フランシス・ハッチソンの著書まで熟読していたのですから、あたしは、すっかり騙されてしまったのです。
『支払の計算は全て暗算、電化製品や車の故障だって何でも修理しちゃうし、そんな優秀な人が自殺なんて無益な行動を取るとは思えないんです』
ここへ来た初日。高田がそんな事を言っていた。
「面接時に、天道さんは住み込みでの働き方を希望しました。それは、こちらとしても好都合でした。住み込みは、シーズン中の繁忙期になると、大変助かります。朝は暗い内から、夜は客室の寝静まる頃まで、ペンション営業の仕事と言えば、これで良いという事が無いくらい、いくらでもあります。それを、いくら生活費がかからないからと言って、契約した少額の月給で、かえってこちらがすまなく思うくらい、彼女は文句も言わずに働きました。無口で、大人しくって、それでいて、きちんと気が利いて、それこそ、彼女さえいれば、平気でペンションを空けられるくらいにまで、あたしたちは天道さんに頼るようになっていました。そうかと言って、優秀な従業員にありがちな、経営に対する余計な口出しや、処遇に対する一方的な要求は、一切なく、天道さんは一体、どれだけの物好きでこんな取り柄のないペンションに勤めているのか、雇い主が首を傾げるほどでした。
ところが最近になって、彼女の恐ろしい行動が、一夜のうちに明らかになったのです。あれは秋が最も深まった夜のこと。たまたまトイレに起きて、廊下の月明かりの中を歩いて、窓に広がるススキの原に目を向けると、何やら人影を見つけました。二階では、夜更けまで酒をのんで、騒いでいた若い客も、すっかり寝静まって、談話室も、食堂も、誘導灯の緑一色に染まっているばかりです。あたしはサンダルをつっかけて、そっと戸外へ出ると、秋の虫の音を浴びながら、人影の見えた場所、雪解け地蔵の方向へと、忍び足を使いました。
はっきりとこの目で見たわけではありません。本当にそうかと問われれば、だんだん不安に思うくらい、記憶が朧気なのです。だけど、ではあの時なにもなかったかと問われれば、確かに異常事態は起きていたのです。ススキの鋭い鉤状の葉の擦れる音を耳に、あたしが雪解け地蔵の前まで来ると、お堂の真裏にある、石垣の一部の石扉が、石を打ったような音を立てて、ちょうど閉まった所なのです。あたしの頭の中は、真っ白になりました。情けない話ですがこのとき初めてあたしはあたしの本来の使命を思い出しました。脊髄に稲妻が走りました。あたしはススキの茂みを割って、ペンションへ急ぎました。そして、天道さんに貸している一間のドアノブを回しました。鍵が掛かっていました。その足で、自室から親鍵を持ち出して、本人の了解も得ず、天道さんの部屋を開けました。暗い室内、そこに布団は敷いてありましたが、天道さんの姿はどこにもなかったのです。
天道葵がこのペンションに勤めた本当の理由、それは、住み込みで働きながら、晦冥会の秘密の祠を調べる事だったのです。あたしたちは、すっかり騙されてしまいました。すっかり利用されてしまいました。
天道さんは翌朝、何食わぬ顔をして玄関を掃いていました。あたしは、なるべくいつも通りを装って、おはよう、と言いました。それから、昨夜はどこでどうしていた、だなんて問いただす事なく、庭にあるドッグランの準備に取り掛かりました。彼女を刺激してはならない。それには理由がありました。晦冥会の秘密の祠へは、不破昂佑様の末裔でしか通れないのです。そういう仕掛けが、どういう仕組みかで石扉に施されているのです。それを知っているのは、紀瑛総連の科学技術省主任、峰村リサの孫である、あたしだけです。これを知っているからこそ、あたしは彼女に対して最大限の用心を肝に銘じました」
「どういう意味ですか? だって彼女は」
わたくしは眉を顰めた。
「天道葵という女性が、あたしたちを騙して利用したと同時に、途轍もなく危険な人物であると、あたしは直感したからです。つまり、あたしは一晩のうちにこう考えました。不破昂佑の末裔のみ通行が可能な晦冥会の秘密の祠に、やすやすと入れる彼女は、不破昂佑の末裔の誰かを、どうにかしたのではないか、と」
「まさか」
