転生先がマフィア(お嬢)でした。

七井

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本編

戦闘型お嬢はあまり気が向かない。

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「…はぁ。」

朝が来てしまった。恐れていた朝が。あぁ、嫌だなぁ…。
今日は約束の演習の日。今は朝なのである。
私はボスが用意してくれた運動用のかっちょいい服着替え、テーブルの上の朝食を食べた。

…それは、クッッッッッソうめぇんだ……本当にそれはもう。

オシャンティーなトーストにとろけるようなバター。
そして美味しそうな赤に染まって、上に生クリームが乗ったミネストローネ…!
デザートのクリームブリュレまで!見てるだけで芸術品なのである。
それをブラックホールの胃袋に全て放り込むと、私は目をひん剥いた。


ーーーなんと、魔法の様に紙が一枚プレートの上に添えられたのだ。


「ひぃぃぃっ!!!文明?!文明ですか???!」

私は声を裏返しながら、昭和じみたリアクションを取った。
落ち着いて紙をよく見ると、綺麗な文字でこう書かれていた。

『朝食は如何でしたか?準備が出来ましたら、一階の正面玄関前までお越しください。  リュダ』

どうやら昨日見たリュダさんの字みたいだ。…ていうか、リュダさんこんな料理作れるんだ。
すると、紙に文字が増える。…慣れなくてまたビビる。

『言い忘れていました。自分は護衛兼執事ですので。ルイさんの。ですから、身の回りの事は自分がやります。
    …ていうか、ルイさんの驚いた時って面白いですね。                                                                                                       』

なんと、心まで読めるらしい。…余計な事は考えないようにしないと!!
執事だったんだなぁ。なんか、執事って良いなぁ…響きもなにもかも…。

私は感心しながら、準備を済ませ、部屋を後にした。
螺旋階段を降り始めると、一階の玄関前でリュダがあの紙通り立っていた。
私が小さく手を挙げると、リュダは此方を向いて、猫背でもお辞儀してくれた。
私は急いでリュダの元に駆け寄る。
リュダは暗い顔に薄い笑顔を浮かべて言った。

「あっちの世界の人はこんなに時間が掛からずに準備出来るんですね。」

「いやぁ。同じだと思いますよ。私がそういうの早いだけで。」

私は苦笑いをして返した。彼は重い扉を開けると、久々に良い空気を吸う。
整えられた花壇など、素晴らしい景観がそこにはあった。
私が眼に星を浮かべてリュダに着いて行くと、デケェ建物が見えた。倉庫…みたいな。

「此処が、演習に使う建物です。どうぞ、中へ。」

すると、彼がバッッと執事のスーツを脱いだ。すると、スパイの様な戦闘服を纏った彼が見える。
後ろに狙撃銃を背負った彼は執事か狙撃者に早変わり。

私が緊張感を持って扉を開ける。



ーーーすると、シバ、ヤト、アクセルが居た。



「遅いじゃん、お嬢。」

「…そこら辺の女よりかは準備が早くて感心だな。」

「お嬢ー!!!早くやろう!ね!!!」

いつも(何がいつも)の3人が見えて緊張が少し無くなる。
そこは開けた場所で小さい棚だけがそこにあった。
私がそれを注意深く見ていると、シバが説明してくれた。

「此処は演習場。まぁ、戦うとこ。今日は軽くやるから、気楽にしといてくれ。
    んで、それは、銃とか入ってくる。んでも、痛くねぇタマしか入ってねぇよ。」

私はそれを聞くと目をキッとさせた。そして、今度はヤトが言った。

「早速やるが、本当に気楽で良い。まずは鬼ごっこだ。一番足が速いアクセルが鬼。ルールは一つ。」

すると、意味有りげにニヤッと笑う。

「手を地面に着くこと。それだけ。」

「手を着く…?それだけ?」

「あぁ、それだけだ。…だが、アクセルは速いぞ。まぁ、頑張れ。」

すると、リュダが手を挙げる。

「スタート三秒前。」

「えっえっ!もう??!」

私は焦って、クラウチングスタートの体勢を取った。

「3」

「2」

「1」



「スタートです。」


けたたましいサイレンと共に、アクセルが飛び出す。目がメッチャ怖い。
私は少しだけ呻き、アクセルに正面を向けたまま走る。
ある程度距離を保ってから後ろを向いて爆速!アクセルは風を切って追いかける。速い……!!!

「クソ!!」

私は諦めて、彼と直接対決に挑んだ。振り返ると、彼は最大に狂気の顔を浮かべていた。

「お嬢!!!僕すっっごく楽しいんだ!!!だからねだからねーっ!!」

右手を伸ばすとバグの様に、斧が出現した。…斧と言うより、トマホークかも。
鋭いソレをジャキッと私に向けると、ダメージがないと言っても背筋が凍る。
そして、また、高速で私の顔の前に鋭さをもっと感じさせる。
私はスレスレでソレを躱す。…危なかった。




ーーー今度はコッチのターン!!!!




私は左手に強い力を込める。能力の様なモノが宿る感覚がする。
左手が鉄みたいに硬くなり、アクセルの顔に向ける。
アクセルは彼に似合わない焦った顔を浮かべた。
しかし。


それは粘土みたいに変化し、また狂気の笑顔になる。


それと同時に今度は、彼が私の拳を避ける。


私はソレに驚いた矢先、拳が下に着きそうになる。ーーーヤバイ!!!


私の神経は『手を着くな』に変わり、拳をギリギリ上に向け、
足を滑らせ、宙返りをする。
真逆の世界からアクセルのニッと笑った顔が見える。





ーーーー施設の鉄骨の上では、一人の男がルイとアクセルの一戦を眺めていた。







「ルイ。…キミか。やっと会えたね。」



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