123 / 203
第二章三部 激突!!方舟対方舟編
百二十三話「黒歴史よ今再び」
しおりを挟むボコボコと海面に水泡を浮かべ、犬の巨大霊体が沈んでいく。
暫くして海面に顔を出したが、その姿は明らかに縮んでいた。
「ギュオオオオオン!! 」
犬の巨大霊体が叫びを上げる!
海面に浮かび上がった車のタイヤや、取り込んだと思われる部品が水中に散乱している。
正に溶けているのか、「重荷」になっている荷物を外して、沈むのを回避しているのである。
「驚くほど自然界の体霊からかけ離れた存在だな、式神の様な従属霊でも嫌う近代的な改修を平気で行うとは......」
安倍みちかが語る、異様な相手の正体に戸惑いを隠せない。
「なんと言うか、これではまるで"サイボーグ霊体"なのじゃ! 機械を取り込んだ霊体なんぞ、兵器にも見えて気持ちが悪いのじゃ! 」
ちょっと前に式神をプラモデルにぶちこんでいた人の言う言葉ではない。
......が的を得ているのか安倍みちかが、妹である頭目の肩に手を添えて言う。
「だが海はそうは行かない、奴の住む世界ではないのだから、ああして霊体が溶け始めていると見て良い......」
犬の巨大霊体がどんどん小さくなっていく......
溺れる姿が次第に弱々しくなっていき……
そして最早、人の大きさ程度まで縮小した時、海面が音を立てて揺れる!
「遂に倒したか......ってなんじゃ? この音は? 」
頭目が不思議に海面を見つめる、何か海面に揺れる影が見えた......その時!
「 むっ!? 」
安倍みちかが反応する、水しぶきを上げて何か、巨大なモノが海面から飛び出したのだ!
それはかなり大きなモノ、列車程の長い何かが突如、海中から現れたのである。
「んな!? 」
頭目が目を丸くして、おったまげた。
姉妹二人が後ずさる、その巨大な影は大きく顎を開くと海面に溶ける犬の巨大霊を呑み込んだ!
その巨大な影は海蛇......
蛇型の巨大霊体である!
「未確認の巨大霊体! 犬の奴を食らったのか!? 」
慌てる頭目達を尻目に、海蛇の巨大霊体は長い体をうねらせて、海の底へと消えていった。
「海中での活動圏を持っていた巨大霊体が居たとはな、だが犬の方を回収していったと見て良いだろう」
「......犬をあのまま崩壊させておくと、余程不味いモノが出てくると見た」
そう言うと安倍みちかは大橋前の鳥の巨大霊体を見て言う。
「つまりソレを知るには、アレを打倒せねばならんと言う訳だ......」
視線の先の鳥の巨大霊体は、未だ橋の入り口で鎮座している、大きく胴体を膨らませ、口から蒸気を発しているようだ。
「N型(鳥の巨大霊体)は未だ動かず、体内の熱源増大中......各種距離を取って警戒を怠るな」
頭目は変わり果てた鳥(舟)の巨大霊体を見て言う。
「もしかして、飛べなくなってしもうたのかのう? 」
その言葉通り、鳥の巨大霊体の羽根は這いずり移動するために、始祖鳥の羽根の如く鉤爪が生えており......
四足動物の様な移動をしていたのである。
ここで安倍みちかが言う。
「列島上空を飛んで居たときに、自衛隊による対空ミサイル攻撃を受けたのだ」
「着弾は回避したが、飛ばない方が良いと判断したのか徳島の山間に逃げ込んだ」
頭目がそれを聞いて驚く。
「ミサイルに狙われると言うのは以外なのじゃ、んで着弾も回避出来た時点で......もう実体と霊体を共有したトンデモなんじゃが......」
「みちよちゃんの言う通り......本当にサイボーグ霊体ね(ニッコリ)」
返答した姉上、安倍みちかはなにやら不敵な笑みで頭目に微笑みかける。
「......? 姉上? 」
頭目が何か青ざめた顔をする、嫌な予感......そう言う危機感が背筋を通る。
「N型が動き出す前に、みちよちゃんにやって欲しい事があるのよ? 」
そう言うと、安倍みちかは何やら指示を飛ばして頭目の部下達に何かを用意させて居る。
頭目は「何じゃ? 」と不思議な顔をしていたが、黒服達が持ってきたモノを見て固まった。
プラモデルである......
「は? 」
「この間の試合はずっと見ていたわ、みちよちゃんの勇姿素晴らしかったわ」
安倍みちかの言葉に、頭目は思考が停止してしまっている。
安倍みちかが続けて言う。
「ヴァリアント・ドーマン! ミチヨ・アシヤ出撃する! (頭目の声真似) ブッピガアアアン! (効果音声真似)」
その姉の声真似で頭目の顔が耳まで真っ赤に変わり、涙の海に目が泳いでいる。
「はあああああああああああ!!!! 」
暴かれる黒歴史!
