プルートーの胤裔

ゆさひろみ

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十年の救済

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 ベントレーは、雪の写真家として有名である。今でも、絵本になって、人気がある。彼は人生のすべてをファインダーの向こうに広がる雪の結晶にささげ、撮影した写真はなんと五千枚以上、すばらしい、ワンダフルな写真集が誕生した。そのあと彼は雪の中で肺炎にかかって亡くなっているのだが、その写真は世界の人びとに雪の結晶の本当はとても美しいという事を教えてくれた。日本の中谷宇吉郎も、その美しさを教えられた一人で、彼が雪の研究をスタートさせるきっかけにもなっている。
 世界で初めて人工雪を製作したという、中谷博士、彼の本を手に、わたくしは、ローカル鉄道のクロスシートで発車の笛を待っていた。
 この本によると、ゆきの結晶は、それが美しいとされる六花状の結晶は、全体のほんの一部に過ぎず、だいたいの結晶は、角柱や骸晶など、つまらぬ形だと言われている。ベントレーの研究は、単に美しいというだけで、真実を伝えていない、こういった批判的な声も聞かれたが、しかし現代の我われが、〝雪の結晶は美しい〟という常識を備えているのは、ベントレーの写真があまりにも美しく、世界中の人びとが魅了され、その常識が一変してしまったからだと、最近になって彼の功績が再評価されている。
〝天から送られた手紙〟こんな素敵な例えがあるくらい、一つとして同じ形のない、奇蹟の自然現象、うんうん、なるほどなるほど、確かに雪は自然が生み出す芸術作品の一つに違いない。
 でもそれも、大概である。
 例えばそれが、三日間、死ぬほど降ってみなさい、そして数十年ぶりの記録的な豪雪となってみなさい、大概である。内閣府からは、災害の認定を受けて、積雪は三・五メートルを越えた。昔ながらの家屋では、冗談ではなしに、二階の窓を玄関として使用している、との事である。
 特に、特別豪雪地帯に指定される、M高原駅では、排雪作業に深刻な問題を抱え、白旗が上がった。いよいよ、特殊排雪列車、通称『特雪』の出番である。前方に除雪用ロータリーヘッドを取り付けた、ディーゼル機関車で、そのいかついウィングを両手いっぱいに広げ、線路上に積まれた雪をいっきにかっ込み、そこからの、あの、すさまじい投雪。
 その重厚感ある背合重連の雄姿は、昭和の名場面、鉄道ファンにとっては、格好の被写体らしく、熱烈な鉄道写真家たちが、スコップを持ってホームへ入り、撮影場所の除雪を終えると、休む間もなく、三脚をひらいて撮影に入る。その光景に心をくすぐられ、わたくしも車窓からパシャリ、記念に彼らの写真を頂いた。
 ペンションの防災無線によって、鉄道の暫定ダイヤが発表されたのが、今から一時間前。上着に袖を通して、車のキーを手にしながら、岸本、俺の計算では十四時の列車に間に合えば、なんとか東京まで帰られる、こう背中を押されて、わたくし、あわてて荷物をまとめ、加藤刑事らに断りもなく、駅まで送くられた。そして、停車中の列車に飛び乗って、ほっとひと息ついたのが、ほんの先頃の事だ。空いている座席にコートを投げ、広びろとボックス席をひとり占め。大丈夫、平日ともあって、乗客は数えるくらいにしか乗っていない。ヒソヒソと遠くの会話が聞こえる、その内容から、窓の外で投雪する特雪が、この日を最後に運用離脱することを知って、ああなるほど、これがさよなら運転というやつで。
 ずしりと車両が大きく揺れて、窓の景色がゆっくりと動き出す。間もなく、バリバリと音割れしたカーボンマイク、その車内アナウンスによって、わたくしは、ようやくこの旅の終わりを意識する事ができた。肩の荷が下りた気分だった。車内販売が来たら、缶ビールの一つでも買ってみようか。
 八王子のマンションが、わたくしの帰りを待っている。三日前に部屋を出たまま、そのままに、飲みかけの酒のグラスが、ガラステーブルの上に転がっている。ぐうたら生きる、なまけ放題の日々。ああ、なつかしい。たった三日空けただけなのに、一年も部屋へ帰らなかったような気がする。近くのスーパーでは、まだ、名物駅弁フェアはやっているだろうか。帰ったら、しばらくは、休息をとろう。なんたって、目の前で銃弾が飛び交い、血しぶきが飛び、あまつさえ、人ではない、禍々しい何かに追われたのだ。それを思っただけで、いまでも体に緊張が走る。指先の震えが止まらない。命あって物種、命あっての、ん? わたくしはけれども、いったい何のためにあんな危ない目にあったのだろうか。寿命を縮めて帰って、そこには一体、なんのメリットがあったというのだろうか。改めてそこを考えて、ハッと思い返して、今回一つだけ得たものがあるとすれば、と、トレンチコートの内ポケットから、一枚の手紙を手にした。
