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本編
晩餐会にて。
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「あっさり引き受けてしまった………。」
私はバスルームの鏡の前で目を豆にして立ち尽くす。
濡れた髪が鎖骨に当たり、微かな冷たさを感じる。
…そうだ。あっさり引き受けたは良いものの…これからはどうするんだ?
正義の様なマフィアでも殺しは付きもの。私にはその覚悟がイマイチ無いのだ。
ため息をつき、バスルームを後にした私はベッドルームに向かった。
「…にしても、豪華な部屋だよなぁ。」
そう。多分、スウィートルームってヤツだろうか。洋風な部屋はラグジェラリーに飾られる。
すると、アイツ…シバの声がした。
「風呂終わった?」
「あ…えっと、うん。」私はぎこちなく返事をした。
「今から晩餐会だ。広間に来てくれ。」
「あっ場所!待っーーーーー
すると、靴の音と共に、彼の気配は遠ざかる。
…本当にあの人は直ぐ居なくなるよなぁ。私は出会った時の(さっきの)事を思い出した。
私は少しオシャレな洋服に身を包み、部屋を出る。
「…しっかし、どう行けば良いんだ…。」
この屋敷は広過ぎるのだ。多分一周するだけでも1時間はかかる。全く、無駄にデカすぎるよ…。
私が不自然にキョロキョロしていると、横の階段から誰かが登って来るのが解る。
私は咄嗟に隣のオブジェの影に隠れて様子を伺う。人見知りが発動しちゃったのだ。
…しかし、幾ら待ってもその正体は一向に現れない。…勘違いだったのだろうか。
「…ちょっと。何で隠れてんの?」
男の声がすると同時に私は振り向く。彼は少しジト目をしながらこちらをジッと見ていた。
「っっっっ????!!ビックリした!!!!」
私は大袈裟に驚く。呆れた彼はため息をついた。
高身長で、整えられた髪と清潔感。眼鏡をしていて、その奥は三白眼が見える。
シャツにベスト、ロングカーディガンをしたその姿は初めて見る姿。
「…もしかして、アンタか。新人のお嬢様は。」
嫌味っぽく彼が言うと、私は小さく頷く。
「…皆、広間で待ってる。案内してあげるから付いてきて。」
彼は目で合図を送ると、ゆっくりと歩き始めた。
階段を降り、少し進んだところに大きな扉が見える。…おそらくアレだ。
彼がその扉を開ける。…彼の言う通り、数人が長いテーブルを挟み、座っていた。
「…あ。場所教えてやんなかったな。すまん、ヤト。」
「うるさい。ちゃんと教えろ。今日から一緒にやる仲間なんだぞ。」
「…やぁ、ルイ。そこに座ってくれ。」
どうやら、眼鏡の彼は『ヤト』というらしい。彼は厳しい言い方をしていたが、『仲間』と言ってくれて
正直とても嬉しかった。
私達が着席すると、色んな料理が運ばれてくる。私の胃は本気モードに切り替わる。
皆がそれをゆっくり口に運ぶ中、私だけがスイスイと食べていた。
「この晩餐会は自己紹介も兼ねている。ルイの事を皆に報告すべきだと思って。」
「あ、ありがとうございます。」
いきなりボスが発言したモンだから、私は焦って頭を垂れる。
私は中腰で椅子を立ち、渋々自己紹介をした。
「えと…ルイです。これから宜しくお願いします。」
小音だが私には大き過ぎるくらいの暖かい拍手が広間に届いた。
その時。
ーーーダンッッッッッッッ!!!!
