魔剣士「お姫様の家出に付き合うことになった」【現在完結】

Naminagare-波流-

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第五章【西方大地】

5-6 いよいよ、目的地へ

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―――【 2週間後 昼食後 】

猛竜騎士「……魔剣士、炎の維持はできているか」
魔剣士「ぐっ…!」ボォォ…

猛竜騎士「……白姫、覚えた感覚を身体へ純魔力として認知できているか?」
白姫「…」ポォォ…

猛竜騎士「…」
魔剣士「…ッ!」ボォォ
白姫「…」ポォォ…

猛竜騎士「……よしっ!出来てるみたいだな!?」パンッ!

魔剣士「ぬあっ!?」ボシュン!
白姫「ひゃっ!?」プスンッ!

猛竜騎士「ある程度できるようになったみたいだし、そろそろ次の段階へ……」
白姫「せ、せっかく認知できてたのに……」クスン
魔剣士「オッサンのせいで、炎が消えたじゃねーか…おい!!」シュウ…
猛竜騎士「…」
魔剣士「……で、なんだって?」ハァ
白姫「今、次の段階へ行くと……」
猛竜騎士「…そう。そろそろ、君たちに新しい魔導書を渡そうと思ってね」
魔剣士「次の魔導書!?」
猛竜騎士「…うむ」
白姫「えっと、次の魔導書はなんなんですか?」
猛竜騎士「魔剣士はこれ、白姫はこれ」
ゴソゴソ…ポイポイッ
魔剣士「うおっと」ボスッ
白姫「わわっ…」ポスンッ

猛竜騎士「まずは、白姫から」
白姫「は、はいっ」
猛竜騎士「白姫、君には"光属性"の魔法を取得してもらおうと思う」
白姫「光属性、ですか…?」

猛竜騎士「魔法には火、水、雷、風といった基本属性に加えて"光"と"闇"という別種の属性が存在している」
猛竜騎士「光属性は主に、人のためにある魔法。つまり、ヒーリングや支援に向いた魔法のことだ」

白姫「!」

猛竜騎士「闇属性はその逆だ。破壊のためにだけ存在し、戦いの中で最も最強とされている自身強化の魔法でな……」
猛竜騎士「だが、それは教えることができんし、これは忘れていい」

魔剣士「…」ピクッ

猛竜騎士「…で、白姫には光属性の魔法を覚えてもらおうと思う。どうだ?」
白姫「えっと、光の魔法を覚えれば魔剣士や猛竜騎士さんを支援できるってことですか?」
猛竜騎士「実用的になるかは己次第かね」ニヤッ
白姫「……やりますっ!」
猛竜騎士「うむ。今渡した魔導書には、光魔法の基本の"ヒール"の習得が出来る魔力が眠ってる。それを上手く感覚として覚えるんだ」
白姫「ということは…」
猛竜騎士「そう、今までと同じ精神集中をしつつ感覚を覚えるっつーわけだな」
白姫「…そういうことだったんですね。わかりました、絶対に覚えてみます!」
猛竜騎士「おう、その意気だ。さて次は、魔剣士……」

魔剣士「…」
魔剣士「……オッサン」ジロッ

猛竜騎士「む、なんだ?」
魔剣士「闇魔法って、なんだ……?」
猛竜騎士(…あ)
魔剣士「自身強化のためとか、破壊魔法とかいったが、聞いたことないぞ!なんだよそれ!」
猛竜騎士「……口ぃ滑らせちまったな」ハァ
魔剣士「気になるじゃねえか、もしかして凄く強くなれる魔法とかじゃねえのか!?」
猛竜騎士「…」
魔剣士「だったら、俺に闇魔法を…!」
猛竜騎士「……教えられるか、馬鹿者」
魔剣士「あ…?」

猛竜騎士「闇魔法っつーのは、全ても破壊するという意味の魔法で、"自身を超強化する"魔法なんだ」
猛竜騎士「それを習得するには"闇の腕輪"という装備が必要なうえに、下手すりゃ自分が闇に落ちて精神崩壊するやもしれん」
猛竜騎士「……教えられるわけがない」

