如月さん、拾いましたっ!

霜月@如月さん改稿中&バース準備中

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34話(2)付き合いという名の免罪符?!恋人であり1番の理解者へのカミングアウトーー。

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「ただいまぁ!!!」


 勢いよく、玄関扉を開け、家の中へ入る。アレ? 返事がない。なんでだろう? でも靴はある。家にはいるはず。


「ただいまぁ!!!」


 リビングに向かい言ってみる。返事なし。まず、2人の姿がない。んと、和室? もう寝ちゃった? 22時だもんね。襖に手をかけ、思いっきり開ける。


 スパン!!!


「ただいまぁ!!!」


 居ない。ぇええぇえぇえ!!! どういうこと?!?! えっ、もしかして……俺が居ないから2人でお風呂に?!?! 


 脱衣所の扉を開ける。浴室からは2人の話し声。なんてこと!!! してやられた!!! こんなことなら早く帰るべきだった!!! てかこれ、俺も一緒に入っていい?!?!


 俺のことに気づいていないようなので、耳を澄ませる。


『ん~~っ大きい』なにが?!
『早くくわえて』なにを?!
『んっ…………』なにその間!!!
『出来てますよ~~』出来てるって?!
『ぁあっっ』?!?!


 卯月ぃいいぃい!!!!


 浴室のドアを勢いよく開けた。


 バン!!!!


「そんなもの咥えちゃだめ!!!」
「え、何? お兄ちゃん? こっちみんなキモ」
「……睦月さんおかえりなさい」


 なんか2人に違う意味で、じとりと見られてる気がする。


「何を咥えるんですか……スマホゲームですって……」
「みるな!!! きもい!!! 早くしめろ!!!」
「ごっ、ごめ……っ」


 あまりにも綺麗になっている卯月に驚きながら、浴室の扉を閉める。卯月……全然子どもじゃなかった……。


 そうだ、今のうちにこんな汚い服、早く着替えてしまおう。着ているワイシャツを脱ぎ、洗濯機へ突っこむ。風呂に入るまで、肌着とハーフパンツでいっか。


「全然クリアできなかったぁ~~」
「暑くなってきたので出ましょう」


 上がってくる!!! 急いで脱衣所からリビングへ向かう。パニックになって色々流しちゃったけど、一緒に風呂入ってたし。でも口出ししない約束だからな。


 リビングの床に座り、如月が上がってくるのを待つ。


「睦月さん」


 後ろから声をかけられ、振り向く。


「如月……?」


 如月の目が笑っていないのは気のせいだろうか。なんかしたっけ? 浴室開けたから?


「睦月さん、和室いこっか」
「え? う、うん」


 如月に背中を押されるまま、和室へ行く。如月の髪先からぽたぽた垂れる雫が、嫌な予感をますます高める。


 やましいことは……。


 してないと言い切れない!!!
 睦月は泣いた。


 変な店入ってるわ……。


 和室へ入ると正座をさせられ、襖が閉まった。如月の手には丸められた原稿。お説教モード? 怒られるのイヤだよぉ。これは仕方なかったんだよ? 付き合いだもの。


「何かやましいことは?」
「……女の子のいるお店に入りました」


 ぽこ。


 原稿で頭が叩かれる。むー。


「……飲みも仕事です。付き合い上、仕方なかった!!!」
「分かってますけど、イヤだったぁ」


 ぽこぽこ。


 原稿で頭が叩かれる。もぉ。


「何したんですか」
「へ? ちょっとまぁ……おさわり……(※仕事だと割り切って真面目にさわった)」


 ぽこぽこぽこ!!!