奥の扉から横にスライディングする形で人が入ってきた。
異様な圧。そしてラスボスの雰囲気を漂わす。
隠れていた顔が金髪からようやく右目を見せる。まんまる白目に黒い点の瞳。
それは愛らしい笑顔をニカッと見せて言った。
「君がお嬢??!」
そう言うと彼はペタペタとワインレッドのカーペットを駆けてくる。…凄く怖い。
すると、顔面スレスレで彼は言った。
「僕はアクセル!メッチャ強いよ!あとは…その、何だっけ。」
すると、アクセルの横から邪気の様な気配と共に黒スーツが入ってくる。今日はやけに黒を見るなぁ。
「護衛だって…。さっき言ったじゃん。」
暗い顔と真っ黒く、顎マスクをした男が入って来る。後ろには…うんヴァイオリンかな。銃では無いね、うん。
「え、あの…ルイです~……。宜しく~…。」
「ルイ!じゃなくてお嬢!そっかー!宜しく!!!」
「いや、お嬢が死にそうだからやめなって。…宜しく。自分はリュダって言います。」
軽く手を挙げ、女子スマイルをした私はまさにお手上げ。
熱い熱湯からの冷水はいくらなんでも私の体がフル稼動してパンクしそうだ。
「あァ。コイツらはお前の護衛。込み世話役。…一人、世話される側が居るけど。」
「何、シバ。そんな事言うなら、キミも世話される側さんですけど。」
元気っ子キャラに合わない威圧笑顔(何この四字熟語)をアクセルは浮かべた。
…金髪で四白眼。シャツにだらしないネクタイにビビッドイエローのパーカー。ブカブカの短パンは、アクセル。
…根暗そうでマスク。ヴァイオリンなワケ無い火器が背中から少し顔を出しているのは、リュダ。
温度差のメンツが一気に顔を出す中、晩餐会はリスタートする。
「…それで、ルイ。君は戦闘には慣れていない…な。だから、少し演習をしてもらおう。…この四人と。」
「あぁ、はい…。え?!演習??!」
「当然だろ。」
シバがまたウザ笑顔を見せる。
だって当たり前だ。お嬢っつーのは…もっと、こう重宝される生き物なのでは??!しかも戦闘て??!
私だけが驚きを隠せない中、ボスは話を進める。
「明日からだ。動きやすい服をクローゼットに入れておく。…じゃあ、お前達も頼むぞ。」
「了解です。」
「ったく、良い子のフリしやがって……はいはい、解りましたよ!」
「任せなよ!僕が一番強いから!!」
「いや、強さとかないし…。」
「えぇ………………???」
ーーーーこうして、本人非公認の演習は始まるのでした。
私はバスルームの鏡の前で目を豆にして立ち尽くす。
濡れた髪が鎖骨に当たり、微かな冷たさを感じる。
…そうだ。あっさり引き受けたは良いものの…これからはどうするんだ?
正義の様なマフィアでも殺しは付きもの。私にはその覚悟がイマイチ無いのだ。
ため息をつき、バスルームを後にした私はベッドルームに向かった。
「…にしても、豪華な部屋だよなぁ。」
そう。多分、スウィートルームってヤツだろうか。洋風な部屋はラグジェラリーに飾られる。
すると、アイツ…シバの声がした。
「風呂終わった?」
「あ…えっと、うん。」私はぎこちなく返事をした。
「今から晩餐会だ。広間に来てくれ。」
「あっ場所!待っーーーーー
すると、靴の音と共に、彼の気配は遠ざかる。
…本当にあの人は直ぐ居なくなるよなぁ。私は出会った時の(さっきの)事を思い出した。
私は少しオシャレな洋服に身を包み、部屋を出る。
「…しっかし、どう行けば良いんだ…。」
この屋敷は広過ぎるのだ。多分一周するだけでも1時間はかかる。全く、無駄にデカすぎるよ…。
私が不自然にキョロキョロしていると、横の階段から誰かが登って来るのが解る。
私は咄嗟に隣のオブジェの影に隠れて様子を伺う。人見知りが発動しちゃったのだ。
…しかし、幾ら待ってもその正体は一向に現れない。…勘違いだったのだろうか。
「…ちょっと。何で隠れてんの?」
男の声がすると同時に私は振り向く。彼は少しジト目をしながらこちらをジッと見ていた。
「っっっっ????!!ビックリした!!!!」
私は大袈裟に驚く。呆れた彼はため息をついた。
