俺だけ魔力が買えるので、投資したらチートモードに突入しました

白河リオン

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第十一章 「デッドクロス」

第97話 「楽園の衣」

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「……どうして、ここに?」

 思わずそう聞くと、クロエはトロピカルな飲み物を一口飲んでから、さらっと答えた。

「んー? 王様に招待されたから?」

「……王様?」

「そうそう。マハロスちゃん」

 ちゃん、付けか。一瞬、頭が処理を拒否した。

「いや待て。ロピカルハ王国の国王、マハロスだよな?」

「うん、そのマハロスちゃん」

 クロエは悪びれもせず頷いた。

「昔ちょっとね。マハロスちゃんが若い頃に、いろいろ」

「いろいろってなんだよ……」

 ティタニアが横から、怪訝な顔をしてクロエを見る。

「あなた、本当に何者なの……?」

「ただのしがない魔法士よ?」

 絶対違う。

 リーリアはというと、目を輝かせていた。

「すごーい! クロエさん、王様と知り合いなんだ!」

「長く生きてるからねー」

「さすがハイエルフ!」

 ニナはというと、話のスケールについていけていないのか、そっとリーリアの後ろに隠れている。

「さて」

 フィリアが、ぱん、と手を叩いた。

「結婚式は三日後。それまでは、少しくらい羽を伸ばしてもよろしいでしょう?」

「賛成!」

 リーリアが即答する。

「せっかく海もありますし」

 フィリアは窓の向こう、きらめく海を見やった。

「明日は泳ぎましょう。ロピカルハの海、ですもの」

 フィリアの言葉に、一拍の沈黙。

 そして――

「海!?」

「泳ぐの!?」

 反応したのは、ほぼ同時だった。

「やったー!!」

 リーリアが両手を上げて跳ねる。

「南国の海だよ!? 絶対きれいだよね!」

「……え、えっと……」

 その横で、ニナが一瞬たじろいだ。

「私は……その……」

「大丈夫大丈夫! ニナも一緒に行こ!」

 リーリアが迷いなく腕を取る。

「えっ!? い、いえ……わたしは……」

 戸惑うニナを見て、フィリアがやわらかく口を挟んだ。

「無理にとは言いませんわ。ただ……せっかくですわ。みんなで遊びませんこと?」

「……」

 ニナは一瞬、視線を伏せ――小さく頷いた。

「……はい」

「やった!」

 リーリアが満面の笑みを浮かべる。

「じゃあ決まりだね!」

 その流れで、今度はティタニアが腕を組んだ。

「……泳ぐ、となると」

「水着、ですわね」

 フィリアが即答する。

 その一言で、場の空気が微妙に変わった。

「……」

 数人の視線が、自然と集まる。

「……アイラ?」

「えっ!? わ、わたしですか!?」

 突然話題を振られ、アイラが慌てる。

「水着……は、持ってきていますけど……」

「私も、一応……」

 ヒカリが小さく手を挙げた。

「私もですわ」

 フィリアは余裕の表情だ。

「私も……持って、ます……」

 ニナが控えめに言う。

「わたしもー!」

 リーリアは当然のように言った。

「……つまり」

 俺は状況を整理する。

「ほとんど持ってきてるな?」

「でも」

 フィリアが微笑んだ。

「せっかくロピカルハに来たのですもの。ロピカルハ式の水着、見てみたくありません?」

「……それは」

 ティタニアが少し考え――ふっと口元を緩めた。

「確かに、興味はあるわね」

「あるある!」

 リーリアは即決だ。

「南国の水着、絶対かわいいよ!」

「……案内、できます……」

 ニナが、遠慮がちに言った。

「港のほうに……地元の人が使うお店、ありますから……」

「まあ!」

 フィリアが目を輝かせる。

「それは心強いですわ」

「じゃあ、行く?」

 ティタニアが楽しそうに言う。

「買わなくても、見るだけでも楽しいでしょ」

「はいっ!」

 ティナが元気よく頷く。

「みんなで行きましょー!」

 気づけば、女性陣の空気はすっかり「買い物モード」になっていた。

 一人を除いて。

「……あの」

 イオナが、静かに手を挙げる。

「僕は、今回は遠慮しておくよ」

「え?」

「水着は持ってきてるしね。それに……」

 イオナは窓の外、街のほうへ視線を向けた。

「ちょっと、調べたいことがある」

「無理はなさらないでくださいね」

 フィリアがそう言うと、イオナは軽く手を振った。

「心配しなくても大丈夫だよ」

「じゃ、アル兄は?」

 リーリアがにやっと笑う。

「一緒に来る?」

「遠慮しとく」

 即答した。

「だよね!」

 なぜか楽しそうだ。

「では、女性陣で参りましょう」

 フィリアがまとめる。

「明日は海。今日は下見とお買い物ですわ」

「じゃ、行ってきますわね、アルヴィオ」

 フィリアが振り返って微笑む。

「……ほどほどにな」

 楽しそうに連れ立って出ていく女性陣を見送りながら、俺はソファに腰を下ろした。
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