白姫「つまり、魔導書みたいなものってことですね」
猛竜騎士「察しがいいな、装備できる魔導書ってことだな。だが、装備している間しか魔法は使えないぞ」
白姫「へぇ~…」
魔剣士「……じゃあさ、その腕輪を入手して、精神崩壊に耐えれば覚えられるのか?」
猛竜騎士「はは…。無茶言うな、レガシー品だそれは」
魔剣士「レガシー?」
猛竜騎士「遠い遠い昔、魔法の研究が進んでいた時代があった。」
魔剣士「ん…」

猛竜騎士「その頃はまだ、人体実験なんかも問わない時代、闇魔法の研究も進んでいた」
猛竜騎士「それによって、破壊のための魔法である"闇魔法"を扱うための腕輪が造られた」
猛竜騎士「だが、時代は進むにつれて人体実験の禁止や様々な背景でそのアクセサリーも消失」
猛竜騎士「この世のどこかにはあるだろうが、いわゆる"古代のお宝"…レガシーと呼ばれてるんだ」


――――闇魔法。
その昔、人の欲望が無造作だった時代。
人間は"最強"を求め、人体実験を幾度も繰り返し、
その血肉の犠牲をもとに"超強化"とも呼ぶべき肉体強化魔法を開発し、アクセサリー類へ魔術を封印。
だが、時代が進むにつれて世界が平和の時代へと移り変わりゆく狭間、
その魔術やアクセサリーは失われていった。
魔術方法が不明な現在、習得するためのアクセサリーは"レガシー"装備と呼ばれ、
魔物蠢く古代遺跡の奥深くに眠るといわれている――――

 
魔剣士「へ、へぇぇ……!」キラキラ
白姫「こ、怖いです……」
魔剣士「…でも、欲しいな。自分を超強化できるって、あらゆる面で強化されるんだろ?」
猛竜騎士「闇魔法をバーサク、それを会得したものをバーサーカーと呼ぶそうだ。圧倒的な破壊力を持つ者としてな」
魔剣士「……やべぇ、欲しいな」ウズッ
猛竜騎士「お前の精神力じゃ、闇に飲みこまれておしまいだっつーの」ハハハ
魔剣士「…」

白姫「…でも、猛竜騎士さんはずいぶん詳しいんですね?」
白姫「もしかして、そのバーサクという魔法をつかえたりするんですか?」

猛竜騎士「…」
猛竜騎士「……いや、俺は使えないな」

白姫「そうですか…。詳しかったので、使えたりするのかなと……」
猛竜騎士「ははは、まさか」
魔剣士「……っちぇ。強くなれると思ったのに」ハァ
猛竜騎士「単純な道などないということだ、地道に強くなれ」
コツンッ…
魔剣士「いてっ……」
白姫「えっとそれじゃ、ヒーリングを覚えるために私は精神集中をしてみよっかな……」パァァ
魔剣士「オッサン、闇魔法の話題で話がそれたが、俺は何をすりゃいいんだ?」
猛竜騎士「んーとな、まず……」

白姫「…」
白姫「……!」ブルッ

猛竜騎士「お前の場合は、この魔導書で……」ブツブツ
魔剣士「ふむ…?」

…ソー
白姫「……あの、ちょっとだけそこらへんに行ってきます」コソッ

魔剣士「ん、どうした?」クルッ
白姫「ちょっと、うん……」
魔剣士「…あぁ、小便?」
白姫「んっ……」カァ
魔剣士「……はいよ、すぐそばでしとけよ。魔物出たら危ないしな」
白姫「う、うんっ……」
ソソクサッ……タタタッ、ガサガサッ……
魔剣士「…」
魔剣士「……なんだ、最初の時は適当におトイレに行ってきますとかっつってたのに」

