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第一章 「ヒンデンブルクオーメン」
第6話 「アーガナスの酒場にて」
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夜の帳が下りる頃、俺はアーガナスの城門前にたどり着いた。アーガナスは、ノーヴェ村のような小さな田舎とは違い、人々の活気に満ちていた。街の入り口には大きな石造りの門がそびえ立ち、その周囲には旅人や商人たちが行き交う。
門の脇には衛兵たちが立ち、通行人を監視している。俺は背中の荷を少し持ち上げ直し、門番のもとへ歩み寄る。軽く頭を下げ、アルカナプレートを差し出した。
「通行税、2ディムだ」
プレートから読み取られた情報が表示され、門番はうなずく。
支払いを済ませ、門をくぐり街の中へ足を踏み入れると、石畳の道が広がり、両脇には商店や宿屋が立ち並んでいた。街灯が暖かな光を放ち、街の中心部へと続く道を照らしている。
ここでの目的は明確だ――リーリアを連れ去った奴隷商人の情報を集めること。
俺はまず、情報収集に適した場所を探すことにした。
こういう時に最も手っ取り早いのは、酒場だ。
酒場は旅人や商人が集まり、噂話や情報が飛び交う場所。適当に街の中心へ歩いていると、程なくして目立つ看板の店を見つけた。「赤鹿亭」と書かれた木製の看板がかかった酒場の扉を押し開けると、酒の匂いと人々の喧騒が俺を迎えた。
広い店内には長い木製のカウンターがあり、奥では給仕たちが忙しく働いている。
テーブル席では、旅人や商人が酒を酌み交わしながら談笑していた。
「おう、若いの。何か飲むか?」
カウンターの向こうで、髭面の酒場の主人が俺に声をかけてきた。俺は軽く会釈をしながら、カウンター席に腰を下ろした。
「いや、酒じゃない。少し話を聞きたくてな」
「ほう……。どんな話を探してるんだ?」
「最近、この街を通った奴隷商人の話を知ってるか?」
酒場の主人は少し目を細めた。俺の真剣な表情から、軽い話ではないことを察したのかもしれない。
「奴隷商人か……アーガナスには、そういう連中も頻繁に出入りする。だが、何を知りたい?」
「リアディスへ向かった奴隷商人だ。ここ最近通ったやつらのことが知りたい」
主人は腕を組み、少し考え込んだ後、低い声で答えた。
「……昨日だな。ここを通ったキャラバンがあった。十数人の奴隷を乗せた馬車の列だった。奴らはまっすぐリアディスへ向かったって話だ」
「率いてたのは誰だ?」
「アンドレって名前の奴隷商人だ。悪名高い男だよ。表の顔は商人だが、裏では金のためなら手段を選ばねぇ。特に若い娘を好んで扱うって話だ」
アンドレ……奴隷商人の名を聞いた瞬間、胸の奥で怒りが湧き上がるのを感じた。
「そいつがリアディスのどこへ向かったのか、知ってるか?」
主人は少し眉を上げ、低く笑った。
「お前、随分と熱心だな。身内でもさらわれたのか?」
「……そんなところだ」
「なるほどな。なら、教えてやるよ。アンドレのキャラバンはリアディスの南区にある『競売会館』へ向かったはずだ。そこで、奴隷オークションが定期的に開催される」
「……奴隷オークションか」
俺は小さく呟いた。奴隷オークションが行われる場所ならば、リーリアもそこにいる可能性が高い。となれば、目的地は決まった。
「兄ちゃん、奴隷オークションの裏には有力な貴族様もいる。下手な気を起こすなよ」
「ああ…」
そう返事はしたが、怒りを抑えるのに精いっぱいだった。
「そういえば……」
主人がふと思い出したように声を落とした。
「次の奴隷オークションは、二月の初めに開かれると聞いたぞ。それまでに準備を整えるといい」
二月初め……時間はあるようで、あまり余裕はない。俺はその情報を胸に刻み込んだ。
「情報料はいくらだ?」
俺はアルカナプレートを取り出し、カウンターの上に置いた。酒場の主人はそれを見て、小さく笑った。
「いらねぇよ。ただし、何か頼んでいけ。うちの料理はうまいぞ」
「助かる。じゃあ、適当に軽い食事を頼むよ」
主人は満足げに頷き、すぐに厨房へ向かっていった。俺は、カウンター肘をつきこれからの行動を整理する。
やはり、奴隷商人のキャラバンはすでにリアディスへ向かっている。俺も一刻も早くリアディス向かい、奴隷オークションでリーリアを助け出す算段を立てる必要がある。
――リーリアを助けるには、とにかく金が必要だ。
アルカナプレートを起動して残高を確認する。
――10,212ディム。
今の手持ちではとても足りない。どうにかして、奴隷オークションまでに資金を作る必要がある。
「やるしかないか」
俺は小さく息を吐き、心を決めた。短期間で金を稼ぐ必要がある。