「このあたしの考えは、その一部に関してだけ、正しかったようで、後日天道葵という女性が、不知火忍という晦冥会の最強最悪の暗殺者である事が、後日判明しました。もしもあの朝、不用意にもあたしが、彼女の昨夜の行動について問い質すような事があれば、あたしは今この場に立っていないのだと思います」
雪は強く降り続いた。雪解け地蔵から、湯気が立ち始めた。
「と、言う事は、米元あずさ、彼女もこの石扉を開ける事ができるという事になるのか? 彼女だって確か」
「できると思います。でも、開ける方法を知っているのか、知らないのか、そもそもここがどういった重要な意味を持つ場所なのか、そこを知っていればの話ですけど」
米元あずさは晦冥会の秘密の祠へ入る事が出来る。しかし彼女は、突然現れた氷室理事長と祖母とで、不破昂佑の所へ行ってしまった。今から彼女を探し出して、ここへ呼んで来る時間はなさそうだ。
突然、携帯電話の着信音が鳴った。鈴子はウェアのポケットに手を入れて、携帯電話を取り出した。画面を見て「すいません、失礼します」と電話に出ながら、急いで我々の前から立ち去った。
「お、おい!」
同時に走り出した岸本は、去り際にわたくしへLEDライトを投げた。
「すまない宗村、俺は鈴子を追う。バカみたいな妄言を繰り返して、どうもあいつの様子がおかしい。近くに娘の姿も見えないし、もしかしたら、家族に色々あり過ぎて、あいつ鬱っぽいのかもしれない」
がぼがぼとゴム長靴で走る音が小さくなって、しばらくすると、しんしんと降り積もる雪の音だけが残った。雪の音が残るとは、それは、景色から受ける心の音であって、無音、つまりそれは、耳が痛く感じるほどの静けさだった。雪の夜の深い静けさ。それは、ベントレーが撮り続けた雪の妖精たち、その幾何学模様のミクロの隙間が、音の振動をほとんど閉じ込めてしまうものだった。
「統主の末裔だけが、入出を許される、か」
わたくしは、首に赤い前掛を付けた地蔵に、LEDの白光を当てた。両手で持ち上げられるほどの小さな石仏の、その像容の表面は、粗く、長年の水を吸った大谷石のように、ざらざらと風化している。お堂の近くには、これも年季が入った高札があって、杉板に墨書きがされてあるが、腐食変色が進み、もはや何だか分からない。
わたくしは、難しい顔をして鼻を鳴らすと、次にお堂のすぐ裏手、自然石を積み上げただけの、松坂城にあるような野面積みの石垣へ回り込んだ。そこには確かに、石垣の中に他と違った石の積み方をした、石の扉らしき一部分があった。横に引き違いになるのか、奥へ押し込むのか、それは分からない。わたくしは、色々に石垣を押したり引いたり、してみた所が、ぐらぐらする石さえ見つからない。
「岸本の嫁の話では、この石扉の向こうに、不知火と美咲がいるらしい。だがこの通り、どうにも開閉する気配がない。本当にこの石垣は、扉の構造になっているのか?」
わたくしは、至る角度から石の隙間や出っ張りにライトを当てて、しばらくは、地層学者が地層を鑑定するみたいに、石を探ってみた。そのいずれかの拍子に、偶然石扉は開かれるかと思われたからだ。しかし、
「どの石も動かない。びくともしない。力づくというのは、どうも利かないようだ。この石扉を開く、何らかの仕掛けがあるかも知れない」
再びわたくしは、雪解け地蔵のお堂の前に立って、石垣と同じように、色々手を出してみた。心洗と彫られた手水や、賽銭の小銭が積まれた蝋燭台、石碑には、仏道の修行に関する行持の十来があり、『愚蒙は破戒より来る』と読めた。それらを触って、押したり引いたり叩いたり、色々やってみたが、でたらめにやった所で、石扉が開く糸口さえ掴めなかった。腕時計を見た。美咲が首吊り死体となるまで、あと二〇分。
「ここまで来て俺は、美咲を助けられないのか? ここで俺は、終わりなのか? りおの透視によって、あと一歩という所まで来る事ができた。それなのに、俺は扉一つさえ開けられない」
お堂の前でしゃがんで、そのまま雪の上にお尻をつけて座った。
「結局俺は、敷島がいなければ何もできない。美咲がいなければ、江口殺害の推理さえ出来ない。俺は、いつも誰かの力を借りて生きている。それがなくなってしまえば、このざまだ。きっとこのお堂には、石扉を開く秘密が隠されているのに違いない。それなのに俺ときたら、なんて能のない凡人だ」