 レナからの手紙だ。
 もう半ばあきらめていた、ある種行方不明だった婚約者からの、手紙。この手紙の中には、死んだ兄に憑依され、それから七年後の世界に突然目覚めたという、レナの思いが、一枚だけ綴られている。手紙が震えていた。本当に読むのか? いまここで? 自問はくり返された。
 正直怖くもあった。
 この手紙をひらいて、その中に書かれたレナのメッセージが、わたくしの期待にそぐうものでなければ、どうだろう。その〝あて〟が外れた場合、わたくしの未来は、まったく違うものになってしまう。敷島にも警告されていた、この手紙は、わたくしの心に強く作用して、あるべき未来というものが、別のカタチへと変化してしまう。ほどけかけていた、わたくしの心の〝呪縛〟というものを、より一層、きつく、締め直すのか、さもなければ、反対に呪縛を断ち切ってしまう。レナの気持ちの次第によっては、わたくしは、たいへん苦しい選択に迫られる。
 そもそもレナは、兄の魂の憑依を受けて、そこから七年、突然未来の世界に目を覚まして、いったい何を思った事だろう。ほんの昨日までが、七年前。ほんの昨日までが、結婚を控えた身でありながら、そこを、ふと目を覚ましてみたならば、世界は七年も前進している。あれ? と思ったに違いない。見た事もない病室で、見た事もない人々から、様々に質問されて、へんに心配されて、けれどもその顔ぶれに、婚約者であるわたくしがいない。そこでレナは、何を感じたのだろうか。カレンダーの西暦を見て、七年という年月を考えて、ひょっとしたら、婚約者であるわたくしのもう別の女性と結婚している想像をしたのかも知れない。そうかも知れない。婚約者の深刻な病床に、その姿が見出せないのだ。普通、そう考える方が、無理がない。もっともそれを知りたくとも、知る術がなかったというのだから、レナは、わたくしに手紙を残すほかなかったのではないか。
 そう考える事でわたくしは、手紙が読めなくなる思いがした。
〝お幸せに、さようなら〟
 こう書かれでもしていたら、わたくしは、この場で泣くしかない。こう書かれでもしていたら、わたくしは、わたくしのこの十年を、空費と考えねばならない。もしもそうであるならば、レナは、なんという残忍な仕打ちをするのだろう。
 車窓の風景は、目まぐるしく変化していた。県境の鉄道の橋から、雪の渓谷を深々と見下ろして、絶壁の岩の割れ目に根を張る松のすき間ない模様にも、信州の耶馬溪と呼ばれる所以を感じた。
 そうだからと言って、この手紙、神棚に祀って後生大事に拝むわけにもゆかず、また拝んだからとて中身が良くなる事もなく、それこそ十年後、二十年後に開いてみた所で、今この場でひらくのと変わらないのであれば、いっそひと思いにと、わたくしは心を決めて、レナの手紙をひらく事にした。
 B5の便箋に、たった一行、次のメッセージが記されていた。
『あなたは今、どこにいますか? あなたは今、どこでどう生きていますか? 会いたい』
 涙が落ちてふやけた部分があった。
 わたくしは、目の熱いのを意識した。そっと手紙を閉じて、それを胸に押し当てた。わたくしのこの十年、ぜんぜん無駄ではなかった。いつ帰るとも知れない、また、帰って来るという保証もない、未知の世界へと旅立った、愛する婚約者、それをじっと待っていたわたくしは、この一通の手紙によって、それら全てが報われる思いだった。
 天を見上げ(とはいえそこには網棚しかないのだが)、しみじみと一人の時間にひたっていたわたくしは、「宗村さんですね?」という突然の声かけに、ハッとした。
「宗村、賢治さん、そうですね?」
 ボックス席の、斜め前の席に、ダンヒルのブレステッドスーツを着た男が、いつの間にか座っていた。
「?」
 顔を洗うように、あわてて涙をふいて、わたくし、ズボンのポケットに手紙を押し込む。
「突然すいません、えっと」