リアディス取引所――あそこで適切に動けば、短期間で資金を作ることは不可能ではない。
まずはリアディスへ向かい、そこから本格的に動く。
「お待ちどう」
香ばしい香りとともに食事が運ばれてきた。食事を受け取り、しばしの間、体力を回復するために静かに食事を取ることにした。これからが、本当の勝負だ。
門の脇には衛兵たちが立ち、通行人を監視している。俺は背中の荷を少し持ち上げ直し、門番のもとへ歩み寄る。軽く頭を下げ、アルカナプレートを差し出した。
「通行税、2ディムだ」
プレートから読み取られた情報が表示され、門番はうなずく。
支払いを済ませ、門をくぐり街の中へ足を踏み入れると、石畳の道が広がり、両脇には商店や宿屋が立ち並んでいた。街灯が暖かな光を放ち、街の中心部へと続く道を照らしている。
ここでの目的は明確だ――リーリアを連れ去った奴隷商人の情報を集めること。
俺はまず、情報収集に適した場所を探すことにした。
こういう時に最も手っ取り早いのは、酒場だ。
酒場は旅人や商人が集まり、噂話や情報が飛び交う場所。適当に街の中心へ歩いていると、程なくして目立つ看板の店を見つけた。「赤鹿亭」と書かれた木製の看板がかかった酒場の扉を押し開けると、酒の匂いと人々の喧騒が俺を迎えた。
広い店内には長い木製のカウンターがあり、奥では給仕たちが忙しく働いている。
テーブル席では、旅人や商人が酒を酌み交わしながら談笑していた。
「おう、若いの。何か飲むか?」
カウンターの向こうで、髭面の酒場の主人が俺に声をかけてきた。俺は軽く会釈をしながら、カウンター席に腰を下ろした。
「いや、酒じゃない。少し話を聞きたくてな」
「ほう……。どんな話を探してるんだ?」
「最近、この街を通った奴隷商人の話を知ってるか?」
酒場の主人は少し目を細めた。俺の真剣な表情から、軽い話ではないことを察したのかもしれない。
「奴隷商人か……アーガナスには、そういう連中も頻繁に出入りする。だが、何を知りたい?」
「リアディスへ向かった奴隷商人だ。ここ最近通ったやつらのことが知りたい」
主人は腕を組み、少し考え込んだ後、低い声で答えた。
「……昨日だな。ここを通ったキャラバンがあった。十数人の奴隷を乗せた馬車の列だった。奴らはまっすぐリアディスへ向かったって話だ」
「率いてたのは誰だ?」
「アンドレって名前の奴隷商人だ。悪名高い男だよ。表の顔は商人だが、裏では金のためなら手段を選ばねぇ。特に若い娘を好んで扱うって話だ」
アンドレ……奴隷商人の名を聞いた瞬間、胸の奥で怒りが湧き上がるのを感じた。
「そいつがリアディスのどこへ向かったのか、知ってるか?」
主人は少し眉を上げ、低く笑った。
「お前、随分と熱心だな。身内でもさらわれたのか?」
「……そんなところだ」
「なるほどな。なら、教えてやるよ。アンドレのキャラバンはリアディスの南区にある『競売会館』へ向かったはずだ。そこで、奴隷オークションが定期的に開催される」
「……奴隷オークションか」
俺は小さく呟いた。奴隷オークションが行われる場所ならば、リーリアもそこにいる可能性が高い。となれば、目的地は決まった。
「兄ちゃん、奴隷オークションの裏には有力な貴族様もいる。下手な気を起こすなよ」
「ああ…」
そう返事はしたが、怒りを抑えるのに精いっぱいだった。
「そういえば……」
主人がふと思い出したように声を落とした。
「次の奴隷オークションは、二月の初めに開かれると聞いたぞ。それまでに準備を整えるといい」
二月初め……時間はあるようで、あまり余裕はない。俺はその情報を胸に刻み込んだ。
「情報料はいくらだ?」
俺はアルカナプレートを取り出し、カウンターの上に置いた。酒場の主人はそれを見て、小さく笑った。
「いらねぇよ。ただし、何か頼んでいけ。うちの料理はうまいぞ」
「助かる。じゃあ、適当に軽い食事を頼むよ」
主人は満足げに頷き、すぐに厨房へ向かっていった。俺は、カウンター肘をつきこれからの行動を整理する。
やはり、奴隷商人のキャラバンはすでにリアディスへ向かっている。俺も一刻も早くリアディス向かい、奴隷オークションでリーリアを助け出す算段を立てる必要がある。
――リーリアを助けるには、とにかく金が必要だ。
アルカナプレートを起動して残高を確認する。
――10,212ディム。
今の手持ちではとても足りない。どうにかして、奴隷オークションまでに資金を作る必要がある。
「やるしかないか」
俺は小さく息を吐き、心を決めた。短期間で金を稼ぐ必要がある。
リアディス取引所――あそこで適切に動けば、短期間で資金を作ることは不可能ではない。
まずはリアディスへ向かい、そこから本格的に動く。
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