 原稿で何度も頭が叩かれる。ぷ。なんかちょっとかわいい。


「ばか!!! 真面目!!! 変なところ真っ直ぐ!!!」
「ちょっ! やめて叩かないで! 円滑な人間関係を築く上で仕方なかったの!! ごめん! ごめんね?」


 原稿を持つ如月の手首を掴み、引き寄せる。たまには後ろから抱きしめさせて。


 ぎゅう。


「ばかー睦月さんのばかー。で、どうだったのですか?」
「へ? どうだったって?」
「蒼さん以来でしょ。あの時と今じゃ感じることも違ったのでは」


 如月の言葉に抱きしめている腕に力が入る。あの時とは感じることは違った。


 変わっていく心と身体の変化。


 今まで女性も恋愛対象に入っていたからこそ、全ての人間関係が成り立っていたような気がする。だからこそ、如月に言って良いのか、迷う。


 自分の中でセクシュアリティが変わったのは間違いない。


 見てきたものや感じていたものがリセットされ、同じようにみることはできないのに、人間関係はそのままだ。


 環境をリセットすることは出来ない。この生活さえも。


 自分のセクシュアルマイノリティと向き合いながら、今の環境でやっていかなければならないのだ。


 それが分かった途端、今まで誰にでも比較的にカミングアウト出来ていた自分だったが、今後は全てをカミングアウトすることは出来ないと思えた。


 自分の恋人であり、セクシュアルマイノリティに関しては1番の理解者だ。言えば良いのに、言えない。


「言って」
「俺が何を言っても怒らない?」
「怒らないし、全て受け止める」


 本当に? 不安から少し疑ってしまう。多分、これを言ってしまうと、俺のセクシュアルマイノリティはほぼ決まり。新しい生活が始まることになる。


 これが如月にとって、そして俺にとっても、良いことなのか、分からない。


 如月の背中に頬をくっつけ、口を開いた。


「女性に触れても何も感じない。如月や旭に触られた時の方がドキドキする……女性には多分、興味がない」
「そっか」


 これ以上何を言っていいのか分からない。どうしよう。後ろからでは如月の表情も見えない。不安で胸が押しつぶされそうになる。


 手の甲の上に、如月の手が重なり、優しく俺の手を撫でた。


「まぁ、自分のセクシュアリティは自分自身が決めるものなので、それに関して、私は何も言いませんよ。貴方がたとえ、ゲイだとしても、それが不幸なことではないと思います」

「人それぞれの生き方があると思いますよ? それに自分のことを全てを理解してもらう必要もないし、私のことだって、全てを理解する必要だってないのですから。そこに無理はしなくていいかと」


 振り返り、俺の方をみて微笑む如月に、不安で、張り詰めた気持ちが解れる。


「無理に全てを理解してもらう必要はない……か」
「カミングアウトすることが必ずしも正しいとは限らないですし、それよりは自分自身を認めることの方が大切だと思いますからねー」


 ぎゅ。


 腕に更に力が入る。愛しくて、横から顔を覗き込む。お風呂上がりのいい匂いが首筋から香り、ドキッとする。


「生きづらく思うことはあるでしょうけど、それでも、ありのままに生きればいい」
「如月……」


 手でそっと髪の毛を退け、頬にキスする。如月の頬が薄く染まるのを見て、性的な欲求が湧く。


「……でも睦月さんをこんな風にしたのは私のせいですよね……ごめんなさい」
「じゃあ責任とって」
「ぇえ~~っあ……わっ…ちょっと~~」


 ごろん。


 如月を抱きしめたまま横に寝転がる。如月の脚の上から脚を絡め、どこにもいかないように引き止める。触れ合う脚に下腹が少し熱くなった。


「如月、好き。大好き」
「なんですか、急に」
「ありがとう」
「愛してるくらい言ったらどうです?」


 あっ、あいしてる?! 言ってるよね? 普段?! 言ってないっけ?! 言ってるでしょ?! 改めて求められると照れる!!!


「あっ……あいし……あいしてる」
「顔みたい~~睦月さんの顔みたい~~」
「ばっ!!! こっち向くな!!!」


 寝返りを打ち、こちらを見る如月に、手の甲で咄嗟に顔を隠す。こんな赤い顔、見られたくない!!!


「ちょっと~~隠さないで~~」
「やだ!!! やだぁ!!! 見ないで!!!」
「いちゃいちゃしてるし。お兄ちゃん風呂~~」


 襖から卯月が顔を覗かせる。そういえば、まだお風呂入ってないや。もう少しいちゃいちゃしたかったな。


「物足りなさそうな顔してる」
「へ?!」
「こういうのが欲しかったの~~?」
「あっちょっだめだめっあっっ今からお風呂入るの!!!」


 下着の上からゆっくり幹が撫でられる。もぉ!! きもちいーー!!! 如月のばか!!!


「もぉ!!! お風呂入るから!!!」
「はいはい、いってらっしゃい~~」


 身体を起こし、如月の額に口付けする。


 ちゅ。


 そこで一生照れてろ!!!!


 赤く染まった如月の頬を見て、ほくそ笑みながら、浴室へと向かった。






 おまけ


 ーーある朝の出勤前 クリーニング店



「すみません、これクリーニングお願いします」


 スーツとワイシャツ、ネクタイをカウンターの上へ置く。我ながら全てクリーニングに出してあげるとか、お人好し!!!


「なんか大分汚れてますね」
「え゛」


 汚れ、落ちなかったらどうしよう!!! でも落ちるよね? 別にインクとかじゃないし!!! 自然由来(?)のものだもん落ちる!!!


「そんなに汚れてるんですね。へ、へぇ~~俺のスーツじゃないけど」
「かなり白っぽくなってますよ」


 なんとなく、白い目で見られている気がする。


「なんかやっちゃったんでしょうね~~全く~~俺のスーツじゃないけど」
「偉いね、代わりに出すなんて(お父さんの? 若いな)」


 渡された伝票に必要事項を記入しながら、会計を済ませる。如月のスーツなのにクリーニング代、俺持ち!!! もぉ!!!


「あはは。ま、俺のスーツじゃないけど」


 ーー全てを如月になすりつけ、その場を乗り切った睦月であった。



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