10 / 14
本編
駆ける彗星!(グ)
しおりを挟む「悪い!遅くなった!!!!」
大きい音を立てて私達は『ヨサク』に乱入した。
…正直、怖かった。皆が…仲が悪くなる気がしたから。しかし。
「遅いな、発生から1分。」
「お嬢??!大丈夫?!」
「八神さん…そんな言わないでも…ルイさん。無事でしたか。良かった。」
何時のメンバーに加え、多くの仲間が私達を出迎えてくれた。鼓動が遅くなっていく。
シバは苛立ちでも、不安でもなく…真剣な顔で話す。
「…いいか。今回はお嬢…ルイ狙った襲撃に間違いない。」
「その根拠は。」
ヤトが冷たい視線で問う。勿論シバは微動だにしない。
「…身内か、イミテーションが仕組んだ事だと思うからだ。」殆どの人が目を丸くする。ヤトは目を見開いた。
「…身内だとっ!!?お前は……仲間が裏切るとでも思っているのか!」
ヤトはいつもの冷静さを失い、早口で怒鳴る。
「…八神さん。今はこの状況の打開が最優先だと思います。」リュダか小さく窘めた。ヤトが俯く。
「そうだったな…。とりあえずお嬢は幹部の俺達が守る。おそらく前線で戦う事だろう。」
四人が私をチラ見する。前線…という事は戦いは避けられない…という事。
「それと、『緋雨団』は増援に警戒して入口付近、前線、ボスの警護に分担しろ、良いな。」
すると、フードを被った人達が小さく頷いた。
…そういえばアクセルが言っていた。
シバとアクセルで『緋雨団』という殺し専門の軍団を創っている…と。
「よし…時間も無い。とっとと片付けるぞ!!!」
「「「「「了解!!!」」」」」
ヨサクの中は覇気に満ち溢れ、各々の持ち場へと兵士は駆ける。
私は四人の後を追った。向かったのは玄関前。
その前のホールは…荒れていた。人の残骸。血飛沫。かつての美麗な屋敷は血の匂いしか残っていない。
すると急にシバが振り向く。青ざめた顔で。
「避けろ!!!!!!」
咄嗟に体が左へと浮いて動く。地に手を付けバランスを保ち、ヤツをひん剥く。
敵だ。
そう思ったのはおそらく私達全員だ。返り血のシャワーで彩ったソレはゆっくりと鋭い刃物を取り出す。
その時。
ーーーそれと同時に天井から沢山の人が姿を現した。…全部で、10人。
もちろん4対10なんて相当なハンデ。
…此処が、墓場になるかもしれないのに。
何でだろう…凄くワクワクするんですけど!!
すると、共鳴したように私達は四方に散る。
まず接近戦の3人…アクセル、シバ、私が斬りにかかる。
敵は予想が的中したようにハンドガンで応戦してきた!
シバは弾丸を出現させた二つの短刀…『煙刺し』と『血斬り』で食い止めた。
耳障りな金属音を立てながら『豆』をコロコロ落としていく。
一方アクセルはあのトマホークを出し、弾丸なんて問答無用で走る速度を増す。
シバの様に弾を避けたり処理するのではなく。…まるで自殺行為だ。
だが、彼はそれがいとも簡単に出来てしまうのだ。凄い才能だ。
私は演習で鍛えた素早さで弾を避けまくる。しかし、
服の布の先が無様にも弾け飛ぶ。胸が張り裂けそうだ。
今度は私達が喰らわせる番である。
シバが人の急所…心臓辺りを次から次へと刺していく。…かまいたちだ。
それに続く様にアクセルは狂気の表情を浮かべながら腹に切りを入れ、
腹の中身が見えるくらいで真っ二つに折っている。
…残念ながら私はそういう刃物を持っていない。…じゃあ、どうするのか。
殴って、蹴るのだ。それしかない。
勢いを出して引いた左腕をストロークの様に敵の腹に決めていく。
勿論、内臓が今にも弾け出そうな彼らはその場でコロリ、だ。
殴って蹴り、殴っては蹴る。しかし、そのコンボに水を差すモノが居た。
アクセルに腹をヤラれ死んで同然だったソレは目の前の宝に手を伸ばす。
宝の口が向かった先は勿論…
私の背中である。
私はソレに全く気づかない。しかし、異変にアクセルが気づく。
「お嬢ぉぉぉ!!!!」
彼のハスキーな声が直ぐに私の鼓膜へと走る。…振り返ると、弾丸だ。
スローモーションで見える。…死を感じる。
ズドン。
「…アクセル。お嬢を護りたいなら、まずは敵の確立した排除に臨むべき。」
声の主を上に滑らす。…リュダが二階で狙撃銃を構えていた。
リュダの弾丸に殺されたヤツは見事に急所を撃ち抜かれている。
リュダの居場所は二階と言っても狙いにくい位置だった。
しかし、それを簡単に撃ち抜くスナイパー…流石だ。
その時。
ーーーその場の敵が一斉に倒れこむ。
何事かと振り返ると右手を前に掲げたヤトがニヤッとして立っていた。
「ちょぉ?!今やってたのにぃ!!!ヤトのズル助!超能力とか反則!!!」
「お前らの処理が遅すぎたのがいけないと思う。さっきなんて何なんだ。」
シバの言う通り、ヤトはサイバー系が特に凄いが、特殊能力も使える。
遠くの敵を締め上げたりするのはゲームで言うとチーターというヤツ。
「それよりも!さっき無線でボスのところに繋いだが…本気でヤバそうだ、いくよ。」
ヤトは真顔で言う。私は冷汗が流れ、顔が怖ばる。
「ヤバイ…??」
「うん。…どうやら今回の襲撃のボスと名乗る人物が出てきたらしい。」
まさか…こんな大きな事だとは思っていなかった。
ボス…という事は、ソイツを倒すと、この世界に大きな影響も与えるだろう。
私達は全速力で敵ボスとカーナバルのボスが居る部屋に向かう。最初に来た、あの部屋。
…その時の私はその人が誰だったかなんて考えなかった。
0
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
没落貴族は最果ての港で夢を見る〜政敵の公爵令嬢と手を組み、忘れられた航路を拓いて帝国の海を制覇する〜
namisan
ファンタジー
日本の海運会社に勤めていた男は、事故死し、異世界の没落貴族の三男ミナト・アークライトとして転生した。
かつては王国の海運業を牛耳ったアークライト家も、今や政争に敗れた見る影もない存在。ミナト自身も、厄介払い同然に、寂れた港町「アルトマール」へ名ばかりの代官として追いやられていた。
無気力な日々を過ごしていたある日、前世の海運知識と経験が完全に覚醒する。ミナトは気づいた。魔物が蔓延り、誰もが見捨てたこの港こそ、アークライト家再興の礎となる「宝の山」であると。
前世の知識と、この世界で得た風を読む魔法「風詠み」を武器に、家の再興を決意したミナト。しかし、その矢先、彼の前に最大の障害が現れる。
アークライト家を没落させた政敵、ルクスブルク公爵家の令嬢セラフィーナ。彼女は王命を受け、価値の失われた港を閉鎖するため、監察官としてアルトマールに乗り込んできたのだ。
「このような非効率な施設は、速やかに閉鎖すべきですわ」
家の再興を賭けて港を再生させたい没落貴族と、王国の未来のために港を閉鎖したいエリート令嬢。
立場も思想も水と油の二人が、互いの野望のために手を組むとき、帝国の経済、そして世界の物流は、歴史的な転換点を迎えることになる。
これは、一人の男が知識と魔法で巨大な船団を組織し、帝国の海を制覇するまでの物語。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる