如月さん、拾いましたっ!

霜月@如月さん改稿中&バース準備中

文字の大きさ
242 / 371

38話(2)たまには私も甘えてみたい?!でも甘え方が分かりません?!

しおりを挟む


「コラムとか書いたことないので、これで良いかは分からないですが、多分変な部分はないと思われます……」
「弥生さん、ありがとう~~」


 早とちりした!!! 2人の間に変なことなんて全然なかった!!! なんか仕事っぽいし!!!


 如月の脚の間におさまりながら、大人しく、パソコンの画面を見つめる。何を作っているのかよく分からないけど、旭のお手伝いをしてることは分かる!!!


 時々、肩に如月の顎が乗り、嬉しさと恥ずかしさで頬が赤く染まる。顎が乗るたびに少しだけ横を向き、如月の顔を見る。


 丸メガネをかけ、真剣な眼差しでパソコンを打つ如月。仕事をしている姿を、こんなに近くで見るとこはない。俺が近くに行くと、如月はパソコンを閉じてしまうから。


 一生懸命に取り組む姿勢が、魅力的に思え、また如月のことを好きになる。


「何? 睦月さん」
「あ……いやべつに……」
「もうすぐ終わりますから、あとちょっと待っていてくださいね」


 旭にパソコンが渡され、如月の顔が俺の方を向く。目が合うとクスッと微笑まれた。如月の手が俺の頬に触れる。


 ちゅ。


 頭にキスされた。口とかほっぺにキスされたいと思うのはワガママかな?


「よーし、できたーー!! 本当に助かった!!! 最初と比べると少し内容変わってるけど、まぁいっか~~ありがとう、本当に助かったよー」
「どう致しまして」
「はい、これ約束のやつ」
「ありがとうございます~~」


 約束のやつ? 如月が嬉しそうに、何か旭から受け取っている。なんだろう?


「はい、これ。睦月さんへ」
「え?」


 一枚のカードが渡される。1ヶ月ジム使い放題フリーパス? 何これ? え?


「今度ジムデートしましょうね~~」
「じむでーと……」


 俺とデートするために……? 旭のお手伝いを? 隠されたから疑ってしまったけど、これは俺のため?


「嫌?」
「うぅん……なんかごめん。旭もごめん」
「ちゃんと言わなかった私も悪いですから、良いんですよ」
「気にすんなー。あ、いちゃいちゃするなら他所いってよー」
「「はぁい」」


 如月と一緒に立ち上がる。ベランダに脱ぎ捨てた靴を拾い、玄関へ向かった。もうすぐお昼。如月とランチにでも行こうかな?!


「旭またねー!!」
「おー。弥生さんもまたね?」
「次は手伝わないよ、ふふ」


 旭に手を振り玄関を出た。さりげなく、如月の指先を触る。今日は大丈夫でしょ? 握られない手に、不安を抱き、如月を見つめる。


「どうしたの?」
「手……繋ぎたいんだけど」
「もう~~自分から握ったら?」


 小さな声でボソッと「甘えんぼ」って聞こえた。うるさいっ。手がぎゅっと握られ、握り返す。如月の手が熱い。頬がほんのり赤く染まっている。照れてるのかな?


 よし!!!! 俺から手繋いだ!!!(?)ランチに誘おう!!! 俺から全てリードしよう!!!


 今日は如月が俺に甘える日だ!!!


「きっ如月!!! ご飯食べに行こ!!!」
「え? あぁ、はい」
「何食べたい?!?!」
「う~~ん……うどん……」


 デートでうどんって!!! べつに良いけど!!!


「じゃあ、あそこのーー如月?」


 突然、如月が崩れるように座り込み、慌てて如月の隣にしゃがみ込む。俯いていて、顔が見えない。前髪を避け、手をそっと額に当てる。あっつ!!!!!


「ちょっと!!! 熱あるけど!!!!」
「あ~~うん。朝少し具合悪くて、薬飲んで……多分もう切れました……」
「どうしよ!!! 歩ける?!」
「たぶんー」


 いや、歩けないな。如月に背中を向け、親指で指差す。


「どうぞ!!!」
「これは……おんぶ?」
「俺に任せろ!!!」
「やだ……」


 もぉ!!!! わがまま!!! わかった!!! こっちならいいのか!!!


 笑顔で両腕を如月の目の前に差し出す。


「さぁ、帰ろう!!!」
「これは……お姫さま抱っこ?」
「俺に任せろ!!!」うぃんく。ぱちん。
「………絶対やだ………」


 なんだよぉ。自分、めっちゃ俺のことお姫さま抱っこするくせに!!! されるのはそんなに嫌か!!! でもこのままじゃ絶対に帰れない!!!


「おんぶか抱っこ、選んで」
「…………」


 すごく嫌そうな顔をしている。如月が立ち上がると、俺の背中にのしかかった。おんぶね。おっけー。意外と素直に選ぶじゃん。


 背中から如月の体温を感じる。結構熱い。これは高熱があるかもしれない。早く家に帰らないと。


「よいしょっ」


 如月の腿を持ち上げる。意外と重くはない。肩に如月の腕が巻き付いた。首筋に如月の顔が埋まり、髪がかかる。ドキドキするんだけど!!!


