走る方舟の憑依玩霊達(ファントムズ)

丸ーニィ

文字の大きさ
110 / 203
第二章二部 高高度激闘! 天国教団編

百十話「高度三万メートルの戦い」

しおりを挟む
 
 ここでザジは疑問をぶっちゃけた。

「何故そんなに行き急いでいるんだ! 初めから消耗を考慮すれば逃げ勝てる! 」
「意地になって戦っている場合じゃないだろう! 」

 ぶっちゃけたザジの問いにシラはゆっくりと答える、その表情は微笑みを浮かべていた。

「そうだね、本来なら地道に霊力を貯めて天国に行くための算段を付けるね」
「君達と戦うなんてこと事態が......もっての他だ」

 シラの左腕がグラリとしなだれるが、霊糸で補強したのか再び振り上げる様に動かして、健在をアピールする。

「だけどね、僕達は天国への執着だけでは亡霊を維持できないんだよ、君達ならわかるよね......」

「パープルを見ての通り、成仏から逃れられないんだ、君達の様に生前からの未練の染み付いたボディがあっても......」
「 死後の亡霊になってからの未練が"無(な)い"んだからね! 」

 ここでシラ達の行動の動機に、亡霊としての寿命が迫っている事が後押しになった事がハッキリした。

「サテライトからの通信が無ければ計画丸ごと頓挫していたよ......」
「人間を供物にするという"扉(とびら)"の解除や、イベントを強襲する霊力の回収はサテライトからの交信者からバックアップ有ってだからね」

 シラの言葉にザジは驚きの表情を見せる、サテライトは想像していたよりも強く深くシラ達のバックアップをしていたのである。
 驚愕のザジにシラは不敵に笑い語り掛ける。

「そんなにおしゃべりしていていいのかい? 風避(かぜよ)けが復活してしまうよザジ君」

 シラの言葉通り、このままだとレーザーがプラズマを乗せて攻撃してくる。
 ザジが的になるのは明白だ......が。

「いいや、風避けが復旧してもプラズマは再度加熱にしてレーザー乗せる訳だから、それを操作するお前の手が一時的に止まるはずだ......」
「補助していた舟の中の教団達は、今は制御と交信で手一杯なんだろう?」

 この問いにはザジの一か八かのハッタリが含まれていた。
 お互いに「すぐに相手のボディを破壊出来る方法」を突きつけている筈だが、シラの焦りはザジの推理の鼻を匂わせる。

「その一瞬の隙で十分だ! 発射に使う強い霊力の流れはすぐに察知出来るからな! 」

 ここで重ねる様に言い放たれたザジの攻撃宣言が、激しくシラに突き刺さる!
 かなり図星のようでグラリと体を傾けて額に手を乗せて笑う。

「いやあ本当にブラフやハッタリが効かないな、懐に入られてる時点で僕はスッゴい不利なんだよ」
「でも君も余裕がないんじゃないか? さっきの大技での消費は、君の霊力状況を著しく傾けているね」

 シラの指摘の通り、ザジもオリジナルボディから溢れていた霊力が、消耗により見る影を失っていた。
 そう......シラもまたザジの霊力消耗を察知している、これからの行動の結論が自ずと出てくるのだ。

「お互い、次が最期の一撃か......」

 真剣な面持ちのシラの声が届くと、ザジも呼応するかのようにプラモデルボディが剣に霊力を収束させる。

「シラ......俺は二依子を助ける、恨みっこ無しだ、ケリを付けよう......」

「そうだねザジ君、僕は君達を退けて天国を目指すよ、みんなで決めた約束なんだ」

 シラが右手から過剰な刃を発生させると、甲板のプラズマ発生機から出るプラズマを、刃に纏(まと)わせる。
 加熱プラズマが纏う過剰な刃は、黄金色に燃え上がり激しく光る!