余りの恥ずかしさに頭目は、のたうち回り、転げ回る。
そして問う。
「まさか......皆の前で......これに乗れ(憑け)と......(ワナワナ)」
「そうよ、中継のヘリだと攻撃されるかも知れないから、それを使って逐一状況を報告して欲しいの、お願いね」
「はい......(断れるわけが無かった)」
大橋の防衛圏が鳥の巨大霊体との膠着状態を溶く。
攻撃火器(ロケットランチャー等)による一斉射撃後、式神部隊による突撃。
これらの作戦の準備が成され、開始の合図を今か今かと待たれていた。
「ヴァリアント・ドーマン、出撃! (ヤケクソ)」
頭目の勇姿と共に、攻撃開始の号令が今、切って落とされた!!
0
あなたにおすすめの小説
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れた俺が辿り着いたのは、自由度抜群のVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。
選んだ職業は“料理人”。
だがそれは、戦闘とは無縁の完全な負け組職業だった。
地味な日々の中、レベル上げ中にネームドモンスター「猛き猪」が出現。
勝てないと判断したアタッカーはログアウトし、残されたのは三人だけ。
熊型獣人のタンク、ヒーラー、そして非戦闘職の俺。
絶体絶命の状況で包丁を構えた瞬間――料理スキルが覚醒し、常識外のダメージを叩き出す!
そこから始まる、料理人の大逆転。
ギルド設立、仲間との出会い、意外な秘密、そしてVチューバーとしての活動。
リアルでは無職、ゲームでは負け組。
そんな男が奇跡を起こしていくVRMMO物語。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
神典日月神示 真実の物語
蔵屋
歴史・時代
私は二人の方々の神憑りについて、今から25年前にその真実を知りました。
この方たちのお名前は
大本開祖•出口なお(でぐちなお)、
神典研究家で画家でもあった岡本天明(おかもとてんめい)です。
この日月神示(ひつきしんじ)または日尽神示(ひつくしんじ)は、神典研究家で画家でもあった岡本天明(おかもとてんめい)に「国常立尊(国之常立神)という高級神霊からの神示を自動書記によって記述したとされる書物のことです。
昭和19年から27年(昭和23・26年も無し)に一連の神示が降り、6年後の昭和33、34年に補巻とする1巻、さらに2年後に8巻の神示が降りたとされています。
その神示を纏めた書類です。
私はこの日月神示(ひつきしんじ)に出会い、研究し始めてもう25年になります。
日月神示が降ろされた場所は麻賀多神社(まかたじんじゃ)です。日月神示の最初の第一帖と第二帖は第二次世界大戦中の昭和19年6月10日に、この神社の社務所で岡本天明が神憑りに合い自動書記さされたのです。
殆どが漢数字、独特の記号、若干のかな文字が混じった文体で構成され、抽象的な絵のみで書記されている「巻」もあります。
本巻38巻と補巻1巻の計39巻が既に発表されているが、他にも、神霊より発表を禁じられている「巻」が13巻あり、天明はこの未発表のものについて昭和36年に「或る時期が来れば発表を許されるものか、許されないのか、現在の所では不明であります」と語っています。
日月神示は、その難解さから、書記した天明自身も当初は、ほとんど読むことが出来なかったが、仲間の神典研究家や霊能者達の協力などで少しずつ解読が進み、天明亡き後も妻である岡本三典(1917年〈大正6年〉11月9日 ~2009年〈平成21年〉6月23日)の努力により、現在では一部を除きかなりの部分が解読されたと言われているます。しかし、一方では神示の中に「この筆示は8通りに読めるのであるぞ」と書かれていることもあり、解読法の一つに成功したという認識が関係者の間では一般的です。
そのために、仮訳という副題を添えての発表もありました。
なお、原文を解読して漢字仮名交じり文に書き直されたものは、特に「ひふみ神示」または「一二三神示」と呼ばれています。
縄文人の祝詞に「ひふみ祝詞(のりと)」という祝詞の歌があります。
日月神示はその登場以来、関係者や一部専門家を除きほとんど知られていなかったが、1990年代の初め頃より神典研究家で翻訳家の中矢伸一の著作などにより広く一般にも知られるようになってきたと言われています。
この小説は真実の物語です。
「神典日月神示(しんてんひつきしんじ)真実の物語」
どうぞ、お楽しみ下さい。
『神知りて 人の幸せ 願うのみ
神のつたへし 愛善の道』
歌人 蔵屋日唱
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる