転生先がマフィア(お嬢)でした。

七井

文字の大きさ
9 / 14
本編

初めまして…で、良くない関係?

しおりを挟む

危なかった。もしかしたら彼処で撃沈していたかもしれない。それより。


…なんで、私の拳は硬くなったんだろう。


全くわからない。だけど、転生人というものは超人的な力を得る…というのは
まさしく本当の事だろう。私は目の前のアクセルを見つめる。相手もそう。…だが、終わりは必ず来る。



「時間だ。」



いきなりヤトが終わりを告げた。私達は勢いでそちらを向く。
アクセルは目を丸くしていた。その眼球の先にあるのは…


階段を降りてくるボス…と拍手している男。不気味な効果音を立てて階段を降りる。

『異様』まさしくそんな言葉がお似合いだろう。…ボスだからそうだけども!


「いやぁ、実に素晴らしい演習だ!僕も釘付けになっていたよ!!」

拍手する男は高い声で私達を絶賛する。

「これは…イミテーション(imitation)のボス。お初にお目にかかりますねェ。」

「初めまして。キミは…カルマ君。と言ったよね?どうぞ宜しく。『冷酷な暗殺者』殿。」

「……シバ、で結構デス…………!!」

…無論、ピリピリである。
仲間の筈なのに双方煽る様な口調で、私が割って入ったら叩きのめされそうだ。
私はその様子を反面心配気味、反面呆れて見つめていた。

(『冷酷な暗殺者』ねぇ………。)

そう、心で言いながら私は陰で一枚の紙を取り出して、見つめた。…それはボスから貰った資料。
資料には、私達、カーナバルのメンバー、一人一人の情報が詳しく書かれていた。
『冷酷な暗殺者』…。ずっと前はまさにその様子だったらしい。

ボスだけの命令でどんな奴も慈悲無く殺す…マフィアの鑑である。(私からすれば)



「…あの、ルイさん。」



びっくりして、振り返ると、リュダが耳元で囁いていた。少し呆れて。

「…彼はボスから聞いているでしょうが、イミテーションのボスです…。自己紹介を。」

私はソレをハッと思い出した様に聞くと、私はソイツに向き返った。

「私、ルイです。マフィアの事はよく分かりませんが、必ずや、役に立ちます!宜しくお願いします!」

私はドキドキして言った。…もしかしたらここでクビになるかもだから。私はボスをジッと見た。


ーーーー結果、ボスは笑い転げました。


えぇぇぇぇぇぇ???!って感じなんだけど。とりあえず、コマンドから[焦る]を選択。

「えぇぇ…あ、あの。」私 の焦るは ボス に効果抜群だ!!

「…ひぃー…キミがルイぃ?…ふぅぅーん。」

彼は私をじっくりと観察した。全身がむず痒い。

「そうかぁ…。あぁ、ボクはイミテーション(imitation)のボスさ。まぁ、キミらの仲間って感じ。それにしても。

すると、彼は私の顔スレスレでまた喋る。…全く心臓に悪い人である。

転生人、ね。実に興味深い!!!ふふふ。今度ボクらのとこにも遊びにおいでよ!…可愛がってあげるからさ。」

心臓が乙女ゲームをやる乙女(は?)の様にドギマギする。…同時に冷や汗が垂れ流れる。


「…すみません。」


シバが睨んで私を自分の方に引き戻す。その目には凄い憎悪が感じられた。

「…お言葉ですがルイは一応は俺達、カーナバル側の人間。とても貴重なお嬢様なんです。
    ですから。もし、コイツに危害を加えるなど何かしらの負担を加えれば…

私は勢いに押されて唾を飲み込む。シバは私を掴む手を強くした。



それ相応の報いがある事を…誓いましょう。……俺が約束します。」



いつもドS感を滲み出してくる、シバには合わない丁寧な言葉が溢れた。…私ってそんなに大事にされてんの?
それと同時に私はスポンジみたいに軽量だった状況が本当は鉄だった事を思い知る。
今回は勇気が素晴らしい!…という事でイミテーションのボスが感心していたが、
シバは事後、屋敷でヤトにこっ酷く叱られていたのは言うまでもない。

時計の針で10時を指す頃…私は自分の部屋を後にし、遊戯場に向かう。
…シバは何時もそこでビリヤードをして遊んでいると、リュダに聞いた。
デカイ屋敷は慣れない。10分もかかってやっと、扉の前に着いた。
色んな意味重い扉を開ける。…中にはやはり、シバがビリヤードをしていた。

待っていた、とでも言うように平然に私に一度視線を向けたその目は、
また、ビリヤードの台に向かう。

ボールの急所を狙い、小さな落とし穴へと導き、…殺す。さながら暗殺者の様。

彼は一つの戦いを圧勝で終えると、此方を向いた。

「悪い。…おかしくなるんだよ。たまにだけど。」

「別に、おかしくない。…でもびっくりはしたかな。」

私が小さくはにかむとシバは少し驚きの気の抜けた表情を一瞬見せて、笑顔を見せた。

…それは哀しい様な、笑顔。…しかし、また真剣な表情に移り変わる。

「アイツは…絶対、何かを企んでる。…例えば、お前を…こう、なんかしちゃう、とか。」

そのなんかが何なの?!って思ったが、私は喋りに割り込まなかった。

「だけど、お前は今後の俺達に必要なんだ。…もう、家族や仲間を失いたくないから。」

私は『家族』という言葉を頭の中でスライドする様に連呼した。
…そうだ、私は…いつだったか…私の……………



キィィィィィィィィィィィィィィィンンンン!!!



煩い機械音が屋敷中に響いた。私と彼は黙って、冷静にソレを聞いていた。
すると、小さい音だが、自分のインカム(ハンディ用イヤホンでしょうか)からボスの声が聞こえた。

『全員聞け。何者かが屋敷の裏口を襲撃。現在まで二人が死亡。戦闘員は『ヨサク』に。
    今回は『No,2』が指揮と前衛に当たれ。『コメット』の死亡を全員で警戒せよ!コレは重大な事だ。
    戦闘員以外は軍備の補給、避難用経路の展開に集中しろ!良いな!!                                                            』

小さく舌打ちしたシバはキリッと表情を変え、走り出し、私はソレを追った。
…まさか、襲撃に遭ったなんて…私は焦りの表情を見せる。そしてボスの命令を今一度思い出す。
『ヨサク』…4階緊張作戦室の略称である。また、『コメット』というのは私の事である。…しかし、


「No,2って??!…一体誰なの??!」

私は赤々としたカーペットを駆けながら、前にいる、シバに聞いた。

「俺だ!!!とにかく、走る事に集中しろ!良いか?!俺の後にひっついとけ!!!」

シバの大声に私は深く頷き、走る事を最優先した。





…なんだっていい。ともかく私は『死んではいけない』んだ!!







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

没落貴族は最果ての港で夢を見る〜政敵の公爵令嬢と手を組み、忘れられた航路を拓いて帝国の海を制覇する〜

namisan
ファンタジー
日本の海運会社に勤めていた男は、事故死し、異世界の没落貴族の三男ミナト・アークライトとして転生した。 かつては王国の海運業を牛耳ったアークライト家も、今や政争に敗れた見る影もない存在。ミナト自身も、厄介払い同然に、寂れた港町「アルトマール」へ名ばかりの代官として追いやられていた。 無気力な日々を過ごしていたある日、前世の海運知識と経験が完全に覚醒する。ミナトは気づいた。魔物が蔓延り、誰もが見捨てたこの港こそ、アークライト家再興の礎となる「宝の山」であると。 前世の知識と、この世界で得た風を読む魔法「風詠み」を武器に、家の再興を決意したミナト。しかし、その矢先、彼の前に最大の障害が現れる。 アークライト家を没落させた政敵、ルクスブルク公爵家の令嬢セラフィーナ。彼女は王命を受け、価値の失われた港を閉鎖するため、監察官としてアルトマールに乗り込んできたのだ。 「このような非効率な施設は、速やかに閉鎖すべきですわ」 家の再興を賭けて港を再生させたい没落貴族と、王国の未来のために港を閉鎖したいエリート令嬢。 立場も思想も水と油の二人が、互いの野望のために手を組むとき、帝国の経済、そして世界の物流は、歴史的な転換点を迎えることになる。 これは、一人の男が知識と魔法で巨大な船団を組織し、帝国の海を制覇するまでの物語。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...