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38話(2)たまには私も甘えてみたい?!でも甘え方が分かりません?!
しおりを挟む「コラムとか書いたことないので、これで良いかは分からないですが、多分変な部分はないと思われます……」
「弥生さん、ありがとう~~」
早とちりした!!! 2人の間に変なことなんて全然なかった!!! なんか仕事っぽいし!!!
如月の脚の間におさまりながら、大人しく、パソコンの画面を見つめる。何を作っているのかよく分からないけど、旭のお手伝いをしてることは分かる!!!
時々、肩に如月の顎が乗り、嬉しさと恥ずかしさで頬が赤く染まる。顎が乗るたびに少しだけ横を向き、如月の顔を見る。
丸メガネをかけ、真剣な眼差しでパソコンを打つ如月。仕事をしている姿を、こんなに近くで見るとこはない。俺が近くに行くと、如月はパソコンを閉じてしまうから。
一生懸命に取り組む姿勢が、魅力的に思え、また如月のことを好きになる。
「何? 睦月さん」
「あ……いやべつに……」
「もうすぐ終わりますから、あとちょっと待っていてくださいね」
旭にパソコンが渡され、如月の顔が俺の方を向く。目が合うとクスッと微笑まれた。如月の手が俺の頬に触れる。
ちゅ。
頭にキスされた。口とかほっぺにキスされたいと思うのはワガママかな?
「よーし、できたーー!! 本当に助かった!!! 最初と比べると少し内容変わってるけど、まぁいっか~~ありがとう、本当に助かったよー」
「どう致しまして」
「はい、これ約束のやつ」
「ありがとうございます~~」
約束のやつ? 如月が嬉しそうに、何か旭から受け取っている。なんだろう?
「はい、これ。睦月さんへ」
「え?」
一枚のカードが渡される。1ヶ月ジム使い放題フリーパス? 何これ? え?
「今度ジムデートしましょうね~~」
「じむでーと……」
俺とデートするために……? 旭のお手伝いを? 隠されたから疑ってしまったけど、これは俺のため?
「嫌?」
「うぅん……なんかごめん。旭もごめん」
「ちゃんと言わなかった私も悪いですから、良いんですよ」
「気にすんなー。あ、いちゃいちゃするなら他所いってよー」
「「はぁい」」
如月と一緒に立ち上がる。ベランダに脱ぎ捨てた靴を拾い、玄関へ向かった。もうすぐお昼。如月とランチにでも行こうかな?!
「旭またねー!!」
「おー。弥生さんもまたね?」
「次は手伝わないよ、ふふ」
旭に手を振り玄関を出た。さりげなく、如月の指先を触る。今日は大丈夫でしょ? 握られない手に、不安を抱き、如月を見つめる。
「どうしたの?」
「手……繋ぎたいんだけど」
「もう~~自分から握ったら?」
小さな声でボソッと「甘えんぼ」って聞こえた。うるさいっ。手がぎゅっと握られ、握り返す。如月の手が熱い。頬がほんのり赤く染まっている。照れてるのかな?
よし!!!! 俺から手繋いだ!!!(?)ランチに誘おう!!! 俺から全てリードしよう!!!
今日は如月が俺に甘える日だ!!!
「きっ如月!!! ご飯食べに行こ!!!」
「え? あぁ、はい」
「何食べたい?!?!」
「う~~ん……うどん……」
デートでうどんって!!! べつに良いけど!!!
「じゃあ、あそこのーー如月?」
突然、如月が崩れるように座り込み、慌てて如月の隣にしゃがみ込む。俯いていて、顔が見えない。前髪を避け、手をそっと額に当てる。あっつ!!!!!
「ちょっと!!! 熱あるけど!!!!」
「あ~~うん。朝少し具合悪くて、薬飲んで……多分もう切れました……」
「どうしよ!!! 歩ける?!」
「たぶんー」
いや、歩けないな。如月に背中を向け、親指で指差す。
「どうぞ!!!」
「これは……おんぶ?」
「俺に任せろ!!!」
「やだ……」
もぉ!!!! わがまま!!! わかった!!! こっちならいいのか!!!
笑顔で両腕を如月の目の前に差し出す。
「さぁ、帰ろう!!!」
「これは……お姫さま抱っこ?」
「俺に任せろ!!!」うぃんく。ぱちん。
「………絶対やだ………」
なんだよぉ。自分、めっちゃ俺のことお姫さま抱っこするくせに!!! されるのはそんなに嫌か!!! でもこのままじゃ絶対に帰れない!!!