「自分の周囲なら風避けが効いてる、今すぐに収束できるプラズマで出来る僕の精一杯だ......」
「そしてこれは切り札でもある、僕達教団亡霊の最期の希望"黄金の剣(テュルフィング)"だ! 」
「......さあ準備オッケーさ、決着を付けるよ! ザジ君! 」

 周囲は青い空も無くなり、漆黒の空が姿を表す。
 高度は三万メートル、地平線は青と黒、そして上には燦々(さんざん)と輝く太陽の光が、強いスポットライトの如く強烈に照らし出している。

 舟の霊体はその広い虚空の中、ポツンと浮かぶ大海の小舟の様な、小さき存在を現していた。
 その舟の上で太陽の光に焼かれながら、ザジとシラのボディが剣を構えて相対していた。

 一瞬の間が時間を止めた様な錯覚を産むと、周囲の観戦者達が一斉に息を飲む。
 シラを見る教団亡霊ポリマーも、ザジを送り込んだフォッカーも。
 飛行船ドローンからフォッカーの中継を見ているユナとパルドも、この一瞬に緊張を覚えた。
 そして......

「でやあああああ! 」

「はああああああ! 」

 ......遂にその緊張が弾けた!

 相対するザジとシラが、一気に間合いを詰める!

 先手を取ったのはザジだ!
 シールドを使った打撃を慣行、シールドバッシュである。

 だが......

「 !! 」

 突きだしたシールドは、紙切れの如く切り払われる!

 プラズマが乗った黄金の剣(テュルフィング)は、シールドの内側のアルミ板などもろともせず、プラモデルのパーツの盾は役にも立てずに袈裟斬りにされた!

「霊力持続シールドも時間切れかい?! 」

 不敵に笑うシラに、ザジが反撃を開始する。

「くそっ! オーヴァード・エッジ!! 」

 再びオーヴァードエッジが省エネ状態から解放されると、シールドを破壊したシラに向けて「突き」を放つ!

 だが......「受け」により反撃は潰された!

「左の剣を忘れて貰っては困るよ! 」

 しかし補強した左腕から伸びた霊力の刃では、オーヴァードエッジの突きを払いきれない!

 結果......左腕の肘から先はオーヴァードエッジに切り落とされたが。
 シラのボディはダメージフィードバックが薄い様に工面されており、あっさり左腕を犠牲にして次の一撃に賭ける事が出来た!

「黄金の剣(テュルフィング)よ!舞い上がれ! 」

 シラのプラズマが乗った刃は盾を打ち破った後に返し刃を振るう!
 プラズマが派手に輝き、渦を巻くように剣に纏いつくと......
 下から振り上げる様に斬り上がる!

「切り裂け! 黄金の剣よ! 」

 飛び上がるアッパーカット、シラは空中を優雅に舞った。

 その一撃は......

 ザジの無防備な胴を確実に捕らえた!

「ぐあああああああああ! ......ああ......あ......」

 ザジの霊体がフィードバックを受けて大きく叫ぶ、胸部に大きな斬撃を受けて霊体が裂ける!
 そして血飛沫が舞うように霊体から霊力が吹き出す!

「ザジイイイイイイ!! 」

「ザジ君!! 」

 フォッカーが悲鳴の様な叫び、ゆっくり倒れていくザジの姿が、中継を見ているユナやパルドにも悲壮感を漂わせる......

 しかしザジのプラモデルのボディは、崩れ落ちる膝を立て直し......
 飛び上がったシラを迎撃せんと仰ぎ見る!