わたくしは、グローブで雪を丸めると、それを石扉へ向かって投げた。パンと、軽い音が響いて、石垣に雪の跡がついた。あと二〇分。わたくしは、大の字になって寝そべった。無数の雪が舞い降りて、顔の上に着地、体温によってすぐに融けて水になった。
「くそ!」
右手に拳をつくって、勢いよく振り下ろして、雪を殴った。
「敷島、お前は一体どこで何をしているんだ。こんな大事な時にお前は、なぜここにいない! くそっ! 敷島っ!」
『おじさん』
「?」
少女の声を聴いた気がしてわたくしは、雪のうっすらと積もった、上半身を起こした。
「?」
お堂の周囲を見回したが、誰かがいるような気配はなかった。
『おじさん』
「誰だ!」
ライトを掴んで、素早く周囲を照らした。そして、前のめりの姿勢で立ち上がった。
『わたしの声が聞こえますか?』
「?」
頭の中から少女の声が聞こえた。ずきんと頭痛が走る。
『わたしです、りおです』
突然辺りが明るくなって、目の前のお堂も、野面積みの石垣も、闇の中からハイライトされ、LEDの余りある光束に、わたくし自身、驚いた瞬間でもあった。ところがこの女は、背後からの光に動じもせず、ただぼうっと催眠術にでもかかったように、突っ立っている。
普通、正体の分からぬ男たちが背後に迫って来たら、振り返るか、逃げるか、どちらかにするだろう。土地の所有者に、不法侵入の疑いで通報されるかも知れないし、万が一にも男二人に襲われるかもしれない。とにかくわたくしなら、どちらかにする。相手が犯罪者ではないという事を第一に確かめて、安堵しようとする。安堵した後に、次にはその相手と対話を試みる。自分は怪しい者ではないと、今度は相手を安堵させる事に取り掛かる。
それが、どちらもしないのであれば、この女は普通ではない。少なくとも、普通の精神状態ではない。この女は、曰くある雪解け地蔵の、その魔の力によって、身も心も取り憑かれているのではなかろうか。
一方の岸本は、女の異常な様子などてんでお構い無しで、ざくざくと長靴で雪を踏んで行って、女のすぐ真横に立った。そして、非礼極まりなく、彼女の横っ面に強烈な光を当てた。これは、大勢順応型のわたくしには出来た芸当ではない。眩しそうに、女は薄目をした。当然だ。
「なんだ? 鈴子じゃないか」
「え」
鈴子? わたくしの聞き間違えでなければ、鈴子とは、彼女は岸本の嫁、岸本鈴子だ。あずさの話では、娘と共に都内で身を潜めていると言う。
「おい、鈴子だろ? どうしたんだ一体。どうしてお前は、こんな夜遅くに、しかもこんな訳の分からん場所にいるんだ」
岸本は、鈴子の右肩に手を置いて、ぐいぐいと左右へ揺すった。彼女のニット帽の頭がぐらぐら揺れた。それがあまりに荒っぽくて、わたくしは思わず仲裁の右手を上げた。それでも彼女は、真っ直ぐ前を向いたまま、夫の顔を見ようともしなかった。やはり、様子がおかしい。
「おい、聞いているのか。どうして返事をしない。さっきからこの地蔵ばかり見て、これに何かあるのか?」
岸本は今度、鈴子の両肩を掴んで、自分の正面へ向け直した。さすがにその手を嫌がって、彼女はひねった体で夫の手を払い、そしてどうしてか、近くにいるわたくしの方へ顔を向けた。
「宗村さん、ですね?」
十年前よりも、当然の事ながら歳をとって、そのうえ薄化粧で、彼女は苦労人の人相となっていた。
「お久しぶりです、岸本の妻、鈴子です。宗村さんとは、結婚式に御出席頂いた以来でしょうか。いつも主人がお世話になっています」
「え? あ、はあ、こちらこそ」
突然、離人症の症状を目の前にした人のように、わたくしはまごついた。
「今朝、あずさちゃんから電話があって、細かい事情を聞いてあたし、大急ぎでこちらへ飛んで来ました」
「あずさから?」
「宗村さん」
鈴子は、胸の前で両手を組み合わせて、一歩前に出た。
「あなたの恋人、椎名美咲さんは、この中にいます」
「え」
ゆっくりと左手の人差し指を出して、お堂の方向を指差した。
「この、雪解け地蔵の奥にある、石扉の向こう」
岸本は、鈴子の細い手首を掴んだ。
「鈴子、お前一体何を言っているんだ」
「放して。あなたには関係ない」