「おんぶか抱っこ、選んで」
「…………」
すごく嫌そうな顔をしている。如月が立ち上がると、俺の背中にのしかかった。おんぶね。おっけー。意外と素直に選ぶじゃん。
背中から如月の体温を感じる。結構熱い。これは高熱があるかもしれない。早く家に帰らないと。
「よいしょっ」
如月の腿を持ち上げる。意外と重くはない。肩に如月の腕が巻き付いた。首筋に如月の顔が埋まり、髪がかかる。ドキドキするんだけど!!!
如月をおんぶしながら、家へ向かう。如月が心配で後ろを少し振り向くと、思いの外、如月の顔が近くて驚く。
「だ…大丈夫?」
「うん。おんぶしてくれてるし」
「そ……そっか……」
あと少しでキスが出来そう。如月の吐息が俺に触れる。頬が赤く染まり、具合の悪さで目がトロンとしている如月に不謹慎ながら、欲情してしまう。
風邪が俺に移れば如月も早く治るよね?
「睦月さ……っん」
そっと唇を重ねる。ちゅ。口唇も、浅く漏れる吐息も熱い。
「はぁっ……睦月さん…移ります……」
「移せばいいよ、俺に」
「ダメですって。もう」
再び足を進める。後少しで家に着く。古びた階段を上り、扉の前に立つ。如月は背中でぐたっとし、動かない。尻ポケットから鍵を取り出し、鍵穴に差し込む。
ガチャ。
「ただいまぁ~~」
「おかえりー」
リビングの方で卯月の声が聞こえた。如月の靴を脱がせ、部屋にあがる。先に如月を寝かせよう。和室に入り、如月を下ろした。
「ありがとうございます」
「いいから」
畳んである布団を敷く。これで、寝れるでしょ。如月のそばに寄る。
「立てる?」
「うん、大丈夫」
如月に肩を貸し、布団へ寝かす。ふぅ。そばに座り、如月の頭を撫でる。トロンとした目でじーっと俺のことを見てくる。可愛い。
以前、如月が熱を出した時みたいな、嫌味ったらしい感じはない。むしろ、素直で可愛い。それだけ俺たちの仲は深まっていることを実感する。嬉しいなぁ。
「何か食べる?」
「うどん」
「あぁ、うどんね! わかった」
キッチンへ向かおうと立ち上がると手が掴まれた。
「如月?」
「あ……ごめん。なんでもない。行っていいよ」
「うん? 作ってくるね」
「ありがとう」
変なの。如月の手が離されると、キッチンへうどんを作りに向かった。
*
キッチンへ向かおうと立ち上がる睦月の手を掴む。
もう少しだけそばにいて。
そう言おうとして、言葉を飲んだ。ただでさえ、熱を出して面倒をかけているのに、そんな面倒なことを言ったら嫌われるかも。
そう思うと、本当のことが言えず掴んだ手を離した。
「如月?」
「あ……ごめん。なんでもない。行っていいよ」
「うん? 作ってくるね」
「ありがとう」
手が離されると、私のことなど、気にも留めず、睦月さんはキッチンへ行ってしまった。少し寂しい。そう思うなら自分の気持ちを言うべきだけど。
私は睦月さんほど感情を上手く表に出せないし、弱いところを見せるのは苦手だ。なにかやって~~みたいなおねだりは得意だけど。
私の方が年上のせいか、甘えさせることは出来ても、私自身が甘えることは、中々出来ない。
睦月さんが私に甘えれば甘えるほど、しっかりしなきゃ! と、思えてしまう。
「はぁ……こういう時くらい、甘えてみたい」
「如月~~うどん出来たよ!!」
お盆にうどんを乗せ、睦月が私のそばへ来る。身体を起こし、食べる体勢を取った。
「ありがとうございます」
「熱いから気をつけてねー」
「うん」
片手でお椀を持ち、麺を啜る。いつもと変わらず、美味しい。その様子を睦月が見つめてくる。
「美味しいよ。ありがとう」
お椀を床に置き、睦月の頭を撫でる。睦月さんが甘えているというより、甘えさせているのかもしれない。
なでなでなでなで。
撫でれば撫でるほど、照れたように睦月の頬が染まる。これがたまらなく可愛くて、なでなでがやめられない。
「あっ…ちがっ……」
「何が違うの?」
「えっとぉ……撫でられたかったわけじゃなくて……具合大丈夫かなって……」
「ふふ。寝れば大丈夫ですよ」
残ったうどんを食べ切り、再び、布団に寝転がる。私が布団に横になると、睦月はお椀を片付けに和室を出て行った。
甘えてみたい、と考えたものの、甘えるって何するのだろう? 可愛くキス求めるとか?『睦月さぁん、キスしてぇ?(※妄想)』いやぁ、無理だな。ないわ~~。睦月さんが私にやってるみたいに甘えるのは無理だぁ。
まぁ、無理に甘える必要なんてないか。
枕元に置かれた本に手を伸ばし、栞が挟まったページを開いた。
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