「 ! ...... !? 何故だ! 何故ボディが破壊出来てない!! 」

 落下しながら、黄金の剣(テュルフィング)で切り上げたザジのプラモデルの胴を見るシラ......
 僅かに光が見える。

「ハイ......ファントム......クリスタル・アーマー......だ......」

 そう......盾に張り付けたクリスタルシールドの防御持続を、胴体に移動、収束させて防御したのである。
 胴体の装甲は大きく切り裂けたが、盾を切り裂いた分切れ味が落ちて、黄金の刃が装甲ギリギリで止まり内部のフレームパーツの破損が免れた。

「ファントム......ニードル! 」

 ザジのプラモデルボディの内蔵火器(ミサイル)パーツから、ニードルが放たれる!
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました

グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れた俺が辿り着いたのは、自由度抜群のVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。 選んだ職業は“料理人”。 だがそれは、戦闘とは無縁の完全な負け組職業だった。 地味な日々の中、レベル上げ中にネームドモンスター「猛き猪」が出現。 勝てないと判断したアタッカーはログアウトし、残されたのは三人だけ。 熊型獣人のタンク、ヒーラー、そして非戦闘職の俺。 絶体絶命の状況で包丁を構えた瞬間――料理スキルが覚醒し、常識外のダメージを叩き出す! そこから始まる、料理人の大逆転。 ギルド設立、仲間との出会い、意外な秘密、そしてVチューバーとしての活動。 リアルでは無職、ゲームでは負け組。 そんな男が奇跡を起こしていくVRMMO物語。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

 神典日月神示 真実の物語

蔵屋
歴史・時代
 私は二人の方々の神憑りについて、今から25年前にその真実を知りました。 この方たちのお名前は 大本開祖•出口なお(でぐちなお)、 神典研究家で画家でもあった岡本天明(おかもとてんめい)です。  この日月神示(ひつきしんじ)または日尽神示(ひつくしんじ)は、神典研究家で画家でもあった岡本天明(おかもとてんめい)に「国常立尊(国之常立神)という高級神霊からの神示を自動書記によって記述したとされる書物のことです。  昭和19年から27年(昭和23・26年も無し)に一連の神示が降り、6年後の昭和33、34年に補巻とする1巻、さらに2年後に8巻の神示が降りたとされています。 その神示を纏めた書類です。  私はこの日月神示(ひつきしんじ)に出会い、研究し始めてもう25年になります。  日月神示が降ろされた場所は麻賀多神社(まかたじんじゃ)です。日月神示の最初の第一帖と第二帖は第二次世界大戦中の昭和19年6月10日に、この神社の社務所で岡本天明が神憑りに合い自動書記さされたのです。 殆どが漢数字、独特の記号、若干のかな文字が混じった文体で構成され、抽象的な絵のみで書記されている「巻」もあります。 本巻38巻と補巻1巻の計39巻が既に発表されているが、他にも、神霊より発表を禁じられている「巻」が13巻あり、天明はこの未発表のものについて昭和36年に「或る時期が来れば発表を許されるものか、許されないのか、現在の所では不明であります」と語っています。 日月神示は、その難解さから、書記した天明自身も当初は、ほとんど読むことが出来なかったが、仲間の神典研究家や霊能者達の協力などで少しずつ解読が進み、天明亡き後も妻である岡本三典(1917年〈大正6年〉11月9日 ~2009年〈平成21年〉6月23日)の努力により、現在では一部を除きかなりの部分が解読されたと言われているます。しかし、一方では神示の中に「この筆示は8通りに読めるのであるぞ」と書かれていることもあり、解読法の一つに成功したという認識が関係者の間では一般的です。 そのために、仮訳という副題を添えての発表もありました。 なお、原文を解読して漢字仮名交じり文に書き直されたものは、特に「ひふみ神示」または「一二三神示」と呼ばれています。 縄文人の祝詞に「ひふみ祝詞(のりと)」という祝詞の歌があります。 日月神示はその登場以来、関係者や一部専門家を除きほとんど知られていなかったが、1990年代の初め頃より神典研究家で翻訳家の中矢伸一の著作などにより広く一般にも知られるようになってきたと言われています。 この小説は真実の物語です。 「神典日月神示(しんてんひつきしんじ)真実の物語」 どうぞ、お楽しみ下さい。 『神知りて 人の幸せ 願うのみ 神のつたへし 愛善の道』  歌人 蔵屋日唱

処理中です...