高身長で、整えられた髪と清潔感。眼鏡をしていて、その奥は三白眼が見える。
シャツにベスト、ロングカーディガンをしたその姿は初めて見る姿。
「…もしかして、アンタか。新人のお嬢様は。」
嫌味っぽく彼が言うと、私は小さく頷く。
「…皆、広間で待ってる。案内してあげるから付いてきて。」
彼は目で合図を送ると、ゆっくりと歩き始めた。
階段を降り、少し進んだところに大きな扉が見える。…おそらくアレだ。
彼がその扉を開ける。…彼の言う通り、数人が長いテーブルを挟み、座っていた。
「…あ。場所教えてやんなかったな。すまん、ヤト。」
「うるさい。ちゃんと教えろ。今日から一緒にやる仲間なんだぞ。」
「…やぁ、ルイ。そこに座ってくれ。」
どうやら、眼鏡の彼は『ヤト』というらしい。彼は厳しい言い方をしていたが、『仲間』と言ってくれて
正直とても嬉しかった。
私達が着席すると、色んな料理が運ばれてくる。私の胃は本気モードに切り替わる。
皆がそれをゆっくり口に運ぶ中、私だけがスイスイと食べていた。
「この晩餐会は自己紹介も兼ねている。ルイの事を皆に報告すべきだと思って。」
「あ、ありがとうございます。」
いきなりボスが発言したモンだから、私は焦って頭を垂れる。
私は中腰で椅子を立ち、渋々自己紹介をした。
「えと…ルイです。これから宜しくお願いします。」
小音だが私には大き過ぎるくらいの暖かい拍手が広間に届いた。
その時。
ーーーダンッッッッッッッ!!!!
奥の扉から横にスライディングする形で人が入ってきた。
異様な圧。そしてラスボスの雰囲気を漂わす。
隠れていた顔が金髪からようやく右目を見せる。まんまる白目に黒い点の瞳。
それは愛らしい笑顔をニカッと見せて言った。
「君がお嬢??!」
そう言うと彼はペタペタとワインレッドのカーペットを駆けてくる。…凄く怖い。
すると、顔面スレスレで彼は言った。
「僕はアクセル!メッチャ強いよ!あとは…その、何だっけ。」
すると、アクセルの横から邪気の様な気配と共に黒スーツが入ってくる。今日はやけに黒を見るなぁ。
「護衛だって…。さっき言ったじゃん。」
暗い顔と真っ黒く、顎マスクをした男が入って来る。後ろには…うんヴァイオリンかな。銃では無いね、うん。
「え、あの…ルイです~……。宜しく~…。」
「ルイ!じゃなくてお嬢!そっかー!宜しく!!!」
「いや、お嬢が死にそうだからやめなって。…宜しく。自分はリュダって言います。」
軽く手を挙げ、女子スマイルをした私はまさにお手上げ。
熱い熱湯からの冷水はいくらなんでも私の体がフル稼動してパンクしそうだ。
「あァ。コイツらはお前の護衛。込み世話役。…一人、世話される側が居るけど。」
「何、シバ。そんな事言うなら、キミも世話される側さんですけど。」
元気っ子キャラに合わない威圧笑顔(何この四字熟語)をアクセルは浮かべた。
…金髪で四白眼。シャツにだらしないネクタイにビビッドイエローのパーカー。ブカブカの短パンは、アクセル。
…根暗そうでマスク。ヴァイオリンなワケ無い火器が背中から少し顔を出しているのは、リュダ。
温度差のメンツが一気に顔を出す中、晩餐会はリスタートする。
「…それで、ルイ。君は戦闘には慣れていない…な。だから、少し演習をしてもらおう。…この四人と。」
「あぁ、はい…。え?!演習??!」
「当然だろ。」
シバがまたウザ笑顔を見せる。
だって当たり前だ。お嬢っつーのは…もっと、こう重宝される生き物なのでは??!しかも戦闘て??!
私だけが驚きを隠せない中、ボスは話を進める。
「明日からだ。動きやすい服をクローゼットに入れておく。…じゃあ、お前達も頼むぞ。」
「了解です。」
「ったく、良い子のフリしやがって……はいはい、解りましたよ!」
「任せなよ!僕が一番強いから!!」
「いや、強さとかないし…。」
「えぇ………………???」
ーーーーこうして、本人非公認の演習は始まるのでした。
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