「関係ないだって? なんだその言い草は。だったらこいつは、おまえと関係があるのか?」
夫に左手を掴まれながら、逃れるようにもう一歩、鈴子はこちらへ近づいた。
「宗村さん、ここより先へ行くという事は、晦冥会の信者にとって、十戒を破るようなものです。この上ない背信行為です。あたしなんかは、死ぬ覚悟をもってしても、この先へ行くことができません」
「おい鈴子! いい加減にしろ! お前どうかしちまったんじゃないか!」
自分の存在、自分の問い掛けが、ことごとく嫁に無視されて、しかも、わたくしとばかり話したがる彼女に対して、岸本はカッとなった。両手で彼女の体を突き飛ばした。いくら雪の中とは言え、鈴子のか細い体は、突き飛ばされた衝撃でよろけて、背中から雪の上に倒れた。これはイケない、わたくしは夫婦喧嘩の仲裁を買って出るように、彼女の体を抱き起して、岸本へ左手の平を向けた。しかしこの期に及んで、鈴子はわたくしの肩を両手で掴んで、耳元に、
「美咲さんは今、晦冥会の背信者と共に、この奥にいます」
意外に思うほど間近に、鈴子の真剣な表情があった。
「晦冥会、いいえ、紀瑛総連の、その長い歴史が、背信者一人によって、今、打ち砕かれようとしているのです」
「晦冥会の秘密の祠、りおが透視した本物の祠は、この先にあると言う事か? 鈴子さん、あなたは俺に、この先へ行けと言っているんですか? この先へ行って、その背信者を」
そのとき鈴子は、遠くの犬笛の音に反応する犬のように、立ち上がって、ふらふらと周囲を見回した。
「それはあたしの口からは言えません。絶対に言えません。あたしの祖母は、峰村リサ。紀瑛総連の科学技術省の主任、現晦冥会の老師です」
「老師?」
急に辺りの雪が強くなった。岸本の手にしたライトに、降雪の影が繁るように映る。
「あたしは、この祠を守る人間です。命に代えても、この祠を守る使命があります。十二年前の悲惨な事件、それを、絶対に起こさせないために。そうしなさいと、この祠の守りなさいと、祖母からこの土地と建物を預かっています」
「お前……何を」
岸本は、だらりと腕を垂らして、やっと口を開いた。
「けれども、これだけ完璧に守られた、晦冥会の秘密の祠は、一人の背信者の存在によって、ことごとく打ち破られてしまいました」
わたくしの頭に、中国人風の美女が浮かんだ。
「不知火忍」
鈴子の顔が、がっくりと下がった。
「そうです。晦冥会の背信者であり、非公開のお尋ね者となっていた不知火忍が、このペンションの面接に姿を現したのが、ちょうど一年半前。黒いキャップを目深にかぶって、登山用のリュックを背負って、手にした履歴書には、天道葵という名が記載されていました。あたしも、夫も、何一つ疑う事なく、彼女を雇い入れました。それと言うのも、学歴に記された華々しい経歴、それを見たあたしが、彼女を雇うよう強く推薦したのです。きっとその学歴と言うのも、偽装された経歴ではあったのでしょうけど、だけど実際、彼女は大学者だったのです。あたしは三流大学の経済学部の出で、彼女は国立の同じ学科の出でした。共通のマクロ経済学の話、アダム・スミスの本の話で、大いに二人で盛り上がって、むしろ彼女の方が熱心、フランシス・ハッチソンの著書まで熟読していたのですから、あたしは、すっかり騙されてしまったのです。
『支払の計算は全て暗算、電化製品や車の故障だって何でも修理しちゃうし、そんな優秀な人が自殺なんて無益な行動を取るとは思えないんです』
ここへ来た初日。高田がそんな事を言っていた。
「面接時に、天道さんは住み込みでの働き方を希望しました。それは、こちらとしても好都合でした。住み込みは、シーズン中の繁忙期になると、大変助かります。朝は暗い内から、夜は客室の寝静まる頃まで、ペンション営業の仕事と言えば、これで良いという事が無いくらい、いくらでもあります。それを、いくら生活費がかからないからと言って、契約した少額の月給で、かえってこちらがすまなく思うくらい、彼女は文句も言わずに働きました。無口で、大人しくって、それでいて、きちんと気が利いて、それこそ、彼女さえいれば、平気でペンションを空けられるくらいにまで、あたしたちは天道さんに頼るようになっていました。そうかと言って、優秀な従業員にありがちな、経営に対する余計な口出しや、処遇に対する一方的な要求は、一切なく、天道さんは一体、どれだけの物好きでこんな取り柄のないペンションに勤めているのか、雇い主が首を傾げるほどでした。