 如月をおんぶしながら、家へ向かう。如月が心配で後ろを少し振り向くと、思いの外、如月の顔が近くて驚く。


「だ…大丈夫?」
「うん。おんぶしてくれてるし」
「そ……そっか……」


 あと少しでキスが出来そう。如月の吐息が俺に触れる。頬が赤く染まり、具合の悪さで目がトロンとしている如月に不謹慎ながら、欲情してしまう。


 風邪が俺に移れば如月も早く治るよね?


「睦月さ……っん」


 そっと唇を重ねる。ちゅ。口唇も、浅く漏れる吐息も熱い。


「はぁっ……睦月さん…移ります……」
「移せばいいよ、俺に」
「ダメですって。もう」


 再び足を進める。後少しで家に着く。古びた階段を上り、扉の前に立つ。如月は背中でぐたっとし、動かない。尻ポケットから鍵を取り出し、鍵穴に差し込む。


 ガチャ。


「ただいまぁ~~」
「おかえりー」


 リビングの方で卯月の声が聞こえた。如月の靴を脱がせ、部屋にあがる。先に如月を寝かせよう。和室に入り、如月を下ろした。


「ありがとうございます」
「いいから」


 畳んである布団を敷く。これで、寝れるでしょ。如月のそばに寄る。


「立てる?」
「うん、大丈夫」


 如月に肩を貸し、布団へ寝かす。ふぅ。そばに座り、如月の頭を撫でる。トロンとした目でじーっと俺のことを見てくる。可愛い。


 以前、如月が熱を出した時みたいな、嫌味ったらしい感じはない。むしろ、素直で可愛い。それだけ俺たちの仲は深まっていることを実感する。嬉しいなぁ。


「何か食べる?」
「うどん」
「あぁ、うどんね! わかった」


 キッチンへ向かおうと立ち上がると手が掴まれた。


「如月?」
「あ……ごめん。なんでもない。行っていいよ」
「うん? 作ってくるね」
「ありがとう」


 変なの。如月の手が離されると、キッチンへうどんを作りに向かった。




 *


 キッチンへ向かおうと立ち上がる睦月の手を掴む。


 もう少しだけそばにいて。


 そう言おうとして、言葉を飲んだ。ただでさえ、熱を出して面倒をかけているのに、そんな面倒なことを言ったら嫌われるかも。


 そう思うと、本当のことが言えず掴んだ手を離した。


「如月?」
「あ……ごめん。なんでもない。行っていいよ」
「うん? 作ってくるね」
「ありがとう」


 手が離されると、私のことなど、気にも留めず、睦月さんはキッチンへ行ってしまった。少し寂しい。そう思うなら自分の気持ちを言うべきだけど。


 私は睦月さんほど感情を上手く表に出せないし、弱いところを見せるのは苦手だ。なにかやって~~みたいなおねだりは得意だけど。


 私の方が年上のせいか、甘えさせることは出来ても、私自身が甘えることは、中々出来ない。


 睦月さんが私に甘えれば甘えるほど、しっかりしなきゃ! と、思えてしまう。


「はぁ……こういう時くらい、甘えてみたい」
「如月~~うどん出来たよ!!」


 お盆にうどんを乗せ、睦月が私のそばへ来る。身体を起こし、食べる体勢を取った。


「ありがとうございます」
「熱いから気をつけてねー」
「うん」


 片手でお椀を持ち、麺をすする。いつもと変わらず、美味しい。その様子を睦月が見つめてくる。


「美味しいよ。ありがとう」


 お椀を床に置き、睦月の頭を撫でる。睦月さんが甘えているというより、甘えさせているのかもしれない。


 なでなでなでなで。


 撫でれば撫でるほど、照れたように睦月の頬が染まる。これがたまらなく可愛くて、なでなでがやめられない。


「あっ…ちがっ……」
「何が違うの?」
「えっとぉ……撫でられたかったわけじゃなくて……具合大丈夫かなって……」
「ふふ。寝れば大丈夫ですよ」


 残ったうどんを食べ切り、再び、布団に寝転がる。私が布団に横になると、睦月はお椀を片付けに和室を出て行った。


 甘えてみたい、と考えたものの、甘えるって何するのだろう? 可愛くキス求めるとか?『睦月さぁん、キスしてぇ?(※妄想)』いやぁ、無理だな。ないわ~~。睦月さんが私にやってるみたいに甘えるのは無理だぁ。


 まぁ、無理に甘える必要なんてないか。


 枕元に置かれた本に手を伸ばし、栞が挟まったページを開いた。



 


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

姉が結婚式から逃げ出したので、身代わりにヤクザの嫁になりました

拓海のり
BL
芳原暖斗(はると)は学校の文化祭の都合で姉の結婚式に遅れた。会場に行ってみると姉も両親もいなくて相手の男が身代わりになれと言う。とても断れる雰囲気ではなくて結婚式を挙げた暖斗だったがそのまま男の家に引き摺られて──。 昔書いたお話です。殆んど直していません。やくざ、カップル続々がダメな方はブラウザバックお願いします。やおいファンタジーなので細かい事はお許しください。よろしくお願いします。 タイトルを変えてみました。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。 せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。 クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom × (自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。 『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。 (全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます) https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390 サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。 同人誌版と同じ表紙に差し替えました。 表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた

こたま
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。

処理中です...