猛竜騎士「勉強で色々教えているからな。そういう女子としての自覚も身についてきたんじゃないか?」
魔剣士「つーか、あの日とかは」
猛竜騎士「そういう質問はナシしておけ…。デリケートなものは俺だって恥ずかしながら準備してやってるから……」
魔剣士「あ、そうなの」
猛竜騎士「お前だって、このまま勉強して姫様が色々覚えたら、もう抱きしめられるのは嫌~って言われるかもしんねーぞ?」ククク
魔剣士「あ…?か、関係ねーよ!そう言われたらそれまでだし?」
猛竜騎士「本当かぁ~?」
魔剣士「当たり前だろ!なんでもねーっつーの!!」
猛竜騎士「ふ~ん…?」
魔剣士「ちっ…!いちいちうるっせぇんだよ!」
 
猛竜騎士「……ま、いいけどな。」ニヤニヤ
猛竜騎士「それより、お前の魔導書について説明するぞ」

魔剣士「んだよ!」
猛竜騎士「次の魔導書は、部分強化魔法だ」
魔剣士「あ?」
猛竜騎士「属性ではなく、純魔力を肉体の部位の一部分へ集め、それを放出するっつーことだ」
魔剣士「…どういうことだ?」

猛竜騎士「お前に渡した魔導書は、脚の部分への魔力放出を体感させるもんでな」
猛竜騎士「その感覚を覚えつつ、お前のやった"最小限の魔力で最大限発揮する"のを純魔力で行う」

魔剣士「……意味あんのか?」
 
猛竜騎士「あのなぁ、意味のないことなどこの世には存在しないんだ」
猛竜騎士「強いて言えば、無駄だなと自分自身の奥底で思っていることが本当の無駄なことだ」

魔剣士「…」

猛竜騎士「成長する糧にもならん、やる気もない、意味のないことだと言い聞かせてただただやっていること」
猛竜騎士「それが一番意味のないことだろう」

魔剣士「…ふん」
猛竜騎士「…これは、お前にとって意味のないことだと思うか?」
魔剣士「……はいはい。やればいいんだろ、やればよ……」
猛竜騎士「…」ニカッ

ガサガサッ、トコトコ……
白姫「ただいまです」

猛竜騎士「おう、おかえり」
魔剣士「おかえり」

猛竜騎士「では二人とも、早速魔導書で始めてもらうが……」
猛竜騎士「その前に、言うことを忘れていた」

白姫「なんでしょうか?」
魔剣士「なんだ」

猛竜騎士「…今日まで約2週間、お疲れサン」
猛竜騎士「明日の朝には、おそらく目的地だった村へと到着するはずだ」
白姫「!」
魔剣士「!」

猛竜騎士「友人はそこにいてな…」
猛竜騎士「二人とも体感して分かっているだろうが、この大自然界を抜けるにはそれなりの実力もいるわけで、」
猛竜騎士「更に点々としている村を見つけることは難しく、バウンティハンターは俺らを見つけることはできないだろう」
猛竜騎士「だから、少しの間そこで厄介になるつもりでいる」
猛竜騎士「その間、魔法が得意な友人や自然を生かして修行をしてもらい……」
猛竜騎士「俺は友人と、次の行先きや今後について考えたいと思っている」
猛竜騎士「……いいな?」

白姫「…わかりましたっ!」
魔剣士「従うしかねーしな……」

猛竜騎士「…うっし!」
猛竜騎士「それじゃ、今日は修行をできるだけ早く切り上げて歩くからな!」
猛竜騎士「精神集中、魔導書集中だ!」

白姫「はいっ!」ポォォッ…
魔剣士「はいよ」パァァ…

猛竜騎士(……ははっ)
猛竜騎士(二人とも、最初と比べれば体力も精神力もついてきたな……。)
猛竜騎士(しかしなんだ、アイツとパーティで助かったぜ……。)
猛竜騎士("エルフ族"の村は、基本的に交流のない人間は中に入れてくれないからな…)

…………
………
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