ところが最近になって、彼女の恐ろしい行動が、一夜のうちに明らかになったのです。あれは秋が最も深まった夜のこと。たまたまトイレに起きて、廊下の月明かりの中を歩いて、窓に広がるススキの原に目を向けると、何やら人影を見つけました。二階では、夜更けまで酒をのんで、騒いでいた若い客も、すっかり寝静まって、談話室も、食堂も、誘導灯の緑一色に染まっているばかりです。あたしはサンダルをつっかけて、そっと戸外へ出ると、秋の虫の音を浴びながら、人影の見えた場所、雪解け地蔵の方向へと、忍び足を使いました。
はっきりとこの目で見たわけではありません。本当にそうかと問われれば、だんだん不安に思うくらい、記憶が朧気なのです。だけど、ではあの時なにもなかったかと問われれば、確かに異常事態は起きていたのです。ススキの鋭い鉤状の葉の擦れる音を耳に、あたしが雪解け地蔵の前まで来ると、お堂の真裏にある、石垣の一部の石扉が、石を打ったような音を立てて、ちょうど閉まった所なのです。あたしの頭の中は、真っ白になりました。情けない話ですがこのとき初めてあたしはあたしの本来の使命を思い出しました。脊髄に稲妻が走りました。あたしはススキの茂みを割って、ペンションへ急ぎました。そして、天道さんに貸している一間のドアノブを回しました。鍵が掛かっていました。その足で、自室から親鍵を持ち出して、本人の了解も得ず、天道さんの部屋を開けました。暗い室内、そこに布団は敷いてありましたが、天道さんの姿はどこにもなかったのです。
天道葵がこのペンションに勤めた本当の理由、それは、住み込みで働きながら、晦冥会の秘密の祠を調べる事だったのです。あたしたちは、すっかり騙されてしまいました。すっかり利用されてしまいました。
天道さんは翌朝、何食わぬ顔をして玄関を掃いていました。あたしは、なるべくいつも通りを装って、おはよう、と言いました。それから、昨夜はどこでどうしていた、だなんて問いただす事なく、庭にあるドッグランの準備に取り掛かりました。彼女を刺激してはならない。それには理由がありました。晦冥会の秘密の祠へは、不破昂佑様の末裔でしか通れないのです。そういう仕掛けが、どういう仕組みかで石扉に施されているのです。それを知っているのは、紀瑛総連の科学技術省主任、峰村リサの孫である、あたしだけです。これを知っているからこそ、あたしは彼女に対して最大限の用心を肝に銘じました」
「どういう意味ですか? だって彼女は」
わたくしは眉を顰めた。
「天道葵という女性が、あたしたちを騙して利用したと同時に、途轍もなく危険な人物であると、あたしは直感したからです。つまり、あたしは一晩のうちにこう考えました。不破昂佑の末裔のみ通行が可能な晦冥会の秘密の祠に、やすやすと入れる彼女は、不破昂佑の末裔の誰かを、どうにかしたのではないか、と」
「まさか」
「このあたしの考えは、その一部に関してだけ、正しかったようで、後日天道葵という女性が、不知火忍という晦冥会の最強最悪の暗殺者である事が、後日判明しました。もしもあの朝、不用意にもあたしが、彼女の昨夜の行動について問い質すような事があれば、あたしは今この場に立っていないのだと思います」
雪は強く降り続いた。雪解け地蔵から、湯気が立ち始めた。
「と、言う事は、米元あずさ、彼女もこの石扉を開ける事ができるという事になるのか? 彼女だって確か」
「できると思います。でも、開ける方法を知っているのか、知らないのか、そもそもここがどういった重要な意味を持つ場所なのか、そこを知っていればの話ですけど」
米元あずさは晦冥会の秘密の祠へ入る事が出来る。しかし彼女は、突然現れた氷室理事長と祖母とで、不破昂佑の所へ行ってしまった。今から彼女を探し出して、ここへ呼んで来る時間はなさそうだ。
突然、携帯電話の着信音が鳴った。鈴子はウェアのポケットに手を入れて、携帯電話を取り出した。画面を見て「すいません、失礼します」と電話に出ながら、急いで我々の前から立ち去った。
「お、おい!」