 男は二十半ばくらいの若者、美容室で整えたアイビーカットに、爽やかなルックスが印象的だった。耳には、クロムハーツの金ピアスが光っている。
「初めまして、僕はこういう者です」と言って、嘘だろう? ホストじゃあるまい、ゴールドの名刺を渡して来た。その名刺には、天羽周平と書かれている。
「天羽?」
 眉をひそめて、思わず裏を見た。
「え?」
 そこで改めて相手の顔を見た。この男、言われてみれば、言われてみるほどに、見覚えがあった。そうだ。この男はダンス&ボーカルグループ『THE MONSTER』のメインボーカル、AMOだ。
「その様子ですと、僕が誰だか、ご存じのようで」
 ご存じどころの騒ぎではない。AMOといえば、『THE MONSTER』のメンバーである事はもちろん、俳優としても、その才能が認められ、最近では連続ドラマの初主演を果たしている。
「ホンモノ?」
 天羽は目をふせ、くすりと笑って、トリネコのステッキに両手をのせた。
「ホンモノかどうか、そうですね、いま渡したその名刺、あそこにいる女性たちに見せて下さい。きっと彼女たちは、歓声をあげてその名刺を奪い合う事でしょう」
 ぽかんとして、ただただ相手の顔をながめていた。
「宗村さん、そんな事より、僕がいま、なぜここにいるのか、その理由が分かりますか?」
「?」
 そんなもの、分かるはずもなかった。
「あなたは何も知らない。あなたは平和な人だ。僕はですね、レナに吐かせて、ここへ来たのです。敷島レナから、あなたの名前と、居場所を、聞き出したのです」
「敷島?」
 思いがけない名前を聞いて、わたくし、さらに頭は混乱する。
「宗村さんは、写真週刊誌に記事を売っている方とお聞きしています。失礼ですが、まさかあなたがこのような記事を書いたなんて、そんな事はないでしょうね?」
 天羽は、手にした写真週刊誌『トパーズ』の、あるページをひらいて、中身をこちらへ向けて来た。そのページには、天羽周平と、謎の美女との、密会デートがスクープされていて、『国民的アイドルグループ、THE MONSTERのAMO、抱擁&キス、沖縄の熱い夜』と大きく見出しが出ていた。
「パパラッチされる身にもなって下さい。じっさい困るんですよね、こうゆうのは」
 ページいっぱいに掲載された、白黒の写真、そこには、文字通り天羽に抱擁され、熱いキスをしながら、カメラに向かって大きな目をしている、謎の美女がパパラッチされていた。
「敷島?」
 誰が見まがおう、その美女の顔を見て、わたくし、これでもかってくらい心を乱して、相手から雑誌をひったくった。この謎の美女とは、ほんの今朝〝さよなら〟したばかりの、敷島レナでなくて、なんであろう。
「宗村さん、あなたがどんなおつもりで、レナに付きまとっているのか、それは知りませんが、やめて下さい、僕とレナは熱愛中です。もう二度と、レナに近づかないように、ここであなたに忠告します」
 天羽は、言葉に剣をふくみながら、けれどもその表情には、爽やかさを失わなかった。
「次にあなたが、僕とレナをスクープする事があれば、その時は記事の見出しにこう付け加えて下さい、二人は結婚秒読みだと」
 言われ放題のわたくし、そんな弱者を尻目に、天羽は、ランドルフのサングラスをかけ、口もとに勝利をたたえながら、次の車両へと歩いて行った。
 わたくしは男として、天羽を追いかける事ができないばかりか、熱いキスをする敷島の、その表情から目を離す事ができず、わなわなとヤキモチを焼いて、週刊誌を真っ二つに引き裂いた。
「敷島ぁ! 君はいったい、何をやっているんだ!」

     ※ ※ ※ ※ ※

 晦冥会は、その後どうなったのか。当時の新聞をひらくと、以下のような記事が掲載さされている。
 国の調査団は、晦冥会の所有地、電磁分離工場で、男女二体の遺体を発見した。女性の遺体は、晦冥会の元統主である、上月加世(六十二歳)、もう一体は、統主の不破巽(二十五歳)と判明。司法解剖の結果、二人は何らかの事件に巻き込まれた可能性があるとして、警視庁は現在、宗教法人晦冥会の関係者から、二人の関係など詳しい事情を聞いている。
 これら全ては、敷島の言った通りになった。また、敷島の言った通りに、わたくしは、国の専門機関に対し、警視庁に対し、証言を提供している。その証言の内には、不知火の存在や、巽の犯行などが、含まれていない。つまり、我われの間で巧妙な口裏合わせが行われた。これが、敷島の最後のシナリオというもので。