同時に走り出した岸本は、去り際にわたくしへLEDライトを投げた。
「すまない宗村、俺は鈴子を追う。バカみたいな妄言を繰り返して、どうもあいつの様子がおかしい。近くに娘の姿も見えないし、もしかしたら、家族に色々あり過ぎて、あいつ鬱っぽいのかもしれない」
がぼがぼとゴム長靴で走る音が小さくなって、しばらくすると、しんしんと降り積もる雪の音だけが残った。雪の音が残るとは、それは、景色から受ける心の音であって、無音、つまりそれは、耳が痛く感じるほどの静けさだった。雪の夜の深い静けさ。それは、ベントレーが撮り続けた雪の妖精たち、その幾何学模様のミクロの隙間が、音の振動をほとんど閉じ込めてしまうものだった。
「統主の末裔だけが、入出を許される、か」
わたくしは、首に赤い前掛を付けた地蔵に、LEDの白光を当てた。両手で持ち上げられるほどの小さな石仏の、その像容の表面は、粗く、長年の水を吸った大谷石のように、ざらざらと風化している。お堂の近くには、これも年季が入った高札があって、杉板に墨書きがされてあるが、腐食変色が進み、もはや何だか分からない。
わたくしは、難しい顔をして鼻を鳴らすと、次にお堂のすぐ裏手、自然石を積み上げただけの、松坂城にあるような野面積みの石垣へ回り込んだ。そこには確かに、石垣の中に他と違った石の積み方をした、石の扉らしき一部分があった。横に引き違いになるのか、奥へ押し込むのか、それは分からない。わたくしは、色々に石垣を押したり引いたり、してみた所が、ぐらぐらする石さえ見つからない。
「岸本の嫁の話では、この石扉の向こうに、不知火と美咲がいるらしい。だがこの通り、どうにも開閉する気配がない。本当にこの石垣は、扉の構造になっているのか?」
わたくしは、至る角度から石の隙間や出っ張りにライトを当てて、しばらくは、地層学者が地層を鑑定するみたいに、石を探ってみた。そのいずれかの拍子に、偶然石扉は開かれるかと思われたからだ。しかし、
「どの石も動かない。びくともしない。力づくというのは、どうも利かないようだ。この石扉を開く、何らかの仕掛けがあるかも知れない」
再びわたくしは、雪解け地蔵のお堂の前に立って、石垣と同じように、色々手を出してみた。心洗と彫られた手水や、賽銭の小銭が積まれた蝋燭台、石碑には、仏道の修行に関する行持の十来があり、『愚蒙は破戒より来る』と読めた。それらを触って、押したり引いたり叩いたり、色々やってみたが、でたらめにやった所で、石扉が開く糸口さえ掴めなかった。腕時計を見た。美咲が首吊り死体となるまで、あと二〇分。
「ここまで来て俺は、美咲を助けられないのか? ここで俺は、終わりなのか? りおの透視によって、あと一歩という所まで来る事ができた。それなのに、俺は扉一つさえ開けられない」
お堂の前でしゃがんで、そのまま雪の上にお尻をつけて座った。
「結局俺は、敷島がいなければ何もできない。美咲がいなければ、江口殺害の推理さえ出来ない。俺は、いつも誰かの力を借りて生きている。それがなくなってしまえば、このざまだ。きっとこのお堂には、石扉を開く秘密が隠されているのに違いない。それなのに俺ときたら、なんて能のない凡人だ」
わたくしは、グローブで雪を丸めると、それを石扉へ向かって投げた。パンと、軽い音が響いて、石垣に雪の跡がついた。あと二〇分。わたくしは、大の字になって寝そべった。無数の雪が舞い降りて、顔の上に着地、体温によってすぐに融けて水になった。
「くそ!」
右手に拳をつくって、勢いよく振り下ろして、雪を殴った。
「敷島、お前は一体どこで何をしているんだ。こんな大事な時にお前は、なぜここにいない! くそっ! 敷島っ!」
『おじさん』
「?」
少女の声を聴いた気がしてわたくしは、雪のうっすらと積もった、上半身を起こした。
「?」
お堂の周囲を見回したが、誰かがいるような気配はなかった。
『おじさん』
「誰だ!」
ライトを掴んで、素早く周囲を照らした。そして、前のめりの姿勢で立ち上がった。
『わたしの声が聞こえますか?』
「?」
頭の中から少女の声が聞こえた。ずきんと頭痛が走る。
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