 また、別の新聞をひらくと、以下のような記事が掲載されている。国は、放射線発散目的原子核分裂等装置製造罪を視野に、晦冥会に対し、強制捜査に着手、教団施設の一斉捜索に踏み切った。ところが、軽水炉に関する資料はもちろん、炉心冷却機構の正式な設計図面もなく、電磁分離工場に関わる、関係者の全員の死亡している事から、調査は足止め、さらには、放射性物質が付着した設備は依然として高い放射線量を保ち続けていながら、圧力容器内には、核燃料が見当たらず、高濃度の線源も判らず、困惑する専門家チームは、原子炉等規制法の抵触に切り替えて、現在に至るも調査が継続している。
 そんな中、晦冥会の元統主、不破昂佑は、臨時の記者会見をひらき、晦冥会の前身、紀瑛総連が、核兵器用高純度プルトニウムの製造に関わったとして、その事実を全面的に認め、深々と謝罪した。報道陣からフラッシュを浴び、その印象的な映像は、一つの時代の幕引きを思わせた。その隣で、同じく頭を下げていた氷室は、罪状の未だ未確定の状態にありながら、その責任を全て引き受ける形で、翌朝には自決。晦冥会は、世間からの批判的な意見や、各方面に対する損害賠償などにより、事実上の活動休止に追い込まれ、責任役員会の議決によって、任意解散手続きに入った。
 しかしその翌月には、S市F支部精舎に、多くの信者たちが集い、新たな統主、不破斎を祀り立て、主流派、『人を思う会』を設立した。そして、行衣姿となった、斎が、九字を切って滝に打たれる、そのひたむきな姿が、かわいすぎるとインターネットで話題となり、バラエティー番組にも出演、VTRを見ながら進行するトーク番組で、番組中、カメラがスタジオ内へパンした時、遠巻きの中に不知火と思しき姿を見つけて、わたくし、風呂上りの髪を乾かすタオルの手を止めた。
「正義の味方……か」
 缶ビールを一口飲んで、そこで、清潔そうな一つ結びで、巫女のように正しく座った斎を見た。
「人世に必要なものは、ただ一つ〝人を思う心〟です。その思想は、わたしが死してなお、後世に遺り、みなの心にとどまり、その時代を呼吸して、未来永劫生き続けるのです」
 その若きひとみは、テレビ局のカメラを通じて、直接わたくしに語りかけているような気がして、風呂上がりの恥ずかしい姿が見られているような気がして、あわててリモコンを手にした。
 わたくしは、もっぱらの俗人なのだ。煩悩にまみれ、しがなく生きる、小市民なのだ。滝になんて打たれやしない、毒を食らわば皿までってやつだ。それで、いいのだ。
 その時、携帯電話が鳴った。台所まで行って、発信者を確認して、わたくし、おやと思って電話に出た。
『宗村さんですか? おひさしぶりです、わたしです、椎名です』
 彼女と話すのは、実に半年ぶりになるだろうか。
「どうしたの、こんな夜遅くに」
『すみません、お休みの所。あの、ちょっといいですか?』
 部屋には誰もいないのに、小さな声で、
「構わないけど、どうした?」
 電話の向こうでは、人の声が飛び交っている。
『あの、敷島さんって、最近お会いになられたとか、ありませんか?』
 携帯電話を持ち替えた。
「敷島? なんでそんな、あれ以来会っていないけど」
『そうですか』
 そこで、今度は玄関のチャイムが鳴った。
「何かあったの?」
『えーっと、ですね。どうしよ、うーんと、あの、二日前から、ですかね、どうも連絡が取れない状態になっていまして』
「敷島と?」
『はい。電話も繋がらないし、滞在先のホテルにもいらっしゃらないし、本社に問い合わせても、何も聞いていないって。もしかして、もしかしてって、思って』
 もう一度、玄関のチャイムが鳴った。うるさいなあと、ふり返って、バスローブを羽織って、向かいながら、
「いや、俺の所には来ていないよ。だって、敷島なんて、ここへは一度だって」
 電話しながら、サンダルをつっかけ、ドアスコープに顔を近づける。
『そうですか。すみませんでした、お休みのところお騒がせしちゃって』
 わたくしの耳から、携帯電話が離れていった。
『宗村さん?』
「え?」
 ドアスコープには、まっすぐ立って、こちらへ顔をあげている、敷島レナが映っていた。
『宗村さん? あれ、どうしたんだろう、もしもーし』
「なんで」
 はてさて、今度は一体、どんな面倒な事に巻き込まれるのだろうか。
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